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路線価図の読み取りをClaudeに任せ、相続税評価額をExcelで検算する

路線価図の読み取りをClaudeに任せ、相続税評価額をExcelで検算する

路線価図のスクリーンショットから路線価と借地権割合の記号をClaudeに拾わせ、奥行価格補正などの計算はExcelで検算します。国税庁の計算例を使った突き合わせ方と、誤読の型をまとめます。

路線価図のスクリーンショットをClaudeに渡せば、路線価の数字と借地権割合の記号を表に起こすところまでは任せられます。ただし、画像の文字は読み違えることがあります。そこで、読み取りと計算を分け、計算は読み取った数字をExcelに入れ直して検算する流れにします。概算で終わらせるための手順であり、申告書に載せる評価額を決めるものではありません。

路線価図の1か所から何が読み取れるか

国税庁の路線価図には、地図の上に「215D」のような数字と英字の組が並びます。数字は路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額で、千円単位です。英字は借地権割合を示す記号です。「215D」なら、1平方メートル当たり215,000円、借地権割合60%を表します。

借地権割合の対応は、図の説明部分に載っています。

記号ABCDEFG
借地権割合A90%B80%C70%D60%E50%F40%G30%

画像から拾うべき項目は、この数字と記号のほかに、地区区分、街区番号、年分、税務署名です。地区区分は「ビル街地区」「普通住宅地区」などの区分で、地図上の記号の黒塗りや斜線などで区別されます。後で使う補正率の表が地区区分ごとに分かれているため、ここを読み違えると表の列ごとずれます。

ここで押さえたいのは、借地権割合の記号は自用地(自分で使っている土地)の評価には使わないことです。国税庁の計算例では、自用地の価額を出したあとに借地権割合を掛けて借地権の価額を出しています。記号を読み違えても自用地の価額は変わらず、借地権の価額だけがずれます。何を評価したいかによって、検算で重く見る箇所が変わります。

画像を渡す前の準備

路線価図は、全国の各年分がPDFで公開されています。ページの案内に従い、都道府県、市区町村、町丁名の順にたどると該当の図が開きます。相続や贈与で取得した財産には、その年の1月1日から12月31日までに取得したものに、その年分の財産評価基準を適用します。令和8年分の場合は、令和8年1月1日から12月31日までの取得が対象です。相続開始の年と、画像の年分が合っているかを先に確かめます。

画像の作り方は次の3点です。

  • 評価する土地の周辺だけを切り出す。図全体を縮小して渡さない
  • 地図の部分と、説明部分(地区区分・記号の一覧)を別の画像にする
  • 文字が潰れる場合は拡大してから切り出す

APIの画像には、画像1枚の最大サイズが8000×8000ピクセルという上限があります。もっと小さい範囲でも、低画質、回転している、200ピクセル未満の小さな画像では、Claudeが幻覚(実在しない内容の生成)や誤読を起こすことがあると、公式ドキュメントに書かれています。路線価の数字は小さな文字で、隣の路線の数字と並びます。スクリーンショットは解像度を落とさず、傾けずに撮るのが基本です。

JPEGなどの圧縮を重ねると文字が読みにくくなるとも書かれています。PDFから書き出すときはPNGを選ぶと、圧縮による劣化を避けられます。

なお、財産評価基準書のサイトには、商用利用の場合は事前に確認が必要なページ(路線価図の商用利用について)があります。自分の家族の相続を検討する範囲を超えて、事業として使うときは、このページを先に読みます。

Claudeに読み取らせるプロンプト

読み取りだけを頼み、計算はさせないのが要点です。読めない箇所は、推測せず空欄にさせます。

添付は国税庁の路線価図の画像です。画像1が地図、画像2が説明部分です。
次の項目を表にしてください。計算はしないでください。
- 対象の道路ごとの路線価(千円単位の数字)と借地権割合の記号
- 図の年分、税務署名、地区区分の記号の凡例
- 読み取りに自信がない文字は、推測せず「不明」と書き、
  どの位置の文字かを説明してください
最後に、画像から読み取れなかったことを箇条書きにしてください。

