ClaudeとPocketSmithを連携する方法 — 家計の支出と資産推移を会話で調べる
PocketSmith公式のコネクタで、取引の検索・カテゴリ分け・予算・キャッシュフロー予測をClaudeから扱えます。接続手順、66個のツール、書き込みを止める方法、Claude Codeでの接続をまとめます。
Claude PocketSmith連携とは — 自分の家計データに会話で触れる
PocketSmithコネクタは、家計管理サービスPocketSmithを提供するPocketSmith Ltd自身が出しているコネクタです。ディレクトリ上の表示は「Anthropic verified」、名称は「PocketSmith Complete Access」で、追加時期は2026年8月です。接続にはサインインが必要で、接続先のURLはhttps://mcp.pocketsmith.com/mcpです。
できることは、説明文に沿って分けると4つあります。
コネクタで任せられる4つの作業
取引を探す・分類する
取引の検索と絞り込み、カテゴリ分け、カテゴリルールの作成。口座の残高、カテゴリ、ラベル、保存済み検索の確認も含まれます。
予算と支出の傾向を見る
予算の達成状況、期間をまたいだ支出の傾向、繰り返し発生する支出の洗い出し。月次レビューや家計の健全性スナップショットも対象です。
将来を予測する
PocketSmithの予測エンジンで、将来のキャッシュフローと純資産を見ます。予測の元になる予定(イベント)の管理も含まれます。
データを整える
取引のカテゴリ付け、添付ファイルの管理、銀行フィードの同期。PocketSmithの画面へ飛ぶためのディープリンクも返されます。
通常の家計簿分析と違うのは、CSVを書き出して貼る手間がないことです。PocketSmithに入っている最新の取引と予測を、そのまま会話の材料にできます。
この記事は、PocketSmithのアカウントを持っている人、またはこれから家計を一元管理したい人が、Claudeとつなぐ範囲を把握するためのものです。CSVを渡して分析する方法はClaudeで家計簿データを読み込ませて支出を分析する手順にあります。両者は入口が違い、コネクタは「最新の状態を都度読む」、CSVは「ある時点のファイルを渡す」使い方です。
前提 — 必要なものと認証の方式
必要なのはPocketSmithのアカウントです。コネクタページにはSign-inが「Required」と表示されています。認証はOAuthで、接続時にPocketSmithへサインインして許可します。アクセスはPocketSmith側からいつでも取り消せると説明されています。
プランの条件は、コネクタページに記載がありません。PocketSmithの料金ページにあるのはサービス本体の違いで、無料プランと有料3プランが並びます。
| プラン | 月額(年払い時、米ドル) | 連携できる銀行 | 予測期間 |
|---|---|---|---|
| Free | 月額(年払い時、米ドル)無料 | 連携できる銀行自動取り込みと手動インポートの両方(行数の記載なし) | 予測期間6か月 |
| Foundation | 月額(年払い時、米ドル)9.99 | 連携できる銀行6行(1か国) | 予測期間10年 |
| Flourish | 月額(年払い時、米ドル)16.66 | 連携できる銀行18行(各国) | 予測期間30年 |
| Fortune | 月額(年払い時、米ドル)26.66 | 連携できる銀行無制限(各国) | 予測期間60年 |
予測期間は、コネクタの「純資産を予測する」機能にも関わりそうな項目です。ただしコネクタが料金ページのこの上限に従うかどうかは、どちらのページにも書かれていません。将来10年以上を会話で見たい場合は、自分のプランの予測期間をPocketSmith側で先に確かめておくのが確実です。
Claude側は、ディレクトリのコネクタ(Web版コネクタ)がClaude、Cowork、Claude Desktop、モバイルアプリのすべてのユーザーに提供されています。Team・Enterpriseプランでは、OwnerまたはPrimary Ownerが組織でコネクタを有効にしても、誰にもアクセスは付与されません。各メンバーがPocketSmithで個別に認証します。
claude.aiでPocketSmithを接続する手順
ディレクトリから追加する流れ
- 1
PocketSmithのアカウントを用意する
サインインできるアカウントがあることを確かめます。
- 2
コネクタのディレクトリを開く
Claudeのコネクタ設定から「Browse connectors」を開きます。
- 3
PocketSmithを探して追加する
検索窓で「PocketSmith」を探し、「PocketSmith Complete Access」を追加します。
- 4
PocketSmithで許可する
OAuthの画面でサインインし、アクセスを許可します。
追加後は、会話の入力欄の「+」メニューからPocketSmithをオンにして使います。コネクタ全般の考え方はClaude Connectorsとはにまとめています。
ディレクトリには、このコネクタとは別に読み取り専用版も用意されていると説明されています。「Claudeにデータを変更させたくない」という理由で選べる入口です。ページに載っている名前はこの「Complete Access」版で、読み取り専用版の名称やツール数は、このページには記載がありません。ディレクトリで「PocketSmith」を検索して見比べてください。
Claude Codeから接続する
