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水害ハザードマップの重要事項説明をClaudeで下書きする手順 — 画像の読み取りと誤読の確認

水害ハザードマップの重要事項説明をClaudeで下書きする手順 — 画像の読み取りと誤読の確認

市町村の水害ハザードマップの画像をClaudeに読ませ、洪水・内水・高潮の記載を重要事項説明の項目へ転記する下書き手順です。説明義務の要件と、誤読を防ぐ確認の順番をまとめます。

水害ハザードマップの重要事項説明は、市町村が作った地図を使い、物件のおおむねの位置を示して説明する義務です。Claudeに地図の画像を読ませれば、どの災害の地図があるか、凡例の区分は何か、物件周辺はどの色かを表にまとめる下書きまでは任せられます。位置を示す印を付けることと、説明そのものは宅建士の仕事です。

この記事では、画像を読ませる前に決めておく「どの地図を使うか」から、プロンプト、誤読の確認、説明書への転記までを順に説明します。宅建士業務全体の境界は重要事項説明書のチェックをAIに任せられるかが扱っています。ここでは水害ハザードマップの読み取りに絞ります。

説明義務の要件を先に押さえる

令和2年(2020年)7月17日付けで宅建業法の施行規則が改正され、重要事項説明で水害ハザードマップにおける物件の所在地を説明することが義務になりました。施行は同年8月28日です。ここでいう水害ハザードマップは、水防法第15条第3項に基づいて市町村が提供する洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップを指します。

国土交通省のQ&Aと自治体の解説ページから、画像の扱いに関わる要件を拾うと次のとおりです。

論点要件
使う地図要件市町村のWebサイトから印刷したもの、または配布された印刷物で、入手可能な最新のもの
示すもの要件物件のおおむねの位置。地番まで正確に示す必要はない
示し方要件地図を提示して場所を指し示す、地図に印をつけるなど
浸水想定区域の外要件区域外でも位置を示す。水害リスクがないと誤認させない配慮が必要
複数の地図要件河川ごとに地図があり物件が複数に含まれるなら、それぞれ説明する
地図がない市町村要件「水防法に基づく水害ハザードマップは作成されておりません」と説明する
対象外要件ため池ハザードマップなど水防法以外の地図

古い地図でも、現行の水防法に基づく地図と見なされるため説明の対象です。浸水想定区域が見直されても、その見直しが地図に反映されていなければ、現存する最新の地図を使えば足ります。

重要事項説明書の参考様式にある「水害ハザードマップにおける宅地建物の所在地」の欄には、「別紙のとおり。」「別添ハザードマップ参照。」のように、所在地を地図で示す旨を書く想定です。つまり転記する本体は数値ではなく、添付する地図そのものになります。

どの画像を読ませるか — 重ねるハザードマップのスクリーンショットは要件を満たさない

ハザードマップポータルサイトには2つの入口があります。「重ねるハザードマップ」は洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報を地図に重ねて表示します。「わがまちハザードマップ」は、市町村が法令に基づき作成・公開したハザードマップへのリンクです。説明義務の根拠になるのは後者が案内する市町村の地図です。

落とし穴

重ねるハザードマップの画面を撮って添付しても、市町村の地図にはならない

重ねるハザードマップは、関係各機関が作った災害リスク情報をまとめて見られるようにしたサイトです。サイト自身が、データの内容やリスク情報の解釈は作成した機関に問い合わせるよう案内しています。大阪市の案内でも、住所検索ができる市のマップサービスは水害ハザードマップではなく、同じデータを使っていても、添付するのは市のサイトに載る水害ハザードマップとし、マップサービスは補足資料にするとされています。

