Claudeで予約数と出数から仕込み量を決める手順 — 曜日別の目安表をExcelで
予約台帳と日別の品目別出数をClaude for Excelで突き合わせ、予約人数から仕込み量を引く目安表を作る手順です。決定時点の予約数を使う理由と、余りと欠品を数える検算までを示します。
飲食店の仕込み量は、予約台帳の人数と、過去の同じ曜日の出数を並べると、勘より狭い幅で決められます。台帳と出数の突合、曜日別の集計、予約人数ごとの目安表づくりは、表計算の中でClaudeに任せやすい作業です。
ただし台帳の人数をそのまま使うと、仕込み量はずれます。仕込みを決めた時点では知らなかった当日予約が、過去の人数に混ざるからです。この記事では、突合の前処理、出数の取り出し方、予約人数から仕込み量を引く目安表、余りと欠品を数える検算までを順に示します。
予約人数は「決めた時点」のものを使う
仕込み量の目安は、仕込みを決める時刻に手元にある予約人数から、その日の出数を引けなければ役に立ちません。ここが最初のつまずきどころです。
予約台帳をそのまま集計すると、日ごとの人数は営業が終わった後の最終値になります。当日に入った予約、前日までのキャンセル、当日の無断キャンセルが、すべて反映された数字です。一方、仕込みを決めるのは前日の昼や営業前で、その時点の人数は最終値より少ないはずです。
最終値で目安表を作ると、次のずれが出ます。
- 「予約30人なら27食」という関係を、当日予約を含む人数で学んでしまう
- 実際に使う場面では、前日15時時点の人数(最終値より少ない)を当てはめるため、仕込みが足りなくなる
台帳に予約の受付日時の列があれば、仕込みの決定時刻(たとえば前日15時)より前に受け付けた予約だけに絞って人数を数え直せます。キャンセルの受付日時もあるなら、決定時刻の時点でまだ有効だった予約だけを残します。この絞り込みを先に済ませておくと、目安表が実際の使い方と同じ条件になります。
受付日時の列が台帳にないときは、決定時刻の人数を過去にさかのぼって復元できません。その場合は、今日から毎日の決定時刻に人数を控える運用を始めるのが先です。
渡す2つの表と、先に落とす列
突合に使う表は2つです。
| 表 | 主な列 | 出どころの例 |
|---|---|---|
| 予約台帳 | 主な列営業日、受付日時、キャンセル日時、人数、予約の種別(コース/席のみ) | 出どころの例予約サービスのCSV |
| 品目別出数 | 主な列営業日、品目、出数、売り切れ時刻(あれば) | 出どころの例POS、オーダー集計 |
台帳には、名前や電話番号など個人を特定できる列が入っています。仕込み量の計算には使わないので、渡す前にブックから削除します。残す列は、営業日・受付日時・キャンセル日時・人数・種別だけで足ります。
備考欄(アレルギー、記念日、要望)は、仕込みの計算には関わりません。先に削除しておくと、次に述べる安全上の理由からも都合がよくなります。
落とし穴
予約サービスから出したCSVの備考欄に、指示文が混ざることがある
Claude for Excelは、信頼できるスプレッドシートで使うよう案内されています。外部から取り込んだファイルには、アドインを誘導して情報を抜き出させたり、データを書き換えさせたりする隠れた指示が含まれうるためです。予約客が自由に書ける備考欄は、まさに外部から入ってくる文字列です。計算に使わない列は消してから渡し、Claudeが危うい操作を提案して確認を求めてきたときは、中身を読んでから承認します。
使える環境と、できないこと
Claude for Excelは、Excelのアドインとして動きます。有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)が対象で、対応するのはExcel on the web、Microsoft 365のWindows版、Mac版です。Excel 2016と2019の買い切り版、iPad、Androidでは動きません。
仕込みの現場で使いそうな機能のうち、データテーブルとマクロ(VBA)は未対応と案内されています。「ボタンを押すと目安表が更新されるマクロを作って」とは頼めません。目安表は通常の数式で組む前提にします。
アドインを入れていない環境では、Claudeのチャットに予約台帳と出数のCSVを添付して、同じ集計を頼めます。コード実行とファイル作成が有効なら、CSVを渡して分析させ、結果をXLSXで受け取れます。ファイルサイズは、アップロードもダウンロードも1ファイル30MBまでです。店1軒の数か月分なら、この上限には届きません。チャットの添付やProjectsの上限はClaudeのファイル上限に整理があります。
