Claude Mythos 5.1とは — Fable 5.1と同じ仕様で、検証済みの組織だけが使える
Claude Mythos 5.1はFable 5.1と同じ仕様・同じ$10/$50の姉妹モデルで、検証プログラムを通った組織だけが使えます。IDと提供経路、申請の流れ、Mythos 5からの移行を解説します。
Claude Mythos 5.1とは、Claude Fable 5.1と同じモデルを、Anthropicの検証プログラムを通った組織にだけ開く提供形態です。モデルIDは claude-mythos-5-1、2026年9月1日にFable 5.1と同時に出ました。コンテキスト1M・最大出力128K、単価は入力$10・出力$50。数字はFable 5.1と1つも違いません。
違うのは「誰が呼べるか」だけです。Fable 5.1は申請なしで使えますが、Mythos 5.1は検証を通っていない組織がモデルIDを指定しても使えません。
要点
- 仕様・料金・思考の挙動はFable 5.1と同一。差はアクセス条件のみ
- 入口はCyber Verification Programなどの検証プログラムへの申請
- Bedrockでのモデルは
anthropic.claude-mythos-5-1。他の3経路はclaude-mythos-5-1 - Mythos 5からの移行は、Fable 5からFable 5.1への移行とほぼ同じ作業。ただし履歴編集の扱いが違う
- Priority Tierは非対応。データ保持は30日が条件
仕様と価格 — Fable 5.1と並べると何が同じで何が違うか
Mythos 5.1のモデルページには、Fable 5.1との比較表が載っています。対象の行を抜き出すと、2つのモデルは右の列まで一致しています。
| 項目 | Fable 5.1 | Mythos 5.1 |
|---|---|---|
| コンテキスト / 最大出力 | Fable 5.11M / 128K | Mythos 5.11M / 128K |
| 入力 / 出力 | Fable 5.1$10 / $50(100万トークンあたり) | Mythos 5.1$10 / $50 |
| 遅延 | Fable 5.1遅め | Mythos 5.1遅め |
| 思考 | Fable 5.1Adaptive(常時オン) | Mythos 5.1Adaptive(常時オン) |
| 既定のeffort | Fable 5.1high | Mythos 5.1high |
| 知識の期限 | Fable 5.12026年6月 | Mythos 5.12026年6月 |
| 入出力 | Fable 5.1テキストと画像 → テキスト | Mythos 5.1テキストと画像 → テキスト |
| 利用条件 | Fable 5.1承認不要 | Mythos 5.1検証プログラムを通った組織のみ |
価格の細目も同じです。5分キャッシュ書き込みは$12.50、1時間キャッシュ書き込みは$20、キャッシュ読み取りは$0.25(いずれも100万トークンあたり)。Batch APIは入出力とも50%引きです。
キャッシュ読み取りは基本入力単価の2.5%で、Fable 5の4分の1です。Opus 5.5とSonnet 5.5は5%、それ以外のモデルは10%のままです。この単価の効き方はFable 5.1の解説で損益分岐まで扱っています。
モデルページの状態欄は「Active(verification required)」で、撤廃(retirement)は2027年9月1日より前には行われません。
モデルIDと提供経路 — Claude Platform on AWSの扱いに注意
IDはプラットフォームごとに書き方が違います。
| プラットフォーム | モデルID |
|---|---|
| Claude API | モデルIDclaude-mythos-5-1 |
| Amazon Bedrock | モデルIDanthropic.claude-mythos-5-1 |
| Google Cloud | モデルIDclaude-mythos-5-1 |
| Microsoft Foundry | モデルIDclaude-mythos-5-1 |
Fable 5.1のモデルページは、この4つに加えてClaude Platform on AWSの行(claude-fable-5-1)を持っています。Mythos 5.1のモデルページには、IDの表にも提供プラットフォームの欄にもClaude Platform on AWSの行がありません。
