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Claudeで条例の改め文と新旧対照表を作る手順

Claudeで条例の改め文と新旧対照表を作る手順

現行条例と改正方針から、改め文形式の改正案と新旧対照表をWord・Excelで出力させ、条番号の繰り下げと引用条文のずれを検算させる手順をまとめます。

Claudeで条例の改め文と新旧対照表を作る手順

現行条例の本文と改正方針を渡せば、Claudeは改め文形式の改正条例案と新旧対照表を、Word(.docx)とExcel(.xlsx)のファイルとして出力できます。難しいのは文章を作ることではなく、条番号を繰り下げたあとに引用条文がずれていないかを確かめることです。この記事は、作らせる手順と、ずれを機械的に検算させる手順を一続きで扱います。

改め文や新旧対照表の書き方そのものは、各団体の法制執務の手引きと例規審査の運用が優先されます。ここで示す改め文の文例は説明用に作った架空の条例で、自団体の規程の代わりにはなりません。

何を渡せば改め文と新旧対照表が出てくるか

ファイル作成機能は、Free・Pro・Maxでは既定で有効です。Settings > Capabilitiesの「Code execution and file creation」から切り替えられます。TeamとEnterpriseでは組織の設定で有効になっているかどうかが変わります。詳しくはClaudeのファイル作成・編集機能とセキュリティ設定にまとめています。

Claudeが作れるファイルは、Excel、PowerPoint、Word、PDFの4種類です。ダウンロードするか、Google Driveに保存できます。1ファイルの上限はアップロードもダウンロードも30MBです。条例1本の改正案なら、容量で困ることはまずありません。

入力として渡すのは次の3点です。

入力

改正案づくりの入力素材

  • 現行条例の全文

    例規集からコピーした本文か、.docxの現行版です。附則や別表も含めます。

  • 改正方針

    「第5条に市民参加の規定を1条加える」「罰則の過料の上限を引き上げる」など、変えたい内容を箇条書きにします。

  • 他の条例・規則への影響メモ

    この条例を引用している規則があれば、条名と該当条を添えます。

3つ目は省かれがちです。この条例を引用する別の例規の改正が要るかどうかは、条例単体を見ても分かりません。引用元の一覧を自分で用意できないなら、「他の例規が本条例を引用している可能性があるので、洗い出すべき条文の観点を挙げて」と頼み、挙がった観点を例規集の検索で確かめる使い方が現実的です。

改め文を書かせる依頼文

改め文は、現行条例のどこをどう変えるかを「〜を〜に改める」「〜の次に次の1条を加える」といった定型で書く文章です。依頼の段階で、書式の例を1つ見せておくと形が揃います。

添付の「○○市サンプル条例」(現行・全文)を、下記の方針で改正します。
 
方針:
1. 第5条の次に、市民参加に関する規定を1条加える
2. 第8条第1項の過料の上限額を5万円に改める
 
出力:
- 改め文形式の改正条例案(Word)
- 新旧対照表(Excel、列は「現行」「改正案」の2列、改正箇所に下線)
 
条番号の繰り下げが生じる場合は、繰り下げる条と、
その条を引用している他の条の改め文も漏れなく含めてください。
文例は自団体の過去の改正条例(添付)の書式に合わせてください。

最後の1行が効きます。過去の改正条例を1本添えるだけで、「附則」の置き方や、条の見出しの括弧の付け方が自団体の流儀に寄ります。

繰り下げが起きる場合の改め文の形

方針1のように、既存の第5条と第6条の間に新しい規定を入れる場面を考えます。「第5条の2」の枝番を使わず、後ろの条をすべて繰り下げる形にする場合、改め文は例えば次のようになります。

第8条中「第6条第2項」を「第7条第2項」に改め、同条を第9条とし、第7条を第8条とし、第6条を第7条とし、第5条の次に次の1条を加える。
 
(市民参加)
第6条 市は、…(略)

