ClaudeでPSEとPSCの対象品目を判定する手順 — 自社ブランド品を表にする
電気用品安全法と消費生活用製品安全法は、対象品目を条文でなく政令の別表で決めます。別表と商品仕様をClaudeに渡して品目ごとの該当を表にし、届出・検査・表示の要否まで読み取る手順です。
PSEとPSCは何を見れば対象かどうかが決まるのか
PSEは電気用品安全法、PSCは消費生活用製品安全法に基づく表示の通称です。どちらも、対象品目を条文の中では決めていません。
電気用品安全法の第2条は、電気用品を「政令で定めるもの」と書くだけです。消費生活用製品安全法の第2条も、特定製品を「政令で定めるもの」としています。品目の一覧は、それぞれの施行令にあたる政令の別表に入っています。
つまり、法律の本文だけをClaudeに読ませても、自社の雑貨や家電が対象かどうかは判定できません。判定に要る資料は、別表と商品の仕様です。
| 比べる点 | 電気用品安全法(PSE) | 消費生活用製品安全法(PSC) |
|---|---|---|
| 対象を決める政令 | 電気用品安全法(PSE)電気用品安全法の施行令(別表第一・別表第二) | 消費生活用製品安全法(PSC)消費生活用製品安全法施行令(別表第一〜第三) |
| 厳しい区分 | 電気用品安全法(PSE)特定電気用品 | 消費生活用製品安全法(PSC)特別特定製品 |
| 製造・輸入の届出 | 電気用品安全法(PSE)義務(第3条) | 消費生活用製品安全法(PSC)任意。条文は「届け出ることができる」(第6条) |
| 販売の制限 | 電気用品安全法(PSE)表示がなければ販売・陳列できない(第27条第1項) | 消費生活用製品安全法(PSC)表示がなければ販売・陳列できない(第4条第1項) |
| 販売制限に違反した罰則 | 電気用品安全法(PSE)1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその併科 | 消費生活用製品安全法(PSC)同左(第58条) |
届出の書きぶりが違う点は、読み飛ばしやすいところです。PSEは事業開始の日から30日以内に経済産業大臣へ届け出る義務があります。PSCの第6条は「届け出ることができる」です。
ただしPSCでも、特定製品を売るには第13条の表示が付いていなければなりません(第4条)。この表示を付けられるのは届出事業者だけです(第5条、第13条)。条文の組み立て上、特定製品を売る事業者は届出をして表示を付ける流れになります。
Claudeに渡す資料を3つそろえる
判定の精度は、渡す資料で決まります。Claudeの記憶に頼って「ヘアドライヤーはPSEです」と答えさせるのではなく、別表の文面を会話に貼り、そこから根拠を引かせます。
- 商品仕様の一覧(CSVかExcelで1品目1行)
- 電気用品安全法の施行令の別表第一と別表第二のテキスト
- 消費生活用製品安全法施行令の別表第一・別表第二と、消費生活用製品安全法の別表のテキスト
仕様の一覧には、判定に使う列を最初から入れておきます。別表の条件は数値で書かれているからです。
| 列 | 判定で使う理由 |
|---|---|
| 品名・用途 | 判定で使う理由別表は品名で列挙されている |
| 定格電圧・定格周波数・電源の種類 | 判定で使う理由PSEの条件は「100ボルト以上300ボルト以下」「50ヘルツ又は60ヘルツ」「交流の電路」 |
| 定格消費電力 | 判定で使う理由「500ワット以下」のように上限が品目ごとに違う |
| 対象年齢・使用場所 | 判定で使う理由PSCは「出生後36月未満」「主として家庭において」などで切る |
| 材質・燃料 | 判定で使う理由石油ストーブやライターなど、燃料と構造で決まる品目がある |
| 製造者と輸入者 | 判定で使う理由届出と検査の義務を負う者を決める |
政令のテキストは、e-Govの法令APIから取れます。法令IDは電気用品安全法の施行令が 337CO0000000324、消費生活用製品安全法施行令が 349CO0000000048 です。
curl -s "https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/337CO0000000324" \
-o pse-order.json
