Claudeで保育士の配置基準をシフト表と突き合わせる手順
年齢別の園児数と時間帯ごとのシフト人数から、保育士の必要数を出して基準割れの時間帯を洗い出します。ExcelとClaudeで二重に検算する手順です。
保育所のシフト表は、人数が足りているように見えて、時間帯で切ると基準を割っていることがあります。早朝・夕方の少人数帯と、昼の休憩が重なる時間帯が典型です。
この記事では、年齢別の園児数とシフトの人数を時間帯ごとに並べ、保育士の必要数との差を出す表をClaudeで作ります。根拠にするのは児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第33条です。
配置基準の条文は何を求めているか
保育士の数を定めているのは、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第33条第2項です。年齢区分ごとに、園児何人につき保育士1人以上かが決まっています。
年齢区分ごとの保育士1人あたりの園児数
乳児
3人
おおむね3人につき1人以上
満1歳以上満3歳未満
6人
おおむね6人につき1人以上
満3歳以上満4歳未満
15人
おおむね15人につき1人以上
満4歳以上
25人
おおむね25人につき1人以上
同じ項のただし書きに、保育所1つにつき2人を下ることはできないという下限があります。園児が数人しかいない時間帯でも、保育士は2人必要という読み方になります。
条文には「おおむね」と書かれています。端数をどう丸めるかは条文の文言からは決まらないため、園が属する自治体の運用を確かめてから表に入れてください。後述の表では、安全側に倒して切り上げにしています。
この基準は、都道府県が条例を定めるときに「従うべき基準」の一つに挙げられています。実際に守る数値は自治体の条例に書かれており、国の省令より厚い配置を求める自治体もあります。条例の数値が省令と違うなら、表の係数を条例側に差し替えます。
保育士として数えられる人、数えられない人
シフト表の人数をそのまま使うと、数え方で誤差が出ます。条文が「保育士とみなす」ことを認めている範囲は限られています。
| 区分 | 条文の扱い | 表での注意 |
|---|---|---|
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員など(第33条第3項の定義に該当する者) | 条文の扱い1人に限り保育士とみなせる(第33条第3項) | 表での注意保育を行うときは、保育士の支援を受けられる体制が条件 |
| 保健師・看護師・准看護師 | 条文の扱い当分の間、1人に限り保育士とみなせる(附則第2項) | 表での注意乳児が4人未満の園では、子育ての知識と経験を持つ者で、保育士の支援体制が条件 |
| 幼稚園・小学校・養護教諭の普通免許状を持つ者 | 条文の扱い当分の間、保育士とみなせる(第95条) | 表での注意後述の3分の2の制約がかかる |
| 保育士と同等の知識と経験があると知事が認める者 | 条文の扱い8時間超の開所の園で、必要数を超える分の範囲で算入できる(第96条) | 表での注意同じく3分の2の制約がかかる |
第97条は、第95条・第96条を使う場合でも、本来の保育士を、これらを使わずに算定した必要数の3分の2以上置くことを求めています。シフト表に「保育士」と「その他」の列を分けておかないと、この条件は検算できません。
もう一つ、第94条は保育の需要に対して施設が不足していることを理由に、当分の間、2人下限のただし書きを適用しないことを認めています。ただし、そのとき必要な保育士が1人になるなら、知事が保育士と同等と認める者をもう1人置く必要があります。園がこの特例の対象かどうかは、設置主体の自治体に確認する事柄です。
時間帯ごとの照合表を作る
照合の単位は、園児数かシフトのどちらかが変わる区切りです。条文は時間帯の切り方を指定していません。第96条が「開所時間を通じて必要となる保育士の総数」という言い方をしているので、開所時間を通して見る考え方は条文とも整合します。
