Claude Fable 5.1とは — キャッシュ読み取り$0.25と3つの破壊的変更を仕様から読む
Claude Fable 5.1はFable 5の後継で、$10/$50は据え置きのままキャッシュ読み取りが$0.25に下がりました。キャッシュの損益分岐、3つの破壊的変更、Claude CodeとAPIでの使い方をまとめます。
Claude Fable 5.1は、2026年9月1日に提供が始まったClaude Fable 5の後継モデルです。入力$10 / 出力$50(100万トークンあたり)という単価はFable 5と同じまま、プロンプトキャッシュの読み取りだけが$1から$0.25へ、4分の1に下がりました。仕様の変更点は3つの破壊的変更と5つの追加機能に集約されます。この記事では、料金とキャッシュのコスト構造、Fable 5から移るときに壊れる箇所、Claude Code・claude.ai・APIでの使い方、Opus 5との使い分けまでを扱います。
Claude Fable 5.1とは — 単価据え置きでキャッシュ読み取りだけ4分の1になったFable 5の後継
Claude Fable 5.1とは、Opusクラスの上に置かれた「Mythosクラス」の一般提供版の第2世代で、モデルIDは claude-fable-5-1 です。長時間のエージェント的コーディング、複数ステップの調査、文書・スプレッドシート・スライドの作成を強化し、6月に出たFable 5と同じ階層・同じ単価で提供されます。同じ基盤モデルに、より緩い安全装置を組み合わせたClaude Mythos 5.1(claude-mythos-5-1)は、Project Glasswingの参加組織だけが使えます。
Fable 5は「レガシー(提供継続)」に降格しました。提供終了は2027年6月9日より前には来ません。慌てて切り替える必要はないと言えます。ただし公式ドキュメントのモデル一覧はFable 5.1・Opus 5・Sonnet 5・Haiku 4.5の4つを現行として並べ、選び方の案内も「まずOpus 5、要求の厳しい推論と長時間のエージェント作業にはFable 5.1」へ書き換わっています。Fable 5固有の経緯や6月の発表内容はClaude Fable 5の仕様解説に残しているので、以降はFable 5.1で変わった箇所に絞ります。
現行4モデルの中での立ち位置は次のとおりです。
| モデル | 階層 | コンテキスト / 最大出力 | 料金(入力 / 出力、per MTok) | キャッシュ読み取り(per MTok) |
|---|---|---|---|---|
| Claude Fable 5.1 | 階層Mythosクラス(一般提供) | コンテキスト / 最大出力1M / 128K | 料金(入力 / 出力、per MTok)$10 / $50 | キャッシュ読み取り(per MTok)$0.25 |
| Claude Opus 5 | 階層Opusクラス | コンテキスト / 最大出力1M / 128K | 料金(入力 / 出力、per MTok)$5 / $25 | キャッシュ読み取り(per MTok)$0.50 |
| Claude Sonnet 5 | 階層Sonnetクラス | コンテキスト / 最大出力1M / 128K | 料金(入力 / 出力、per MTok)$2 / $10 | キャッシュ読み取り(per MTok)$0.20 |
| Claude Haiku 4.5 | 階層Haikuクラス | コンテキスト / 最大出力200K / 64K | 料金(入力 / 出力、per MTok)$1 / $5 | キャッシュ読み取り(per MTok)$0.10 |
表の最右列に目を留めてください。キャッシュ読み取りの単価だけは、Fable 5.1とOpus 5の間で階層の順序と逆転しています。最上位のFable 5.1が、Opus 5の半額です。この1点が、Fable 5.1のコスト構造を決めています。4モデルの全体像はClaudeモデル一覧に、使い分けの考え方はClaudeモデル比較にまとめています。
仕様リファレンス — 1M・128K・常時adaptive thinking・知識は2026年6月まで
主要スペックはFable 5から据え置きで、変わったのは知識の期限だけです。1Mトークンのコンテキストウィンドウは既定かつ上限で、長いリクエストに対する追加料金はありません。
| 項目 | Claude Fable 5.1 |
|---|---|
| モデルID(Claude API) | Claude Fable 5.1claude-fable-5-1 |
| コンテキストウィンドウ | Claude Fable 5.11Mトークン(既定 = 上限。全域が標準単価) |
| 最大出力 | Claude Fable 5.1128Kトークン(同期のMessages API。Message Batchesの30万トークン出力ベータの対象外) |
| thinking | Claude Fable 5.1adaptive thinkingのみ(常時オン。disabled も budget_tokens も400エラー) |
| effortの既定値 | Claude Fable 5.1high(Claude API / Claude Code)。Cowork・claude.aiでは medium |
| 確実に答えられる知識の期限 | Claude Fable 5.12026年6月(Fable 5は2026年1月) |
| tokenizer | Claude Fable 5.1Opus 4.7で導入された世代(Fable 5と同じ) |
| 提供終了 | Claude Fable 5.12027年9月1日より前には来ない |
モデルIDはプラットフォームごとに次の形式です。Claude Platform on AWSでOpus 5が提供されていない一方、Fable 5.1は提供されている点は、AWS経由で最上位モデルを使うチームの選択肢に影響します。
| プラットフォーム | モデルID |
|---|---|
| Claude API | モデルIDclaude-fable-5-1 |
| Amazon Bedrock | モデルIDanthropic.claude-fable-5-1 |
| Google Cloud | モデルIDclaude-fable-5-1 |
| Microsoft Foundry | モデルIDclaude-fable-5-1(Anthropicのインフラで稼働) |
| Claude Platform on AWS | モデルIDclaude-fable-5-1 |
thinkingの扱いはFable 5と同じです。thinking パラメータを省略するとadaptive thinkingが自動で適用され、{"type": "disabled"} も {"type": "enabled", "budget_tokens": N} も400エラーになります。生の思考過程は返らず、thinking.display の既定は "omitted"(thinkingブロックは返るが本文は空文字列)、"summarized" を指定すると要約が返ります。アシスタント側のプリフィル(応答の書き出しを指定する手法)と、既定以外の temperature / top_p / top_k も400エラーのままです。