curl -s "https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/349CO0000000048" \
-o psc-order.jsonJSONのまま貼ると長いので、Claude Codeが使える環境なら「別表だけを抜き出してテキストにして」と頼みます。使えない場合は、e-Govの画面から別表の部分をコピーして貼ります。どちらでも、政令は改正で品目が増減するため、判定のたびに取り直します。
判定は「PSE → 特定 → PSC」の順に進める
1行ずつ、次の順序で当てはめます。Claudeへの指示にも、この順序をそのまま書きます。
1品目の判定の流れ
- 1
電気用品の電気的な条件に合うかを見る
定格電圧、周波数、交流かどうかを、別表第二の見出しの条件と照らします。条件を外れる品は、その号の電気用品に当たりません。
- 2
品名が別表に載っているかを見る
別表第一(特定電気用品)に載れば特定、別表第二にだけ載れば特定以外の電気用品です。両方に載らなければ非該当です。
- 3
PSCの特定製品かを見る
PSEと独立に、消費生活用製品安全法施行令の別表第一と照らします。片方に当たっても、もう片方の確認は省きません。
- 4
特別特定製品と子供用特定製品かを見る
特定製品に当たったら、別表第二(特別特定製品)と、子供用特定製品(別表第一の第3号と第13〜15号)かどうかを見ます。
- 5
不足する仕様を「要確認」に残す
条件の数値が仕様の一覧に無い行は、該当か非該当かを決めず、足りない列名を書かせます。
ここで、実際の別表の記載から、品目ごとに何を見ればいいかを並べます。
| 品目(別表の呼び名) | 見る仕様 | 区分 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 電気便座 | 見る仕様交流100〜300V、消費電力10kW以下 | 区分特定電気用品 | 根拠PSE別表第一 第6号(一) |
| 直流電源装置(ACアダプターなど) | 見る仕様定格容量1kVA以下、交流100〜300V・50/60Hz | 区分特定電気用品 | 根拠PSE別表第一 第9号(四) |
| 毛髪乾燥機(ヘアドライヤー) | 見る仕様交流100〜300V・50/60Hz | 区分電気用品(特定以外) | 根拠PSE別表第二 第8号(四〇) |
| 電気加湿機 | 見る仕様電動機の定格消費電力500W以下 | 区分電気用品(特定以外) | 根拠PSE別表第二 第8号(五〇) |
| エル・イー・ディー・ランプ | 見る仕様定格消費電力1W以上、口金が1つ | 区分電気用品(特定以外) | 根拠PSE別表第二 第9号(一〇) |
| 電動式おもちや | 見る仕様交流100〜300V・50/60Hz | 区分特定電気用品 | 根拠PSE別表第一 第7号(九) |
| 乳幼児用玩具 | 見る仕様出生後36月未満の遊戯用に設計 | 区分特定製品・子供用特定製品 | 根拠PSC別表第一 第13号 |
| ベビーカー | 見る仕様出生後36月以内、歩きながら用いる小型の車 | 区分特定製品・子供用特定製品 | 根拠PSC別表第一 第15号 |
| 乳幼児用ベッド | 見る仕様出生後24月以内、揺動型を除く | 区分特別特定製品・子供用特定製品 | 根拠PSC別表第二 第1号、別表第一 第3号 |
| 石油ストーブ | 見る仕様灯油消費量12kW以下(自然通気形の開放燃焼式は7kW以下) | 区分特定製品 | 根拠PSC別表第一 第9号 |
| 磁石製娯楽用品 | 見る仕様個々の磁石の大きさが省令の定める以下 | 区分特定製品 | 根拠PSC別表第一 第11号 |
この表のように、同じ「おもちゃ」でも電源で行き先が分かれます。交流100〜300Vで動く電動式のものはPSE、出生後36月未満の乳幼児の遊戯用に設計されたものはPSCの対象です。
品目ごとの判定表をClaudeに作らせる
資料が揃ったら、プロジェクトの指示欄か最初のメッセージに、判定のルールを書きます。次の文面は、そのまま使える形にした一例です。
あなたは製品安全法令の対象品目を確認する担当です。
添付の「商品仕様.csv」の各行について、次の資料だけを根拠に判定してください。
資料: 電気用品安全法の施行令の別表第一・別表第二、
消費生活用製品安全法施行令の別表第一・別表第二・別表第三、
消費生活用製品安全法の別表(適用除外)。
ルール:
1. 判定は「該当」「非該当」「要確認」の3値で、PSEとPSCを別の列にする。
PSCは特定製品の区分と、子供用特定製品かどうかを別の列にする
2. 根拠は別表の名称・号・項番を、資料の文字列のまま引用する
3. 別表の条件(電圧・周波数・消費電力・年齢など)に使う数値が
仕様に無いときは「要確認」とし、足りない仕様の列名を書く
4. 資料に品名が無い場合は「非該当」と決めず、
近い品名を挙げて「要確認」とする
5. 資料に書かれていない通称や記憶から判定しない出力の列は、判定の追跡に必要な最小限にします。
| 列 | 中身 |
|---|---|
| SKU・品名 | 中身入力と同じ |
| PSE区分 | 中身特定電気用品 / 電気用品 / 非該当 / 要確認 |
| PSC区分 | 中身特別特定製品 / 特定製品 / 非該当 / 要確認 |
| 子供用特定製品か | 中身はい / いいえ(乳幼児用ベッドは特別特定製品でもあるため、PSC区分とは別の列にする) |
| 根拠 | 中身別表の名称・号・項番と、当てはめた数値 |
| 不足している仕様 | 中身要確認の理由 |
受け取った表は、根拠の列を別表の原文と突き合わせてから使います。特に「非該当」の行は、品名が別表の呼び名と違うだけで落ちていることがあります。
区分が決まったら、届出・検査・表示の要否に変える
判定表の右に、義務の列を足します。区分ごとに、条文の義務は次のように分かれます。
| 区分 | 製造・輸入事業者が負う義務 | 販売事業者 |
|---|---|---|
| 特定電気用品 | 製造・輸入事業者が負う義務事業の届出(第3条)、技術基準への適合と検査記録の作成・保存(第8条)、販売までに登録検査機関の適合性検査を受け証明書を保存(第9条)、基準を満たしたうえで表示(第10条) | 販売事業者表示がなければ販売・陳列できない(第27条) |
| 電気用品(特定以外) | 製造・輸入事業者が負う義務事業の届出、技術基準への適合と検査記録(第8条)、表示 | 販売事業者同上 |
| 特別特定製品 | 製造・輸入事業者が負う義務届出は任意(第6条)、技術基準への適合と検査記録(第11条)、販売までに適合性検査(第12条)、表示(第13条) | 販売事業者表示がなければ販売・陳列できない(第4条) |
| 特定製品(特別特定でない) | 製造・輸入事業者が負う義務届出は任意、技術基準への適合と検査記録(第11条)、表示 | 販売事業者同上 |
| 子供用特定製品 | 製造・輸入事業者が負う義務上に加えて、使用年齢基準への適合と、使用に適した年齢などの文言の表示(第12条の2) | 販売事業者第13条第3項の表示も必要(第4条第2項) |
乳幼児用ベッドのように特別特定製品と子供用特定製品を兼ねる品目は、該当する行の義務を足し合わせます。
表示の方式や技術基準の中身は、法律では経済産業省令などに委ねられています。判定表の段階では「どの義務が発生するか」までを出し、基準の中身は別の資料で詰めます。
特別特定製品と特定電気用品に共通するのは、検査機関に出す手順が入る点です。証明書を保存する期間は政令で品目ごとに決まり、たとえばPSCの乳幼児用ベッドは10年、ライターは3年です。
海外から仕入れる自社ブランドは、輸入の形で届出者が変わる
自社ブランドの雑貨や家電を海外の工場から仕入れる場合は、仕様の一覧に「誰が日本へ輸入するか」の列を足します。
日本の会社が自分で輸入するなら、その会社が輸入事業者として届出と検査の義務を負います。一方、外国にある者が輸入する形(特定輸入事業者)では、届出に日本国内の国内管理人の氏名・住所を入れる必要があります(PSE第3条第2号、PSC第6条第2号)。国内管理人は、検査記録の写しを保存する役目も負います。
越境ECも対象外ではありません。両法とも、外国にある者が外国から日本国内に他人に持ち込ませ、一般消費者に引き取らせる行為を「輸入する行為」に含めています(PSE第2条第5項、PSC第2条第10項)。海外の販売元が日本の消費者へ直送する形でも、輸入の事業として扱われる余地があるということです。
届出は、製品の区分と型式の区分に従って行います。型式の区分は経済産業省令で決まるため、仕様の一覧では品名ごとの行に加えて、同じ区分の型番をまとめる列を設けておくと、届出書の作成時に引き直さずに済みます。
判定で外しやすい点
落とし穴
自社ブランドの委託製造では、誰が届出者かで判定表が止まる
