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NPO法人会計基準で活動計算書を作成する — Claudeで事業費・管理費に配賦する手順

NPO法人会計基準で活動計算書を作成する — Claudeで事業費・管理費に配賦する手順

仕訳データから活動計算書を作る手順です。事業費と管理費の判定、共通経費の按分、使途が制約された寄付金の扱いをClaude for Excelで検算します。

NPO法人の活動計算書は、企業の損益計算書と並びが違います。収益は会費・寄付金・助成金・事業収益に分かれ、費用は事業費と管理費に分けてから、それぞれを人件費とその他経費に分けます。仕訳データを集計しただけでは完成せず、共通経費を事業と管理部門に配る作業が必ず挟まります。

Claude for Excelは、この配賦をExcelの数式として組み、按分前後の合計が合っているかを検算するところまでを受け持てます。何を事業費と見なすか、どの比率で按分するかは、法人が決めて毎年同じ方法で続ける事柄です。この記事では、その決め方をNPO法人会計基準の本文・注解・Q&Aに沿って整理し、決めた内容をExcelに落とす順番を示します。数値例の金額は説明用の仮の値です。

活動計算書は何で区切られているか

最初に、完成形の区分を押さえます。注解(注1)は、活動計算書を経常収益、経常費用、経常外収益、経常外費用に区分すると定めています。

区分中身Excelの列で持つもの
経常収益中身受取会費、受取寄付金、受取助成金等、事業収益、その他収益Excelの列で持つもの収益の種類
経常費用中身事業費と管理費。それぞれを人件費とその他経費に分けるExcelの列で持つもの部門(事業名か管理)と、人件費かその他経費か
経常外収益・費用中身固定資産の売却損益など通常の活動以外のものExcelの列で持つもの経常外フラグ

人件費は、役員報酬、給料手当、臨時雇賃金、福利厚生費、退職給付費用などを指します(注1)。人件費以外はその他経費です。

つまり仕訳1行に必要な情報は、勘定科目と金額に加えて、どの事業か管理部門か、人件費かその他経費か、の3つです。勘定科目だけの仕訳にこの情報を足す作業が、配賦の正体です。

事業費か管理費かを先に決める

基準は、事業費を「目的とする事業を行うために直接要する人件費およびその他経費」(注4)、管理費を「各種の事業を管理するための費用」と定めています。管理費の例として、総会・理事会の開催運営費、管理部門の役職員の人件費、管理部門の事務所の賃借料や光熱費が挙がっています。

判断に迷う場面を、協議会のQ&Aは次のように整理しています。

  • 管理部門の業務は、総会や理事会などの組織運営、会報やホームページなどの広報、会費や特定事業向けでない寄付金の募集、経理、人事労務、監事による監査の6つ
  • 講師への謝金、会場の賃借料、チラシの印刷費のように、特定の事業の費用と分かるものは事業費
  • 特定の事業のためのファンドレイジング費は事業費、そうでなければ管理費として説明されている(各法人の実態に応じた処理を認める注記つき)

この線引きは、Claudeに一から考えさせないほうが安全です。勘定科目ごとの既定の区分を自分で表にしておき、その表を渡して仕訳に当てはめさせます。

勘定科目既定の区分備考
講師謝金既定の区分事業費(事業名を指定)備考特定の事業に紐づく
総会開催費既定の区分管理費備考組織運営
給与手当既定の区分共通経費備考従事割合で按分
地代家賃既定の区分共通経費備考建物面積比で按分
ファンドレイジング費既定の区分特定事業向けなら事業費、それ以外は管理費備考法人の方針を決めて継続

共通経費の按分比率を決める

事業と管理部門、または複数の事業にまたがる経費が共通経費です。人件費、地代家賃、水道光熱費、通信運搬費、消耗品費、減価償却費などが典型で、協議会のQ&Aは、按分しないと活動計算書は作成できないと説明しています。