この指示のねらいは3つあります。計算を混ぜないこと、推測を禁じること、読めなかった箇所を自分で申告させることです。「不明」と書かれた箇所は、画像を拡大して再投入するか、人が目視で埋めます。

返ってきた表は、次の形を目安にします。数字は国税庁の計算例のものです。

項目読み取り値画像の位置
正面の路線価読み取り値300(千円)画像の位置対象地の南側の道路
借地権割合の記号読み取り値C(70%)画像の位置同上
地区区分読み取り値普通商業・併用住宅地区画像の位置説明部分の凡例
年分読み取り値令和○年分画像の位置説明部分の左右端

「画像の位置」の列を入れさせると、あとで目視確認するときに探す手間が減ります。

読み取った数字を人の目で照合する

ClaudeがExcelに入れる前に、画像と表を並べて、次の順で確認します。

手順

目視照合の順番

  1. 1

    年分と地区を確かめる

    図の左右端の年分と、税務署名、町丁名が、評価する土地と合っているか見ます。隣の街区の図を読んでいると、数字がもっともらしくても評価が外れます。

  2. 2

    路線の取り違えを確かめる

    対象地が面している道路を地図上で指し、その道路の数字を読んだのか見ます。隣の道路の数字を拾うと、桁が合っていても誤りです。

  3. 3

    桁を確かめる

    数字は千円単位です。「215」は215,000円で、表に215と入れたままExcelで掛け算すると、1,000分の1の評価になります。

  4. 4

    記号を確かめる

    英字はAからGの範囲に収まるはずです。範囲外の文字なら、別の文字を誤読しています。

借地権割合の記号を借地権の評価に使うなら、図の説明部分の対応表(A=90%からG=30%)と、読み取った記号を照らします。

計算をExcelで検算する

路線価方式の土地の価額は、路線価をその土地の形状に応じた奥行価格補正率などで補正してから、地積を掛けて出します。国税庁の説明では、評価額の計算を「路線価×奥行価格補正率×地積」の順に示しています。

国税庁の計算例(普通商業・併用住宅地区、路線価300C、奥行距離35m、地積700平方メートル)を、検算の基準にします。

手順計算結果
1平方メートル当たりの価額計算300,000円×0.97結果291,000円
自用地の価額計算291,000円×700平方メートル結果203,700,000円
借地権の価額計算203,700,000円×70%結果142,590,000円

この例は「平成31年1月分以降用の奥行価格補正率など」で計算したものと、国税庁の説明に注記されています。奥行価格補正率は付表1の表から引きます。奥行35mは「32以上36未満」の帯に入る距離です。

Excelでは、次のように並べます。補正率は表から引き、手入力しません。

A2: 路線価(千円)        300
B2: 奥行距離(m)         35
C2: 地積(平方メートル)  700
D2: 奥行価格補正率      =LOOKUP(B2, 補正表!A:A, 補正表!B:B)
E2: 1平方メートル当たり =A2*1000*D2
F2: 自用地の価額        =E2*C2
G2: 借地権割合          0.7
H2: 借地権の価額        =F2*G2

「補正表」シートには、付表1の奥行距離の下限(0、4、6、8、…)と、対象の地区区分の列の補正率を貼ります。国税庁の付表1は地区区分ごとに7つの列があり、読み取った地区区分の列だけを使います。

検算の手順は次のとおりです。

  1. 国税庁の計算例の数字(300、35、700)を入れ、F2が203,700,000円になることを確かめる。これで補正表とLOOKUPの設定が正しいと分かる
  2. 評価したい土地の数字に差し替える
  3. Claudeが出した金額と、Excelの結果を突き合わせる

最初の手順は回帰テストの役割です。基準の例が合わないなら、読み取りの前に表の貼り方を直します。

Claude for ExcelはExcelの中でClaudeに質問できるアドインで、数式のエラーの原因を調べたり、数式の関係を保ったまま前提を変えたりできます。Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。Excelの表に基準の例と対象の土地を並べて、数式の説明を求めるのは向いています。一方で、数式の結果そのものは、基準の例が合うことで確かめます。Claudeの計算結果の自己申告を、検算の代わりにはしません。同様の「読ませて検算する」構成は抜取検査のAQL合否をClaude for Excelで組んで検算する手順でも使っています。

