ClaudeとIntercomを連携する方法 — Read専用でできること
ClaudeのConnectorsディレクトリに載るIntercomは、会話・連絡先を読む6ツールです。接続手順と依頼文の書き方、書き込み権限の見分け方、つまずきやすい点を扱います。
Claude Intercom連携で読めるもの
IntercomのConnectorは、Intercom社が作った公式のリモートMCPサーバーを、Claudeのディレクトリ経由で使う仕組みです。ディレクトリのページにはAnthropic verifiedの表示があり、カテゴリはCommunication、追加は2025年11月、サインインは必須です。Connector URLは https://mcp.intercom.com/mcp になっています。
ページに載っているツールは6つで、どれも読み取り系です。
| ツール | 何をするか |
|---|---|
search | 何をするか会話と連絡先を横断して検索する |
fetch | 何をするか検索で得たIDから、詳細を丸ごと取る |
search_conversations | 何をするか状態・担当・応答時間などで会話を絞る |
get_conversation | 何をするか会話1件を、やり取りの全文付きで取る |
search_contacts | 何をするか名前・メール・カスタム属性などで連絡先を探す |
get_contact | 何をするか連絡先1件の属性と履歴を取る |
検索・閲覧・要約はここに含まれます。一方、記事タイトルの「Read専用」は、このディレクトリ掲載の6ツールについての話です。Intercom側の開発者ドキュメントは別の数え方をしており、その差が次の節の主題です。返信の送信まで含むヘルプデスクのコネクタはClaudeとRichpanelを連携する方法にあります。
6ツールと14ツール — 二つの資料のずれ
Intercomの開発者ドキュメントでは、同じMCPサーバーが14ツールを提供するとされています。増える8ツールには書き込み系が含まれます。
ツール数が食い違う二つのページ
Claudeのディレクトリページ
search / fetch / search_conversations / get_conversation / search_contacts / get_contact。会話と連絡先の読み取りだけが並びます。
Intercomの開発者ドキュメント
上の6つに加え、会社の参照(list_companies / get_company)、ヘルプセンター記事の参照と作成・更新、会話への内部メモ(add_internal_note)が載っています。
書き込み系の中身は限られます。add_internal_note が書くのは同僚にだけ見えるメモで、顧客に届く返信は送れないと明記されています。メモは接続を認可した管理者の名義で残り、スヌーズ中の会話に付けると再オープンされることがあります。記事ツールは、ヘルプセンターの記事を作る・更新する操作です。会話のクローズやタグ付けにあたるツールは、ドキュメントの一覧にありません。
必要な権限も食い違いの手がかりになります。Intercomのドキュメントでは、書き込み系の権限として「Write conversations」と「Read and write articles」が挙がります。OAuthの同意画面では、「会話の閲覧と内部メモの追加、連絡先と会社の閲覧、記事の閲覧・作成・更新」とまとめて表示されるとあります。
どちらのページが自分の画面に当てはまるかは、接続後に決まります。Customize → ConnectorsでIntercomを開き、Tool permissionsに書き込み・削除系のカテゴリが出るかを見てください。出るなら、組織側でBlockedにして読み取りだけに絞る手があります。出ないなら、書き込み系は使えない構成で、6ツールの範囲と考えられます。
サーバーが何ツールを返すかを直接見たいときは、MCP Inspector(npx @modelcontextprotocol/inspector)を使えます。Intercomのドキュメントが紹介している方法です。Transport TypeにStreamable HTTP、URLに https://mcp.intercom.com/mcp を指定して接続すると、ツールの一覧が出ます。検証用のワークスペースで試すと安全です。
接続の流れ
claude.aiでIntercomをつなぐ
- 1
ディレクトリを開く
Customize → Connectorsを開き、Connectorsの横の「+」からディレクトリを表示します。チャット画面の「+」から「Manage connectors」でも同じ画面に着きます。
- 2
Intercomを選んで接続する
一覧からIntercomを選び、説明と権限を読んだうえで「Connect」を押します。
- 3
Intercomにサインインして許可する
Intercomの同意画面が開きます。Redirects toに表示される接続先が、接続しようとしているアプリのものか見てから「Allow」を選びます。続くIntercomの認可画面で、使いたいワークスペースのアカウントを選んで許可します。
- 4
会話ごとにオンにする
チャットの「+」から「Connectors」を開き、Intercomのトグルを入れると、その会話で使われます。
Team・Enterpriseでは手順が1段増えます。まず、OwnerまたはPrimary Ownerが、Organization settings → Connectorsを開きます。下部の「Browse connectors」でIntercomを選び、「Add to your team」を押します。組織への追加は使える状態にするだけです。各メンバーは自分のIntercomアカウントで認証しなおします。Connectorsはprivateプロジェクトでだけ使え、同期済みの内容を含むチャットは共有できません。
依頼文はIntercomの検索条件に分解される
search ツールは、object_type:conversations か object_type:contacts を必ず指定する検索式を受け取ります。Claudeに頼む文は、この検索式の項目に置き換えて考えると、狙いどおりの結果になりやすくなります。
| 頼みたいこと | 対応する条件の例 |
|---|---|
| 開いているメール経由の問い合わせを見たい | 対応する条件の例object_type:conversations state:open source_type:email |