tokenizerはFable 5と共通なので、Fable 5からの移行でトークン数の再計測は不要です。Opus 4.7より前の世代から移る場合は、同じテキストでおよそ30%多くトークンを消費します。この増分はOpus 4.7世代以降のモデル全体に共通する話で、Claudeモデルの移行ガイドで扱っています。
料金とキャッシュのコスト — $0.25の読み取り単価は実コストをどう変えるか
Fable 5.1の料金表は、キャッシュ読み取りの1行だけがFable 5と違います。この1行が「Fable 5比で典型的なワークロードは約25%、エージェント色の強い作業では最大約45%安くなる」という差を生みます。数字はいずれも2026年8月の4週間の実利用(既定effort、従量課金換算)から算出したものです。「典型」はClaude Enterprise・Claude Code・APIを横断した利用、「高エージェント」はコンテキストとツール呼び出しが重い利用を指します。
| 項目 | Claude Fable 5.1 | Claude Fable 5 | Claude Opus 5 |
|---|---|---|---|
| 入力(base) | Claude Fable 5.1$10 | Claude Fable 5$10 | Claude Opus 5$5 |
| 出力 | Claude Fable 5.1$50 | Claude Fable 5$50 | Claude Opus 5$25 |
| キャッシュ書き込み(5分) | Claude Fable 5.1$12.50(1.25倍) | Claude Fable 5$12.50 | Claude Opus 5$6.25 |
| キャッシュ書き込み(1時間) | Claude Fable 5.1$20(2倍) | Claude Fable 5$20 | Claude Opus 5$10 |
| キャッシュ読み取り | Claude Fable 5.1$0.25(0.025倍) | Claude Fable 5$1(0.1倍) | Claude Opus 5$0.50(0.1倍) |
| Batch API(入力 / 出力) | Claude Fable 5.1$5 / $25 | Claude Fable 5$5 / $25 | Claude Opus 5$2.50 / $12.50 |
すべて100万トークンあたりの米ドルです。読み取りの倍率は、Fable 5.1とMythos 5.1だけが0.025倍で、他のClaudeモデルは0.1倍のままです。書き込み単価、Batch APIの50%割引、512トークンというキャッシュ可能な最小長は変わっていません。読み取りの倍率はBatch APIの割引とも重ねて適用されます。
損益分岐は「1回読めば元が取れる」まで下がった
キャッシュは「書き込みで1.25倍(または2倍)払い、以降の読み取りを安くする」仕組みです。元が取れる回数を、base入力単価を1とした比率で並べます。
| ケース | Fable 5.1 | Fable 5 |
|---|---|---|
| 5分キャッシュ、2リクエスト | Fable 5.11.25 + 0.025 = 1.275(未使用なら2.0) | Fable 51.25 + 0.1 = 1.35 |
| 1時間キャッシュ、2リクエスト | Fable 5.12.0 + 0.025 = 2.025(未使用なら2.0) | Fable 52.0 + 0.1 = 2.1 |
| 1時間キャッシュ、3リクエスト | Fable 5.12.0 + 0.05 = 2.05(未使用なら3.0) | Fable 52.0 + 0.2 = 2.2 |
5分キャッシュは2回目のリクエストで元が取れます。これはFable 5でも同じです。差が出るのはその先で、10回、30回と読み直すほどFable 5.1の優位が積み上がります。1時間キャッシュは3回目から効き始める点も従来どおりです。ただし3回目以降の1回あたりの読み取りが4分の1になるため、長い会話ほど1時間キャッシュの2倍の書き込みを回収しやすくなりました。
具体的な数字で見ます。固定プレフィックス(システムプロンプト + ツール定義 + リポジトリの文脈)が20万トークン、これを30ターンにわたって読み直すエージェントループを想定します。各ターンで新規入力3Kトークン、出力2Kトークンが加わるものとし、キャッシュはすべて5分の有効期限内に当たると仮定した机上の計算です。
| 費目 | Claude Fable 5.1 | Claude Fable 5 | Claude Opus 5 |
|---|---|---|---|
| プレフィックス書き込み(20万トークン × 1回) | Claude Fable 5.1$2.50 | Claude Fable 5$2.50 | Claude Opus 5$1.25 |
| プレフィックス読み取り(20万トークン × 29回 = 580万トークン) | Claude Fable 5.1$1.45 | Claude Fable 5$5.80 | Claude Opus 5$2.90 |
| 新規入力(3K × 30 = 9万トークン) | Claude Fable 5.1$0.90 | Claude Fable 5$0.90 | Claude Opus 5$0.45 |
| 出力(2K × 30 = 6万トークン) | Claude Fable 5.1$3.00 | Claude Fable 5$3.00 | Claude Opus 5$1.50 |
| 合計 | Claude Fable 5.1$7.85 | Claude Fable 5$12.20 | Claude Opus 5$6.10 |
同じ処理をキャッシュなしで回すと、入力だけで20万トークン × 30回 = 600万トークン、$60かかります。Fable 5.1はキャッシュありで$7.85、Fable 5比で36%減です。注目したいのは読み取りの行で、Fable 5.1の$1.45はOpus 5の$2.90より安く付きます。プレフィックスの読み直しが支配的なワークロードでは、入力側のコストでFable 5.1がOpus 5を下回る逆転が起きます。合計で見ればまだOpus 5が安いのは、出力単価が2倍のままだからです。つまりFable 5.1のコストは「出力をどれだけ吐くか」でほぼ決まり、長い文脈を何度も読み直す作業ほど単価差が縮む構造になりました。
読み取りが安いほど「外したとき」の損失が相対的に重くなる
単価が下がると、キャッシュミス1回の痛みが相対的に大きくなります。Fable 5ではミス(base入力の1.0倍)とヒット(0.1倍)の差が10倍でした。Fable 5.1では40倍です。プレフィックスの先頭にタイムスタンプを埋め込む、ツール定義の順序をリクエストごとに変える、会話の途中でシステムプロンプトを書き換える。こうした「気づかないうちにキャッシュを壊す」実装の代償が、Fable 5.1では4倍重くなったと言い換えられます。プレフィックス一致の原則と壊れ方の型はPrompt Cachingの仕組みと適用判断で扱っています。