二方向の道路に面している場合

角地のように二つの路線に面す宅地は、側方の路線の影響を加算します。国税庁の計算例(普通商業・併用住宅地区)は次のとおりです。

手順計算結果
正面路線の補正後計算300,000円×0.97結果291,000円
側方路線の加算計算200,000円×1.00×0.08結果16,000円
1平方メートル当たりの価額計算291,000円+16,000円結果307,000円
自用地の価額計算307,000円×700平方メートル結果214,900,000円

側方路線の影響加算率は付表2にあり、普通商業・併用住宅地区の角地は0.08、準角地は0.04です。普通住宅地区・中小工場地区は角地0.03、準角地0.02で、地区区分によって加算率が違います。

ここで画像の読み取りが効いてくるのは、正面と側方のどちらの路線価を、どの順で使うかです。画像の数字をそのまま並べても決まらず、通達の定めに従って判断します。2路線の組を渡したときは、Claudeに「どちらを正面と考えたか、その理由」を答えさせ、評価明細書の手順と照らします。

誤読の型と検算の対応表

読み取りと計算で起きやすい誤りを、どこで見つけるかとともに並べます。

誤りの型起きる場面見つける方法
千円単位の取り違え起きる場面数字215をそのまま掛ける見つける方法基準の例(300→300,000円)で桁を確認
隣の道路の数字を拾う起きる場面道路が密集した図見つける方法画像の位置の列と地図を目視照合
年分違い起きる場面前年の図を読んだ見つける方法図の年分と相続開始年を照合
地区区分の取り違え起きる場面補正表の列を誤る見つける方法説明部分の凡例を目視確認
記号の誤読起きる場面小さな文字の英字見つける方法A〜Gの範囲外かを確認
補正表の版違い起きる場面古い奥行価格補正率を貼る見つける方法平成30年分以降用か確認

補正表の版については、付表1の注記が「平成30年分以降用」と書かれており、それ以前の年分用の表は別のPDFに分かれています。古い表を貼ると、同じ奥行でも補正率がずれます。

概算の範囲と、その先で必要になること

この手順で出せるのは、整形で、補正が奥行価格補正と側方路線の影響加算だけで済む土地の概算です。国税庁の補正率表には、付表5の不整形地補正率、付表6の間口狭小補正率、付表7の奥行長大補正率、付表8のがけ地補正率など、形状に応じた補正が他にもあります。どの補正が必要かは、土地の形で決まります。画像からは判断できず、Claudeに任せない部分です。

さらに、次の点は概算では扱えません。

  • 路線価が定められていない地域は、路線価図に「倍率地域」と書かれています。この場合は、固定資産税の評価額に評価倍率表の倍率を掛けて評価します。路線価図ではなく評価倍率表を見る必要があります
  • 賃貸されている土地は、権利関係に応じて評価額が調整されます
  • 事業用や居住用の宅地には、一定の面積まで評価額を減額する相続税の特例があります
  • マンションは、敷地利用権と区分所有権の合計で評価します

相続税の申告に使うときは、国税庁の財産評価基準書のサイトに置かれた「路線価図等の正誤表」を確認し、評価明細書の様式で計算します。概算から先は税理士に確認する範囲です。相続全体の流れはClaudeで相続の基礎知識を整理する方法にまとめています。画像の読み取りに強い場面と弱い場面は、Claude画像解析でできることが参考になります。

まとめ

路線価図の読み取りをClaudeに任せるときは、読み取りと計算を分け、数字はExcelで検算します。国税庁の計算例(300C、奥行35m、700平方メートルで自用地の価額203,700,000円)を先に通せば、桁や補正表の誤りを入口で捕まえられます。借地権割合の記号を使うのは借地権の評価だけで、自用地の評価では路線価と補正率と地積が計算の中心です。概算に収まらない形状や権利関係に当たったら、その時点で税理士に相談する段階です。

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