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出来高請求書をClaude for Excelで検算する手順 — 契約内訳と前回累計の差を行ごとに

出来高請求書をClaude for Excelで検算する手順 — 契約内訳と前回累計の差を行ごとに

出来高査定と出来高請求書の確認を、契約内訳の行ごとに累計・前回請求・出来高率で検算する手順です。建設業法24条の3の支払期限の計算と、Claude for Excelに任せる範囲も数値例で示します。

出来高請求書の確認で見るのは、結局のところ3つの数字です。契約内訳の金額、今回までの累計出来高率、前回までに支払った額。この3つから「今回払うべき額」を行ごとに出し、請求書の記載額と突き合わせます。

月に数十行ある内訳を電卓で追うと、率の写し間違いや前回分の二重計上を見落とします。この記事では、内訳表を検算用のExcelに組み、計算列と判定列をClaude for Excelに作らせ、差が出た行を人が現場の実態と照らす流れを扱います。

出来高査定の検算で何を行ごとに見るか

出来高査定は、工事の進み具合を内訳の行ごとに率で評価し、契約金額に掛けて累計の出来高額を出す作業です。請求書の確認は、その査定額と請求額が合っているかを見る作業にあたります。

検算に必要な列は多くありません。

列中身出どころ
契約金額中身内訳ごとの契約額出どころ契約内訳書
前回累計率中身前回までに認めた出来高率出どころ前回の査定表
今回累計率中身今回の査定で認める出来高率出どころ今回の査定
請求書記載額中身今回の請求額出どころ請求書

ここから、次の5つを式で出します。

  • 今回累計額は、契約金額に今回累計率を掛けた額
  • 前回累計額は、契約金額に前回累計率を掛けた額
  • 当月出来高は、今回累計額から前回累計額を引いた額
  • 差は、請求書記載額から当月出来高を引いた額
  • 全体の出来高率は、累計額の合計を契約金額の合計で割った率

請求書が累計額で書かれているのか、当月分で書かれているのかは、書式によって違います。ここを取り違えると全行が大きくずれるので、最初に請求書の見出しを確認します。

検算用ブックを組む

次の数値例で組みます。契約金額の合計は5,100万円、5つの内訳です。

A列 工種 / B列 契約金額 / C列 前回累計率 / D列 今回累計率
E列 今回累計額 / F列 前回累計額 / G列 当月出来高
H列 請求書記載額 / I列 差 / J列 判定
行3が見出し、行4〜8が内訳、行9が合計

行4の式は次のとおりです。

E4: =B4*D4
F4: =B4*C4
G4: =E4-F4
I4: =H4-G4
J4: =IF(OR(D4>1,D4<C4),"率要確認",IF(I4<>0,"差あり","一致"))

J列の判定は3段階です。今回累計率が100%を超える、または前回より下がっている行は「率要確認」。率は正常で、請求額と当月出来高が違う行は「差あり」。それ以外が「一致」です。端数の扱い(1円未満の切り捨てなど)は契約や社内ルールで決まるので、必要なら式を ROUNDDOWN で包みます。

数値例

工種(契約金額・円)率(前回→今回)当月出来高請求書記載額差
仮設工事(4,000,000)率(前回→今回)60%→80%当月出来高800,000請求書記載額800,000差0
土工事(8,000,000)率(前回→今回)50%→75%当月出来高2,000,000請求書記載額2,400,000差400,000
躯体工事(24,000,000)率(前回→今回)30%→55%当月出来高6,000,000請求書記載額6,000,000差0
内装工事(6,000,000)率(前回→今回)0%→20%当月出来高1,200,000請求書記載額1,200,000差0
設備工事(9,000,000)率(前回→今回)40%→40%当月出来高0請求書記載額450,000差450,000

当月出来高の合計は1,000万円、請求書の合計は1,085万円で、差は85万円。内訳は土工事の40万円と設備工事の45万円で、足すと85万円に合います。

累計では、今回までが2,720万円、前回までが1,720万円で、出来高率は2,720万円÷5,100万円の約53.3%です。

土工事は、請求額240万円が契約金額の30%にあたります。今回の査定は50%から75%への25%分、つまり200万円で、40万円の差が出ます。30%がどの数字から来たのかは、請求書の率欄と査定表を並べないと分かりません。率の記載違いか、査定にない出来高の上乗せかを確かめる行です。設備工事は率が動いていないのに請求があります。出来高の積み残しか、別の費目の混入かを現場に確認する行になります。