次の表は架空の園の例です。数字は説明用に作ったもので、実在の園とは関係ありません。
| 時間帯 | 乳児 | 1〜2歳 | 3歳 | 4歳以上 | 必要数(切り上げ) | シフト人数 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7:00〜8:00 | 乳児2 | 1〜2歳3 | 3歳2 | 4歳以上3 | 必要数(切り上げ)2(下限) | シフト人数2 | 判定余裕なし |
| 8:00〜9:00 | 乳児4 | 1〜2歳8 | 3歳9 | 4歳以上15 | 必要数(切り上げ)4 | シフト人数3 | 判定不足 |
| 9:00〜12:00 | 乳児6 | 1〜2歳12 | 3歳15 | 4歳以上25 | 必要数(切り上げ)6 | シフト人数6 | 判定充足 |
| 12:00〜13:00 | 乳児6 | 1〜2歳12 | 3歳15 | 4歳以上25 | 必要数(切り上げ)6 | シフト人数4 | 判定不足 |
| 13:00〜16:00 | 乳児6 | 1〜2歳12 | 3歳15 | 4歳以上25 | 必要数(切り上げ)6 | シフト人数6 | 判定充足 |
| 16:00〜18:00 | 乳児5 | 1〜2歳10 | 3歳12 | 4歳以上18 | 必要数(切り上げ)5 | シフト人数5 | 判定余裕なし |
| 18:00〜19:00 | 乳児1 | 1〜2歳4 | 3歳3 | 4歳以上4 | 必要数(切り上げ)2(下限) | シフト人数2 | 判定余裕なし |
8時台は、登園で園児が増えるのに早番から日勤への切り替えが間に合わず、1人足りません。昼は休憩を2人同時に取る前提でシフトが組まれていて、園児が揃ったまま4人になっています。
「余裕なし」は基準ぎりぎりで、誰か1人が急に休むと割れる時間帯です。判定を3段階にしておくと、欠勤の代替を先に手配する時間帯がひと目で分かります。
Excelの数式で必要数を出す
必要数の列は、次の式で出せます。年齢別の係数と下限の2人は、条文の数値をそのまま入れています。
=MAX(2, ROUNDUP(ROUND(B2/3 + C2/6 + D2/15 + E2/25, 6), 0))B列が乳児、C列が1〜2歳、D列が3歳、E列が4歳以上です。内側のROUNDは、小数の誤差で6.0000001のような値が出て、1人多く切り上がるのを防ぐためのものです。
判定列は、シフト人数との差で3段階に分けます。
=IF(G2<F2, "不足", IF(G2=F2, "余裕なし", "充足"))園児数と時間帯が表の左側に入っていれば、これだけで基準割れの行が絞り込めます。式を自分で組むのが手間なら、次の節のようにClaudeへ作らせる方法があります。
Claudeに頼む手順
Claude for Excelは、開いているブックについて質問したり、数式を保ったまま値を調整したり、エラーの原因をたどったりできるアドインです。Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。ブックの中で作業が完結するので、シフト表を別の場所へ貼り替える必要がありません。
照合表を作って割れた時間帯を洗い出す流れ
- 1
園児数とシフトを時間帯の行に揃える
1行が1時間帯になるよう、年齢別の園児数とシフト人数を並べます。氏名は入れず、人数だけにします。
- 2
係数と丸め方をClaudeに指定する
条文の係数、2人の下限、丸め方(切り上げ)を、プロンプトに書いて渡します。
- 3
Claudeが作った式を自分で検算する
数行を電卓で計算し、Claudeが入れた式の結果と一致するかを確かめます。
- 4
不足と余裕なしの行を園内で共有する
不足の時間帯は、シフトの組み替えか応援の手配に回します。
プロンプトの例を示します。係数を書かずに「配置基準で」とだけ頼むと、Claudeが自分の記憶で係数を補うおそれがあるため、数字を明示します。