Fable 5.1固有のキャッシュ挙動も2つあります。1つは、後述するthinkingブロックの束縛です。Fable 5.1が生成したthinkingブロックを別のモデル(たとえばフォールバック先のOpus 4.8)へ渡すと、APIがそのブロックを落とします。落とした位置から後ろのキャッシュは、そのリクエストでは当たらなくなります。もう1つは、effortの変更です。従来はリクエスト間で effort を変えるとメッセージのキャッシュが無効になっていましたが、Fable 5.1では会話の途中にeffortだけを指定するシステムメッセージを挟むことで、キャッシュを保ったまま切り替えられます(後述)。
5分〜1時間の空白は「1時間キャッシュ」か「空リクエストで延命」か
会話と会話の間が5分以上空くと、5分キャッシュは消えます。従来の定石は1時間キャッシュ(書き込み2倍)でした。Fable 5.1では、もう1つの選択肢が現実味を帯びます。max_tokens: 0 のリクエストを期限切れの直前に送り、キャッシュの有効期限を延ばす方法です。このリクエストは出力を生成せず、content が空配列、stop_reason が "max_tokens" で即座に返り、課金はキャッシュ読み取り分だけです。
20万トークンのプレフィックスで、次の発話まで30分空く場合を机上で比べます。
| 方式 | 追加コスト(Fable 5.1) | 追加コスト(Fable 5) |
|---|---|---|
| 1時間キャッシュに切り替える | 追加コスト(Fable 5.1)書き込みが$12.50 → $20になる分の$1.50 | 追加コスト(Fable 5)$1.50 |
| 5分キャッシュのまま約4.5分ごとに空リクエスト(30分で6回) | 追加コスト(Fable 5.1)6回 × 20万トークン × $0.25 = $0.30 | 追加コスト(Fable 5)6回 × $1 × 0.2 = $1.20 |
Fable 5では両者がほぼ並んでいたのに対し、Fable 5.1では延命のほうが5分の1で済みます。空白が1時間近くまで伸びても(13回で$0.65)、1時間キャッシュの追加分を下回ります。この計算が成り立つのは読み取り単価が0.025倍になったからで、Fable 5.1で初めて選択肢に入る運用です。
{
"model": "claude-fable-5-1",
"max_tokens": 0,
"system": [
{
"type": "text",
"text": "<実リクエストと同一のシステムプロンプト>",
"cache_control": { "type": "ephemeral" }
}
],
"messages": [{ "role": "user", "content": "warmup" }]
}注意点は3つあります。cache_control は実リクエストと共有する最後のブロック(システムプロンプトやツール定義)に置き、プレースホルダーのユーザーメッセージには置かないこと。stream: true、structured outputs(output_config.format)、Message Batchesとの併用は invalid_request_error になること。そして空リクエストも1リクエストとして数えられるので、リクエスト数のレート制限(RPM)には乗ることです。キャッシュ読み取りトークンは入力トークンのレート制限(ITPM)に数えられないため、トークン側の制限には響きません。ドキュメント上の案内は長い空白には1時間キャッシュで、上の比較はあくまで単価から導いた机上の試算です。
従量課金でなければ単価の変更は効かない
キャッシュ読み取りの値下げが効くのは「トークン単位で課金される場面」に限られます。Claude APIと、各クラウド経由の従量課金、そしてサブスクリプションのusage credits(従量課金クレジット)がこれにあたります。Max・Teamのプレミアムシート・シート制Enterpriseのプレミアムシートでは、Fable 5.1はプランに含まれ、週次の使用量上限の最大50%までをFableモデルに使えます。この枠内で使う分には、キャッシュの単価は請求額に現れません。Pro・Teamの標準シート・Enterpriseの標準シートでは最初からusage credits経由で、こちらは単価が効きます。プラン別の枠と従量課金の関係はClaude料金プラン比較にまとめています。
Fable 5から移るときに壊れる3か所 — tool_choice・thinkingの束縛・履歴編集
Fable 5から claude-fable-5-1 へIDを差し替えるだけで動くケースが大半ですが、3つの変更は既存コードを400エラーで止めます。いずれもFable 5では通っていた書き方です。
1. tool_choiceの「any」「tool」が400エラーになる
tool_choice: {"type": "any"} と {"type": "tool", "name": "..."} は、Fable 5.1とMythos 5.1で invalid_request_error を返します。Messages APIだけでなく、Message Batches APIとトークンカウントのエンドポイントでも同じ検証が走ります。エラー文は次のとおりです。
tool_choice: type "tool" and "any" are not supported for this model.これはモデル固有の制限で、同じく常時thinkingのFable 5やOpus 5は強制指定を受け付けます。Fable 5.1でツール呼び出しを強制するとモデルは思考を飛ばし、考えるべき内容をツール引数の中に書き込んでしまい、引数の品質が落ちます。{"type": "auto"}(既定)と {"type": "none"} は従来どおり使えます。disable_parallel_tool_use: true も auto と組み合わせて動きますが、意味は「最大1回」に変わり、any と組み合わせて得られていた「必ず1回」の保証はなくなりました。
代替は用途で分かれます。
| 強制していた目的 | Fable 5.1での置き換え |
|---|---|
| スキーマどおりのJSON引数を保証したい | Fable 5.1での置き換えtool_choice: auto のまま、ツール定義に strict: true(スキーマに additionalProperties: false) |
| ツールを経由せずJSONだけ欲しい | Fable 5.1での置き換えstructured outputs(output_config.format)へ移す |
| 特定のツールを必ず呼ばせたい | Fable 5.1での置き換えプロンプトに「get_weather ツールで答えてください」のように明示する。Fable 5.1は明示的なツール指示に確実に従う |
2. Fable 5.1のthinkingブロックは古いモデルが読めない
