ClaudeにHexコネクタを接続してデータ分析する手順と権限の見方
HexのMCPサーバーをClaudeのコネクタとして追加し、チャット内でデータ質問を投げる手順。必要なロールとプラン、Threadの動き、機密接続の扱いまで。
HexのMCPサーバーをClaudeに接続すると、Claudeのチャットから自社のHexワークスペースを検索し、自然文のデータ質問をHexのエージェントに任せられます。回答のチャートや表はClaude内のウィジェットに戻り、分析の全文はHexのThreadとして残ります。
このコネクタは、Claudeに直接SQLを書かせる構成ではありません。分析そのものはHex側のエージェントが行い、Claudeは依頼と進捗の確認、結果の要約を担当します。この役割分担が、必要な権限や機密データの扱いを決めています。
HexコネクタでClaudeに任せられる作業
Hexコネクタは、Hexの公式ドキュメントでは「Hex MCP server」として説明されています。Claudeのコネクタ一覧では、提供元がHexで「Anthropic verified」の表示が付き、サインインが必要な扱いです。説明文は「Hexのプロジェクトを探し、Hexのエージェントで質問に答える」という趣旨です。
Claudeから呼べる主な操作は次の4つです。Claudeのコネクタページにも、同じ4つのツールが列挙されています。
| ツール | できること |
|---|---|
search_projects | できることワークスペース内のプロジェクトを検索(公開前のものも対象) |
create_thread | できることデータ質問を新しいThreadとして開始 |
get_thread | できることThreadの進捗、メッセージ、生成されたチャートや表を取得 |
continue_thread | できること完了済みのThreadに追加の質問を送る |
Hexのドキュメントには、これ以外にget_me(接続中のユーザーとワークスペースの確認)と、ノートブックを作る・編集する「プロジェクト編集ツール」群も載っています。編集ツールはEditorロール以上が条件で、セルの作成、更新、削除や、ノートブックの実行が含まれます。Claudeのコネクタページに並ぶのは先の4つなので、Claudeのチャットで試すときはまず検索とThreadが中心になると考えると整理しやすくなります。
Hexのドキュメントには、会話にファイルをアップロードしてHexへ渡すことはできない、との記載もあります。手元のCSVを分析させたい場合は、先にHex側へ取り込んでおく必要があります。
接続前に確認する条件
接続の可否は、Claude側とHex側の両方の条件で決まります。
接続前に揃える条件
Hexのプラン
Hex MCPサーバーはTeamプランとEnterpriseプランで使えます。ドキュメント上は現在ベータ版です。
Hexのロール
知識系ツール(検索とThread)はExplorerロール以上、プロジェクト編集ツールはEditorロール以上が必要です。
Claude側の権限
Team・Enterpriseプランでは、コネクタを組織に追加できるのはOwner系の管理者に限られます。個人のPro・Maxプランなら本人が追加できます。
Claude側の補足です。カスタムコネクタ(リモートMCP)は、Free、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。Freeはカスタムコネクタを1つまでに制限されます。Team・Enterpriseでは、追加できるのはOwner、Primary Owner、Enterpriseではさらに「Libraries」の管理権限を含むカスタムロールの持ち主です。追加後は、メンバーが個別に接続して有効にします。
HexのAPIアクセス設定との関係にも注意が要ります。ワークスペースの「API access」設定が影響するのは個人アクセストークンだけで、MCPには効きません。APIアクセスを切ってもMCP経由の利用は止まらないため、特定ユーザーの権限を完全に止めたい場合は、そのユーザーをHex側で無効化します。
管理者がClaudeにHexコネクタを追加する手順
Hexのドキュメントは、Claudeのコネクタ一覧から追加する手順を示しています。
Claudeへの追加手順
- 1
コネクタ一覧でHexを探す
Claudeの「Settings → Connectors → Browse Connectors」を開き、「Hex」で検索します。
- 2
チームに追加する
Hexのコネクタをチーム(組織)に追加します。
- 3
サーバーURLを入力する
URLに
https://app.hex.tech/mcpを入れて「Continue」を押します。
URLは契約形態で変わります。シングルテナント、EUマルチテナント、HIPAAマルチテナントのいずれかなら、app.hex.techの部分を自社のHexのURLに置き換えます。例はyour-company.hex.tech、eu.hex.tech、hc.hex.techです。
