ClaudeとMYOBを連携する方法 — 読み取り専用の接続手順と使えるツール
MYOB公式のClaudeコネクタを接続する手順です。事業主による許可、読み取り専用の範囲、7つのツール、対応しない質問、つながらないときの切り分けをまとめます。
ClaudeとMYOBをつなぐと何ができるか
MYOB連携は、会計ソフトMYOB Businessの財務データを、Claudeの会話から読み取り専用で引くためのコネクタです。MYOB自身がMCP(Model Context Protocol)で提供しており、Connectorsディレクトリでは「Anthropic verified」の表示付きで、開発元もMYOBと記載されています。追加時期は2026年7月です。サインインは必須で、MYOB側は機能がベータであると案内しています。
つないだあとは、利益や未回収の請求書、現金の状況を英語の自然文で尋ねられます。回答は画面の数字の転記ではなく、そのときのMYOBのデータに基づきます。ただし書き込みはできません。仕訳の登録も請求書の発行もこのコネクタの範囲外です。
MYOBの案内ページはオーストラリア向けのサイトにあり、日本の会計ソフトとは前提が違います。海外拠点の経理を見る人向けの話です。同じ海外会計の例として、ClaudeとXeroの連携も参考になります。コネクタ全般の仕組みはClaudeのコネクタとはで扱っています。
接続の前に揃えるもの
MYOB側の案内では、次の3つが前提です。
- MYOB Business Pro、Lite、AccountRightのいずれかの有効なサブスクリプション
- 自分名義のClaudeのサブスクリプション
- MYOB Businessにサインインするときと同じユーザー名とパスワード
注意したいのは、接続の操作をする人とは別に、事業主の許可が要る点です。MYOBのファイルで「Owner」にあたるユーザーが、先にMy Accountで許可を出します。許可がないと、Claudeからの接続時に事業を選べません。
手順:事業主の許可からClaudeでの接続まで
接続までの流れ
- 1
事業主がMy Accountで許可する
事業主がMy Accountにサインインし、右側のクイックリンクから「Manage AI connections」を開きます。続けて「AI file access」を押し、対象の事業を探して、Claude・ChatGPT・両方のどれを許可するか選びます。事業が複数あるときは、許可したい事業を先に選びます。
- 2
ユーザーがClaudeのコネクタ一覧を開く
接続する人が自分のClaudeアカウントでConnectorsディレクトリを開き、MYOBを検索して「Connect to Claude」を押します。
- 3
MYOBにサインインして事業を選ぶ
求められたらMYOBのユーザー名とパスワードを入力します。アクセスできるMYOBファイルが複数あるときは、つなぎたい事業を選びます。
- 4
確認画面でDoneを押す
接続の確認画面で「Done」を押せば完了です。
事業主の許可は、事業を選択肢に出すためのものです。許可しただけでは接続は完了しません。Claude側の操作は別に必要になります。
事業主と担当者が別人のとき
経理担当者が接続を試す場合、順序は「事業主が許可 → 担当者が接続」になります。担当者が先にClaudeを開いても、許可のない事業は出てきません。社内で依頼するときは、My Accountの「Manage AI connections」を開いてほしいと伝えれば足ります。
複数の事業を切り替えたいときは、今の接続をいったん切り、別の事業を接続し直します。切り替え先の事業にも、My Accountでの許可が要ります。
TeamやEnterpriseのプランでは、組織のOwnerが先にコネクタを有効化し、そのあと各メンバーが個別に認証する流れになります。有効化しても、メンバーに自動でアクセスが付くわけではありません。MYOB側の許可とClaude組織側の有効化は別の仕組みなので、両方を確認します。なお、組織全体で一度だけ認可するEnterprise-managed auth(ベータ)という方式もTeamとEnterpriseにあり、この場合はメンバーが初回ログインで自動的にアクセスを引き継ぎます。
使えるツールは7つ
ディレクトリのページには、次の7つのツールが載っています。
myob_get_business_infomyob_get_financial_year_datesmyob_get_outstanding_customer_balancesmyob_get_outstanding_payablesmyob_get_profit_lossmyob_get_sales_invoice_totalsmyob_get_standard_payment_terms
ページに載っているのはツール名だけで、個々の説明やパラメータは書かれていません。名前から出力内容を断定せず、実際の回答で確かめてください。名前はすべて「get」で始まっています。
MYOBのサポートページが挙げる質問の領域は、売上と利益、経費、売掛金と期限切れの請求書、現金の状況です。例文として次が紹介されています。
- How is my business profit for 2026?
- Who are my biggest customers by revenue?
- Do I have any overdue invoices?
- What were my top expenses last month?
- What is my cash position?