Claude for Excelに作らせる

Claude for Excelは、開いているブックの質問に答え、セルへの引用付きで根拠を示します。数式の挿入、並べ替え、フィルタ、条件付き書式の設定も依頼できます。検算表の作成と、差が出た行の絞り込みが向いています。

最初の依頼は、列と式を言葉で指定します。

シート「査定」の行3を見出し、行4〜8を内訳として、
E〜G列と I〜J列に次の式を入れてください。
E=契約金額×今回累計率 / F=契約金額×前回累計率 / G=E−F / I=H−G。
J列は、今回累計率が100%超または前回未満なら「率要確認」、
差が0でなければ「差あり」、それ以外は「一致」。
行9に合計行を作り、D9は E9÷B9 の出来高率にしてください。

実行後は、挿入された式を人が1行ぶん目で追います。Claudeの回答に付く引用セルをクリックすると該当セルへ移動できるので、式の参照先がずれていないかをその場で見られます。

続けて、差が出た行の確認を頼みます。

J列が「一致」でない行だけを抽出して、
差の額が大きい順に並べてください。
元の表の並びは変えず、別シートに出してください。

「元の表を変えない」と指示するのは、既存データの上書きを避けるためです。Claude for Excelは既存データを上書きする前に警告を出しますが、広範囲の編集を頼む前に、元ブックのコピーで試す進め方が推奨されています。検算表なら、まず行4だけに式を入れさせてコピー上で結果を目で確かめ、合っていれば行5〜8へ広げます。最初から全行を頼むと、参照のずれが全行に広がってから気づくことになります。

毎回の指示を固定する

アドインのサイドバーにあるSettingsのInstructionsは、Excelでの全会話に効きます。ここに検算表の約束事を書いておくと、毎回の依頼文が短くなります。

出来高の検算表では、率は小数(0.55)で持つ。
金額は円単位の整数。
元データのシートは書き換えず、結果は別シートに出す。
判定列は「一致」「差あり」「率要確認」の3値だけ使う。

Instructionsは、PowerPointやWordの設定とは別に保存されます。

差が出た行を現場の実態に戻す

式が出す差は、疑う行の目印です。誤りと決めつける根拠ではありません。差の原因は、数字の間違いと、実態の違いに大きく分かれます。

差の型見え方確認先
率の段数違い見え方差が契約金額×率の取り違えに一致する確認先請求書の率欄と査定表
前回分の二重計上見え方差が前回の当月出来高と一致する確認先前回の請求書
率が動かないのに請求見え方率は前回と同じで、請求額だけある確認先出来高の実績、別費目の混入
率の後退見え方今回率が前回率を下回る確認先前回の査定表、出戻りの有無
契約外の行見え方内訳に無い工種の請求確認先変更契約、追加工事の合意

Claudeに「この差は何が原因か」を推測させるより、型に当てはめる順序を決めて頼むと、結果を式で確かめられます。たとえば「差が前回の当月出来高と一致する行を挙げてください」のように、検算できる条件で頼みます。

落とし穴

請求書の累計と当月を取り違えると、全行がずれる

累計額で書く書式の請求書を当月額として突き合わせると、2回目以降の請求は全行が前回累計ぶん大きく見えます。最初に請求書の見出しで「累計」か「今回」かを確認し、検算表の比較先をE列(累計)かG列(当月)かに合わせます。

下請への支払期限を検算に足す

元請の立場で下請の出来高を確認するときは、支払期限の確認も同じブックで行えます。建設業法24条の3は、元請負人が請負代金の出来形部分に対する支払を受けたときの、下請への支払を定めています。

要点は次のとおりです。

  • 対象は、元請が発注者から出来形部分の支払または工事完成後の支払を受けたとき
  • 下請に払う額は、元請が受け取った金額の出来形に対する割合と、下請が施工した出来形部分に見合う下請代金の両方を踏まえて決める
  • 期限は、支払を受けた日から1か月以内で、かつ、できる限り短い期間内
  • 下請代金のうち労務費に相当する部分は、現金で支払うよう適切な配慮が必要(第2項)