下書き段階で重ねるハザードマップを眺めて物件周辺の見当をつけるのは構いません。説明書に添付する地図は、市町村のサイトから入手した版に差し替えます。

読ませる画像は、次の順に用意します。

手順

Claudeに渡す地図を用意する順番

  1. 1

    物件の市町村を確認する

    住所から市町村を特定します。ポータルの「住所から探す」で、その地点の災害リスクを調べられます。

  2. 2

    わがまちハザードマップから市町村の地図を開く

    ポータルの「わがまちハザードマップ」から市町村のページへ進みます。ポータルで見つからなければ、市町村の担当窓口へ問い合わせます。

  3. 3

    洪水・内水・高潮のどれがあるか一覧にする

    名称が単に「水害ハザードマップ」で種類が分からない場合は、市町村に確認します。河川ごとに分かれていれば、物件が載るものをすべて拾います。

  4. 4

    PDFか画像として手元に保存する

    地図の作成時点(公表年月)が分かる面も含めて保存します。作成時点が分かるなら明記することが望ましいとされています。

Claudeに地図の画像を読ませるプロンプト

画像は、claude.aiのチャットにPDFや画像として添付します。PDFの読み取りの上限はClaudeのPDF・画像読み取りの上限にまとめています。ここで渡す指示は「地図を評価させる」のではなく「地図に書いてあることを項目に分けて抜き出させる」ものです。

プロンプト例(ハザードマップの記載事項の抽出)
添付したのは市町村が公表した水害ハザードマップの画像です。
地図に書かれている内容だけを使い、次の項目を表にしてください。
①地図の名称と種類(洪水・内水・高潮のどれか)
②作成または公表の年月(記載がなければ「記載なし」)
③想定している降雨・高潮の条件(凡例または注記の文言のまま)
④凡例の浸水深の区分と、各区分の色
⑤地図上の「ここが物件」と私が示した印の周辺の色と、
 そのとき該当する凡例の区分
⑥近くの避難所として地図に記載されている施設名
読み取れない項目は推測せず「判読不可」と書き、理由
(文字が小さい、凡例が切れている等)を添えてください。
地図にない情報(過去の浸水実績など)は書かないでください。

条件を「地図に書かれている内容だけ」に絞り、読み取れない項目は「判読不可」と書かせる指示が要点です。一般的な知識で補完させると、自治体ごとに異なる凡例の区分を別の自治体のものと取り違える余地が生まれます。

物件の位置は、画像に自分で印を付けてから渡します。Claudeの座標や位置の出力は近似であり、使う前に検証するよう案内されています。「この住所はどこか」を地図上で探させる使い方は避け、印の周辺の色を読ませる使い方にします。画像のリサイズで位置がずれる仕組みはClaudeで画像をリサイズすると座標がずれる原因で扱っています。

項目ごとの転記先と確認の観点

抜き出した内容を、説明書に転記・添付する先と見比べます。

抽出項目転記・添付先確認のしかた
地図の名称・種類転記・添付先添付地図の特定(別紙の表題)確認のしかた地図の表紙の表記と一致するか
作成・公表の年月転記・添付先作成時点の明記(望ましい対応)確認のしかた地図の注記の原文と一致するか
想定条件転記・添付先説明時に読み上げる注意文言の根拠確認のしかた凡例の文言をそのまま引いているか
凡例の区分と色転記・添付先物件の所在地が該当する区分の説明確認のしかた凡例の画像を拡大して色と区分を照合
物件周辺の色転記・添付先同上確認のしかた自分の印の位置で色を目視確認
避難所転記・添付先近隣避難所の位置(説明が望ましい)確認のしかた複数の避難所を示したか

避難所の説明は義務ではなく、示すことが望ましいとされる事項です。最も近い避難所だけを示すと、それが最適と誤認されるおそれがあるため、周辺の複数の避難所を地図で示すことが望ましいとされています。

誤読を見つける確認の順番

地図の画像の読み取りで間違えやすいのは、小さい凡例の色の取り違えと、複数ある地図の混同です。Claudeは、低品質・回転した画像や、200ピクセル未満の非常に小さい画像の解釈で誤ることがあると案内されています。

