Claude Media
IntercomとCoworkで問い合わせ一次対応を承認フロー付きにする

IntercomとCoworkで問い合わせ一次対応を承認フロー付きにする

Read専用のIntercomコネクタとCowork Scheduled Tasksを組み合わせ、問い合わせの下書き回答を定期作成し人間が送信を担う運用の組み方を確認します。

IntercomとCoworkの一次対応ワークフローとは

ClaudeとIntercomを連携する方法で確認したとおり、IntercomのConnectorはRead専用です。会話の検索・要約・連絡先の確認はできても、返信の送信やクローズのような書き込み操作は用意されていません。この制約を逆手に取ると、Cowork Scheduled Tasksで「新着の問い合わせを定期的に読み、返信の下書きを作る」タスクを組み、人間がIntercom側で下書きを確認して送信するという一次対応の型が作れます。

書き込み系ツールを持つConnectorの場合、承認の焦点はCowork内の「実行してよいか」という確認ダイアログに置かれます。Zendeskチケット分析で扱っているような、非公式MCP経由でcreate_ticket_commentのような書き込みツールを備えた構成がこれにあたります。Intercomにはそもそも書き込みツールが存在しないため、承認の重心は最初からConnectorの外、つまり人間が下書きを読んで実際に送信するかどうかの判断に移っています。この設計差が、両者で承認フローの組み方を変える理由です。

前提条件

始める前に、次を用意します。

  • Cowork Scheduled Tasksが使えるプラン(Pro・Max・Team・Enterpriseのいずれか。無料プランでは利用できません)
  • Intercomのアカウントと、対象ワークスペースの会話を閲覧できる権限
  • IntercomをConnectorとして接続済みであること(未接続の場合の手順は次のステップで案内します)

Team・Enterpriseプランでは、Cowork自体の利用可否とAutomatically approve(Auto)モードの表示可否を組織側の設定が左右します。詳細は後述します。

ステップ1: Intercomをコネクタとして接続する

未接続の場合は先にClaudeとIntercomを連携する方法の手順で接続を済ませておきます。接続済みかどうかは、チャット欄の「+」ボタンから「Connectors」を開き、Intercomのトグルが表示されているかで確認できます。

ステップ2: 下書き作成用のScheduled Taskを作る

左サイドバーの「Scheduled」を開き、「New task」→「Set up manually」を選びます。入力するのは次の項目です。

  • タスク名
  • 依頼文(何をするタスクか)
  • 承認モード
  • 実行頻度(毎時・毎日・毎週・平日のみ・手動実行から選択)
  • 使用するモデル(任意)
  • 作業対象のフォルダ(任意。Intercomのデータだけで完結するなら空欄のままでよい)

依頼文には、下書きだけを作り送信はしないことを明示しておくのがポイントです。そもそもIntercomコネクタに送信ツールは無いため実際に送られることはありませんが、実行結果の報告文が「送信しました」のように誤解を招く書き方にならないよう、あらかじめ指示で縛っておくと安全です。

依頼文の例

毎時、Intercomで過去2時間以内に新着があり未返信の会話を確認して。会話ごとに要点を3行で要約し、丁寧なビジネス日本語で返信の下書きを1つずつ作成して。実際の送信は行わず、会話へのリンクと下書きの一覧だけを提示して。

承認モードはどれを選ぶべきか

Coworkには3つのモードがあり、Claudeがどこまで確認なしで進めるかを左右します。

  • Manually approve(Manual): Claudeが処理を止め、各アクションの実行前に許可を求めます。利用者はAllowかDenyを選びます
  • Automatically approve(Auto): Claudeは止まらずに作業を進めますが、各アクションを安全性の観点で自身が事前に判定し、危険と判断したものは自動でブロックします。ブロックされた場合は安全な代替手段を探すか、利用者に直接確認します。安全チェックを毎回はさむ分、他のモードより使用量を多く消費します
  • Skip all approvals(Skip): Claudeは確認を挟まず、アクションを自動でチェックする仕組みもありません