発注者から元請への支払を定める条文ではありません。元請から下請への支払の話です。

ブックには受領日と支払期限の列を足します。

受領日(元請が発注者から入金を受けた日): L4
支払期限(上限): =EDATE(L4,1)

EDATE は月単位で日付を進める関数です。1か月以内は期限の上限で、条文は「できる限り短い期間内」とも書いているので、社内の支払サイトがこれより短ければそちらが実際の締めになります。起算日の取り方や月末の扱いは契約と社内規程で確認します。

引き渡しを受けたあとの下請代金には、別の条文が係ります。建設業法24条の6は、特定建設業者が注文者となる下請契約で、下請からの引渡しの申出の日から50日以内、かつできる限り短い期間内に支払期日を定めるよう求めています。出来形部分の支払は24条の3の1か月、完成後の引渡し分は24条の6の50日と、見る条文が違います。自社が特定建設業者かどうか、対象の下請契約かどうかで、列に置く期限の式も変わります。

労務費の部分を現金で払う配慮(第2項)を管理する場合は、内訳に労務費相当額の列を足し、支払方法の列と並べます。内訳書に労務費の区分が無ければ、列は足せません。

Claude for Excelに任せない範囲

Claude for Excelのドキュメントには、使用を推奨しない用途が明記されています。

  • 人のレビューを経ない最終的な顧客向け成果物
  • 検証を伴わない、監査上重要な計算
  • 規制対象や機密性の高いデータを、適切な管理なしに扱うこと

出来高の検算は、支払額を決める計算です。式の挿入と差の抽出は任せ、最終の支払額は人が承認する、という分担が合います。

もう1つ、見落としやすいのが外部ファイルです。下請から届いた請求書のExcelファイルは、外部由来のファイルにあたります。ドキュメントは、外部ファイルに隠れた指示が含まれ、データの抜き出しや書き換えに誘導される可能性を警告しています。リスクのある操作は確認が求められますが、信頼できるスプレッドシートでだけ使う前提です。

請求書のファイルをそのまま開いて作業せず、金額を自社の検算ブックへ転記して使うと、この経路のリスクを下げられます。

利用できるのは、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランです。Windows版は16.0.13127.20296以降のMicrosoft 365、Mac版は16.46以降が対象で、iPad、Android、Excel 2016と2019の永続ライセンス版では動きません。マクロ、VBA、データテーブルも未対応です。

現場でつまずきやすい点

率の持ち方を統一します。「55%」を文字列で持つ、あるいは 55 と 0.55 が混ざると、掛け算が100倍ずれます。Instructionsに「率は小数で持つ」と書いておくのは、このためです。

契約変更があった行は、契約金額を変更後に差し替えたうえで、前回累計額を変更前の契約金額で出した値のまま持つ必要があるかを確認します。前回累計率に新しい契約金額を掛けると、前回の支払済み額とずれる場合があります。この場合は、率ではなく前回までの支払済み額を列として持つほうが正確です。

数値例で、土工事の契約金額が800万円から900万円に増え、前回は率50%で400万円を支払済みとします。今回の累計率が75%なら、今回累計額は900万円×0.75=675万円です。前回累計額を新しい契約金額で出すと900万円×0.5=450万円になり、実際の支払済み400万円と50万円ずれます。K列に前回支払済み額を持ち、当月出来高を =E4-K4 にすれば、675万円−400万円=275万円と、支払済みの実績に合った額が出ます。

関連する検算は、次の記事にもあります。取引先の請求を表と突き合わせる手順は運賃請求書の突合、実行予算と原価の差異は実行予算と原価の差異表が扱っています。契約書側の点検は工事請負契約書の点検、金額基準との照合は分割発注の検出にあります。

まとめ

出来高請求書の検算は、累計と前回累計の差で当月出来高を出し、請求額と引く、という引き算の繰り返しです。式を組むところまでをClaude for Excelに頼み、差の出た行を現場の実態に戻す判断は人が持ちます。

下請の支払まで見る立場なら、受領日から1か月以内という期限を同じブックに載せておくと、査定と支払の確認が1枚で済みます。

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