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源泉徴収票と給与支払報告書の突合をClaudeで進める手順 — 令和8年分の差異を行ごとに出す

源泉徴収票と給与支払報告書の突合をClaudeで進める手順 — 令和8年分の差異を行ごとに出す

令和9年1月から給与支払報告書が税務署への源泉徴収票を兼ねます。給与システムの出力をClaude for Excelで突き合わせ、差異と区分漏れを行ごとに洗い出す手順です。

年末調整が終わると、給与システムから源泉徴収票と給与支払報告書の両方が出力されます。同じ年末調整の結果から作る書類なので、数字は揃っている前提です。ところが、年末調整のやり直しや住所の変更、退職者の扱いが絡むと、片方だけ数字がずれることがあります。

令和9年1月1日以後は、この「ずれ」の重みが変わります。市区町村に給与支払報告書を提出すると、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされるからです。令和8年分の書類から、市区町村宛ての数字が税務署への提出を兼ねます。

この記事では、Claude for Excelで両方の数字を行ごとに突き合わせ、差異のある従業員と、特別徴収・普通徴収の区分が抜けた行を洗い出す手順を示します。差異の原因の判断と提出は、人が行います。

令和8年分から、突合の相手が変わる

突合の相手を決めるには、まず提出の仕組みの変更点を押さえます。

項目令和8年12月31日以前に提出するもの令和9年1月1日以後に提出するもの
税務署への源泉徴収票令和8年12月31日以前に提出するもの提出範囲に該当する人の分を提出令和9年1月1日以後に提出するもの作成・提出が不要(みなし提出)
市区町村への給与支払報告書令和8年12月31日以前に提出するもの翌年1月31日までに提出令和9年1月1日以後に提出するもの同じ。提出すると税務署提出も兼ねる
受給者への源泉徴収票の交付令和8年12月31日以前に提出するもの全員に交付令和9年1月1日以後に提出するもの同じ。全員に交付

国税庁のタックスアンサー(コード7411)によると、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票の提出範囲は、同一人に対する年間の給与等の支払金額が30万円以下の中途退職者を除くすべてです。給与支払報告書の提出範囲もこれと同じです。令和8年12月31日以前の提出範囲は、年末調整をしたかどうかや役員かどうかで金額の基準が分かれていました。

もう1点は、受給者への交付が残ることです。源泉徴収票のみなし提出の特例は、税務署への提出だけを不要にします。従業員に渡す源泉徴収票は、市区町村に給与支払報告書を出していても、全員分を作って交付する必要があります。

つまり、令和8年分の突合は「従業員に渡す源泉徴収票」と「市区町村に出す給与支払報告書」の2つの数字を揃える作業になります。税務署用の控えを別に用意する前提では組みません。

数字がずれる典型パターンと、確認先

突合で見る項目は、支払金額と源泉徴収税額の2つに絞れます。ずれた行を見つけたあとは、原因の当たりを付ける必要があります。差の出方から、次のように原因を絞り込めます。

差の出方疑う原因確認先
一方にだけ行がある疑う原因提出範囲の判定、退職日、住所地の市区町村の違い確認先在籍区分、退職日、1月1日現在の住所
支払金額だけ違う疑う原因12月支給分と1月支給分の年区分の取り違え確認先給与の支給日
源泉徴収税額だけ違う疑う原因年末調整の再計算を片方にしか反映していない確認先年末調整の再計算の履歴
行は両方にあるが提出先の市区町村が違う疑う原因住所変更、年中退職者の住所地確認先住所の履歴

支給日の確認が必要なのは、給与の収入すべき時期が支給日で決まるためです。国税庁のタックスアンサー(No.2509)では、契約や慣習で支給日が定められている給与は、その支給日が収入の時期とされています。12月分の給与を1月に払う会社では、その給与は翌年分に入ります。システムの締め日で集計している列と、支給日で集計している列が混ざると、支払金額だけがずれます。

住所の確認が必要なのは、給与支払報告書の宛先が決まる仕組みのためです。7411の説明では、1月1日現在の住所地の市区町村に提出します。年の中途で退職した人は、退職時の住所地の市区町村です。地方税法第317条の6にも、1月1日現在の住所所在の市町村別に作成した報告書を、1月31日までに提出する旨があります。

