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Claudeで体験プランの商品説明を多言語で作る — 催行条件と取消規定をそろえる

Claudeで体験プランの商品説明を多言語で作る — 催行条件と取消規定をそろえる

体験プランの商品ページを多言語で作るとき、催行人数・取消料・集合場所を言語間でずらさない手順です。条件台帳を軸にClaudeへ訳させ、優良誤認になりうる表現も点検します。

体験プランの商品ページを多言語にするとき、事故が起きやすいのは翻訳の巧拙ではありません。日本語版では「最少催行人数2名」なのに英語版には書かれていない、取消料の締め切りが言語ごとに違う、といった条件のずれです。

この記事では、条件を一枚の台帳に固定し、各言語の文面をその台帳から作らせる進め方を扱います。Claudeに任せるのは下書きと突合で、条件の中身と最終判断は事業者の側に残します。

先に「条件台帳」を作ると、訳す対象が絞れる

日本語の商品説明をそのまま訳させると、条件も紹介文も同じ温度で訳されます。紹介文は多少ゆれても読み物として成立しますが、催行条件や取消規定は数字や時刻が1つずれただけで別の契約になります。

そこで、紹介文と条件を分けます。条件は台帳にまとめ、翻訳の入力にも出力の検算にも同じ台帳を使います。

台帳の項目書き方の例ずれやすい理由
最少催行人数書き方の例2名(申込み合計)ずれやすい理由「申込み」か「参加」か、組単位か人数単位かが曖昧になる
定員書き方の例8名ずれやすい理由子どもを数に含めるかが抜ける
催行可否の連絡時点書き方の例前日17時(日本時間)ずれやすい理由時刻とタイムゾーンが訳文で落ちる
取消料書き方の例前々日まで無料 / 前日50% / 当日100%ずれやすい理由「前日」の起点と、料率の対象額が言語で変わる
集合場所書き方の例駅名・出口・目印・地図リンクずれやすい理由駅名の表記ゆれ、出口番号の取り違え
所要時間・集合時刻書き方の例9:30集合、約3時間ずれやすい理由集合時刻と開始時刻が混ざる
含まれるもの・含まれないもの書き方の例保険料は含む、昼食は含まないずれやすい理由「含む」が「無料特典」の語感に変わる
参加条件書き方の例小学生以上、歩行可能な方ずれやすい理由年齢の区切りが「以上」「超」で食い違う
荒天・中止時の扱い書き方の例主催者都合の中止は全額返金ずれやすい理由返金の範囲と方法が省略される

台帳は表計算でもテキストでも構いません。大事なのは、各項目に「原文の一文」と「構造化した値」の両方を持たせることです。構造化した値は後の突合で照合に使います。

項目: 取消料
原文: ご参加日の前々日までは無料、前日は代金の50%、当日および無連絡不参加は100%
値: [{"締切": "参加日の3日前以前", "料率": 0}, {"締切": "参加日の前日", "料率": 50}, {"締切": "当日・無連絡", "料率": 100}]
基準: 日本時間・日付単位、対象額は参加費総額

「前々日まで」を「3日前以前」と書き直したように、値の欄は解釈の揺れを潰した形にします。この書き直しを人が確認してから先へ進みます。

台帳に載せる条件が、法律上どの表示に当たるか

多言語化の前に、日本語版で条件の表示が足りているかを確かめます。足りない日本語版を訳しても、足りないページが増えるだけです。

取引条件の表示(特定商取引法)

ウェブで申込みを受ける通信販売にあたる場合、特定商取引法は広告への表示事項を定めています。第11条に挙がる事項には、役務の対価、代金の支払の時期と方法、役務の提供時期、申込みの期間に定めがあればその内容、そして役務提供契約の申込みの撤回または解除に関する事項が含まれます。

