ClaudeとNavanを連携する方法 — 経費と出張のデータを会話で読む
Navan公式のMCPサーバーをClaudeに接続する手順です。SSO企業で必要な管理者の有効化、ユーザー権限で動く認証の仕組み、経費の確認や承認を任せる前の運用をまとめます。
Claude Navan連携とは何か
Navan連携は、出張・経費管理サービスのNavanが提供するMCPサーバーをClaudeに接続する仕組みです。経費、カード、出張の予約、ポリシーといったNavan上のデータを、画面を開かずに自然文で問い合わせられます。
Connectorsディレクトリでは、開発元Navanの「Anthropic verified」表示付きで掲載されています。カテゴリは金融サービスと旅行、追加時期は2026年8月、サインインは必須です。接続先のURLは https://mcp.navan.com/mcp です。
Navan側のドキュメントが例に挙げる質問は、たとえば次のようなものです。
- 第1四半期の500ドル超のフラグ付き経費で、未承認のものを部署別に出してほしい
- 先月、航空券に最も使った人は誰で、どの客室クラスを選んでいるか
- 配車サービスの社内ポリシーは何で、先月その違反に当たる取引はどれか
つまり、中心は「読んで分析する」使い方です。経費の承認や却下にも触れられますが、それは後の節で扱う権限の範囲に収まる場合に限ります。
Connector全般の仕組みと追加の流れはClaude Connectorsの解説にまとめています。
接続前に確認すること:ログイン方式と管理者の有効化
最初に見るのは、自社のNavanがどのログイン方式かです。Navan MCPは、SSOを使う会社にも、ユーザー名とパスワードでログインする会社にも対応しています。
分かれ目は管理者の作業です。
| ログイン方式 | 接続前に必要なこと |
|---|---|
| ユーザー名とパスワード | 接続前に必要なこと特になし。利用者がそのままAIエージェントを接続できる |
| SSO | 接続前に必要なこと管理者が先にNavanの管理画面の「Integrations」でMCPを有効にする |
SSOの会社で管理者が有効にしていない場合、利用者が接続を試しても進めません。社内で試すときは、まず管理者に有効化を依頼するのが最短です。
2026年9月4日の更新で、ドキュメントの記述は改められました。それ以前は「SSOが必須」と読める書き方でしたが、現在はパスワードログインの会社も直接接続できると明記されています。古い情報を見て諦めていた場合は、前提が変わっています。
ClaudeのWebとDesktopから接続する手順
ディレクトリ経由なら、Navanの詳細ページで「Add to Claude」を押します。URLは自動で入り、続けてNavanのサインイン画面が開きます。
- Connectorsディレクトリで「Navan」を探し、「Add to Claude」を押す
- ブラウザーに開いたNavanの画面で、会社のSSOまたはユーザー名とパスワードでサインインする
- 権限の確認(同意)画面が出たら、内容を見て承認する
- Claudeに戻り、Navanのツールが使える状態になっているのを確かめる
URLを自分で指定するカスタムコネクタとして入れるときは、https://mcp.navan.com/mcp を指定します。
Claude Desktopの設定ファイルで入れる場合
Navanのドキュメントには、Claude Desktopの設定ファイルに書く方法も載っています。リモートサーバーを中継する mcp-remote を、npx で起動する形です。
- macOS:
~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json - Windows:
%APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json
{
"mcpServers": {
"navan": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "mcp-remote", "https://mcp.navan.com/mcp"]
}
}
}前提はNode.js 18以降です。node --version で確かめてから、Claude Desktopを一度終了して起動し直します。サインインを済ませると、ツールが一覧に現れます。
ディレクトリから入れられるなら、この方法を選ぶ理由は薄くなります。設定ファイルを触るのは、ディレクトリを使えない環境や、設定をチームで配布したい場合です。
Claude Codeから接続する手順
Claude Codeには、1行のコマンドで追加できます。
claude mcp add --transport http --scope user navan \
https://mcp.navan.com/mcp--scope user を付けているので、全プロジェクトで使える形になります。特定のリポジトリだけで使いたいなら、スコープの指定を変えます。MCPサーバーの追加方法とスコープの考え方はClaude CodeのMCPサーバー解説で扱っています。