ツールは7つしかないため、上の例文のうち経費の内訳や顧客別売上が、どのツールで賄われるのかはページから読み取れません。期待どおりの粒度で返らないときは、質問を会計期間や対象を絞った形に直します。
対応しない質問を先に知っておく
MYOBは、次の用途を「できないこと」として明示しています。
- 給与(payroll)に関する質問
- 在庫やジョブの追跡
- 年度末の税務アドバイスや申告
- MYOBのデータの変更
- コネクタ内でのMYOBヘルプの表示
給与や在庫を聞いても、コネクタから答えは取れません。そのとき返ってくる文章は、Claudeの一般知識から組み立てた、もっともらしい答えかもしれません。数字を扱う場面では、回答がMYOBのデータに基づくかどうかを毎回見分けます。
落とし穴
コネクタが呼ばれていない回答が数字付きで返ってくる
MYOB側は、コネクタが使われないと「それらしいが、MYOBのデータに基づかない回答」になりうると注意しています。特にChatGPTでは、プラグインを選ばないとWeb検索に回る仕様ですが、Claudeでも、会話内で実際にMYOBのツールが使われたかを確認する習慣が役に立ちます。会話にツールの呼び出し表示が出ていない数字は、元データを突き合わせるまで報告に使わないでください。
Claudeに任せるときの運用:決算期と対象事業を固定する
質問があいまいだと別の期間や別の事業の数字が返る危険があります。次のようなプロジェクトの指示を置いておくと、質問のたびに前提を書かずに済みます。例えば次のような形です(運用の一例で、MYOBの案内にある設定ではありません)。
このプロジェクトでは MYOB コネクタの数字だけを根拠に答えてください。
- 対象の事業: (接続した事業名)
- 期間は必ず明示する。指定がなければ直近の会計年度を使い、使った期間を回答の冒頭に書く
- コネクタを呼び出せなかった場合は、数字を出さず、その旨を伝える
- 給与・在庫・税務申告は対象外。聞かれたら対象外だと答える財務年度の日付を返すツール(myob_get_financial_year_dates)があるので、「2026年度」のような言い方でも、会計年度の区切りをMYOBのデータで確かめさせる使い方ができます。会計年度の区切りが暦年と同じとは限らないので、期間は質問ごとに明示します。
月次レビューの依頼は、一回の長い質問より、観点を分けて重ねる形が扱いやすくなります。
先月の損益を要約してください。次に、期限切れの売掛金を金額の大きい順に並べ、
最後に仕入先への未払いの合計を出してください。使った期間を最初に書いてください。これは例示であって、実際の出力ではありません。結果を決算資料に使う前に、MYOB画面のレポートと照合します。
プライバシーと切断
MYOBが案内する範囲は次のとおりです。
- 接続は任意で、MYOB IDでサインインして承認する
- MYOBがサインインを扱うので、Claudeはパスワードを見ない・保存しない
- 通信は暗号化され、アクセスできるのはそのユーザーのMYOB権限で許される範囲のデータだけ
- 質問への回答に必要な情報がコネクタから送られ、会話にはClaudeのプライバシー設定と規約も適用される
財務データを会話に出す以上、Claudeの設定も見直します。MYOBの案内では、Settings > Privacyの「Help improve our AI models」をオフにできます。Claudeのメモリーは、コネクタが動いていないときも以前の会話の情報を使う場合があり、その情報は現在のMYOBのデータとは限りません。Settings > Memoryから個別の削除、一時停止、リセットができます。
切断はClaudeのConnectorsディレクトリでMYOBを開き、「Disconnect」を押すだけです。MYOBのページによると、ChatGPTと違ってClaudeではMYOBが自動で使われる扱いです。ただし実際にツールが呼ばれたかは、回答の画面で確かめられます。
つながらないときの切り分け
MYOBのトラブルシューティングを症状ごとに並べ直すと、次のとおりです。
| 症状 | 見る場所 |
|---|---|
| 以前は動いたのに止まった | 見る場所無操作でセッションが切れた可能性。Claudeの中からMYOBに再サインインする(設定し直しは不要) |
| ディレクトリにMYOBが出ない | 見る場所アクセスは段階的に展開中で、アカウントでまだ有効でない可能性がある |
| 回答がおかしい | 見る場所コネクタが有効な状態で質問したかを確認する |
| 事業が選べない | 見る場所事業主がMy Accountで許可したかを確認する |
| どちらの問題か分からない | 見る場所MYOBのステータスページとClaudeのステータスページを見る |
「事業が選べない」の行は、MYOBの手順から導いた確認点です。トラブルシューティング欄の項目そのものではありません。
MYOBコネクタはQuickBooksやStripeの連携と何が違うか
ディレクトリのMYOBページの関連コネクタ欄には、Intuit QuickBooksやStripeが並んでいます。QuickBooksとの連携が小規模事業向けの発表の中でどう扱われたかは、Claude for Small Businessの記事にまとめています。
違いとして確かめられるのは対象地域です。案内ページのURLは /au/ で、オーストラリア向けのサイトです。ほかの国のMYOB製品で同じ手順が使えるかは、このページには書かれていません。該当国のMYOBサポートで確かめてください。
まとめ
MYOB連携は、事業主の許可、ユーザーのサインイン、Claude側での接続の三段で成立する、読み取り専用のコネクタです。7つのツールで損益・請求・買掛売掛・会計年度を引けますが、給与・在庫・税務は範囲外で、ベータでもあります。使い始めるなら、最初に対象事業と期間を固定する指示を置き、数字は毎回、コネクタが呼ばれたかを確かめてから使います。