突合用ブックを3シートで組む

給与システムが出す源泉徴収票のデータ(CSV)と、給与支払報告書のデータを、1つのブックに並べます。Claudeに渡す前に、列を絞っておきます。

シート載せる列役割
源泉票載せる列社員番号、支払金額、源泉徴収税額、1月1日現在の市区町村コード、在籍区分役割従業員に交付する側の数字
報告書載せる列社員番号、支払金額、源泉徴収税額、提出先の市区町村コード、徴収区分役割市区町村に出す側の数字
突合載せる列社員番号、両シートの件数と金額、差、判定役割Claudeに作らせる結果

列の絞り方で、個人情報の量が決まります。氏名や住所、扶養親族の情報は、突合には要りません。キーは社員番号にして、氏名は載せないのが基本です。

マイナンバーの列も入れません。7411によれば、税務署に提出する源泉徴収票にはマイナンバーを記載する必要がありますが、受給者に交付する源泉徴収票には記載しません。突合の対象は金額なので、マイナンバーは不要です。扱いの注意点は特定個人情報をClaudeに入力する前の確認点にまとめています。

CSVを開くと、市区町村コードの先頭のゼロが落ちたり、金額が文字列になったりします。貼り付ける前に、コード列を文字列、金額列を数値に揃えておきます。ここが崩れると、あとの突合がすべてずれます。

Claude for Excelに突合を頼む

ブックを開いた状態でClaude for Excelに、次のように頼みます。

「源泉票」と「報告書」を社員番号で突き合わせて、「突合」シートに作ってください。
- 列: 社員番号、源泉票の件数、報告書の件数、支払金額の差、源泉徴収税額の差、提出先市区町村の一致、判定
- 金額の差は 源泉票 - 報告書 で、数式(SUMIFS)で出してください
- 判定は「一致」「片側のみ」「支払金額差」「税額差」「市区町村差」のいずれかにしてください
- 社員番号は両シートの全員を重複なしで並べてください
- 既存のシートは書き換えないでください

ポイントは、結果を値でなく数式で出させることです。公式の説明では、Claude for Excelの回答にはセル単位の出典が付き、クリックして参照セルへ移動できます。数式なら、人が1セルずつ辿って確かめられます。

例えば、突合シートの数式は次のような形になります。列の位置は、貼り付けたシートに合わせて変わります。

源泉票の件数     =COUNTIFS(源泉票!$A:$A,$A2)
報告書の件数     =COUNTIFS(報告書!$A:$A,$A2)
支払金額の差     =SUMIFS(源泉票!$B:$B,源泉票!$A:$A,$A2)-SUMIFS(報告書!$B:$B,報告書!$A:$A,$A2)
源泉徴収税額の差 =SUMIFS(源泉票!$C:$C,源泉票!$A:$A,$A2)-SUMIFS(報告書!$C:$C,報告書!$A:$A,$A2)
市区町村の一致   =IF(INDEX(源泉票!$D:$D,MATCH($A2,源泉票!$A:$A,0))=INDEX(報告書!$D:$D,MATCH($A2,報告書!$A:$A,0)),"一致","差")
判定             =IF(OR(B2=0,C2=0),"片側のみ",IF(D2<>0,"支払金額差",IF(E2<>0,"税額差",IF(F2="差","市区町村差","一致"))))

件数の列を入れるのは、同じ社員番号が2行ある場合を拾うためです。年の途中で部署異動して2回出力された、といった行があると、SUMIFSの合計だけでは重複に気づけません。件数が2以上の行は、判定の前に人が見ます。

判定が「一致」以外の行は、フィルターで絞ります。Claude for Excelは並べ替えやフィルターなどのExcel操作も、頼めばそのまま行えます。

特別徴収・普通徴収の区分漏れを探す

報告書側に徴収区分の列があれば、同じブックで区分の抜けも調べられます。住民税は、給与の支払いを受けている人については、原則として特別徴収、つまり給与からの天引きで集めます。地方税法第321条の3が定める原則です。

ただし、支給期間が1か月を超える期間で定められている給与のみの人など、特別徴収が著しく困難な人は対象から外れます。普通徴収になる行は、理由が説明できる行であるべきです。

