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ClaudeとPagerDutyを連携してインシデント対応を自動化する

ClaudeとPagerDutyを連携してインシデント対応を自動化する

PagerDuty ConnectorをClaudeに追加し、会話からインシデント作成・オンコール変更・チーム管理・根本原因ノートまでを扱う手順をまとめます。

Claude PagerDuty連携でできること

Claudeの会話からPagerDutyのインシデント対応・オンコール変更・チーム管理を直接実行できます。PagerDuty Connectorとは、ClaudeからPagerDutyのインシデント・オンコールスケジュール・チームをやり取りするMCPベースの接続機能です。画面を切り替えず、インシデントの作成から根本原因ノートの追記まで会話の中で完結します。

書き込み系の操作を使うと、Claudeは実際にPagerDuty側のデータを変更します。ツールごとに許可・拒否を切り替えられるかどうかはクライアントの設定によって異なるため、何が読み取り専用で何が書き込みになるかを先に把握しておくと、実行前の判断がしやすくなります。

接続前に確認すること

接続にはPagerDutyアカウントと、ユーザーAPIトークンまたはOAuthクライアントのどちらかが必要です。個人利用ならAPIトークンの発行だけで済み、チーム展開ならOAuthクライアントのほうが権限管理をまとめやすくなります。トークンはPagerDutyの管理画面のAPI Access設定から発行します。PagerDutyアカウントにAdvanced Permissionsの権限が必要です。

claude.aiやClaude Desktopから使う場合は、PagerDuty Connectorのページで「Add to Claude」を押すと接続が始まります。サインインが必須のConnectorです。Claude CodeではCLIから直接MCPサーバーを追加します。

PAGERDUTY_API_KEY=YOUR_API_KEY claude mcp add-json pagerduty \
  '{"type":"http","url":"https://mcp.pagerduty.com/mcp","headers":{"Authorization":"Token token=${PAGERDUTY_API_KEY}"}}'

OAuthクライアントで接続する場合は、JSON設定のoauthオブジェクトにclientIdとリダイレクトURL用の固定ポートcallbackPortを指定し、クライアントシークレットは--client-secretオプションで渡します。チーム展開でOAuthを使う場合はこちらを使います。

MCP_CLIENT_SECRET=YOUR_CLIENT_SECRET claude mcp add-json pagerduty \
  '{"type":"http","url":"https://mcp.pagerduty.com/mcp","oauth":{"clientId":"YOUR_CLIENT_ID","callbackPort":8080}}' \
  --client-secret

EUリージョンのアカウントは接続先が異なります。mcp.pagerduty.com/mcpではなくmcp.eu.pagerduty.com/mcpを指定します。Connector全般の追加手順や他サービスとの違いはClaude Connectorsとはにまとめてあります。

接続を確認するには、まず読み取りだけで済む質問を投げてみます。「今開いている高緊急度のインシデントを教えて」のように尋ねて一覧が返ってくれば、認証とツール呼び出しの両方が機能している証拠になります。書き込み操作をどこまで許可するかはクライアントの設定によって扱いが異なるため、まず読み取りだけで動作を確認してから書き込みを試す進め方が安全です。

会話でインシデントを作成し対応を進める

会話でのインシデント対応は、Connectorの中心になる操作です。「payments serviceに高緊急度のインシデントを作成して」と話しかければ、サービス名と緊急度を指定したインシデントがその場で作成されます。

対応中は、担当者の追加やステータスの更新も会話だけで進められます。ノートの追記と担当者の追加をあわせて頼めば、フェイルオーバー対応のような一連の作業を1回のやり取りで進められます。

典型的な対応の流れは次の5段階です。

  1. インシデントの種別と影響するサービスを特定する
  2. 正しいタイトル・サービス・エスカレーションポリシーでインシデントを作成する
  3. 状況を伝えるメッセージ付きで、適切な担当者を追加する
  4. チームの標準対応手順(ワークフロー)があれば起動する
  5. 対応の経過をノートとして残す

過去の類似インシデントや関連インシデントを参照する機能も用意されています。障害の再発かどうかを判断したいときに、同じサービスで起きた過去のインシデントを聞くと調査の起点になります。

インシデントを作る前に、同じサービスで既に開いているインシデントが無いかを確認する使い方もできます。「databaseサービスで直近1時間に発生したインシデントを一覧して」と聞いてから作成に進めば、重複したインシデントを立ててしまう事態を避けられます。この確認だけなら読み取り権限のみで完結します。

オンコール担当を会話から一時的に交代させる

「週末のオンコールを交代したい」という単発の依頼は、専用アプリを使わなくても会話だけで完結します。「スケジュールPXXXXXXで、2026-09-20T09:00:00Zから17:00:00ZまでユーザーPYYYYYYをオンコールにして」と伝えれば、その時間帯だけカバーする一時的な上書き(override)が作成されます。

