Claudeで失客を洗い出し再来店の連絡文を作る手順
来店履歴のCSVから、施術ごとの周期を超えて来ていない顧客をClaudeで抜き出し、区分別のLINE配信文を作る手順です。氏名を外す前処理と、送る側の規約の見方も扱います。
失客とは、以前は通っていたのに、いつもの周期を過ぎても来なくなった顧客のことです。サロンや整体院、歯科、スクールのように予約制で通ってもらう店では、「3か月来ていない人」を一律に呼び戻すより、施術ごとの周期を基準に「その人にとっての遅れ」を測るほうが、連絡のタイミングも文面も合わせやすくなります。
この記事では、来店履歴のCSVをClaudeに渡し、周期を超えた顧客を抜き出して、施術歴別の連絡文を作るところまでを順に書きます。送り方の仕様はClaudeでLINE公式アカウントの配信文を作る、購入履歴型の区分け全般はClaudeでRFM分析する手順にあります。ここでは来店周期とメニュー別の文面に絞ります。
全体の流れは4段階
失客の洗い出しから配信まで
- 1
履歴を匿名化する
氏名・電話番号・LINE名を外し、顧客IDと来店日、メニューだけのCSVにします。
- 2
メニュー別の周期を出す
自店の実績から、メニューごとの来店間隔の中央値を計算させます。
- 3
周期を超えた人を区分する
経過日数が周期の何倍かで、声をかける順番と文面の強さを分けます。
- 4
区分別に文面を作り、送る側の条件を確かめる
文面はClaudeに作らせ、配信対象の指定と規約は人が確かめます。
渡すのは顧客IDと来店履歴だけにする
失客の判定に要るのは「誰が・いつ・何を受けたか」であって、本人を特定する情報ではありません。Claudeに渡すCSVは、次の列に絞ります。
| 列 | 内容 | 渡す理由 |
|---|---|---|
| 顧客ID | 内容店側の管理番号 | 渡す理由同じ人の履歴をまとめるため |
| 来店日 | 内容YYYY-MM-DD | 渡す理由経過日数と来店間隔の計算 |
| メニュー | 内容施術・コースの名称 | 渡す理由周期を施術別に出すため |
| 金額 | 内容税込か税抜に統一 | 渡す理由優先度づけに使うときだけ |
氏名、電話番号、メールアドレス、LINEの表示名は落とします。顧客IDと名前の対応表は、店の手元に残してClaudeには見せません。履歴自体が個人に結びつく情報であることは変わらないので、店に個人情報の取り扱いルールがある場合は、外部のサービスに渡してよいかを先に確かめます。
メモ欄や備考欄にも注意が必要です。「〇〇さんの紹介」「お子さんの受験」のような自由記述は、氏名の列を落としても本人に近づける材料になります。周期の判定に使わない列は、まとめて外すほうが安全です。
CSVをチャットに添付する場合、ファイルサイズは1ファイル30MBが上限です。来店履歴なら通常は収まります。表計算ソフトの中で作業したいときは、Claude for Excelというサイドバー型の利用形態もあります。Excel、PowerPoint、Wordの版は有料プランで一般提供されていて、編集内容はセルのハイライトなどで確かめられ、確認前には保存されません。
メニュー別の周期は自店の実績から出させる
「カットは1.5か月に1回」のような一般論は、店の客層や価格帯で簡単にずれます。基準にするのは自店の履歴にある来店間隔です。
添付のCSVは、顧客ID・来店日・メニューの履歴です。
次の順で処理してください。
1. 顧客IDごとに、メニュー別の来店間隔(日数)を計算する。
2. 2回以上来店した顧客だけを対象に、メニュー別の来店間隔の
中央値と、第3四分位数を表にする。
3. 来店が1回だけの顧客は件数だけ数え、周期の計算には含めない。
4. 計算に使ったルールを、表の下に3行で書く。中央値と第3四分位数を並べるのは、「普通の人はこのくらいで来る」と「遅めの常連はここまで空く」の幅を見るためです。中央値だけを基準にすると、もともと間隔が不規則な顧客まで失客に入ります。来店が1回だけの人を周期の計算から外すのは、間隔がそもそも定義できないからです。
周期を何倍超えたかで3つに区分する
周期が出たら、顧客ごとに「最終来店からの経過日数 ÷ そのメニューの周期」を計算させます。この比率を、次のような区分に分けます。下の倍率は説明用の初期値で、自店の第3四分位数や予約の埋まり方を見て動かします。
| 区分 | 目安の条件(例) | 位置づけ |
|---|---|---|
| 様子見 | 目安の条件(例)周期の1.0〜1.5倍 | 位置づけまだ想定の範囲。連絡は軽くてよい |
| 声かけ | 目安の条件(例)周期の1.5〜3倍 | 位置づけ再来店の案内を送る中心の層 |
| 長期離脱 | 目安の条件(例)周期の3倍超 | 位置づけ近況を尋ねる文面から入る |
直近のメニューが複数あるときは、いちばん最近受けたメニューの周期を使うのか、来店回数が最も多いメニューを使うのかを、依頼文で指定します。指定がないと、Claudeはどちらかを選んで計算し、その選択は表の見た目からは分かりません。
基準日は2026-10-20です。顧客IDごとに、直近に受けたメニューと
最終来店日、基準日までの経過日数、そのメニューの中央値に対する
倍率を列にしてください。
倍率が1.5以上3未満を「声かけ」、3以上を「長期離脱」とし、
