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Claudeで訪日外客数の統計を分析 — 閑散期に伸びる市場を探す手順

Claudeで訪日外客数の統計を分析 — 閑散期に伸びる市場を探す手順

JNTOの国籍/月別 訪日外客数のExcelをClaudeに読ませ、自地域の閑散期の月に伸びている市場を絞り込む手順です。伸率の落とし穴と検算の頼み方も扱います。

自地域の誘客ターゲットを決めるとき、日本政府観光局(JNTO)の「国籍/月別 訪日外客数」を、Claudeに読ませて閑散期に伸びている市場を絞り込めます。コツは、閑散期の月を先に自分の数字で決めてから、そのデータを渡すことです。

この記事では、Excelの構造、Claudeへの渡し方、頼み方、検算の入れ方を順に説明します。使うのはExcelブック1つだけで、特別な環境は要りません。

JNTOのExcelには何が入っているか

JNTOの訪日外客統計のページには、時系列推移表として「国籍/月別 訪日外客数(2003年〜2026年)」のExcelが置かれています。ダウンロードしたブックを開くと、シートは2026から2003まで年ごとに24枚あります。

各シートの形は共通です。

  • 1行目に「○○年 訪日外客数(総数)」、冒頭付近に「伸率は前年同月比を表しています」の注記
  • 4行目のヘッダは、1月、伸率、2月、伸率と、月と伸率が交互に並ぶ
  • 5行目が総数で、その下にアジア計、韓国、中国、台湾と続き、ヨーロッパ計、北アメリカ計、オセアニア計などの地域計と国の行が並ぶ
  • 単位は人数(人)と伸率(%)

つまり1枚のシートが「国籍・地域の行 × 月の列」の表になっています。この形は、閑散期の月だけを列で切り出して市場ごとに比べる作業に向いています。

一方で、ブックに都道府県の区分はありません。行は国籍・地域だけです。全国の数字なので、自地域に引き寄せる作業は、後で自分の宿泊や来客の数字と組み合わせて行います。

先に決めておく3つのこと

Claudeにブックを渡す前に、人間が決めておくことが3つあります。ここを曖昧にしたまま頼むと、答えが出ても使えません。

手順

分析の前に決める3点

  1. 1

    閑散期の月を自分の数字で決める

    宿泊稼働率や来客数が落ちる月を、自地域の実績から選びます。たとえば「6月と11月から2月」のように、月で指定できる形にします。

  2. 2

    見たい年を決める

    直近の年と、その前の年を基準にします。年をまたぐ比較は、年ごとのシートを使って行います。

  3. 3

    結論の使い道を決める

    プロモーション先の選定なのか、多言語表示の優先順位なのかで、見るべき数字が変わります。使い道を一文で書いておきます。

閑散期の月は、JNTOの表からは決まりません。この表は全国の訪日客の数で、自地域の繁閑とは別物だからです。ここは自地域の記録から読んで決めます。

Claudeへの渡し方

ブックの分析は、Claudeのコード実行とファイル作成の機能で進められます。この機能は、Free、Pro、Max、Team、Enterpriseのいずれのプランでも、Web、デスクトップ、モバイルで使えます。TeamとEnterpriseでは組織の設定で有効化の状態が変わるため、管理者に確認してください。

アップロードできるファイルの大きさは、1ファイルあたり30MBまでです。

別の渡し方として、ExcelにClaudeのアドインを入れ、ブックを開いたまま質問する方法もあります。Claude for ExcelはPro、Max、Team、Enterpriseのプランで使えます。ただし、外部から入手したファイルには、隠れた指示が仕込まれている恐れがあると公式が注意しています。JNTOのファイルは公的機関の公表資料ですが、別の経路で加工されたブックを使うなら、取得元を確かめてから渡してください。