体験プランに置き換えると、参加費、支払いのタイミング、開催日時、申込み締切、取消規定が対応します。台帳の項目がこの並びを満たしているかを見るだけでも、抜けが見つかります。通信販売に当たるかどうかは販売形態で決まるため、自社の申込み方法で確認してください。

第12条は、役務の内容や申込みの撤回・解除に関する事項について、著しく事実に相違する表示や、実際より著しく優良・有利と誤認させる表示を禁じています。取消規定そのものが誇大広告の対象事項に入っている点は、見落とされやすいところです。さらに第12条の2により、主務大臣が裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、提出されなければその表示は第12条に該当するものとみなされます。

内容と条件の誤認(景品表示法)

景品表示法第5条は、役務の品質や内容について実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認)と、価格その他の取引条件について実際より著しく有利であると一般消費者に誤認される表示(有利誤認)を、それぞれ禁じています。体験プランでは、内容の誇張は優良誤認、取消条件や含まれるものの見せ方は有利誤認の側に寄ります。

消費者庁の景品表示法のページは、実際より良く見せかける表示を厳しく規制することで、消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守る、という位置づけを示しています。多言語版も同じ事業者が出す同じ契約の表示です。言語を分けても、条件が食い違っていれば、どの版を見て申し込んだのかが争点になりえます。

取消料の水準(消費者契約法)

消費者契約法第9条第1号は、解除に伴う損害賠償の額の予定や違約金の条項が、同種の契約の解除に伴って事業者に生じる平均的な損害の額を超える場合、その超える部分を無効としています。取消料の料率を決める根拠は事業者が持つもので、Claudeには決められません。料率を訳す段階では、根拠のある料率をそのまま載せることだけを求めます。

宿泊や移動を組み合わせるとき

体験に宿泊や送迎をセットで売る場合は、旅行業法の登録が要るかどうかの検討が出てきます。観光庁のページは、旅行業等の登録制度があり、第一種以外の登録は各都道府県への問い合わせとしています。自社の商品がこの枠に入るかは、Claudeの文面作りの前に、窓口へ確かめる事柄です。

景品表示法の全体像と点検の流れは景品表示法の表示チェックはClaudeでどこまでできるかにまとめています。ここでは多言語化に固有の部分に絞ります。

Claudeに台帳を渡して、言語ごとに文面を起こす

台帳を毎回貼り付けるより、Projectsに置くほうが運用は安定します。Projectsには知識として文書を置け、指示欄で応答の方針を決められます。ナレッジが大きくなったときのRAGによる拡張は有料プラン向けの機能です。体験プランが数本なら、無料のアカウントでも台帳を置いて使えます。

Projectsの置き方や共有の考え方は民泊の案内文を多言語化する記事と共通なので、そちらを参照してください。

指示欄に書くこと

指示欄には、訳し方の規則を書きます。紹介文の自由度と、条件の固定度を分けて指定するのがこつです。

あなたは体験プランの商品ページ翻訳の下書き担当です。
- 「条件台帳」の値は一字一句変えず、数値・時刻・料率・日付基準をそのまま使う
- 台帳にない条件を足さない。台帳の項目が空なら「未記入」と書いて止める
- 取消料の表は、締切・料率・基準を3列で必ず出力する
- 紹介文は原文の事実だけを訳し、"best" "must-see" "unforgettable" のような
  原文にない強調語を足さない
- 訳せない固有名詞(駅名・店名)は、原文表記と現地語表記を併記する
- 迷った箇所は訳文に埋めず、末尾の「要確認」一覧に出す

「台帳にない条件を足さない」と「迷った箇所は一覧に出す」の2行が、ずれの混入を止める要になります。空欄が自然な言い回しで埋められると、あとから気づけません。埋めずに止める指示を明示します。

依頼の例

台帳と日本語原文を添えたうえで、次のように依頼します。

添付の条件台帳(v3)と日本語の商品説明をもとに、英語・繁体字中国語・韓国語の
3版を作ってください。出力は言語ごとに、
1. 紹介文 2. 催行条件 3. 取消規定(表) 4. 集合場所 5. 要確認
の順で。条件の部分は台帳の値だけから組み立ててください。