複数のワークスペースを使い分けていて、URLが異なる場合(たとえばapp.hex.techとeu.hex.tech)は、カスタムコネクタをワークスペースごとに追加します。カスタムコネクタの追加画面は、Team・Enterpriseでは「Organization settings > Connectors」の「Add」から「Custom」、「Web」の順に進みます。名前とリモートMCPサーバーのURLを入れると、Claudeが認証設定を検出して表示するので、必要に応じて変更します。
ユーザーが接続して使い始める
管理者の追加が済むと、各ユーザーは次の2点を行います。
- 「Settings → Connectors」でHexの横にある「Connect」を押し、Hexのワークスペースを認可する
- 新しいチャットを開き、左下の「+」メニューでHexコネクタをオンにする
この2つ目を忘れると、チャットでHexが呼ばれません。「接続したのに反応しない」ときは、まずチャットごとのトグルを確認します。
プロジェクトを探す
「顧客セグメンテーションに関するプロジェクトはある?」のように尋ねると、Claudeはsearch_projectsを呼びます。結果はプロジェクトのカードで表示され、タイトルと説明、Hexのワークスペースへのリンクが並びます。検索結果にはgenerated_summary(AIが付けた要約)が含まれる場合もあります。
データ質問をThreadで解かせる
「先四半期の売れ筋商品は?」のような開かれた質問を送ると、HexコネクタがThreadを開始します。流れは次のとおりです。
Threadの流れ
- 1
質問を渡す
Claudeが
create_threadで質問をHexのエージェントに渡し、ThreadのIDとURLを受け取ります。 - 2
進捗を追う
Claudeが
get_threadを繰り返し呼び、エージェントの「考えている」ステップがウィジェットに流れます。各ステップを開くと、エージェントが何をしたかを確認できます。 - 3
結果を受け取る
チャートや表が生成されると、ウィジェット内のカルーセルに出ます。完了後、Claudeが要点を要約し、HexのThreadへのリンクを添えます。
- 4
追加で聞く
「販売チャネル別に分けて」と続けると、
continue_threadで同じThreadが延長されます。
押さえておきたい制約が3つあります。
- Threadの完了まで通常は数分かかります。
get_threadは完了するまで何度も呼ぶ設計で、ユーザーの再入力は要りません continue_threadは、Threadが終わってから使えます。実行中に追質問を送ると、完了を待つよう促すエラーが返ります- MCP経由のThreadは常に新規の独立したThreadです。既存プロジェクトに紐づけて始めることも、Hexアプリで始めたThreadを続けることもできません
チャットに出る対話型ウィジェット(考えているステップやチャートのカルーセル)は、24時間で期限が切れます。結果を残したいときは、Hexに保存されているThreadのリンクを控えておくのが確実です。
どのデータに触れるか — 接続と機密設定
Threadが使うデータの範囲は、Hexアプリで始めたThreadと同じ考え方です。ユーザーがアクセスできるデータ接続の中から、エージェントが質問に合うものを自動で選びます。ワークスペースにデフォルトのデータ接続があれば、そちらを先に探します。Claude側で接続先を指定する操作はありません。
機密データの扱いは、管理者が決めます。
機密マークの有無でMCPの挙動が変わる
Sensitiveにしていない接続
Threadの検索対象になり、セルの出力も読めます。
Sensitiveにした接続
MCP経由のThreadでは問い合わせの対象外になり、その接続を使うプロジェクトのセル出力も読めません。
管理者はデータ接続を「Sensitive」に指定できます。設定場所は、「Settings → Integrations」の外部連携向けの機密接続の設定か、各接続の「Access」タブです。MCPサーバーは、Sensitiveの接続を既定では問い合わせません。管理者が「Allow sensitive data connections in MCP, API, and CLI」を有効にすると、アクセスが許可されます。
Slack連携のHex Agentでも同じ機密設定が効くため、外部連携の窓口をまとめて締められます。Claudeに触らせたくない接続は、先にSensitiveへ振り分けておく運用が合っています。
Claude CodeやDesktopから同じサーバーを使う
Hexのドキュメントは、Hex MCPサーバーがClaude Desktop、Claude Code、Cursor、ChatGPT、Codex、Glean、一般的なMCPクライアントで動くと説明しています。
Claude Codeに追加する場合は、リモートHTTPサーバーとして登録します。コマンドの書式はClaude Code側のドキュメントに沿ったものです。
claude mcp add --transport http hex https://app.hex.tech/mcpシングルテナントなどの場合は、URLを自社のHexのURLに替えます。登録後はClaude Codeのセッションで/mcpを開き、Hexのサーバーを選んで認証の流れを進めます。Claude CodeはリモートMCPのOAuth 2.0に対応しており、認証が必要なサーバーは/mcpで状態が示されます。トークンの再認証も同じ画面で行えます。