ステップ1: 決定時点の人数を日ごとに出す
最初の依頼は、集計ではなく前処理です。
予約台帳(reservations)と品目別出数(sales)の2つのシートがあります。
次を実行して、新しいシート「日別」に結果を出してください。
1. 台帳から、営業日ごとに「前日15時時点で有効な予約人数」を数える
(受付日時が前日15時以前で、キャンセル日時が前日15時より後か空)
2. コース予約と席のみ予約を分けて数える
3. 出数は営業日×品目で合計する
4. 台帳に無い営業日、出数に無い営業日を別の一覧にする
既存のシートは書き換えないでください。Claude for Excelは、既存データを上書きする前に警告を出す仕組みを持ちます。それでも依頼文に「既存のシートは書き換えない」と書いておくと、出力先が新しいシートに限られます。回答にはセルへの参照がつくので、人数の数え方が正しいかを、参照先を開いて確かめます。
台帳に営業日が無く日付時刻だけが入っているときは、深夜営業の扱いがずれます。24時を過ぎた来店を前日の営業日に寄せる規則を、依頼文に書き加えます。
ステップ2: 出数が需要を表しているか確かめる
出数は、売れた数であって、客が欲しかった数ではありません。売り切れた日の出数は、仕込んだ量でそこが頭打ちになっています。
売り切れ時刻の列があるなら、売り切れた日に印を付けて、目安表の元データから外します。売り切れ時刻が無いときは、出数が仕込み量と同じ日を候補として洗い出します。外す理由と扱い方は、惣菜の例ですがClaudeで廃棄ロスを日別に分析し、惣菜の発注量を見直す手順のステップ2が詳しく扱っています。
外した日が多いと、手元の日数が減ります。同じ曜日で8日分あっても、売り切れ日を除くと5日になる品目では、目安表の幅が広がることを前提にします。
ステップ3: 予約人数あたりの出数を曜日別に出す
ここから、本題の目安表です。曜日ごとに、品目の出数を予約人数で割った「予約1人あたりの出数」を出します。
金曜の豚角煮で、直近8週の記録が次の通りだったとします。数値は例示です。
| 回 | 予約人数 | 出数 | 出数 ÷ 予約人数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 予約人数20 | 出数18 | 出数 ÷ 予約人数0.900 |
| 2 | 予約人数28 | 出数24 | 出数 ÷ 予約人数0.857 |
| 3 | 予約人数32 | 出数27 | 出数 ÷ 予約人数0.844 |
| 4 | 予約人数24 | 出数22 | 出数 ÷ 予約人数0.917 |
| 5 | 予約人数36 | 出数30 | 出数 ÷ 予約人数0.833 |
| 6 | 予約人数30 | 出数26 | 出数 ÷ 予約人数0.867 |
| 7 | 予約人数40 | 出数33 | 出数 ÷ 予約人数0.825 |
| 8 | 予約人数26 | 出数23 | 出数 ÷ 予約人数0.885 |
8回の比は0.825から0.917までに収まっています。この幅のどこに仕込みの基準を置くかが、判断になります。
シート「日別」から、曜日ごと・品目ごとに「出数 ÷ 予約人数」を計算し、
小さい順に並べた一覧を出してください。売り切れ日は除きます。
金曜の豚角煮については、8回分の値と、中央値、上から2番目の値を
並べて見せてください。予約人数に比例させるこの考え方は、予約客が注文の大半を占める店を前提にしています。予約外の来店(ウォークイン)が多い店では、比が日によって大きく揺れます。POSに客数があるなら、「予約客の出数」と「予約外客の出数」を分けて、予約外の分は別の式にします。分けられないときは、揺れの大きさ自体が目安表の幅になります。
ステップ4: 基準の置き方を余りと欠品で比べる
基準を高く置けば余りが増え、低く置けば欠品が増えます。どちらが重いかは品目で違います。
- 翌日に回せる煮込みや仕込み済みの下ごしらえ: 余りの損が小さいので、基準を高めに置ける
- 当日使い切りの刺身や、揚げる直前の種: 余りは廃棄になるので、基準を低めに置く
- 看板料理で、品切れが客の不満になるもの: 欠品を避ける側に寄せる
先の8回に、3つのやり方を当てはめて比べます。仕込み量は、比に予約人数を掛けて切り上げた数です。
| やり方 | 8回の余りの合計 | 8回の欠品 | 1回あたりの余り |
|---|---|---|---|
| 毎回34食を仕込む(固定) | 8回の余りの合計69食 | 8回の欠品なし | 1回あたりの余り約8.6食 |
| 比0.90(上から2番目)で仕込む | 8回の余りの合計12食 | 8回の欠品なし | 1回あたりの余り1.5食 |