按分の方法は4種類が例示されています。

按分方法

按分の基準になる比率

  • 従事割合

    日報などから出した従事時間(日数)の比。標準時間を決めて例外だけ記録する方法、延べ人数の比も挙がっています。

  • 使用割合

    通信記録や車両の走行距離などの使用量の比、または延べ利用者数の比です。

  • 建物面積比

    各事業と管理業務が使っている面積の比です。

  • 職員数比

    各事業と管理業務に従事している職員数の比です。

Q&Aは、事業内容に変更があるなど正当な理由がない限り、毎年同じ方法で按分するよう求めています。比率が年間で一定と見込めるなら、一定期間で出した比率を通年使ってもよい、とも書かれています。按分にかける手間は、経費の内容と金額の大きさに応じて法人が加減できます。

設例: 月60万円の給与手当を配る

Q&Aの設例では、職員3名の1か月の給与手当が合計60万円です。従事時間はA事業240時間、B事業180時間、C事業0時間、管理60時間で、合計480時間になります。

A事業B事業C事業管理部門合計
従事時間A事業240hB事業180hC事業0h管理部門60h合計480h
従事割合A事業50%B事業37.5%C事業0%管理部門12.5%合計100%
按分後の給与手当A事業300,000円B事業225,000円C事業0円管理部門75,000円合計600,000円

地代家賃にも同じ考え方を使えます。以下は仮の数値で、月額12万円の事務所を建物面積比(A事業24平方メートル、B事業12平方メートル、管理4平方メートル)で配ると、A事業72,000円、B事業36,000円、管理12,000円になります。

収益側は按分しない

按分するのは費用だけです。Q&Aは、会費・寄付金・助成金・事業収益といった収益は按分の対象ではないと明記しています。

  • 事業収益、補助金、助成金、事業目的で使途が特定された寄付金は、それぞれの事業の収益として記載する
  • 正会員・賛助会員の会費と使途不特定の寄付金は、法人の実態に応じて事業か管理部門の収益として記載できる(設例では全額を管理部門に計上)

収益の計上時点にも決まりがあります。受取会費は、確実に入金されることが明らかな場合を除き、入金したときに収益にします(本文12)。受取寄付金は、確実に入金されることが明らかになったときです(本文13)。翌期以後に属する会費の前受けは、当期の収益にせず前受会費として負債に置きます(注1)。入金日が決算をまたぐ会費の行は、この規則で区分するフラグを別の列に持たせておくと、後の検算が楽になります。

助成金と使途制約つき寄付は別の列で持つ

NPO特有の取引は、本文27〜30と注5・注6に集まっています。Excelの列設計に効くのは次の点です。

  • 寄付者の意思で使途が制約された寄付は、当期の収益に計上したうえで、使途ごとに受入金額・減少額・期末残高を注記する(本文27)
  • 対象事業と実施期間が決まり、未使用額の返還義務がある助成金で、期中に決算日が来たときの未使用額は、収益にせず前受助成金等にする(本文28)
  • 実施期間の満了後に交付される助成金で、決算日に未収額があれば、当期に計上した費用に対応する額を未収助成金等にする(本文29)
  • 対象事業と実施期間が決まった助成金・補助金で、受取助成金等に計上したものは、助成金ごとに受入金額・減少額・期末残高を注記する(本文30)

使途制約つきの寄付で重要性が高い場合は、正味財産を指定正味財産と一般正味財産に分け、活動計算書も2つの部に区分します(注6)。協議会のQ&Aには設例があり、被災者支援の寄付金5,000万円を受け入れ、当年度に2,000万円分の物資を届けた場合、次の流れになります。以下は、その設例の仕訳を要約したものです。

場面仕訳の趣旨活動計算書での位置
寄付金の受入仕訳の趣旨現金預金5,000万円 / 受取寄付金〈指定〉5,000万円活動計算書での位置指定正味財産の増減の部(増加)
物資を2,000万円分届ける仕訳の趣旨事業費の援助用消耗品費2,000万円 / 援助物資活動計算書での位置一般正味財産の増減の部
制約の解除仕訳の趣旨一般正味財産への振替額〈指定〉2,000万円 / 振替額〈一般〉(受取寄付金)2,000万円活動計算書での位置指定側は減少、一般側は増加