すべてのthinkingブロックは、どのモデルが生成したかを記録しています。Fable 5.1はOpus 5・Fable 5・Mythos 5・それ以前のモデルのブロックを読めますが、逆方向は成り立ちません。Fable 5.1のブロックを読めるのはFable 5.1とMythos 5.1だけです。
会話の途中でモデルが切り替わる場面があります。たとえばルーターによる振り分けや、安全分類器の拒否でOpus 4.8へフォールバックしたときです。APIはその会話に含まれるFable 5.1のブロックを落としてからモデルに渡します。落とされたブロックは input_tokens に数えられず、課金もされません。切り替え先のモデルはそれまでの推論を持たないまま応答するので、切り替え直後のターンはコストとレイテンシが上がりがちです。thinking-binding-controls-2026-08-01 ベータヘッダーを付けると、落とされたブロックが報告されます。場所はレスポンス最上位の input_transformations 配列で、reason は "model_binding_mismatch" です。付けなければ、報告なしに落とされます。
自前でブロックを削る必要はありません。むしろ削ると順序や署名の400エラーを招くので、thinkingブロックは受け取ったまま返し、落とす判断はAPIに任せる設計になっています。
3. 会話の途中を編集すると、それより後ろのthinkingブロックが無効になる
3つ目が最も影響範囲の広い変更です。Fable 5.1のthinkingブロックは、それより前にある system プロンプト・tools 配列・すべてのメッセージが変わっていないことを前提に有効です。次のような操作をすると、それ以降のthinkingブロックがすべて無効になります。
- 過去のターンを編集・並べ替え・削除する(古いツール結果を自前で消す操作も含む)
- リマインダーやステータス行のようなリクエストごとの文言を過去のターンに差し込み、次のリクエストで消す
- 会話の途中で最上位の
systemプロンプトやtools配列を組み直す - 過去のターンで参照した画像やドキュメントのURLが、次のリクエストで別のバイト列を返す(署名付きURLの回転は同じ内容なら問題なし)
逆に、次の操作は無効化を起こしません。先頭側のthinkingブロックを古い順に取り除くこと、サーバー側のcompactionやcontext editingで履歴を刈ること、cache_control の位置を動かすこと、リクエスト間で effort を変えることです。
無効なブロックを含むリクエストは、検証が有効なアカウントでは The block is bound to a different conversation という文言を含む400エラーで拒否されます。検証が有効なのは2026年8月31日以降に作成された新規アカウントで、それ以前のアカウントでは記録だけ残り、thinking.block_binding.prefix_mismatch_behavior を明示的に設定したリクエストでのみ作動します。今後のモデルでは全アカウントに適用される予定です。Mythos 5.1はこの検証を行いません。
この変更の目的は、蒸留(distillation)対策です。多ターン会話でClaudeの過去の文脈を手で編集しながら思考の記録を保つ手口は、公開されている蒸留手法の1つでした。新規アカウントからこの経路を塞ぎ、既存アカウントには段階的に広げる方針です。
エラーではなく「落として続行」を選ぶなら、ベータヘッダーと合わせて次のように指定します。
{
"model": "claude-fable-5-1",
"max_tokens": 4096,
"thinking": {
"type": "adaptive",
"block_binding": { "prefix_mismatch_behavior": "drop_block" }
},
"messages": ["...thinkingブロックを含む履歴をそのまま..."]
}ヘッダーは anthropic-beta: thinking-binding-controls-2026-08-01 です。drop_block を指定すると、最初に不一致だったブロックとそれ以降のthinkingブロックが落とされ、input_transformations に reason: "prefix_binding_mismatch" として記録されます。落とすのはそのリクエスト限りなので、履歴を直さない限り毎回指定し続けることになります。
Claude Code・claude.ai・Managed Agents・Agent SDKは会話の前提部分を崩さない設計になっているため、これらの上で使う分には意識する必要がありません。影響を受けるのは、messages 配列を自前で組み立てている実装です。自分のコードが履歴を編集しているかどうかは、drop_block を指定したセッションを1本走らせ、input_transformations が毎回空配列かを見れば分かります。1件でも prefix_binding_mismatch があれば、その path より前の何かがリクエスト間で変わった証拠です。この束縛制御のベータ(ヘッダー・prefix_mismatch_behavior・input_transformations)が提供されているのはClaude APIとClaude Platform on AWSです。Amazon BedrockとGoogle Cloudにはモデルごとに順次入り、それまではヘッダーが拒否されます。Microsoft Foundryでは提供されないため、そこでの復旧は自分でthinkingブロックを取り除いて再試行する形です。
履歴を編集していたハーネスの書き換え先(追記専用にする)
| これまでの操作 | 追記専用の置き換え |
|---|---|
| セッション途中でシステムプロンプトを書き換える | 追記専用の置き換え最上位の system は固定し、変更が生じた位置に {"role": "system", "content": "..."} メッセージを追加する(ベータヘッダー不要) |
途中で tools 配列を組み替える | 追記専用の置き換え全ツールを最初に宣言し(隠すものは defer_loading: true)、role: "system" メッセージの tool_addition / tool_removal ブロックで変更する(ベータ mid-conversation-tool-changes-2026-07-01) |
| ターンごとのリマインダーを差し込んで次で消す | 追記専用の置き換えclear_at: "next_user_message" 付きのシステムメッセージを追加し、過去の分も消さずに残す(後述) |
| 古いツール結果を自前で削る | 追記専用の置き換えサーバー側のcontext editing(ツール結果の消去)かcompactionに任せる |
| クライアント側で要約して圧縮する | 追記専用の置き換え要約を1メッセージにして、それ以降は新しい発話だけを送る「単純圧縮」にする。直近ターンを原文のまま残す方式は、残したターンのthinkingブロックが無効になるため drop_block 指定かブロックの除去が要る |