Claude Codeからも、リモートMCPサーバーとして同じURLにつなげます。HTTPサーバーの追加はclaude mcp add --transport http <名前> <URL>の形です。
claude mcp add --transport http pocketsmith \
https://mcp.pocketsmith.com/mcp追加したら、Claude Codeのセッション内で/mcpを開き、PocketSmithの認証を済ませます。OAuth 2.0が必要なリモートサーバーの認証は、/mcpから行う仕様です。
Claude Codeではツール単位で許可と拒否を決められます。mcp__<サーバー名>__*の書式でサーバー内の全ツールを、mcp__github__get_*のような書式でget_で始まるツールだけを指定できます。このコネクタでは、読み取り系だけを自動で通し、削除系は拒否する設定が考えられます。次は.claude/settings.jsonの一例です。
{
"permissions": {
"allow": [
"mcp__pocketsmith__get_*",
"mcp__pocketsmith__list_*"
],
"deny": [
"mcp__pocketsmith__delete_*"
]
}
}サーバー名pocketsmithは、上のclaude mcp addで付けた名前です。別の名前で登録した場合は、ルール側もそろえます。create_とupdate_は許可にも拒否にも入れていないので、実行のたびに確認が出ます。
66個のツールを役割で分ける
コネクタページには「Show all 66 tools」とあり、66個すべての名前がページ内に載っています。動詞や用途ごとに分けると次のとおりです。
| 区分 | 件数 | ツール名の例 |
|---|---|---|
| 参照(get) | 件数13 | ツール名の例get_account / get_budget / get_budget_summary / get_trend_analysis / get_transaction |
| 一覧(list) | 件数12 | ツール名の例list_transactions / list_categories / list_category_rules / list_labels / list_saved_searches |
| 分析・予測 | 件数7 | ツール名の例cash_flow_forecast / net_worth_forecast / financial_health_snapshot / find_recurring_expenses / forecast_accuracy / month_end_review / spending_comparison |
| 画面への移動 | 件数8 | ツール名の例navigate_to_budget / navigate_to_cashflows / navigate_to_net_worth / navigate_to_transactions / navigate_to_trends |
| 銀行フィードの同期 | 件数1 | ツール名の例refresh_data_feeds_connection |
| 作成(create) | 件数7 | ツール名の例create_transaction / create_category / create_category_rule / create_event |
| 更新(update) | 件数9 | ツール名の例update_transaction / update_category / update_account_display_order / update_user |
| 削除(delete) | 件数7 | ツール名の例delete_transaction / delete_account / delete_category / delete_forecast_cache |
| 添付の紐づけ | 件数2 | ツール名の例assign_transaction_attachment / unassign_transaction_attachment |
合計は66です。説明文にある「月次レビュー」はmonth_end_review、「PocketSmithの特定の画面へのディープリンク」はnavigate_to_*、「銀行フィードの同期」はrefresh_data_feeds_connectionに当たると考えられます。
見落としやすい点が2つあります。
- 削除系が口座や取引まで届く:
delete_accountとdelete_transactionがあります。「Complete Access」の名前どおり、読み書きと削除の三方向に権限が開いています。 - 予測の入口は2つある: キャッシュフローは
cash_flow_forecast、純資産はnet_worth_forecastという名前のツールが並びます。どちらも予測エンジンを呼ぶものと考えられますが、返す内容はページに載っていません。
各ツールの引数や返す項目の説明は、コネクタページに載っていません。役割はあくまで名前からの推測です。実際に何が返るかは、読み取りだけの質問で試して確かめます。
書き込みと削除を止める
家計データは、間違って書き換えると元に戻しにくい情報です。止める方法は3段階あります。
書き込みを止める3つの入口
読み取り専用版を選ぶ
ディレクトリにある読み取り専用版なら、Claudeは構造的にデータを変更できません。
Claude側で権限を絞る