一方、Cyber Verification Programのヘルプセンター記事には、Claude Platform on AWSの利用者向けに、AWSアカウントのリンクと「Mythosのアクセスは承認の約5営業日後に開通する」という手順が書かれています。2つのページの記述は合っていません。Claude Platform on AWSでMythos 5.1を使う前提で話を進める前に、自分のアカウントで呼べるか、アカウント担当に確かめる必要があります。
使えるようになるまで — 検証プログラムが入口
Mythos 5.1の利用条件は、「Anthropicの検証プログラムを通った組織」です。モデルページはCyber Verification Program(CVP)を例に挙げ、「自分の用途をカバーするプログラムに申請する」と書いています。CVP以外の窓口にはAnthropicのアカウント担当への相談もあります。
CVPの審査と3段階の中身はCVPの拡大を扱った記事にあります。ここではMythos 5.1に関わる点だけを書きます。
CVP経由でMythos 5.1に届くまで
- 1
Verification Portalで申請する
Anthropicのアカウントでサインインし、Programsから「Cyber Verification Program」の申請に進みます。申請は組織ごとに1回で、1つの申請書から条件を満たす最上位の段階に配置されます。
- 2
審査結果を待つ
審査結果か追加情報の依頼は、7営業日以内のメール通知が目標です。個人の申請者はDefense Accessしか選べず、有料プランへの加入も条件です。
- 3
提供経路ごとの有効化を済ませる
Claude Consoleの組織はプログラムをワークスペースに割り当て、Claude Enterpriseはカスタムロールに割り当てます。Team・Max・Proは組織単位で付くので操作は要りません。
- 4
クラウド経由はアカウントをリンクする
AWS・Google Cloud・Azureの利用者は、Verification Portalでクラウド側のアカウントをリンクします。契約割引がある場合は、アカウント担当のフォームとMarketplaceのプライベートオファーの承諾も要ります。
クラウド経由では、Mythosのアクセスが承認より約5営業日遅れて開通すると、ヘルプセンターに書かれています。承認メールが届いた日にAPIを叩いて失敗しても、設定の誤りとは限りません。
申請手順そのものはCVPの申請手順に、ワークスペースへの割り当てはClaude ConsoleでCVPをワークスペースに割り当てる手順にまとめています。
申請前に知っておく制約
承認後も、使い道には線があります。
- 使用ポリシーは承認後も全面的に適用される
- 付与は審査し直され、範囲を狭められたり取り消されたりすることがある
- CVPのアクセスで使えるのは自組織のコード・製品・インフラに対するセキュリティ作業まで
- 顧客のコードにモデルを向ける、顧客がモデルと対話できる仕組みを作るなど「製品化」に当たる使い方は、別の申請と承認が要る
- 既存のGlasswingやCVPの参加組織は再申請が不要で、現行のモデルの権限はそのまま残る
最後の点に関わる期限が1つあります。Defense Accessは2026年12月15日までに、フィッシング耐性のある多要素認証へ移り、APIキーの利用をやめる必要があります。それまでは何らかの多要素認証が必須で、APIキーは7日ごとに失効します。
Mythos 5から5.1へ移行するときの変更点
Mythos 5を使っていた組織が5.1へ移るときは、移行ガイドの専用節に沿って進めます。基本は「Fable 5からFable 5.1」への移行と同じで、ほぼ差し替えで済みます。
model = "claude-mythos-5" # 移行前
model = "claude-mythos-5-1" # 移行後移行前に、組織がMythos 5.1へのアクセスを持っているか確かめてください。モデルIDだけ差し替えても、権限がなければ通りません。
変更点は次のとおりです。
- 強制的なtool_choiceが400になる:
{"type": "any"}と{"type": "tool", "name": "..."}はinvalid_request_errorを返します。autoに直し、userターンかターン途中のsystemメッセージで使うツールを指示し、ツール定義にstrict: trueを付けるか、JSON出力へ切り替えます - thinkingブロックを読めるモデルが限られる: Mythos 5.1のブロックを読めるのはMythos 5.1とFable 5.1だけです。Mythos 5.1自身は、Mythos 5のブロックを読めます。逆は成り立ちません