| 画像・文書をURLでターンをまたいで参照する | 追記専用の置き換えFiles APIに1回アップロードして file_id で参照するか、base64で送る |
新しく増えた4つの機能 — 会話途中のeffort変更・ターン限定のシステムメッセージ・進捗表示・透かし
破壊的変更の裏側で、追記専用の会話を組みやすくする機能が3つ、ベータで加わりました。いずれもキャッシュを壊さずに「途中で何かを変える」ための道具です。4つ目は出力への来歴情報の付与で、前述のキャッシュ単価と合わせて公式は「5つの追加」と数えています。
会話の途中でeffortを変える(ベータ)
role: "system" のメッセージに content: [] と output_config: {"effort": "..."} を持たせて messages に挟むと、次のユーザーターンからeffortが切り替わります。プロンプトキャッシュは保たれたままです。ベータヘッダーは mid-conversation-output-config-2026-07-01。対応するのはFable 5.1・Mythos 5.1・Opus 5で、いずれもClaude API上です。Fable 5はこのメッセージを受け取ると400エラーを返します。
{
"model": "claude-fable-5-1",
"max_tokens": 4096,
"output_config": { "effort": "high" },
"messages": [
{ "role": "user", "content": "SQLiteからPostgreSQLへの移行計画を3ステップで" },
{ "role": "assistant", "content": "1. データをエクスポート 2. スキーマを作成 3. インポートして行数を検証" },
{ "role": "system", "content": [], "output_config": { "effort": "low" } },
{ "role": "user", "content": "計画を1文で要約して" }
]
}effortだけのメッセージは本文を持たないため、通常のシステムメッセージに課される配置ルール(ユーザーメッセージの直後に置く等)の対象外で、messages のどこにでも置けます。下げる方向は確実に効き、上げる方向は low から xhigh のような大きな跳びで効きやすいとされています。最上位の effort をリクエスト間で変える従来の方法には難点が2つあります。キャッシュを壊すうえに、モデルが前のeffortで書いた自分の応答に引きずられて切り替わりにくいのです。Fable 5.1では、こちらの形が第一候補になります。effortの5段階そのものの説明はClaude Codeのeffort設定にあります。
ターン限定のシステムメッセージ(ベータ)
role: "system" のメッセージに clear_at: "next_user_message" を付けると、その本文は現在のターンにだけシステムプロンプトの権限で効き、後続のユーザーメッセージが現れた時点で描画されなくなります。メッセージ自体は履歴に残り続けるので、そのまま送り返す限りキャッシュもthinkingブロックも保たれ、描画されなくなったメッセージは入力トークンを消費しません。ベータヘッダーは mid-conversation-system-clear-at-2026-08-21。
{
"role": "system",
"clear_at": "next_user_message",
"content": "結果は受信箱に届いています。次のコードを実行する前に確認してください。"
}主な用途は、ツールループの中でターンごとに差し込むリマインダーです。従来は「差し込んで次のリクエストで消す」しかなく、それは履歴の編集でした。Fable 5.1ではそれが、後ろのthinkingブロックを無効化する操作に変わります。正しい使い方は、tool_result を含むユーザーメッセージの後ろに毎回新しいコピーを追加し、古いコピーは残したままにすること。ツール結果だけのユーザーメッセージも「次のユーザーメッセージ」に数えられるので、古いコピーはすでに消えた扱いです。モデルが読むのは最新の1つだけ。
ツール呼び出しの間の進捗を受け取る(ベータ)
Fable 5.1は、ツール呼び出しの合間に「何が分かったか、次に何をするか」の短い進捗を書きます。これはツール呼び出しの直前に独立したthinkingブロックとして返るため、既定の display: "omitted" では中身が空で届きます。長いエージェントターンは、利用者から見ると止まっているように映ります。thinking.display に "updates" を指定すると、推論は隠したまま進捗だけがテキストで返ります。ベータヘッダーは thinking-display-updates-2026-08-18 で、Fable 5にも適用できます。
本文が空でないthinkingブロックはすべて進捗として扱い、ステータス行に出します。空のブロックは何も表示しません。実装はこの2つで足ります。ストリーミングでは thinking_delta イベントとして先に流れてきます。
出力に来歴情報が付く
Fable 5.1とMythos 5.1が生成したテキストには、統計的な透かしが埋め込まれます。トークンや不可視文字を追加するものではなく、出力の意味・品質・可読性を変えず、利用者や組織の情報も含みません。リクエストやレスポンスの処理に変更は不要。これは2026年7月にAnthropicが署名したEU AI法の「AI生成コンテンツの透明性に関する行動規範」への対応で、対象は2026年8月2日以降にリリースされたモデルの出力です。検出APIはプライベートプレビューで、規制当局・報道機関・研究者などの適格組織から順に開放されます。
加えて、コード実行ツールで生成した画像・動画ファイルをClaude APIのFiles API経由で取得すると、署名付きのC2PA Content Credentialsが付与されます。マニフェストの分だけファイルサイズとチェックサムがコンテナ内のものと変わるので、生成ファイルの整合性を検査している実装は署名付きメディアだけ扱いを分ける必要があります。
Fable 5と同じプロンプトで何が変わるか — 挙動の差分と対処
APIの形は変わらなくても、同じプロンプトに対する振る舞いが変わる箇所があります。プロンプトガイドに対処が載っている項目を並べます。
| 変化 | 現れ方 | 対処 |
|---|---|---|
| 並列ツール呼び出しが減る | 現れ方次に読むべき対象が暗黙のときに、Fable 5がまとめて呼んでいた場面で1ターン1呼び出しになる。答えの質は変わらず、往復回数と時間が増える | 対処ツール結果を返すたびに「まず必要なものを内心で列挙し、互いに依存しないものを1回で全部要求する」旨の1文をターン限定システムメッセージで添える |
| 進捗の文章が減る | 現れ方長いツールループで利用者向けの文が減り、effortが高いほど顕著 | 対処display: "updates" を有効にし、「最後にまとめて報告」を求める既存のプロンプト文を外す |