Claudeには、判定理由を作らせず、見つける作業だけを頼みます。

「報告書」の徴収区分の列を見て、次の行を「区分確認」シートに一覧にしてください。
- 徴収区分が空の行
- 徴収区分が「特別徴収」「普通徴収」のどちらでもない値の行
- 普通徴収の行のうち、在籍区分が「在籍」で、退職日が空の行
区分を修正しないでください。行番号と社員番号だけを出してください。

3つ目の条件は、在籍中なのに普通徴収になっている行を拾うためです。普通徴収が正しい場合もあるため、Claudeに直させず、人が理由を確認します。区分の値や書き方は、提出先の市区町村の案内に合わせます。

退職者がいる年は、もう1つの期限があります。4月1日現在で給与の支払いを受けなくなった人がいる場合、4月15日までに、その旨の届出書を市町村長に提出します(地方税法第317条の6第2項)。突合のついでに、退職日が1月から3月にある行を抽出しておくと、届出の漏れを防げます。

結果を信用する前の検算

Claudeが作った突合シートは、そのまま信用しません。次の4点を人が確かめます。

  1. 件数の合計を見る。源泉票の行数と報告書の行数が、突合シートの「片側のみ」を足し引きして合うか確かめます。
  2. 総額を別の式で出す。突合シートとは別のセルに、各シートの支払金額の合計を=SUM()で出して比べます。
  3. 「一致」の行を10件ほど抜き取る。源泉票の原本の数字と、突合シートの数字が合うか見ます。
  4. 差異のある行を1件ずつ、原因の表に当てる。原因が分からない行は、給与システムの履歴を確認します。

支払調書の対象判定と同じく、判定の根拠をセルで追えるようにしておくと、監査や担当の引き継ぎで説明しやすくなります。

使う前の条件と制限

公式の説明にある条件のうち、この作業に関わるものです。

  • 対象プランは、Pro、Max、Team、Enterpriseです。
  • 動作するのは、Excel on the web、Microsoft 365版のWindows(ビルド16.0.13127.20296以降)、Macの16.46以降です。Excel 2016と2019のボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません。
  • データテーブルとマクロ・VBAの操作には対応していません。
  • 最終成果物を人の確認なしで使うこと、監査で重要な計算を検証なしで使うこと、規制対象や機密性の高いデータを管理策なしで扱うことは、推奨されていません。

給与データは、最後の項目に当たります。社内の情報管理規程で、従業員の給与情報を外部サービスに入力してよいかを先に確認します。入力・出力は、バックエンドで受領または生成から30日以内に削除されるとの説明があります。ただし、組織で設定したデータ保持期間の設定は引き継がれず、監査ログにも含まれません。

もう1つは、外部から受け取ったファイルです。公式には、ダウンロードしたテンプレートやベンダーのファイルに、プロンプトインジェクションが仕込まれている可能性があると警告されています。給与システムから自分で出力したCSVなら問題は小さいですが、委託先の社労士やBPOから受け取ったブックは、信頼できるコピーかを確かめてから開きます。

よくあるつまずき

社員番号の表記ゆれで、全員が「片側のみ」になる。先頭のゼロの有無や、全角・半角の違いが原因です。突合の前に、両シートの社員番号を同じ形式に揃えます。

差の列が、すべて小数になる。金額に円未満の端数が入っていると、差が1円未満で出ます。給与システムの出力が整数かを、貼り付け前に確かめます。

中途退職者が、報告書にしかいない。年間の支払金額が30万円以下の中途退職者は、提出範囲から外れます。その行が報告書側にだけある場合は、判定の列に「範囲外確認」を足して、人が判断します。

Claudeが既存の数式を書き換えてしまう。公式には、既存データを上書きする前に警告が出るとあります。それでも、元のブックは複製してから作業します。

まとめ

令和8年分の書類からは、市区町村に出す給与支払報告書が、税務署への提出も兼ねます。従業員に交付する源泉徴収票との数字の食い違いは、これまで以上に早く見つける価値があります。

作業は、列を絞った3シートを作り、突合シートを数式で出させ、差異と区分の抜けを行ごとに見つけるところまでを、Claude for Excelに任せられます。原因の判断、区分の決定、提出は人が行います。氏名とマイナンバーを入れない列設計にしておけば、扱う個人情報を最小限にできます。年末調整全般の下書きの注意点は確定申告・年末調整の下書きの注意点で確認できます。

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