繰り下げは後ろの条から順に、1つの文で書くのが通例です。旧第6条以降のすべての条が1つずつ動くので、旧第7条の繰り下げを書き落とすと、新しい第7条と番号が重なります。もう一つの落とし穴が、動く条を引用していた別の条の文言です。ここでは旧第8条にある「第6条第2項」の引用を、先頭の「第8条中…」で直しています。この引用改正の1行と、中間の条の繰り下げは、どちらも漏れやすい箇所です。数十条ある条例では、人の目だけで全引用を追うのは負担が大きく、Claudeに確認させる価値がここにあります。

上の文例は説明用で、枝番を使うか繰り下げるかは団体の方針と法制担当の判断に従います。

新旧対照表をExcelで出す

新旧対照表は、現行の条文と改正後の条文を左右に並べ、変わった箇所を示す表です。依頼文で列構成と書式を指定します。

列内容補足
現行内容改正前の条文補足削られる文言に下線
改正案内容改正後の条文補足加わる文言に下線
備考内容改正の理由や関連例規補足任意

Excelの1セルに条文全体を入れると、行高と折り返しの調整が手間になります。「1行=1条または1項、セルは折り返し表示、列幅は条文が読める広さ」と指定しておくと、後の手直しが減ります。下線は、書式付きの文字列として入るかどうかを最初の出力で確認します。入っていなければ、色付きの太字など別の強調に切り替えるか、Wordの表で作り直してもらいます。

Wordで提出する団体なら、同じ内容をWordの表で出力させても構いません。ファイル形式の変換は、ファイル作成機能で想定されている使い方です。例えば「このExcelの新旧対照表をWordの表にして」と頼めます。

検算をClaudeに実行させる

ここが、普通の文書作成との違いです。Claudeはコードを実行できる環境でファイルを作るため、条文のテキストを機械的に突き合わせるスクリプトを書かせて走らせられます。確認したい観点は3つです。

手順

改め文の検算の流れ

  1. 1

    条番号の連続性

    現行条例と、改め文を適用した後の条例で、条番号が欠けたり重複したりしていないかを確かめます。

  2. 2

    引用条文の参照先

    「第○条第○項」と書かれた箇所をすべて抜き出し、参照先の条が実在し、意図した内容の条を指しているかを一覧にします。

  3. 3

    改め文と対照表の一致

    改め文を現行条例に適用して全文を再生成し、新旧対照表の改正案の列と一致するかを比べます。

3つ目が最も強い確認になります。改め文と新旧対照表は同じ改正の2つの表現なので、両方がClaudeの別々の出力だと、片方にだけ誤りが入る可能性があります。改め文を機械的に適用した結果で対照表を突き合わせれば、食い違いはその場で表に出ます。

依頼文は例えば次のようにします。

作成した改め文を現行条例の全文に適用して、改正後の全文を
テキストで再生成してください。そのうえで次を確認し、
結果を表にしてください。
 
1. 条番号が第1条から欠番・重複なく連続しているか
2. 「第○条」「第○条第○項」の引用をすべて抜き出し、
   参照先の条が存在するか(改正前の番号のまま残っていないか)
3. 再生成した全文が、新旧対照表の「改正案」の列と一致するか
 
食い違いは条ごとに列挙し、修正案を添えてください。

引用条文の抜き出しだけなら、次のような短いスクリプトで足ります。Claudeに書かせる場合の出力イメージとして示します。

import re
 
def check(text: str) -> None:
    heads = [int(n) for n in re.findall(r"^第(\d+)条", text, flags=re.M)]
    expected = list(range(1, len(heads) + 1))
    assert heads == expected, f"条番号が連続していません: {heads}"
    for line in text.splitlines():
        body = re.sub(r"^第\d+条", "", line)
        for ref in re.findall(r"第(\d+)条(?!の)", body):
            if int(ref) not in heads:
                print(f"参照先がありません: 第{ref}条 <- {line[:30]}")

この例は、算用数字の条番号と、枝番のない条を前提にしています。漢数字の条番号や「第5条の2」を含む条例では、そのままでは正しく動きません。自団体の例規の表記に合わせて、正規表現を直してもらいます。