切り分け

読み取り結果を信用してよいかの切り分け

  1. Q凡例の画像を単独で拡大して渡し、区分と色の対応が表の内容と一致しましたか?
    答えがいいえ

    凡例だけを切り出して再度読ませ、元の地図の凡例と目で照合します。色が近い区分(同じ系統の濃淡)は、実際の色見本と並べて確認します。

    答えがはい
  2. Q物件の印の周辺の色が、自分の目で見た色と一致しましたか?
    答えがいいえ

    印の周辺を拡大して再度読ませます。それでもずれるなら、そこは人が地図を見て判断し、AIの回答は採用しません。

    答えがはい
  3. Q地図の種類(洪水・内水・高潮)と、河川別の複数の地図を、取り違えずに別々の行にしていますか?
    答えがいいえ

    地図を1枚ずつ別のチャットかメッセージで渡し、1枚につき1つの表を作らせます。物件が複数の地図に含まれるなら、含まれる地図の分だけ説明が要ります。

    答えがはい

下書きとして使える

表の内容を、添付する地図と見比べて宅建士が最終確認します。浸水想定区域の外であっても、水害リスクがないとは伝えません。

ポータル側のデータにも、確認が要る注記があります。重ねるハザードマップでは、全国の自治体の内水の浸水想定区域データを統一的な基準で表示するため、浸水深0mから0.1mの範囲は表示していません。東京都の公表図面でも浸水深0.1m未満の区域は着色されていないため、同様の表現にしているという注記もあります。地図の色が付いていないことが「浸水しない」という意味とは限りません。

また、ポータルは2025年10月3日付けで、大阪府の寝屋川流域の浸水継続時間(想定最大規模)の誤りを理由に掲載を一時停止しました。公開されている地図のデータにも訂正が入ることがあり、AIの読み取りの前に、元の地図が最新かどうかを確認する必要があります。

浸水想定区域の外・内水・高潮での説明の注意

地図の読み取りが終わったあとは、相手に伝える段階です。ここはClaudeに任せず、宅建士が行う部分です。

物件が浸水想定区域の外にある場合も、地図における位置を示し、水害リスクがないと誤認されないよう配慮する必要があります。Q&Aは、地図に記載された「雨の降り方や土地利用の変化等により地図に示した浸水区域以外のところでも浸水することがあります」といった文言を示しながら読み上げ、詳細は市町村に問い合わせるよう案内する方法を例に挙げています。

下書きとして使えるのは、地図から注意文言を抜き出す作業です。

プロンプト例(注意文言の抜き出し)
添付した地図の注記・凡例・余白から、浸水想定区域以外でも
浸水する可能性や、地図の更新・変更に関する文言を、地図に
書かれたとおりの文章で抜き出してください。文言の要約や言い換えは
しないでください。見つからなければ「記載なし」と答えてください。

「記載なし」と返ってきた場合は、地図に文言がないということです。説明の誤認防止の配慮は別の言い方で行います。

内水と高潮は、洪水だけを見て終わらせない点に注意が要ります。市町村によって、洪水の地図だけがあり、内水や高潮の地図はない場合があります。大阪市の各区の案内では、洪水・高潮・内水氾濫の水防法に基づく地図の有無が区ごとに分かれて示されています。種類ごとの有無は、物件のある市町村の案内で確かめます。市町村が水防法に基づく地図を作成していない場合は、その旨を説明する決まりの文言があります。

画像の枚数と解像度の扱い

地図が複数枚になるときの上限も確認しておきます。APIでは1リクエストあたり最大600枚の画像を送れますが、画像1枚の最大サイズは8000×8000ピクセルです。claude.aiでは1ターンあたり20枚までです。20枚を超えるリクエストでは、画像ごとの寸法の上限が厳しくなります。

ハザードマップは凡例の文字が小さい地図です。縮小して軽くすると、凡例の色の違いが読み取りにくくなるおそれがあります。1枚にまとめず、地図全体と凡例の拡大を分けて渡す方法が確実です。画像の読み取りで得意・不得意になる作業はClaude画像解析でできることにまとめています。

個人情報と物件情報の扱い

地図の画像そのものに個人情報は含まれません。ただし、物件の所在地や取引相手が分かる書類をまとめて渡すと、そのまま入力データになります。地図の読み取りに必要なのは、地図と、位置を示す印だけです。契約の当事者名や詳細な住所が写り込む画面のスクリーンショットは避け、必要な範囲だけを切り出して渡します。

重要事項説明書そのものを渡す場合の注意は、重要事項説明書のチェックをAIに任せられるかで整理しています。

まとめ

水害ハザードマップの説明義務で守るのは、市町村の最新の地図を使い、物件のおおむねの位置を示すことです。Claudeに任せられるのは、その地図に書かれている名称・作成年月・想定条件・凡例・避難所を表に抜き出す下書きまでです。

位置の判断と、浸水想定区域の外でも水害リスクがないとは伝えない説明は、宅建士の責任として残ります。読み取り結果は、凡例の拡大照合と、印の周辺の目視で確かめたうえで使います。

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