追加後の最初のリクエストで、ブラウザーが開いてNavanへのサインインを求められます。ここで認証が済めば、以降は同じセッションの感覚で使えます。
Navanのドキュメントは、設定ファイルへ直接書く方法も案内しています。書き方は次のとおりです。
{
"mcpServers": {
"navan": {
"type": "http",
"url": "https://mcp.navan.com/mcp"
}
}
}同じ書式のまま、VS Codeでは .vscode/mcp.json の servers キー配下に書きます。クライアントごとに設定ファイルの置き場所と最上位のキー名が違うので、写すときは自分のクライアントの書式に合わせてください。
接続できたかを確かめる
Navan側が勧める確認方法は、短い質問を1つ投げることです。
Use Navan to list my five most recent expenses.正しく接続されていれば、数秒で表が返ります。途中で権限の確認が出たら、承認して構いません。これは次の節で述べる「同意時に範囲を絞る」流れの一部です。
日本語で「Navanで直近の経費を5件見せて」と頼んでも構いません。ただ、最初の動作確認は表が返るかどうかだけを見るので、サンプルの文面をそのまま使うほうが原因を切り分けやすくなります。
認証と権限:Claudeは「あなたの権限」で動く
このコネクタで最も大事なのは、全操作が利用者本人のコンテキストで実行される点です。Claudeが得る権限は、Navanが既にその人へ与えている権限と同じで、増えも減りもしません。
初回接続時にブラウザーでNavanへサインインすると、OAuth 2.0のアクセストークンが発行されます。このトークンは次の4つに結び付きます。
トークンが結び付く情報
利用者本人
トークンはユーザーアカウントに紐づきます。
ロール
Employee、Manager、Approver、Adminなどです。
事業体とリージョン
割り当てられたビジネスエンティティと地域です。
同意したスコープ
同意画面で承認した範囲だけが対象になります。
セッションは使っている間は自動で更新されます。再サインインが要るのは、使わない状態が100日続いたとき、または認証から365日が過ぎたときです。
ロールごとに読める範囲と変えられる範囲
サーバーは、NavanのWebアプリ、モバイルアプリ、REST APIと同じロールベースのアクセス制御を適用します。ドキュメントの表は次のとおりです。
| ロール | 読めるもの | 変更できるもの |
|---|---|---|
| Employee | 読めるもの自分の取引・領収書・ポリシー | 変更できるもの自分の経費の下書きと領収書 |
| Manager | 読めるもの直属の部下の取引とレポート | 変更できるもの自分が担当するレポートの承認・却下 |
| Approver | 読めるもの自分にレビューが割り当てられた取引 | 変更できるもの承認、却下、修正の依頼 |
| Finance Admin | 読めるもの自分の事業体の全取引 | 変更できるものGLコード、カスタムフィールドの値、ERP連携 |
権限のないデータを求めた場合、サーバーは 403_BY_POLICY の注記付きで空の結果を返します。Claudeは制限があることを説明する側に回り、見えないデータをこっそり出すことはありません。
承認ワークフロー、ポリシールール、重複検出は、コネクタ経由でも迂回できません。読み取り専用のユーザーは、Claudeを挟んでも読み取り専用のままです。
落とし穴
Claudeの回答が「データなし」になる原因は、権限不足かもしれない
EmployeeのアカウントでClaudeに「全社の経費を部署別に出して」と頼むと、権限の外なので空の結果になります。空の結果は「該当なし」とは限りません。Claudeの回答が空に見えたら、自分のロールで見える範囲かどうかを先に確かめます。全社集計を任せたいなら、Finance Adminなど該当範囲を持つ人のアカウントで接続します。
使えるツールと、できること
ディレクトリのページには、このコネクタが公開するツールが全部で40個あると表示されています。一覧の初期表示で見えるのは24個で、残りは「Show all」を開いて確認します。
見える範囲の名前は、領域と対象者を表す接頭辞で整理されています。
| 名前の例 | 対象 |
|---|---|
expense___admin_searchTransactions | 対象取引の検索 |
expense___admin_summarizeSpend | 対象支出の集計 |
expense___admin_readUserPolicy | 対象ユーザーのポリシーの参照 |
expense___admin_searchCards / readCard | 対象カードの検索と参照 |
expense___admin_getTransactionReceiptOcr | 対象領収書のOCR結果の取得 |
expense___admin_updateTransaction | 対象取引の更新 |
expense___manager_searchTransactions | 対象取引の検索(manager_ 接頭辞) |
expense___user_attachReceiptToTransaction | 対象取引への領収書の添付 |