| 特定ドメインの連絡先を洗い出したい | 対応する条件の例object_type:contacts email_domain:"example.com" |
| 本文に「返金」を含む会話を探したい | 対応する条件の例source_body:contains:"refund" |
| 特定チームに割り当て済みの会話を見たい | 対応する条件の例team_assignee_id で指定する |
| 初回返信が遅い会話を探したい | 対応する条件の例search_conversations の statistics_time_to_admin_reply に比較演算子を付ける |
ここで見落としやすいのが件数です。検索の既定は1ページ5件で、limit: を付けると最大150件まで増やせます。続きがあるときは、応答に入るカーソルを starting_after: に渡して次のページを取ります。「今週の問い合わせを全部分類して」と頼むなら、件数の多さも依頼文に書いておくと、途中で5件だけで終わる事態を避けられます。
会社単位の集計は、14ツール側にある list_companies の領分です。6ツールだけの画面では、連絡先のカスタム属性(plan_type のようなプラン情報)で絞って代用します。
返信やクローズを頼んだときの動き
顧客に見える返信の送信は、どちらの資料のツールにもありません。Claudeに頼めるのは、返信文の下書きまでです。実際にIntercomへ反映する操作は、人間がIntercomの画面で行います。
内部メモの追加ツールが使える環境では、下書きをメモに残す使い方も成り立ちます。ただし書き込みになるので、組織側のTool permissionsで「Needs approval」に置き、実行のたびに承認を挟む形が考えられます。承認フローの組み立てはIntercom×Coworkで問い合わせ一次対応を承認フロー付きで回すにあります。
組織管理者が決められるのは、ツールの種類ごとの許可レベルです。読み取り専用ツールと書き込み・削除系ツールのそれぞれに、Always allow・Needs approval・Blockedの3段階があります。この設定は組織全体に効き、メンバーが個別に上書きすることはできません。読み取りだけのConnectorでも、閲覧を「Needs approval」にする運用は可能です。
「最初から権限を狭くしておく」考え方は、業務SaaS連携は読み取り専用アクセスから始める理由で扱っています。Slack発の問い合わせを扱うUnthreadとの連携はClaudeとUnthreadの連携にあります。
つながらないときの切り分け
症状別の見るところ
許可ボタンが失敗する
Intercomの同意画面は15分で期限切れになります。「Authorization could not be completed」と出たら、クライアントから接続をやり直します。別のタブで2つ目の接続を始めると、1つ目の「Allow」も同じ理由で失敗します。
Invalid redirect URI
クライアントが登録していないポートでコールバックを開いたときに出ます。保存済みの認証情報を消して、接続し直します。
書き込み系だけ401になる
内部メモの追加には「Write conversations」権限が要ります。この権限ができる前に作った接続は、権限を持っていません。Intercomの連携をいったん解除して再接続すると付与されます。
会話や連絡先が出てこない
接続したアカウントがIntercomで持つ権限を、Claudeは超えられません。見えない会話は、そのアカウントでIntercomを開いても見えないはずです。
Team・Enterpriseで「Connect」が押せないときは、Ownerがまだ組織にIntercomを追加していない可能性があります。
ワークスペースの地域で使えるかが変わる
Intercomの開発者ドキュメントによると、MCPサーバーが使えるのはUSホストとEUホストのワークスペースで、AUホストは未対応です。地域はワークスペースのURLで分かります。app.intercom.com がUS、app.eu.intercom.com がEUです。
接続先もワークスペースの地域に合わせます。USは https://mcp.intercom.com/mcp、EUは https://mcp.eu.intercom.com/mcp です。EU宛のリクエストは、IntercomのRegional Data Hostingの方針に沿ってEU内で処理されると説明されています。
Claudeのディレクトリに載るConnector URLはUS用の1本です。EUホストのワークスペースでEU側のエンドポイントを使いたい場合は、カスタムコネクタという選択肢があります。Customize → Connectorsの「Add」から「Custom」「Web」を選び、URLを自分で入力します。AUホストの場合は、MCPサーバー自体が未対応なので、この連携は使えません。
データの置き場所と接続の解除
接続時のデータ転送はすべて暗号化されます。Intercom側のデータはIntercomのインフラと規約のもとで処理されるため、Enterpriseで推論をUS内に限定する設定を入れていても、Intercom側の処理場所は変わりません。
不要になったら、Customize → ConnectorsでIntercomの項目から接続を解除します。Team・Enterpriseでは、Ownerが組織のConnectors設定で読み取り・書き込みの両カテゴリをBlockedにして、使えなくすることもできます。再び使うときは接続手順をもう一度たどります。
Zendesk連携とどこが違うか
同じ「サポートの会話をAIに読ませる」用途でも、入口が違います。
IntercomはClaudeのディレクトリから選んで接続する公式Connectorで、サインインはブラウザの許可画面で済みます。ZendeskはClaude Zendesk連携のとおり、Zendesk社の公式サーバーではなく、コミュニティ製のMCPサーバーです。claude mcp add で登録する形になります。書き込みまで任せる前提になるため、承認の設計が重くなります。Zendeskチケット分析では、そのうえで下書き回答を作る流れを扱っています。
サポート対応ではなくマーケティング配信を組み立てたいなら、Braze連携でキャンペーンを作成する方法が候補になります。Connectorsの仕組みはClaude Codeにも通じており、全体像はClaude Codeのガイドにあります。
まとめ
接続したら、Tool permissionsに書き込み・削除系のカテゴリがあるかを見て、あれば組織の方針に合わせて許可レベルを決めてください。ワークスペースがAUホストなら、この連携自体が対象外です。