スクリプトが「問題なし」と返した場合も、その言葉を鵜呑みにはできません。検算は番号の整合を見るもので、条文の意味が正しいかは見ていないからです。たとえば「第6条」を「第7条」に直す改め文が、本来は第6条のまま残すべき箇所に当たっていても、番号の整合は保たれます。

附則と施行日を依頼文に入れる

改め文には、本則の改正のほかに附則が付きます。施行期日と、改正前の行為に旧規定を適用する経過措置です。方針に書かないと、Claudeは本則の改正だけを出して終わることがあります。次の一文を依頼文に加えると、抜けを防げます。

附則として、施行期日(公布の日から起算して3月を経過した日)と、
施行前にした行為への経過措置を置く案を、本則とは別に出してください。
経過措置が不要と判断する場合は、その理由を書いてください。

施行日の数え方と経過措置の要否は、条例の性質で変わります。Claudeの案は、法制担当に相談するときの論点の一覧として使うのが現実的です。

検算で見つかりやすいずれの型

実際に確認が要るのは、機械が拾える形のずれだけではありません。

型例拾える手段
繰り下げ漏れ例旧第7条の繰り下げが抜けて番号が重複 / 引用側の「第6条」が旧番号のまま拾える手段条番号の連続性の確認と、引用の抽出・参照先の照合
対照表との不一致例改め文では5万円、対照表は3万円拾える手段全文再生成との比較
別表・附則の漏れ例本則の条番号が動いたのに別表の引用が旧番号拾える手段別表も入力に含めて抽出
他例規の引用例規則が本条例の旧条番号を引用拾える手段例規集側の検索(Claudeには見えない)

最後の行は、Claudeの検算の外にあります。渡した資料の範囲でしか確認できないため、例規集全体の検索は人が行うか、検索結果を貼って突き合わせさせます。

Wordで直接見せ消ちにしたいとき

改め文をゼロから作る代わりに、既存のWord文書を直接修正し、修正履歴で審査者に見せたい場合もあります。この用途にはClaude for Wordが向きます。追跡変更モードを有効にすると、Claudeの編集は追跡変更として記録され、Wordの校閲機能で1件ずつ承認・却下できます。選択範囲の編集では、周辺のスタイルや番号付けが保たれます。使い方はClaude for Wordの使い方で説明しています。

ただし、追跡変更は「文書上の差分」であり、改め文という法制執務上の文体ではありません。改め文が必要なら、ファイル作成機能で別に作らせます。民間契約書の修正履歴を相手方とやり取りする型は、Claude契約書レッドラインに分けて書いています。

使う前に確認しておくこと

  • プランと設定: TeamとEnterpriseでは、組織の管理者が機能を無効にしている場合があります。
  • ネットワーク: Team・Enterpriseのネットワークアクセスは既定で絞られています。条文の作成だけなら、外部へのアクセスを許可しなくても進められます。
  • 利用上限: ファイル作成は、通常のチャットより利用上限を多く消費します。何度も作り直す前に、依頼文を固めておくほうが効率的です。
  • 入力する情報の範囲: 例規集の本文は公開情報でも、改正方針の検討段階の資料は未公表のことがあります。庁内の取り扱いは自治体職員の生成AI利用と総務省ガイドラインの整理が参考になります。
  • 外部から受け取った文書: 他団体や事業者から受け取ったファイルには、本文以外の場所に指示が埋め込まれている可能性があります。追跡変更を確認せずに一括承認しません。

まとめ

改め文と新旧対照表は、Claudeに一度に作らせたうえで、改め文を現行条例に適用し直した全文と対照表を突き合わせると、食い違いが見つかります。引用条文の抽出は、繰り下げ改正で最も取りこぼしやすい部分です。ただし、検算が見るのは番号の整合まで。条文の意味と他例規への波及は、法制担当の審査と例規集の検索が引き受けます。Claudeの出力は審査に回す前の下書きです。

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