自社ブランドで工場に製造を任せている場合、届出は「製造又は輸入の事業を行う者」が出します。届出事項には、設計を行う者であることなど経済産業省令の要件に当たらない場合、製造する工場の名称と所在地を入れる規定があります(PSE第3条第4号、PSC第6条第4号)。要件の中身は省令側にあるため、表には「届出者の確認」の列を作り、設計と製造の分担を契約書で確かめたうえで、所管の窓口か検査機関に相談します。
販売だけを行う事業者にも義務があります。PSEの第27条もPSCの第4条も、製造・輸入・販売のいずれかの事業を行う者を対象にしています。仕入れて売る雑貨が、表示のない電気用品や特定製品なら、販売も陳列もできません。
PSEとPSCの両方に触れる品目もあります。法律上、PSCの技術基準は、他の法律に基づく規格や基準に相当する部分を除いて定めます(第3条第1項)。政令の第8条は、その他の法律として、浴槽用の温水循環器、石油ストーブ、乳幼児用玩具などについて電気用品安全法を挙げています。こうした品目は、PSE側の判定も落とせません。
交流100〜300Vの条件から外れるからといって、無関係とは限りません。USB給電の小型機器は、本体が別表の条件に当たらなくても、付属のACアダプターは、条件に合えば直流電源装置として別表第一に載ります。判定表には、本体と付属品を別の行にして入れます。
適用の例外にも注意します。PSCの対象である消費生活用製品には、食品、医薬品、化粧品、医療機器などが別表で除かれています。PSEにも、試験的に製造・輸入する場合や、経済産業大臣の承認を受けた特定の用途の例外があります。例外を使う場合は、条文の要件を満たしているかを個別に確認します。
マーケットプレイスで売る場合、プラットフォーム提供者にも関わりがあります。PSEの第42条の6とPSCの第32条の2は、提供者に、命令を受けた事業者の措置への協力を努力義務として課します。重大な危害の発生や急迫した危険があり、事業者が特定できないときは、国が提供者に出品の停止などを要請できます(PSE第42条の7、PSC第39条の2)。
対象外の雑貨でも残る義務
別表のどちらにも載らなかった品でも、消費生活用製品である限り、PSCの事故報告の対象です。第35条は、製造・輸入の事業を行う者が、重大製品事故を知ったときに内閣総理大臣へ報告するよう定めています。特定製品に限った義務ではありません。
重大製品事故は、政令で次のいずれかに当たる事故です。
- 死亡
- 治療に30日以上かかる負傷・疾病、または治ったときに一定の身体の障害が残るもの
- 一酸化炭素による中毒
- 火災の発生
報告の期限と様式は内閣府令で決まります。判定表の「非該当」の行にも、事故時の連絡体制を決めるよう備考を入れておくと、表が届出の確認で終わらずに運用につながります。
商品説明の取扱説明書と警告表示は、取扱説明書と警告表示をClaudeで点検する手順で扱っています。販売ページの表示は、通信販売の表示義務の点検と景品表示法の表示チェックが受け持ちます。
Claudeの判定を使うときの限界
判定表は、法的な結論ではありません。理由は3つあります。
1つ目は、別表の読み替えです。ヘアドライヤーが毛髪乾燥機に当たるように、通称と別表の呼び名がずれる品目があります。Claudeは近い品名に寄せて「該当」と答えることがあり、根拠の列の原文確認が欠かせません。
2つ目は、数値条件の見落としです。消費電力の上限が品目ごとに違うため、仕様の列が欠けたまま通ると誤判定になります。ルールの3番で「要確認」に倒しているのは、このためです。
3つ目は、資料の鮮度です。政令は改正で品目が追加されることがあり、貼った別表が古ければ判定も古くなります。判定のたびに取り直し、判定表には資料を取得した日を書き添えます。
迷う品目は、判定表の「要確認」に残したまま、経済産業省の所管窓口か登録検査機関に仕様書を添えて相談します。
まとめ
PSEとPSCの判定は、法律の本文ではなく、2つの政令の別表と商品仕様の突き合わせです。Claudeには別表の文面と仕様のCSVを渡し、「該当・非該当・要確認」と根拠の号を表に出させます。そのうえで区分ごとの義務を横に足せば、届出と検査、表示の漏れを品目単位で潰せます。
判定の価値は、「非該当」より「要確認」の行にあります。足りない仕様が一覧になるため、設計や調達の担当に聞く項目が最初から決まります。