このシートの各行は保育所の1時間帯です。B〜E列が年齢別の園児数
(乳児、1〜2歳、3歳、4歳以上)、G列がシフトの保育士人数です。
F列に必要保育士数を式で入れてください。
- 乳児3人、1〜2歳6人、3歳15人、4歳以上25人につき各1人
- 年齢別の人数を合計し、小数点以下は切り上げ
- 結果が2未満なら2
H列に、G<Fなら「不足」、G=Fなら「余裕なし」、G>Fなら「充足」。
既存のセルは上書きせず、F・H列だけに入力してください。Claudeが書いた式は、先ほどの数式と読み比べます。丸めの向きや下限の入れ方が違っていれば、その場で指摘して直させます。
公式のヘルプには、Claude for Excelが既存データを上書きする前に警告を出すとあります。それでも、シフト表の原本は別名で控えたうえで作業するのが無難です。
見落としやすい三つの落とし穴
落とし穴
休憩時間の保育士を数えてしまう
シフト表の勤務時間には休憩が含まれます。昼の休憩が重なる時間帯は、勤務中の人数ではなく、保育に就いている人数で数えます。照合表の「シフト人数」は休憩を引いた値にします。休憩を交代で取る運用なら、2人同時に抜けない組み方に直すだけで昼の不足が消えることもあります。
落とし穴
みなし保育士の人数が上限を超える
第33条第3項の理学療法士などと看護師等は、それぞれ1人に限ってのみなしです。また、幼稚園教諭などを算入する場合は、前節の3分の2の条件がかかります。シフトに職種を持たせず人数だけで数えると、どちらも検算できません。
落とし穴
年齢区分が年度の途中で変わる
係数は園児の年齢で決まるため、誕生日を迎えた子は区分が変わります。表の園児数は月初などの決まった日に更新し、年齢別の人数をどの時点で数えたかを表の端に書いておきます。
Claude for Excelの制約と、渡してよい情報
Claude for Excelには、苦手なことが明記されています。データテーブルとマクロ・VBAの操作は未対応です。最終的な成果物を人の確認なしに出すこと、監査に耐える計算を検証なしに任せることは推奨されていません。
配置基準の判定は、行政の指導監査で見られる数字です。Claudeの結果は下書きと検算の補助に置き、園長か施設長が条例の数値と突き合わせて確定させます。
ExcelのアドインはExcel 2016・2019の永続ライセンス版、iPad、Androidでは動きません。園の事務PCがその環境なら、Claude.aiへ表の一部を貼って式を作らせる別の方法になります。
個人情報の線も引いておきます。この照合に必要なのは年齢別の人数とシフトの人数だけで、園児の氏名や保育士の氏名は要りません。外部から受け取ったファイルには、隠れた指示が仕込まれている可能性がヘルプで警告されています。自園で作った表だけを渡す運用にします。
保育士の勤務時間そのものの点検、たとえば休憩や時間外の扱いは、別の観点になります。アルバイトのシフト表の点検の手順が、労基の抜けの洗い方として使えます。介護施設の人員基準を勤務形態一覧表と突き合わせる方法は、介護の勤務形態一覧表の点検にあります。
保育士の事務をClaudeに任せる範囲
配置の点検は、数を数える作業です。Claudeが得意なのは、式を作って全行に当てはめ、基準割れの行を並べ替えて見せるところまでです。
一方で、その園児が何歳の区分に入るか、誰を保育士として数えられるかは、人が条文と条例で決める判断です。連絡帳やおたよりの下書きなど、保育の文章をClaudeに任せる範囲は保育士の連絡帳・おたよりの下書きで整理しています。
まとめ
配置基準の照合は、年齢別の係数と下限の2人を数式にし、時間帯の行に当てはめるだけで機械化できます。基準割れが出やすいのは、登園で園児が増える朝と、休憩が重なる昼です。
係数は条文から、丸め方と特例の適用は自治体から取ります。Claudeには数式と全行の判定を作らせ、数字が正しいかどうかは園の側で電卓と条例に当てて確かめる分担が現実的です。