重要性が高くないと判断すれば、区分せずに本文27のとおり注記で対応します。どちらで処理するかは法人が決める方針の問題なので、Claudeへの指示に「この法人は指定正味財産を区分する/しない」と明記します。

Claude for Excelで作る手順

ここからは、決めた規則をExcelに落とします。使うのはClaude for Excelで、対象はPro、Max、Team、Enterpriseのプランです。仕訳データの取り込み自体はClaudeでExcelを読み込み、表を作る基本操作に別の解説があります。

手順

仕訳から活動計算書までの流れ

  1. 1

    仕訳明細に3列を足す

    部門(事業A、事業B、管理、共通)、人件費かその他経費か、使途制約の有無の3列を追加します。

  2. 2

    按分基準のシートを作る

    従事時間、建物面積などを部門ごとに入力します。基準の表は人が埋めます。

  3. 3

    共通経費を配賦する

    共通の行を、科目ごとに比率で部門へ配ります。

  4. 4

    部門別の集計から様式に転記する

    事業費・管理費を人件費とその他経費に分けて集計し、活動計算書の様式に当てはめます。

  5. 5

    検算する

    按分前後の合計、収益と費用の差額、使途制約の残高を確かめます。

永続指示に規約を書いておく

Claude for Excelは、サイドバーの設定にあるInstructionsの欄に、すべての会話へ効く指示を置けます。ここに法人の按分規約を入れておくと、毎回のプロンプトで繰り返さずに済みます。この指示はExcelだけに効き、PowerPointやWordの指示とは別です。例えば次のような形です。

このブックはNPO法人会計基準に沿った活動計算書の作成用です。
- 費用は事業費と管理費に分け、それぞれを人件費とその他経費に分ける
- 区分の根拠は「勘定科目マスタ」シートの既定の区分に従う
- 区分が「共通」の行は「按分基準」シートの比率で配る。比率を推測しない
- 収益は按分しない
- 判断に迷う行は書き換えず、行番号と理由を一覧にして返す

最後の一行が要です。区分が曖昧な行を、Claudeが黙って埋めない構えにしておきます。

配賦の数式を組ませる

按分基準のシートは、1行目に部門名(事業A、事業B、事業C、管理)、2行目に従事時間、3行目に面積を置くとします。配賦の計算は次のような形になります(列や行は実際のブックに合わせて読み替えます)。

共通合計   =SUMIFS(仕訳!$C:$C, 仕訳!$B:$B, $A5, 仕訳!$D:$D, "共通")
事業A配賦  =ROUND($B5 * 按分基準!B$2 / SUM(按分基準!$B$2:$E$2), 0)
端数差     =$B5 - SUM(C5:F5)

プロンプトは、数式の意図を言葉で渡します。

「仕訳」シートの区分が「共通」の行を、勘定科目ごとに合計して
「按分」シートのB列に出してください。給与手当は「按分基準」の従事時間の比、
地代家賃は面積の比で、事業A・事業B・事業C・管理に配ってください。
円未満は四捨五入し、按分前の合計との差を「端数差」列に出してください。

端数差が0にならないときの扱い(最大の部門に寄せるなど)は、先に法人で決めておきます。決めた規則は永続指示にも書き足します。

検算を依頼する

数式ができたら、Claudeに根拠を示させます。Claude for Excelの回答にはセル単位の引用が付き、クリックすると参照先のセルへ移動できます。

按分シートの事業A・事業B・事業C・管理の合計が、
按分前の共通合計と一致しているか、科目ごとに確認してください。
一致しない科目があれば、どのセルが原因かを示してください。

人の側でも、手計算した数行と照合します。先ほどの60万円の設例なら、A事業300,000円、B事業225,000円、管理75,000円と画面の値が一致するかを見ます。