Intercom単体のタスクであれば、実行できるのは読み取りだけなので、どのモードを選んでも実害は起きにくい構成です。ただし公式のガイドは、新しいツール・接続先を初めて使うとき、間違えると取り消しにくい操作(メッセージ送信・購入など)を伴うときはManuallyへ切り替えるよう案内しています。このワークフローを初めて組む段階では、Manuallyで数回実行し、Claudeが何を読み取り何を要約するかを確認してからAutoへ切り替える進め方が手堅いといえます。

なお、パーマネント削除(ファイルの完全削除)は、どのモードでも必ず明示的な許可が必要です。この保護はモード選択と無関係に常に働きます。

Team・Enterpriseでの権限設計

Team・Enterpriseプランでは、組織設定の2つのトグルがこのワークフローに関わります。

「Organization settings」→「Cowork」の「Permissions」欄にある「Allow "Automatically approve" mode」は、メンバーがAutoモードを選択肢として使えるかどうかを決めます。既定でオンのため、管理者がオフにしない限りAutoモードはメンバーのモード選択肢に表示されます。

同じ欄の「Allow "Always allow" for connector tools」は、書き込み可能なConnectorツールについて、タスクごとの承認をスキップできるかを決める設定です。既定はオフで、オフのままだと書き込み系ツールは常にタスクごとの承認が必要になります。この設定は、Connector側がツールを読み取り専用と明示しているものには影響しません。Intercomはディレクトリ上で「Read」と明示されたConnectorなので、この設定のオン・オフに関わらず、そもそも承認対象になる書き込みツールがありません。同じタスクにIntercom以外の書き込み可能なConnector(メール送信など)を組み合わせる場合は、この設定が効いてくる点に注意します。

よくあるつまずき

Claudeが「返信を送信しました」と報告してくる場合でも、実際には送信されていません。Intercomコネクタに送信ツールは存在しないため物理的に不可能ですが、依頼文で送信禁止と成果物の形式(下書き一覧の提示)を明示していないと、紛らわしい報告文になることがあります。依頼文を見直し、「下書きの提示までで完了とする」ことを明記します。

Manuallyモードで実行が止まったまま進まないことがあります。Intercom単体の読み取りタスクでは通常詰まりませんが、同じタスクに他の書き込み可能なConnectorを組み込んでいる場合、そのツールの承認待ちで止まっていることが多いです。対処法はCowork承認プロンプトが多すぎて止まるときの対処法にまとめています。

組織で「常に許可」がグレーアウトしている場合は、「Allow "Always allow" for connector tools」がオフになっています。Intercom単体なら実害はありませんが、他のConnectorと併用するタスクを組む予定があるなら、管理者に設定の意図を確認しておくと後から迷いません。詳しくはCowork常に許可がグレーアウトする原因と直し方を参照してください。

運用開始後に気をつけること

公式ガイドはScheduled Tasksを組む際、実害が小さいタスクから始め、機微なデータを扱う条件は避け、実行結果を定期的に見直すよう案内しています。本ワークフローは読み取りと下書き作成に閉じているため実害は元々小さい構成ですが、依頼文に個人が特定できる問い合わせ内容や取引情報を要約させる指示を含める場合は、その出力先(通知先チャンネルや保存フォルダ)の閲覧権限も併せて確認しておくと安全です。

実行結果は左サイドバーの「Scheduled」ページからいつでも確認できます。設定した直後だけでなく、しばらく運用してからも見返す習慣をつけておくと、問い合わせの傾向が変わって下書きの精度が落ちた、といった変化に早く気づけます。

まとめ

IntercomのConnectorはRead専用のため、Cowork Scheduled Tasksと組み合わせても実際の送信はできません。この制約を前提に、新着の問い合わせを定期的に読ませて下書きだけを作らせ、送信は人間がIntercom側で担う一次対応の型を組むのが現実的な使い方です。承認モードは、Intercom単体であればどれを選んでも読み取りしかできないため実害は小さく、初回はManuallyで挙動を確認してからAutoへ移行する進め方が手堅いといえます。他の書き込み可能なConnectorを同じタスクに組み合わせる場合は、組織のツール承認設定が効いてくる点に注意してください。

この記事を共有:XはてブLinkedIn