台帳に版番号を付けているのは、条件を変えたときにどの版の訳が古いのかを追えるようにするためです。

訳したあとに、台帳と数字で突き合わせる

訳文の見た目が自然でも、安心材料にはなりません。突合は別の依頼として分けて行います。作った本人に「合っていますか」と聞くより、訳文から条件を抜き出させて台帳と比べるほうが、見落としを拾えます。

手順

訳文を台帳と照合する流れ

  1. 1

    訳文から条件を抜き出させる

    各言語の訳文を、台帳と同じ項目に分解して表にします。訳文だけを渡し、台帳は見せません。

  2. 2

    台帳の値と差分を出させる

    抜き出した表と台帳の値を並べ、数値・時刻・料率・日付基準が一致しない行だけを列挙させます。

  3. 3

    差分を人が裁定する

    差分が訳の誤りか、台帳側の曖昧さかを人が決めます。台帳を直した場合は版を上げ、全言語を再生成します。

訳文だけを渡して条件を抜き出させる手順には、意味があります。台帳を見せると、抽出結果が台帳の値に引きずられて、訳文の抜けを見逃すおそれがあるためです。

添付の英語版の商品説明から、次の項目を抜き出して表にしてください。
最少催行人数 / 定員 / 催行可否の連絡時点 / 取消料(締切・料率・基準) /
集合場所 / 集合時刻 / 含まれるもの / 含まれないもの。
書かれていない項目は「記載なし」としてください。推測で補わないでください。

「記載なし」が返った項目は、訳文から条件が抜け落ちたという意味です。抜けは、数値の誤りよりも見つけにくいので、この出力が役に立ちます。

言語間でずれやすい箇所

実務で起きやすいずれを、型として並べます。以下は台帳の例に沿った想定で、実在の商品の例ではありません。

日本語の表現ずれやすい訳の例台帳での直し方
前日は50%ずれやすい訳の例"within one day, 50%" とだけ訳され、前日0時か24時間前かが読めない台帳での直し方「参加日の前日(日本時間0:00から)」と基準を値に持つ
前々日まで無料ずれやすい訳の例"free until 2 days before" で起点の曖昧さが残る台帳での直し方「参加日の3日前の日本時間23:59まで」と日付で書く
最少催行人数2名ずれやすい訳の例"min. 2 people" だけで、不成立時の扱いが消える台帳での直し方「不成立の場合は前日17時までに連絡し全額返金」まで同じ文に含める
保険料込みずれやすい訳の例"insurance included" で補償の範囲が過大に読める台帳での直し方加入する保険の名称と対象を台帳の別項目に書く
駅前集合ずれやすい訳の例駅名が現地語表記だけになり、案内板と一致しない台帳での直し方駅名・出口・目印を原文と併記する

時刻と日付の基準は、言語を超えて最もずれる項目です。海外からの申込みが前提なら、現地時間に直した併記を入れるかどうかも台帳側で決めておきます。換算の指示が曖昧なまま訳させると、本来の締切とは別の時刻が入りかねません。

優良誤認になりやすい表現を、原文と訳文の両方で点検する

条件がそろったら、次に内容の表現を見ます。体験プランの紹介文は魅力を伝える文章なので、強い言い回しが入りやすい場所です。

点検の対象にする言い回し

次のような語は、客観的な根拠が示せるかを確かめる対象になります。

  • 「必ず」「絶対」「誰でも」といった断定(「初心者でも必ず上達」など)
  • 「日本で唯一」「ここだけ」「最大」「No.1」のような比較・順位
  • 「プロの」「認定ガイド」のような資格や経歴の表示
  • 「満足度95%」のような数値の実績
  • 「天候に左右されません」のような保証的な表現