- キャッシュ読み取りがMythos 5の4分の1になる: 単価の再計算が要ります
- effortの再評価: 既定は
highです。新しく掃引してコストと遅延を取り直します
Fable 5.1との違いも1つあります。Fable 5.1は、会話の途中を編集するとその後ろのthinkingブロックが無効になる「会話チェック」を行います。Mythos 5.1はこの検査を行わないので、過去ターンの編集でブロックは無効になりません。ただしプロンプトキャッシュはどちらも編集で温め直しになるため、履歴は追記のみで組む方が安く済みます。
Claude Codeのエージェントや自作ハーネスで履歴を切り詰めている場合、Fable 5.1では壊れる処理がMythos 5.1では通ります。この差に頼った実装は、Fable 5.1に切り替えた時点で壊れます。履歴は追記のみに揃えておく構成が無難です。
Mythos 5という旧世代の位置づけはFable 5とMythos 5の登場を扱った記事にあります。
Fable 5.1と共通の制約 — 切り替える前に効くもの
2つのモデルは、API面の制約も共通です。
- 思考は常時オンで、
thinking: {type: "disabled"}も手動のbudget_tokens指定も400になる(エラーの背景) - アシスタントメッセージのprefillは400になる
- データ保持は30日が条件。ZDR(ゼロデータリテンション)の契約では、Anthropicが明示的に認めた場合を除いて使えない。保持のない組織・ワークスペースからのリクエストは
invalid_request_errorの400になる - Priority Tierは非対応。Fable 5は対応していたので、Priority Tierで運用している場合は移行で失う
- 両モデルとも「Covered Models」に指定されている
ZDRの組織はアカウント担当へ相談するか、ワークスペース単位で保持を設定します。設定の流れはZDR組織でワークスペースごとにデータ保持を有効にする手順を参照してください。
Fable 5.1とMythos 5.1はどう選び分けるか
性能は同じなので、選ぶ軸は能力ではなく、検証に通っているかと、サイバー系の作業がどこまで必要かの2つです。
| 状況 | 向くモデル | 理由 |
|---|---|---|
| 一般のコーディング・調査・文書作成 | 向くモデルFable 5.1 | 理由申請が要らず、仕様は同じ |
| 脆弱性の分析やマルウェア解析で、遮断に当たって止まる | 向くモデルMythos 5.1(CVP経由) | 理由CVPの各段階が遮断分類器を緩める |
| 検証の審査結果が出る前 | 向くモデルFable 5.1 | 理由Mythos 5.1は検証を通るまで呼べない |
| 履歴を編集するハーネスを今すぐ移したい | 向くモデルMythos 5.1(権限があるとき) | 理由会話チェックがなく、ブロックが無効にならない |
| Priority Tierで運用している | 向くモデルどちらも不向き | 理由2つとも非対応 |
遮断が出たときは、API応答の stop_details.category が cyber かどうかを見ます。拒否の区分一覧では、cyber はマルウェアやエクスプロイトの開発につながる依頼が対象で、悪意のないセキュリティ作業でも当たり得るとされています。
なお、ヘルプセンターによれば、一般提供のモデルでもコードレビュー、既知の問題のパッチ当て、自分のソースコードでの脆弱性探し、アラートの切り分けはできます。マルウェア解析やエクスプロイトの検証のような作業が止まる人が、CVPを検討する対象です。
よくある質問
Mythos 5.1の名前の読み方は?
「ミュトス」です。由来はMythosの読み方を扱った記事にあります。
個人でも使えますか?
CVPには個人の申請枠がありますが、選べるのはDefense Accessだけで、有料プランへの加入が条件です。独立の研究者・メンテナー・バグバウンティのハンターが対象で、Red Team AccessとSpecialized Accessは組織向けです。
申請なしでモデルIDだけ指定したらどうなりますか?
検証を通っていない組織には提供されません。公式ページに具体的なエラー文言は載っていないので、実際の応答は自分の環境で確かめる必要があります。