low effortで記憶から答える | 現れ方検索・取得ツールを呼ぶ頻度が下がる | 対処鮮度が要るターンだけeffortを上げる(会話途中の変更が使える) |
| 文章が密になる | 現れ方文が長く、段落の切れ目が少ない | 対処「飾った文体を避け、字義どおりの表現を使う」旨をセッション最初のユーザーターンに置く |
| チャットでの装飾が減る | 現れ方太字・見出し・箇条書きを以前より使わない | 対処旧モデル向けの「装飾禁止」を外し、装飾が要る条件を書く |
| 要約で引用符を付けずに原文を写す | 現れ方文書要約で出典の文をそのまま使いやすい | 対処正しい要約の完全な例を1つシステムプロンプトに置く |
| 小さな修正でファイル全体を書き直す | 現れ方結果は同じだが出力トークンと時間が増える | 対処「結果が変わらないならファイル全体でなく局所を編集する」と指示する |
effortについては、Fable 5の各レベルと同じ量の思考をするわけではないので、Fable 5でスイープ済みでもやり直しが要ります。案内は「high から始め、能力が効く作業だけ xhigh / max、品質が保てると分かった定型作業は medium / low へ」です。medium ではFable 5と同等の結果が、より低コストで出るとされています。low でもOpusやSonnetとタスク単価で競り合い、上回るケースがあるといいます。Claude Codeでの既定は high、Coworkとclaude.aiでは medium です。
xhigh と max には固有の注意点があります。長い成果物(文書全文の書き直し、大きな表、完全なコードファイル)を1リクエストで求めると、モデルが思考の中で大半を下書きしてから改めて本文に書き出し、待ち時間と出力トークンがおよそ2倍になることがあります。この2段階では high で運用し、品質差を測ってから上げるのが第一案です。
安全装置とデータ保持 — 誤検知60%減、脆弱性の発見は許可、ZDRはEFSまでの経過措置
安全分類器の対象カテゴリー(サイバー・生物・推論抽出)はFable 5と同じで、拒否はHTTP 200の stop_reason: "refusal" と、発火した領域を示す stop_details で返ります。出力前の拒否は課金されません。変わったのは精度と許可範囲です。
サイバーセキュリティでは、Fable 5.1をソフトウェアの脆弱性の発見に使えるようになりました。エクスプロイトの開発は引き続き対象外で、ペネトレーションテスト・エクスプロイト生成・バイナリベースの脆弱性スキャンといった両用(dual-use)の作業はOpusモデルへ転送されます。この見直しで、Claude Codeの利用者が体感するサイバー分類器の介入は、Fable 5の従来の分類器と比べてセッションあたり平均で約60%減。生物学では、8月に入った分類器の更新(良性の初等生物学・医療の質問に対する発火が85%減)がFable 5.1にも引き継がれ、ライフサイエンスの研究開発に関わる照会はOpusへ向かいます。誤検知が減った経緯はFable 5の生物学セーフガード更新にまとめています。
APIでの回復手段は、サーバー側の fallbacks パラメータ(ベータ)、SDKのミドルウェア、自前の再試行の3つです。fallbacks: "default" を指定すると、拒否のカテゴリーに応じてAnthropicが推奨するモデルへ同じ呼び出しの中で再試行されます。Fable 5.1のフォールバック先として許可されているのはOpus 4.8とOpus 5で、切り替え先でプロンプトキャッシュを作り直す費用はfallback credit(ベータ)で払い戻されます。
import Anthropic from "@anthropic-ai/sdk";
const client = new Anthropic();
const response = await client.beta.messages.create({
model: "claude-fable-5-1",
max_tokens: 16000,
betas: ["server-side-fallback-2026-07-01"],
fallbacks: "default",
messages: [{ role: "user", content: "このリポジトリのビルド失敗の原因を調べて" }],
});
if (response.stop_reason === "refusal") {
// フォールバック先も拒否した。stop_details.category で領域を確認する
} else {
// response.model が実際に応答したモデル。フォールバック時は Opus 系になる
}このとき、前述のとおりFable 5.1のthinkingブロックはフォールバック先が読めないため、APIが落としてから再試行します。Claude Codeでは、生物学でフラグされた依頼はOpus 5へ、サイバーでフラグされた依頼はOpus 4.8へ自動で再実行され、通知が出ます。会話の途中でモデルが切り替わったときの挙動と戻し方はFable 5のモデル切り替えが起きる理由と解除方法で扱っています。
データ保持は、Fable 5と同じくCovered Models指定で30日保持が必須です。ゼロデータ保持(ZDR)は「Anthropicが明示的に認めた場合」を除いて適用できず、要件を満たさない組織からのリクエストは400エラーになります。ここに経過措置が加わりました。顧客自身のクラウドにデータを置いたまま悪用検知を行うEnterprise Frontier Safeguards(EFS)が2026年秋から段階的に提供されます。EFSの対象となる顧客は、EFSが整うまでの間Fable 5.1(とFable 5)をZDRで使えます。EFSはClaude Code・Claude Enterprise・Claude Platform・Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS・Google Agent Platform・Microsoft Foundryで対応予定です。ZDR契約の組織は、この経過措置の対象になるかをアカウント担当に確認する流れになります。
提供条件で2点、Fable 5から後退した箇所があります。Priority Tier(優先処理枠)はFable 5.1・Mythos 5.1に対応しません。Fable 5は対応していたので、Priority Tierで運用中の組織は移行で失います。レート制限はFable 5.1とFable 5の合算で1つの「Fable 5.x」枠として数えられるため、移行期間に両方を並走させるなら、枠の余裕を見直す必要があります。
Claude Code・claude.ai・APIでの使い方
どの利用形態でも、Fable 5.1は既定モデルになりません。明示的に選ぶ操作が要ります。
Claude Code:v2.1.255以降で「/model fable」がFable 5.1になる