この種の表現は、実際のサービスと違えば優良誤認の問題に発展しえます。根拠が示せない場合は、表現を弱めるか削ります。順位表示の根拠の確認はNo.1表示の根拠チェックで扱っています。

翻訳で強まる表現に注意する

翻訳では、原文より強い語が選ばれる場面があります。「見どころの多いコース」が "must-see highlights" に、「楽しめます」が "you will love it" に変わるような場合です。原文にない強調は、訳文だけが誇大になる原因になります。

そこで点検用の依頼では、原文と訳文を並べて、強まった語を拾わせます。

日本語原文と英語訳を対比し、次の3点を表にしてください。
(a) 原文にない強調語・最上級・断定が訳文で加わった箇所
(b) 根拠資料がないと言えない数値・順位・資格の表示
(c) 取消規定・含まれるものの記述で、原文より訳文のほうが
    利用者に有利に読める箇所

(c)は有利誤認の観点です。「全額返金」の条件が原文では限定つきなのに、訳文では無条件に読める場合などが該当します。

ここで出てきた指摘を、そのまま修正の正解として使うことはできません。表示が不当かどうかは、一般消費者がどう受け取るかで決まります。Claudeの役割は、事業者が根拠を探す候補を挙げるところまでです。

二重価格や割引表示を載せる場合は、二重価格表示の点検も合わせて確認してください。

どの言語版が正かを、ページに書いておく

多言語版を運用していると、問い合わせの段階で版ごとの食い違いが見つかることがあります。そのときのために、どの言語が基準の版かをページに明記しておく運用があります。たとえば「条件は日本語版を基準とします」という一文を、各言語版に置く方法です。

ただし、この文言をそのまま置けば契約上の問題が解消するわけではありません。契約書や規約の準拠言語や適用法の定め方は、事業内容と顧客の所在地で変わるため、弁護士など専門家に確かめる範囲です。Claudeの下書きは叩き台に留め、規約の確定には専門家の目を入れてください。

予約サイトの検索側では、条件の読み取りに使えるコネクタもあります。ツアーを探す側の操作はVeltraコネクタでツアーを探す記事で説明しています。こちらは商品ページを作る側の手順です。

よくあるつまずき

台帳の値がPDFや画像の中にしかない

催行条件が旧パンフレットの画像にしかない場合、Claudeに読ませて台帳化する手が使えますが、読み取りの誤りが混ざります。台帳化した値は、必ず原本と1項目ずつ照合してからProjectsに置きます。

版を上げたのに訳の一部が古い

条件を変えて台帳を更新したとき、1つの言語だけを再生成して他を残すと、版がばらけます。台帳の版番号を各言語版の末尾に管理用に残し、全言語を同じ版から作り直す運用が確実です。

料率や締切をClaudeに「提案」させてしまう

取消料の料率や締切は、事業の採算と法令の枠の両方で決まる値です。「適切な取消料を考えて」と頼むと、一般論の数字が台帳に紛れ込みます。台帳の値は人が決め、Claudeには決まった値を載せる役だけを渡します。

現地向けの慣習で表現を足してしまう

「現地ではこう書くのが普通」という理由で、原文にない保証や特典の言い回しを足す訳が出ることがあります。指示欄の「原文にない強調語を足さない」を、台帳の値の固定とあわせて残しておくと防げます。

まとめ

体験プランの多言語化で最も大切なのは、紹介文の流麗さより、言語をまたいでそろった条件の数字です。条件台帳を人が確定し、Claudeには台帳から文面を起こさせ、訳文からの抜き出しで検算し、強まった表現を拾わせる、という分担にすると、確認の手間が一定になります。

最後に残る判断は3つあります。取消料の料率の根拠、強調表現の根拠資料、そして旅行業法の登録や規約の言語の扱いです。この3つは事業者と専門家の領分なので、Claudeの出力を見て決めるのではなく、決めた結果をClaudeに載せる順序で進めてください。

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