結果をCSVで出力してください。区分ごとの人数も教えてください。Claudeが返した人数と区分は、そのまま配信対象に使いません。顧客を3〜5人選び、元の履歴と見比べて、経過日数と倍率が合っているかを確かめます。基準日を今日の日付に合わせ忘れる、休業期間や産休のような事情を考慮しない、といった点は表に出てこないためです。
除外したい顧客を先に伝える
失客の抽出では、連絡してはいけない顧客を外す条件が結果を左右します。引っ越しや退会の申し出があった顧客、予約が既に入っている顧客、配信停止の希望を受けた顧客は、依頼文に除外条件として書くか、CSV側の列に持たせておきます。履歴だけの表からは、これらは読み取れません。
施術歴別に連絡文を作る
区分と直近メニューが決まったら、文面を作ります。個別の氏名を入れずに区分とメニューの組み合わせごとに1本ずつ作る方法なら、Claudeに顧客の氏名を渡す必要がありません。
LINE公式アカウントの配信文を作ってください。
店:ヘッドスパのあるヘアサロン(例)。口調は丁寧で、売り込み色を抑える。
対象区分:声かけ(直近メニュー=ヘッドスパ)
条件:
- 200字以内、冒頭で近況をうかがう一言を入れる
- 割引ではなく、前回の施術の続きとして案内する
- 予約への導線を1つだけ書く(URLは「{予約URL}」と置く)
- 3案を、書き出しの切り口を変えて出す区分が3つ、メニューが4種類なら、組み合わせは最大12通りです。全部に別の文面を作ると管理が重くなるので、最初は「声かけ」と「長期離脱」のそれぞれについて、メニュー群ごとの文面を作る程度から始めます。
Claudeに任せる範囲は、切り口の違う案を出すところまでです。次の点は人が決めます。
- 割引やクーポンを付けるかどうか。損益に関わる判断で、店側の方針です
- 施術の効果をうたう表現が入っていないか。医療や健康に関わる業種では特に確かめます
- 予約枠に余裕があるか。呼び戻した後の受け皿がなければ、連絡が逆効果になります
実際の連絡は一度に全員へ送らず、まず区分ごとに少人数へ試し、反応を見てから広げます。反応の見方は、予約に至った件数を区分別に数えるだけで足ります。
送る側で確かめること
配信の仕様は、LINE Developersの送信メッセージのページに載っています。失客向けの配信に効くのは次の2点です。
- 送り方のうち、ナローキャストメッセージは属性やオーディエンスで宛先を絞れます。オーディエンスには、ユーザーIDをアップロードして作るものがあります
- 公式アカウントをブロックしているユーザーなど、届かなかった相手への送信は、メッセージ通数のカウントから除外されます
店の顧客IDとLINEのユーザーIDは別の番号なので、抽出した顧客をLINEの宛先に結びつける対応表は、店側で持っておく必要があります。ここは公式の手順に沿って作る部分で、Claudeに推測させる部分ではありません。
もう一つが、LINE公式アカウントの利用規約です。英語版の規約には、顧客(アカウントを使う店)が友だちの情報を使える範囲と、守るべき法令についての条文があります。
- ユーザー情報は、アカウントの運営に必要な範囲でだけ収集・利用でき、運営以外の目的への再利用や第三者への提供は、LINE側の書面による許可(メールを含む)がなければできません
- LINEに個人を参照できる情報を提供するときは、個人情報の保護に関する法律などに従い、本人の同意を事前に得ることが求められています
- 禁止行為には、LINE側の同意なく第三者の広告媒体として使うことなどが含まれます
失客リストの作成は、店が自店の顧客に自店の案内を送る使い方です。ただ、顧客リストを広告配信の宛先として外部に渡す形になると、上の個人情報の条文に当たる場面が出てきます。規約は更新されるので、配信を始める前に最新の条文をLINE公式アカウントの利用規約のページで確かめます。
つまずきやすい点
失客抽出で踏みやすい3つの落とし穴
来店が1回きりの顧客が混ざる
初回だけで来なくなった人は、周期が定義できません。周期ベースの失客とは別に「初回後の離脱」の区分を作り、文面も変えます。
周期が長いメニューの顧客が全員失客に見える
全員一律の日数で抽出すると、半年に1回の施術を受けている人が毎回「失客」に入ります。メニュー別の中央値で比率を出す理由はここにあります。
同じ人に何度も送ってしまう
前回の配信日と区分をCSVの列に残します。次の抽出では、直近の配信から一定期間は除外する条件を依頼文に入れられます。
配信後は区分別に予約件数を数える
配信の結果は、区分ごとに「送った人数」「配信後14日以内に来店した人数」を数えるだけで比較できます。14日は例で、予約の入りやすさに合わせて変えます。送る前に区分と配信日をCSVに残しておけば、来店履歴の最新版を渡して、Claudeに区分別の再来店率を集計させられます。
区分の倍率が合っていたかも、この数字で見直せます。「様子見」の層が連絡なしでも自然に戻っているなら、その層への連絡は減らせます。「長期離脱」の戻りがほとんどなければ、文面を近況の確認に寄せるか、配信対象から外す判断材料になります。
まとめ
失客の抽出で効くのは、日数の一律基準ではなくメニュー別の周期と、その何倍遅れているかという比率です。Claudeには、周期の計算、区分の付与、区分別の文面案の3つを任せ、除外条件・割引の有無・配信前の規約確認は人が持ちます。まず匿名化したCSVで少人数に試し、予約に至った件数を区分別に数えるところから始められます。