Claude CodeでFable 5.1を使うにはv2.1.255以降が必要です。fable エイリアスの解決先は、ANTHROPIC_DEFAULT_FABLE_MODEL を設定していない限りFable 5.1になり、v2.1.255より前はFable 5でした。changelogではv2.1.257の項でFable 5.1の追加と既定化が告知されています。
claude update
claude --model fable/model fable移行の手間を省く仕掛けが1つあります。対象は、v2.1.255より前に /model ピッカーでFableを選び、ユーザー設定に claude-fable-5 や claude-fable-5[1m] が保存されているケースです。Anthropic APIに直接つないでいれば、v2.1.255以降の初回起動時にその値が fable / fable[1m] エイリアスへ1度だけ書き換わります。起動時のモデル表示は (auto-updated)。以後はエイリアス経由で最新のFableに追随する形です。逆にFable 5を使い続けたい場合は、/model claude-fable-5 のようにモデルIDで選びます。
Claude apps gatewayを経由するセッションだけは例外で、ゲートウェイ側がFable 5.1に対応するまで fable と best はFable 5に解決されます。/model でFable 5.1を直接選べば使えます。エイリアスの解決先を固定する環境変数の使い方はANTHROPIC_DEFAULT_FABLE_MODELの解説にあります。
usage creditsに課金される前には、対話セッションでは同意プロンプトが出ます(組織課金のEnterpriseメンバーには出ません)。-p の非対話モードとAgent SDKではプロンプトなしで課金されるので、自動化で回すときは枠の消費を先に見積もっておく箇所です。Fableモデルだけプロンプトキャッシュを無効にする DISABLE_PROMPT_CACHING_FABLE=1 と、1Mコンテキストを200Kに抑える CLAUDE_CODE_DISABLE_1M_CONTEXT=1 の環境変数もあります。
effortの既定は high です。v2.1.257からは /effort に、現在のセッションだけ変える s の指定が加わり、/model と同じ操作感になりました。thinkingをオフにする手段がないのはFable 5と同じで、MAX_THINKING_TOKENS=0 も効きません。
claude.ai・Cowork:有料プランのモデルピッカーから選ぶ
Fable 5.1はPro・Max・Team・Enterpriseの全有料プランで使え、無料プランでは使えません。Web・デスクトップ・モバイルのモデルピッカーに「Fable 5」と「Fable 5.1」が並び、選ぶだけで切り替わります。Coworkで使うにはClaude Desktopが最新である必要があります。effortの既定はCoworkとclaude.aiでは medium です。
| プラン・シート | Fable 5.1の扱い |
|---|---|
| Max / Teamプレミアムシート / シート制Enterpriseプレミアムシート | Fable 5.1の扱いプランに含まれる。週次上限の最大50%までFableモデルに使え、超えたらusage creditsか他モデルへ |
| Pro / Team標準シート / シート制Enterprise標準シート | Fable 5.1の扱いプランの枠には含まれず、最初からusage credits経由 |
| 従量課金Enterprise / Claude API | Fable 5.1の扱い標準のAPI料金 |
| Free | Fable 5.1の扱い対象外 |
7月に終了したFable 5の無償同梱プロモーション(週次上限の50%までを追加費用なしで)はFable 5だけが対象で、Fable 5.1は最初からその外にあります。Pro・Team標準シートで7月に配られた一時クレジットも、Fable 5.1には相当するものがありません。
API:モデルIDを差し替え、3つの破壊的変更を潰す
Messages APIでは model を claude-fable-5-1 にするだけで、1Mコンテキストとadaptive thinkingが既定で有効になります。前述の3か所(強制ツール呼び出し、thinkingブロックの束縛、履歴の編集)を確認したうえで、次の順に整えるのが公式の移行手順です。
tool_choiceのany/toolを外し、スキーマ保証はstrict: trueかstructured outputsへ移す- thinkingブロックを受け取ったまま返し、履歴を追記専用にする。
messagesを自前で組んでいるならdrop_blockで1セッション流してinput_transformationsを確認する - effortを
highから再調整し、1セッション固定でなく会話途中の変更を検討する - エージェントループで1ターン1呼び出しに落ちていないかを見て、必要なら並列化の1文を足す
- 評価を回し直す。拒否処理・フォールバック・トークン数は据え置き、キャッシュ読み取りが下がり、既定の挙動が前節のとおり変わる
Opus 5から移る場合の差分は、これに加えて次の5点です。
thinking: {"type": "disabled"}がどのeffortでも400になる(Opus 5ではhigh以下で許容)- ツール呼び出しの合間の文が
textブロックでなくthinkingブロックになる - 分類器の対象がサイバーだけでなく生物・推論抽出にも広がる
- ZDRが使えなくなる
- 単価が$5 / $25から$10 / $50へ2倍になる
Opus 4.8以前からなら、さらにOpus 5への移行手順を先に適用します。
Opus 5・Fable 5とどう使い分けるか
公式の順序は「大半の作業はOpus 5から。要求の厳しい推論と長時間のエージェント作業、またはOpus 5を高effortで回しても評価が届かないときにFable 5.1」です。この並びはFable 5のときと同じで、Fable 5.1で変わったのは、Fable系を選ぶ閾値がコスト面で下がったことです。
発表で示されたベンチマークを、Fable 5・Opus 5と並べます。Fable 5.1は本番の安全装置を有効にしたまま測定されており、分類器が介入したタスクはOSWorld 2.0では0点、その他ではOpus 4.8(サイバー)・Opus 5(生物)が処理した結果です。
| 評価 | Claude Fable 5.1 | Claude Fable 5 | Claude Opus 5 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench-Science 0.1(科学研究のエージェント) | Claude Fable 5.152.6% | Claude Fable 524.7% | Claude Opus 529.0% |
| Terminal-Bench 4.0(端末上のコーディング) | Claude Fable 5.155.8% | Claude Fable 542.0% | Claude Opus 552.3% |