くらべる

2つの渡し方の違い

コード実行

チャットにアップロード

ブックをチャットに添付し、Claudeが読み取りと集計を行います。Excelが手元に無くても進められ、結果は新しいExcelファイルとしてダウンロードできます。

アドイン

Claude for Excel

ブックを開いたまま質問し、セルを根拠に答えを返させます。手元のExcelで直接確認したいときに向きます。

この記事の手順は、どちらでも使えます。以下はチャットに添付する前提で書きます。

頼み方 — 閑散期の月だけを切り出す

ブックを添付したら、最初に「構造の確認」だけを頼みます。いきなり結論を求めると、Claudeがシートの形を取り違えたまま集計してしまうからです。

添付はJNTOの「国籍/月別 訪日外客数」のExcelです。
まず次の3点だけ報告してください。集計はまだしません。
1. シート名の一覧
2. 2025シートの4行目のヘッダと、5行目以降のA列の行ラベル
3. 2026シートの注記の文言

返ってきた内容を、自分でブックを開いて見比べます。ここで合っていれば、集計の依頼に進みます。

2025シートと2026シートを使います。閑散期は6月と11月〜2月です。
国の行(韓国、中国、台湾など)ごとに、次の表を作ってください。
- 閑散期の月の合計人数(2025年)
- 年間に占める閑散期の割合(2025年)
- 2026年で値がある閑散期の月の、前年同月比
地域計の行(アジア計など)は国の行と分けて、別の表にしてください。
出力の各行に、元のセル番号を付けてください。

ポイントは3つあります。

  • 地域計と国の行を分ける: アジア計の中に韓国や中国が含まれるため、混ぜると二重に数えます。
  • セル番号を付けさせる: 数字の出どころが分かれば、後で人が照合できます。
  • 欠けた月は欠けたと書かせる: 年の途中のシートは、全ての月が揃いません。揃っていない月を無理に埋めさせないための指示です。

伸率を読むときの落とし穴

表の伸率は、前年同月比です。この数字は便利ですが、そのまま順位づけに使うと判断を誤ります。

ブックの実数で見ましょう。2026年1月の総数は3,597,881人で、伸率はマイナス4.9%でした。同じ月の内訳では、韓国が1,176,089人でプラス21.6%、台湾が694,551人でプラス17.0%、中国が385,519人でマイナス60.7%です。全体はわずかな減少でも、市場ごとに動きが大きく分かれています。

読み方

伸率の見方で外せない3点

  • 分母が小さい市場は大きく振れる

    人数が少ない市場は、数千人の増減で伸率が大きく動きます。伸率と実数を必ず並べて見ます。

  • 前年が特殊な年だと比較が歪む

    比較の基準になる前年が、大きく落ち込んだ年や急増した年だと、伸率だけでは平常の動きが分かりません。2021年や2022年を基準にした伸率には頼らず、2023年以降の実数で見ます。

  • 単月でなく複数月で見る

    閑散期の月を1か月だけ見ても、その月の特殊事情を拾います。閑散期の月を合計して、前年と比べる形にします。

Claudeには、伸率を鵜呑みにしないよう指示を足せます。

伸率だけで順位をつけないでください。
閑散期の合計人数が前年を上回った市場に絞り、
人数の増加幅の大きい順に並べてください。
伸率は参考列として横に置いてください。

実数の増加幅で並べると、規模の小さい市場が上位に来る問題を避けられます。

数字を使う前に検算させる

集計結果をそのまま資料に載せるのは避け、検算を1回挟みます。検算の項目は、ブックの構造から決められます。

  • 総数の行が、地域計の行の合計と一致するか
  • 月別の人数を足した値が、累計の列と一致するか
  • Claudeが示した上位3市場の数字を、元のセルと照合した結果
次の検算をして、結果を表で報告してください。
1. 2025シートで、総数の各月が地域計の各月の合計と一致するか
2. 2025シートで、国の行の1月〜12月の合計が累計の列と一致するか
3. あなたが示した上位3市場について、使った元のセル番号と値
一致しない箇所があれば、そのまま報告してください。