OwnerがCustomize > Connectorsで、読み取りは許可したまま書き込みの操作を止められます。組織全体に効き、個人は上書きできません。
Claude Codeのルールで拒否する
mcp__pocketsmith__delete_*のような拒否ルールで、削除系を実行前に止めます。
組織向けのアクション制限はTeam・Enterprise向けの機能です。個人のプランで使う場合は、読み取り専用版を選ぶか、プロンプトで「変更や削除は実行せず、提案だけにする」と先に伝えます。
PocketSmithのデータは参照だけにしてください。
取引・カテゴリ・予算の作成、更新、削除は実行せず、
変更したい点があれば一覧にして提案だけ出してください。プロンプトでの指示は、ツールの権限そのものを止めるものではありません。確実に止めたいときは、上の読み取り専用版か権限設定を使います。権限設定でよくある失敗はClaude Connectorsの権限設定でよくある失敗と対策に整理しています。
会話で引く — 支出と資産の質問例
ここからは、コネクタページの説明に沿って組み立てた質問例です。どのツールが呼ばれるか、何が返るかは会話ごとに変わります。例の中の金額や期間は仮のものです。
支出の中身を見る
PocketSmithの直近6か月の取引から、
カテゴリ別の支出の合計を月ごとに出してください。
前の月より2割以上増えたカテゴリがあれば、
そのカテゴリの取引を金額の大きい順に10件見せてください。固定費を洗い出す
繰り返し発生している支出を洗い出して、
月額換算で大きい順の表にしてください。
解約や見直しを考えられそうなものに印を付けてください。説明文は「繰り返し支出を見つける」機能を挙げているので、固定費の棚卸しにそのまま使えます。サブスクリプションの見直しは、家計簿アプリでは手作業になりがちな部分です。
将来のキャッシュフローを聞く
PocketSmithの予測で、来月のキャッシュフローが
下がる時期があるか見てください。
下がる場合は、予定(イベント)の中で
原因になっているものを教えてください。説明文の例には「来月、キャッシュフローが落ち込むのはなぜか」「今年、純資産を最も動かしたものは何か」が挙がっています。これらの問いは、予定イベントと取引の両方を読む必要があります。予測の前提になる予定を整えておくほど、答えが具体的になります。
分類を整える
未分類の取引を一覧にして、
過去の同じ店舗の分類を根拠に、カテゴリの案を出してください。
確認が取れたものだけを更新し、迷うものは残してください。最後の例は書き込みを伴うため、先に「更新の前に一覧を見せて」と付けておくと安全です。分類のルールを作りたい場合はcreate_category_ruleに当たる操作になりますが、ルールは以後の取引に自動で効くため、内容を確認してから登録します。
日本の家計で使うときの見どころ
説明文は「多通貨対応」を挙げており、PocketSmithの料金ページでも、複数通貨の口座を換算しながら管理する機能が案内されています。海外の口座やドル建ての資産を持つ人が、円と合わせて見たいときに向く構成です。
一方で、日本の銀行・カードの自動取り込みにPocketSmithが対応しているかは、コネクタページにも料金ページにも国別の一覧がありません。取り込み元が日本の口座中心なら、手動インポートで入れた取引をPocketSmith上で整える運用が前提になります。取り込みの可否は、PocketSmithのアカウントで銀行を検索して確かめるのが近道です。
国内の会計・家計サービスと並べて選ぶなら、役割は次のように分かれます。
| つなぎたいもの | 入口 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 手元の家計簿アプリのCSV | 入口ファイルの添付 | 向いている用途過去データの一度きりの集計 |
| マネーフォワード | 入口マネーフォワードのMCPをClaudeにつなぐ方法 | 向いている用途国内の会計データを扱う |
| PocketSmith | 入口このコネクタ | 向いている用途予測つきの家計管理を会話で回す |
つまずきやすい点
落とし穴
予測の前提が空だと答えが薄くなる
キャッシュフローの予測は、PocketSmithに登録した予定(イベント)と過去の取引から作られます。給与や大きな支払いの予定が入っていないと、Claudeは入っていないものを前提に答えます。会話の前に、PocketSmithの画面で予定を整えておきます。
- すべての会話に出るわけではない: 会話の「+」メニューでオンにした会話で使われます。オフのままだとClaudeはPocketSmithのデータを見られず、一般論で答えます
- Team・Enterpriseの共有に注意: Team・Enterpriseでは、同期した内容を含む会話は共有できず、コネクタはプライベートプロジェクトでのみ使えます。家計のような個人情報を扱う会話は、共有しない前提で使います
- 権限の取り違え: 読み取り専用のつもりで「Complete Access」を追加すると、書き込みと削除のツールが並びます。ツール一覧を見て、どちらを追加したか確かめます
まとめ
PocketSmithコネクタは、取引・予算・予測を自分のデータで会話にできる入口です。読み取りだけで足りるなら読み取り専用版を、更新まで任せるなら権限を絞った「Complete Access」を選びます。予測の機能は、PocketSmithのプランと予定の登録状況に左右されます。まずは参照系の質問で動きを確かめ、書き込みはそのあとで少しずつ広げる順番が、家計データには向いています。