注記用の残高表を作る

使途制約つきの寄付と助成金は、活動計算書の本表だけでなく注記にも出ます。注5が示す内訳は、制約された寄付等に対応する正味財産の金額と、制約の解除による当期減少額です。減少額の考え方は、受け入れた資産の制約が解除された場合は帳簿価額、減価償却した場合はその費用額、とされています。備品や車両は、対象の事業に使った時点で制約の解除とみなして取得額を減少額にできます。

Excelでは、使途(または助成金)ごとに「期首残高、当期受入額、当期減少額、期末残高」の4列を持ち、期末残高 = 期首残高 + 受入額 - 減少額が成り立つかをClaudeに確かめさせます。返還義務のある助成金を受取助成金に計上した場合は、計上額を当期受入額に書き、助成金と補助金の合計額と未使用額は備考欄への記載が望ましいとされています(注5)。

使う前に確認すること

Claude for Excelの限界は、この作業で効いてきます。

  • 監査上重要な計算は、検証なしで使うことが推奨されていません
  • 顧客などへの最終成果物は、人の確認なしで出すことが推奨されていません
  • データテーブルとマクロ・VBAは未対応です
  • Excel 2016と2019の永続版・ボリュームライセンス版、iPad、Androidでは動きません

活動計算書は、社員総会や情報公開に使う書類です。Claudeが組んだ数式は下書きと位置づけ、理事や会計担当者が数字を確認してから確定します。

寄付者名簿や職員の給与が入ったブックを扱う場合は、データの扱いも見ておきます。入出力はバックエンドで受領または生成から30日以内に削除され、チャット履歴はブラウザーのIndexedDBに置かれ、Anthropicのサーバーには保存されません。外部から受け取ったテンプレートや取引先のファイルには、隠れた指示が入っている場合があるため、信頼できるブックで使います。会計ソフトから出した自団体のCSVを、コピーしたブックに貼って使うのが無難です。

税務の面にも注意が必要です。Q&Aは、法人税の申告では管理費も収益事業とそれ以外に按分する場合があり、会計と異なる処理になることがあると注意しています。この記事の按分は活動計算書のためのものです。

つまずきやすい点

按分比率に根拠がない

管理費を小さく見せたくて、共通経費を事業側に多く配る癖が出ることがあります。比率は説明できる記録(日報、面積図など)に基づくものにします。Q&Aが挙げる理由は、寄付者が最も気にするのは自分の寄付が目的の事業に使われたかどうかだから、というものです。

管理費だけが赤字になる

助成金や委託事業の収益が事業費相当額しかない法人では、毎月の管理費の分だけ赤字になります。Q&Aは、事業費と管理費を含めたトータルコストで事業計画やファンドレイジングを組む必要がある、と説明しています。活動計算書を作った後は、助成金の申請書を組むときの間接費の見積もりにつながります。そちらの流れはClaudeでNPOの助成金提案書を量産する仕組みで扱っています。

年度ごとに按分方法が変わる

継続性の原則(本文5)により、会計処理の原則と表示方法は毎事業年度継続して適用し、みだりに変更しません。Claudeの会話ごとに違う基準で計算させないため、前述の永続指示とマスタのシートに基準を固定します。

小規模法人は専用のExcelも選べる

協議会は、現預金以外の資産・負債を持たない小規模法人向けに、ピボットテーブルを使った「Excel簡単会計」を無償で配布しています。現金出納に基づく入出金額を集計し、基準に準拠した財務諸表の作成を容易にするものです。自団体の取引がこの範囲に収まるなら、まずこちらで足りるかを検討できます。会計ソフトとの連携を考えるなら、Claudeとfreee会計の連携も選択肢です。

まとめ

活動計算書づくりの核心は、仕訳に「事業か管理か」「人件費かその他経費か」を付け、共通経費に説明できる比率を当てることです。Claude for Excelは、その規則を数式にし、合計の一致を確かめる段階で時間を縮めます。規則の中身と最終確認は、人が持ちます。

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