一致しない箇所が出たら、そこは読み違いのサインです。Claudeに取りつくろわせず、原因を聞きます。たとえば、地域計の外にある「無国籍・その他」の行を、拾い損ねていないかを調べます。

Claudeの出力は人の確認が前提です。Claude for Excelの公式の説明でも、人の確認なしに最終成果物とすることや、監査に関わる計算を検証なしで使うことは勧められていません。誘客の予算に関わる数字なら、元のブックと突き合わせてから使います。

確定値と推計値を区別する

当年のシートには、注記が付いています。2026シートの注記には「斜体の数値は推計値である」とあり、前年の2025シートには「表中の数値はすべて確定値である」とあります。

つまり、当年の数字は後から変わる可能性があります。Claudeには、推計値と確定値を分けて扱わせます。

2026シートで斜体になっているセルがあれば、どの月・どの行かを一覧にしてください。
推計値を含む月は、結論の根拠にしないでください。

斜体かどうかはセルの書式の情報なので、Claudeが読み取れない場合もあります。その場合は、ブックを開いて目視で月を特定し、対象の月をClaudeに伝える形にします。

また、このブックは国籍別の訪日外客数です。ページには、法務省の出入国管理統計の入国外国人総数は、JNTOの訪日外客数と異なると書かれています。他の統計と並べるときは、どちらの定義かを揃えてください。

市場の候補を誘客ターゲットに落とす

ここまでで得られるのは、「全国で閑散期に伸びている市場」の候補です。自地域の誘客ターゲットにするには、もう一段、自地域の事情と突き合わせます。

切り分け

候補をターゲットに絞る問い

  1. Q自地域の閑散期の月に、その市場の訪日が全国で実際に増えているか?
    答えが候補から外す

    実数の増加幅が大きく、複数の月で続いている市場が残ります。

    答えがはい
  2. Q自地域に、その市場の来訪者向けの受け入れ(言語対応・決済・食事)を用意できるか?
    答えが受け入れを整えてから再検討する

    受け入れの整備コストが見合う市場が残ります。

    答えがはい

ターゲット市場の候補

優先して施策を打つ市場を、2〜3に絞ります。

2つ目の問いには、Claudeを壁打ち相手に使えます。自地域の宿泊施設や観光資源の情報を貼り、市場ごとに必要な受け入れを書き出させます。ここで出る案は下書きであり、現地の事業者の判断で確定します。

店頭での接客の案内を多言語で整える作業は、Claudeでインバウンド接客の案内を多言語で作るで扱っています。市場を絞った後に、言語の優先順位を決める材料としてつなげられます。

他の統計と組み合わせる

訪日外客数は、全国の数字です。自地域の動きに近づけたいときは、次の材料と組み合わせます。

月次の変動を前月比と前年同月比で見る型は、Claude for Excelで月次変動分析で説明しています。JNTOのブックの伸率は前年同月比なので、同じ考え方で理由メモに落とし込めます。

つまずきやすい点

  • 全国の数字を自地域の数字と読み違える: ブックに都道府県の区分はありません。結論の資料には「全国の訪日外客数の傾向」と明記します。
  • 年をまたぐ集計で行の位置を頼る: 年を横断して集計するときは、行の位置でなく国・地域の名前で突き合わせるよう指示します。
  • Claudeの答えの数字を、セルと照合せずに使う: 検算とセル番号の指示を省かないでください。
  • 当年の推計値を確定値と同じに扱う: 当年の結論は、推計値を含む月を外して出します。

まとめ

JNTOの国籍/月別のブックは、閑散期の月で切り出すと、全国で伸びている市場の候補が見えます。ただし、それは自地域のターゲットではなく、候補の入り口です。

閑散期の月は自分の記録で決め、順位は伸率でなく人数の増加幅で見ます。推計値の月は結論から外し、検算とセル番号の確認を挟めば、Claudeの集計を判断の材料に使えます。最後の絞り込みは、自地域が受け入れを用意できるかどうかで決まります。

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