Claude Code側で試す利点は、Hexのプロジェクト編集ツールの出番が広がる点です。Editorロール以上なら、Claudeが新しいプロジェクトを作り、Markdown、SQL、Pythonのセルを並べて実行できます。ドキュメントの例では、週次アクティブユーザーをプランごとに追うノートブックを、次の順で作らせています。
create_projectでプロジェクトを作るcreate_cellでMarkdownセル、dataConnectionIdを指定したSQLセル、Pythonセルを足すrun_notebookで実行し、get_runで完了を待つ- SQLセルがエラーなら
get_cell_outputで原因を読み、update_cellで直して再実行する
この構成で注意したい点が3つあります。
- 編集は常にプロジェクトの下書き(draft)に適用されます。公開済みのアプリは変わらないので、共有するならHexのアプリ側で公開します
- セルの変更はステージングを挟まず、共同編集者が開くノートブックにそのまま反映されます。既存プロジェクトを触らせる前に、
get_projectとlist_cellsで現状を読ませる運用が推奨されています - セルのラベルは作成後に変更できません。変えたいときは、削除して作り直します
Claudeが読めるのはユーザーが閲覧できるプロジェクトまでで、セルの作成・更新・削除は、そのプロジェクトで「Can Edit」または「Full Access」の権限が必要です。ワークスペースのAdminでも、共有されていないプロジェクトの編集は「Not authorized」で拒否されます。
Hexのような分析基盤とClaudeをつなぐ構成は、他のデータ系でも考え方が近くなります。ClickHouse MCPサーバーやGA4のMCPサーバーは、Claude自身がクエリを組み立てる側の例です。HexはThreadの実行をHexのエージェントに預ける点が違います。
うまく動かないときの切り分け
Hexコネクタが反応しないときの確認順
- Q新しいチャットで、左下の「+」からHexコネクタをオンにしましたか?答えがいいえ答えがはい
オンにしてから再度質問します。
- Q「Settings → Connectors」でHexが接続済みになっていますか?答えがいいえ答えがはい
「Connect」でワークスペースの認可を済ませます。
- QコネクタのURLは、自社のHexのURLと一致していますか?答えがいいえ答えがはい
シングルテナント、EU、HIPAAでは
app.hex.techを自社のURLに替えて、コネクタを作り直します。
ロールとデータ接続を確認
Explorer未満のロールでは使えません。回答が空に近い場合は、対象の接続がSensitiveになっていないかをHexの管理者に確認します。
主な症状と原因は次のとおりです。
| 症状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 追質問がエラーになる | 考えられる原因前のThreadが実行中。完了を待ってからcontinue_thread |
| 編集系のツールで「Not authorized」 | 考えられる原因対象プロジェクトに「Can Edit」以上がない。Adminでも同じ |
| SQLの出力を読めない | 考えられる原因プロジェクトがSensitiveの接続を使っており、管理者が許可していない |
| ウィジェットが消えた | 考えられる原因24時間の期限切れ。HexのThreadのリンクから開く |
| 実行が終わったのに古い結果が返る | 考えられる原因runIdは下書きセッションを指すため、開始時刻が依頼以降か確認する |
最後の行は、Hexのドキュメントが「注意」として挙げています。直近に動かしたプロジェクトでは、runIdが過去の実行と重なる場合があります。セルを編集した直後は、読んだ出力が新しいソースの結果かどうかも確認します。
接続後の使い分け
HexコネクタはThreadに分析を預ける設計です。既存のダッシュボードやノートブックを探して見せる用途、自然文の質問から集計とチャートを得る用途に向きます。一方で、SQLの中身をClaudeと詰めたい場合は、Editorロールでノートブックを触らせる方法や、データベース直結のMCPサーバーのほうが近い形になります。
コネクタ全般の考え方は、Claudeのコネクタ解説にまとまっています。人事データを同じ「プロダクトのエージェントに任せる」型で扱う例としては、Visierコネクタがあります。認証をやり直したいときはclaude mcp loginとlogoutの手順が参考になります。
まとめ
導入の入口はHexのプランとロール、Claude側の追加権限の3点です。これが揃えば、管理者がhttps://app.hex.tech/mcpを登録し、ユーザーが接続とチャットごとのトグルを済ませるだけで動きます。
運用で効くのは、Sensitiveの設定です。ClaudeからHexのエージェントに質問を渡せる以上、触らせたくない接続は先に機密として区切っておくのが安全側の使い方です。ベータ版である点を踏まえ、返ってくる項目や挙動は変わりうるとみておきます。