| GDPval-AA v2(知識労働) | Claude Fable 5.11853 | Claude Fable 51723 | Claude Opus 51824 |
| OSWorld 2.0(コンピューター操作、strict) | Claude Fable 5.141.7% | Claude Fable 536.1% | Claude Opus 539.6% |
| Humanity's Last Exam(ツールなし) | Claude Fable 5.160.9% | Claude Fable 557.8% | Claude Opus 556.6% |
| AutomationBench(業務ワークフロー) | Claude Fable 5.131.4% | Claude Fable 517.1% | Claude Opus 526.9% |
| CursorBench 3.2.0(エージェント的コーディング) | Claude Fable 5.173.4% | Claude Fable 570.5% | Claude Opus 570.0% |
Terminal-Bench-Scienceの標準誤差は各モデル±3.5〜4.5ポイントで、公開リーダーボードの値(Opus 5が30.0%、Fable 5が21.4%)とは測定環境が異なります。OSWorld 2.0は2026年8月のタスクセットで3モデルを再測定した値で、以前の公開値とは比較できない数字です。
Fable 5と比べたときの伸びは、科学研究とビジネスワークフローで2倍前後、コーディング系で3〜14ポイントです。Opus 5に対しては、Fable 5がCursorBenchで0.5ポイント差まで詰められていた関係が、Fable 5.1で3.4ポイント差に開き直しました。7月の時点で「Opus 5がFable 5に半額で並ぶ」と読めた関係は、Fable 5.1の登場で「Fable 5.1が一段上、Opus 5がその半額」という6月以前の階段に戻っています。Fable 5とOpus 5の関係はFable 5とOpus 5の違いで扱っています。
| タスクの性質 | 候補 | 理由 |
|---|---|---|
| 数時間規模の自律実行、複数リポジトリの横断調査 | 候補Fable 5.1 | 理由長時間の自律コーディングと長文脈の想起が強化された領域。キャッシュ読み取りの安さも長い作業ほど効く |
| 文書・スプレッドシート・スライドを白紙から完成まで | 候補Fable 5.1 | 理由知識労働(GDPval-AA v2)で1853とOpus 5の1824を上回り、業務ワークフローでは2倍前後の伸び |
| 設計・レビュー・エージェント運用の日常 | 候補Opus 5 | 理由公式の出発点。単価が半分で、ZDRも使える |
| 短い定型処理を高頻度で回す | 候補Opus 5 / Sonnet 5 | 理由出力単価$50が効くので、Fable 5.1のキャッシュ優位が出にくい |
| ペネトレーションテスト・エクスプロイト生成・ライフサイエンス研究 | 候補Opus 5 | 理由分類器がOpusへ転送する領域。最初からOpus 5にするほうが運用が単純 |
| Priority Tierで運用中 | 候補Opus 4.8 / Fable 5 | 理由Fable 5.1はPriority Tier非対応 |
| コスト最優先でFable系を試す | 候補Fable 5.1(medium / low) | 理由medium でFable 5相当の結果がより安く、Fable 5に戻る理由はほぼない |
Fable 5を使い続ける理由は、Priority Tierと強制ツール呼び出しへの依存の2つに絞られます。単価が同じでキャッシュ読み取りだけ4分の1、medium でFable 5並みという条件では、Fable 5.1へ寄せるほうがコストも品質も揃います。逆にOpus 5との使い分けは、以前より判断が難しくなりました。出力が多い作業ではOpus 5が半額のまま、文脈の読み直しが多い作業では入力側でFable 5.1が逆転します。同じ「エージェント」でも、出力偏重か読み直し偏重かで答えが変わります。自分のワークロードの usage を取り、出力トークンと cache_read_input_tokens の比率を見てから決めるのが、最も外れの少ない順序です。
よくある質問
Mythos 5.1はどうすれば使えますか?
Project Glasswingの参加組織向けに、2つの信頼アクセス制度を通じて提供されます。サイバー防御向けのCyber Verification Programは、Mythosクラスが対象に加わる予定で、受け付けているのは関心登録です。ライフサイエンス向けのLife Sciences Verification Programは最初の参加者が登録済みです。対象は米国の組織で、アクセスの相談先はAnthropic・AWS・Google Cloudのアカウント担当です。仕様と単価はFable 5.1と同じ。Bedrockでは anthropic.claude-mythos-5-1 として提供されます。
既存アカウントでも履歴編集の検証を試せますか?
試せます。thinking-binding-controls-2026-08-01 ヘッダーを付けたうえで、thinking.block_binding.prefix_mismatch_behavior に "error" か "drop_block" を明示します。そのリクエストは検証の対象です。CIでは "error" にしておくと、履歴を編集する変更が入った時点で落ちます。
fallbacksでOpus 4.8へ切り替わった会話を、後でFable 5.1に戻せますか?
戻せます。Fable 5.1はOpus 4.8やOpus 5が生成したthinkingブロックを読めるので、フォールバック先で進んだ会話をそのままFable 5.1に渡しても推論は引き継がれます。失われるのは逆方向、つまりFable 5.1のブロックをOpusへ渡すときだけです。
まとめ
Claude Fable 5.1は、$10 / $50の単価と1M・128Kの仕様をFable 5から引き継ぎ、キャッシュ読み取りだけを$0.25へ下げたモデルです。この1点で、長い文脈を何度も読み直す作業ではFable 5比で最大45%、入力側だけならOpus 5を下回る水準までコストが動きます。代わりに、強制ツール呼び出しの廃止、thinkingブロックのモデル束縛、履歴編集の検証という3つの破壊的変更が入り、会話を追記専用に組む設計が前提になりました。会話途中のeffort変更とターン限定のシステムメッセージは、その前提の下で「途中で変える」ための道具です。
Claude Codeならv2.1.255以降で /model fable、APIならモデルIDの差し替えと3か所の確認で移れます。Fable 5に留まる理由はPriority Tierと強制ツール呼び出しくらいで、Opus 5との使い分けは「出力偏重ならOpus 5、読み直し偏重ならFable 5.1」へ軸が移りました。自分のワークロードの usage から出力トークンとキャッシュ読み取りの比率を出すところが、判断の起点です。