company___user_getHrAttributes | 対象HR属性の参照 |
この表は、一覧に出ているツールの一部です。接頭辞の admin_、manager_、user_ が、そのまま利用できるロールを意味するかどうかは、ドキュメントに説明がありません。権限は名前ではなく、前の節のロール表で決まる、と考えるのが安全です。
ドキュメントが挙げる「できること」は4つあります。
- 支出の分析: 部署・取引先・カテゴリ別の内訳と傾向
- 出張データの分析: 航空券、ホテル、地上交通の予約パターンの比較
- ポリシーの質問: 取引がフラグされた理由、承認者、適用されるポリシー
- カード管理: 有効・無効のカード、ユーザーごとの枚数などの確認
ディレクトリの紹介文には、これに加えて出張の予約と管理、経費の承認・却下・追加情報の依頼が書かれています。Navan側のドキュメントの概要は分析と照会が中心なので、予約や承認までClaudeに任せるかは、自社のロールで実際にどのツールが使えるかを確かめてから決めると確実です。
業務での使いどころ
役割ごとに、頼む内容は変わります。
- 経理・財務: 未承認のフラグ付き経費を部署別に洗い出し、ポリシー違反の理由を取引ごとに確認する
- 出張管理の担当: 航空券の予算が膨らんでいる部署を特定し、客室クラスの傾向を見る
- マネージャー: 自分の部下の取引だけを対象に、承認待ちの一覧を作る
- 一般の従業員: 領収書が未添付の取引を探し、添付する
絞り込みの条件を先に伝える
Navanのドキュメントは、トークンの消費を抑えるために、問い合わせを絞るよう勧めています。
- 日付の範囲を必ず指定し、「全期間」は避ける
- 必要な項目だけを取る(例として
fields=id,amount) - 生データを開く前に、集計系のツール(
summarize_spend)を使う
サーバーの既定は簡潔なJSONです。詳細を求めると、応答が大きく遅くなります。
Claudeに頼むときは、最初から期間と対象を書くとこの条件に沿います。
2026年9月分の、承認待ちでフラグが付いた経費を、
部署別に件数と合計額で集計してください。
明細は集計を見てから、必要なら別途頼みます。この頼み方なら、まず集計用のツールで全体像を取り、気になる部署だけを明細に掘り下げる流れになります。
書き込みを任せる前の運用
承認・却下・取引の更新は、金額と人事評価に近い領域を動かします。次の準備をしておくと、取り返しの付かない操作を避けやすくなります。
- まず読み取りだけで試す。ロールの範囲を、実際の質問で確かめる
- 書き込みを依頼するときは、対象の取引を絞り込んでから実行を頼む
- 実行前に、Claudeが何をするつもりかを確認する
- 実行後は、Navanの画面で結果を見る
Navan側では、ツール呼び出しがすべて記録されます。記録には、セッションを始めた利用者の識別、MCPクライアントの名前とバージョン(例: claude-desktop/1.6.2)、呼び出したツールと引数、HTTPステータスと応答サイズが含まれます。後から「誰がどのクライアントで何をしたか」を追える作りです。
向かないこと
Navanのドキュメントは、MCPの限界も明記しています。
- Navanの権限を迂回することはない
- 大量処理や定期実行のワークロードで、REST APIの代わりにはならない
毎晩決まった時刻に集計して別システムへ流すような処理は、MCPではなくREST APIの領分です。Claudeを使うのは、人が問いを投げて答えを読む場面に絞ると噛み合います。
つまずきの切り分け
Navanに接続できないときの確認順
- Q会社はSSOでログインしていますか?答えが次へ進む答えがはい
管理者がNavanの管理画面の「Integrations」でMCPを有効にしているかを確かめます。有効になっていなければ、利用者側では接続できません。
- QClaude Desktopの設定ファイルで入れましたか?答えが次へ進む答えがはい
Node.jsが18以降かを
node --versionで確かめ、Claude Desktopを終了して起動し直します。 - Q質問に答えが返らず、空の結果になりますか?答えが次へ進む答えがはい
自分のロールで見える範囲かを疑います。範囲外のデータには
403_BY_POLICYの注記が付いた空の結果が返ります。
それでも解決しないとき
最初に「Use Navan to list my five most recent expenses.」を試し、サインインからやり直します。長く使っていなかった場合は、100日の無操作か365日の期限切れで再サインインが必要なことがあります。
最初の1週間の進め方
導入は段階を踏むと安全です。
- 管理者がSSOの有効化を済ませる(SSOの会社のみ)
- 1〜2人で接続し、直近の経費5件を取得して動作を確かめる
- 集計系の質問を、期間を絞って何度か試す
- 承認などの書き込みは、読み取りの挙動を見極めてから試す
接続の仕組みそのものは、他のコネクタとほぼ同じです。違いが出るのは、権限がNavanのロールにそのまま従う点と、SSOの会社で管理者の有効化が先に要る点の2つです。同じ業務系の例として、GRC領域ではClaude Sprinto連携があります。