現在の担当者を確認したいときは「今誰がオンコールか教えて」と聞くだけで、全スケジュール・全エスカレーションポリシーを横断した一覧が返ります。シフトの引き継ぎでは、担当者の確認・未解決インシデントの要約・直近のノートをまとめて依頼すると、そのまま引き継ぎメモとして使える文章が生成できます。

スケジュール自体を作り直したり、繰り返しの上書き設定を画面で管理したりしたい場合は、専用の管理アプリのほうが向いています。設定画面から操作したい人向けの使い方はPagerDutyのオンコールスケジュールをClaudeで管理するにまとめました。

チームとエスカレーション経路を管理する

チームの追加・メンバーの入れ替え・エスカレーションポリシーの確認も同じ会話の流れで扱えます。「platformチームにユーザーPXXXXXXをresponderとして追加して」と伝えると、指定した役割でメンバーが追加されます。

新しいチームの作成、既存チームの名前や説明の更新、離任したメンバーの削除は、いずれもPagerDuty側のデータを変更する操作です。エスカレーションポリシーは一覧・取得のみで、対応の最中に「正しい経路はどれか」を確認する用途に使えます。ポリシー自体の変更(層の追加や通知ルールの変更)を行うツールはConnectorに含まれていないため、変更が必要な場合はPagerDutyの管理画面を使うことになります。

対応の記録を根本原因ノートとして残す

インシデント対応の最中にとった行動は、ノートとして残しておくと後から振り返りやすくなります。「インシデントP123456に、データベースのフェイルオーバーを開始した、というノートを追加して」と伝えれば、そのままインシデントのタイムラインに記録されます。

根本原因分析の下書きも、記録済みのノートを土台に組み立てられます。対応完了後に「このインシデントのノートをすべて時系列でまとめて」と依頼すれば、対応の流れを追った要約が得られます。まとめた文章そのものを保存する機能はConnectorには無いため、社内のドキュメントツールへの転記が前提になります。

接続がうまくいかないときの確認点

接続が急に切れた、あるいはツールの呼び出しが失敗するときは、まず認証の有効期限を疑います。APIトークンやOAuthの認可が失効していないかを確認し、失効していれば再発行します。

次に確認するのは、使っているMCPクライアントがリモート(HTTPベース)のMCP接続に対応しているかどうかです。ローカルで動くMCPサーバーしか想定していない古い設定のままだと、https://mcp.pagerduty.com/mcpへの接続自体が失敗します。両方を確認しても解決しない場合は、PagerDuty Developer Portalで最新のエンドポイントURLと要件を確認します。

OAuthで接続する場合は、クライアントを事前に登録しておく必要がある点にも注意します。PagerDutyはDynamic Client Registration(接続時の自動登録)に対応していません。初回接続でエラーになったら、OAuthクライアントを手動で作成済みかをまず疑います。

書き込み権限を渡す前に見ておくこと

Connectorの書き込み操作は、Claudeが実際にPagerDuty側の状態を変えます。とくにステータスの更新や担当者の追加は、対象の絞り込みを誤ると影響範囲が広がります。実行内容を確認してから承認する運用が現実的です。

ホスト型のConnectorには、ツールごとの許可・拒否を細かく切り替える機能がまだありません。書き込み系だけを個別に絞りたい場合は、スコープを限定したOAuthクライアントを発行するか、Claude Codeのようにserver:tool単位で権限を制御できるクライアントを使う方法があります。設定の書き方はClaude Code MCP権限ルールにまとめてあります。

ドキュメント上の呼び名にも粒度の違いがあります。PagerDutyのサポートページはmanage_incidentsのような集約ツールとして機能を案内していますが、create_incidentadd_respondersadd_note_to_incidentのような個別動詞の名前で案内されている資料もあります。会話の中でどちらの名前が実際に呼び出されるかはクライアントの実装によって変わる可能性があるため、ツール名そのものより「何ができるか」を基準に読み進めるほうが確実です。なお個別動詞のツール名はセルフホスト版のリポジトリで案内されているもので、このリポジトリは現在アーカイブ済みです。本記事で扱っているホスト型のConnectorへの移行が推奨されています。

まとめ

PagerDuty Connectorは、インシデント対応・オンコール変更・チーム管理・記録の4系統を会話だけで扱えます。まず読み取りだけで済む質問で動作を確認し、書き込み操作をどこまで任せるかはクライアントの設定に応じて判断していく進め方が現実的です。

定期監視やSLA超過時の自動エスカレーションのように無人実行させたい処理は、この記事で扱った対話型の使い方とは別の構成が向いています。PagerDuty×CoworkでSLA監視とエスカレーションを自動化するに、Scheduled Tasksを使った組み方をまとめてあります。

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