| 比0.86(中央付近)で仕込む | 8回の余りの合計5食 | 8回の欠品1回(1食) | 1回あたりの余り約0.6食 |
固定の34食は、記録の最大出数33食を超えているので欠品は出ませんが、余りは8回で69食になります。比0.90にすると余りは12食まで減り、欠品も出ません。比0.86まで下げると余りは5食になりますが、第4回で1食足りなくなります。
比0.90で、予約人数ごとの目安を並べると、次の表になります。
| 予約人数 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 |
|---|---|---|---|---|---|
| 豚角煮の仕込み(食) | 2018 | 2523 | 3027 | 3532 | 4036 |
25人は22.5を、35人は31.5を、それぞれ切り上げた値です。
Claudeに頼むときは、基準の候補を複数並べさせます。
金曜の豚角煮について、基準の比を0.84から0.92まで0.01刻みで動かし、
8回分に当てはめたときの「余りの合計」と「欠品の回数と合計食数」を
表にしてください。仕込み量は、比×予約人数を切り上げた数です。
余りの1食あたりの原価は180円、欠品は売り逃しとして1食400円で
換算した損の合計も列に足してください。原価180円と売価400円は例示です。自店の数字に置き換えます。損の合計の列があると、どの基準が最も小さい損かを、表の上で直接読めます。
ここで出た結果は、手元の8回に当てはめた値です。同じ8回から基準を選んでいるので、次の週に同じ成績になるとは限りません。
先に残したデータで検算する
目安表を作るのに使わなかった直近の数週を、検算用に取っておきます。
- 直近4週の金曜を、目安表の作成から除く
- 残りの週で目安表を作る
- 除いた4週の「決定時点の予約人数」に目安表を当てはめ、仕込み量を出す
- 実際の出数と比べ、余りと欠品を数える
この4週で欠品が続くなら、基準が低すぎるか、直近で需要の水準が変わった可能性があります。余りが減らないなら、基準が高すぎます。
Claudeが出した集計は、そのまま使わずに次の3点も確かめます。
- 出数の合計が、元のPOS集計の合計と合っているか
- 1回分の「出数 ÷ 予約人数」を電卓で割り直して、表と同じ値になるか
- 決定時点で絞った予約人数が、台帳の受付日時と合っているか(1日を選んで手で数える)
人が決める範囲も残ります。予約の入りが急に変わる大型連休や団体の予約、近隣の行事、仕入れ値の変動は、過去の比には入っていません。これらは目安表に足す補正ではなく、店長が仕込み量を上下させる判断として残します。
毎週同じ手順で回す
作った式は、毎週の更新で再利用します。
- 営業日の終わりに、出数と最終の予約人数を表に追加する
- 仕込みの決定時刻に、その時点の予約人数を控える
- 目安表の元になる週数を、直近8週のように固定した窓にして、古い週を外す
Claude for Excelには、設定のInstructionsに、すべての会話で守らせたい書式や前提を書いておけます。「仕込み量は切り上げる」「売り切れ日は集計から除く」「人数は前日15時時点で数える」などを書いておくと、毎回の依頼で繰り返さずに済みます。Instructionsは、ExcelだけでなくPowerPointやWordのものとは別に保たれます。
別の用途で作ったメニューの原価表がある場合は、ClaudeでHACCP衛生管理計画とメニュー原価計算を下書きする方法で原価の整理を済ませておくと、余りの損の金額を入れやすくなります。出荷実績から手法を比べる予測の考え方は、Claudeで需要予測を作りMAPEで手法を比べる手順に整理があります。
つまずきやすい点
- 最終の予約人数で目安表を作っている: 決定時点の人数に絞り直す
- 売り切れた日の出数をそのまま入れている: 需要が低く見えるので、除外する
- 席のみ予約とコース予約を一緒に数えている: コース予約はコース内の品目が人数で決まるので、比をかけるのは単品の注文に限る
- 週数が少ない曜日に細かい基準をつけている: 窓を広げるか、似た曜日(平日の火水木など)を束ねる
- 備考欄を残したまま渡している: 計算に使わない列は、渡す前に消す
まとめ
仕込み量の目安は、予約人数から出数を引く比と、その比のどこに基準を置くかで決まります。比は過去の記録から出せますが、基準を高くするか低くするかは、余りの損と欠品の損を比べる店側の判断です。予約人数を決定時点で数え直すことと、作成に使わなかった週で検算することの2つが、目安表の信頼度を左右します。