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Claudeで発注書・納品書・請求書を三点照合する手順

Claudeで発注書・納品書・請求書を三点照合する手順

発注書・納品書・請求書のPDFを1回のリクエストでClaudeに渡し、数量・単価・品番のずれを表にして、検収前に人が見る行だけ残す手順です。

発注書・納品書・請求書の三点照合は、PDFを3つ並べてClaudeに渡せば、数量・単価・品番のずれを一覧にする作業まで任せられます。ただし、Claudeが返す表はそのまま検収の根拠にはなりません。人が見るべきなのは「ずれがある行」と「Claudeが読み取りに自信を持てなかった行」だけに絞り、残りは目視を省く。この記事は、そこまでの流れを作る手順です。

見積書どうしの比較はClaudeでベンダー見積を比較する方法、数量の差異分析は棚卸差異の分析に書いています。ここで扱うのは、発注から請求までの3枚を突き合わせる工程です。

三点照合でClaudeに任せる範囲と人が残す範囲

三点照合の目的は、発注したものが、発注した数だけ、発注した値段で届き、その通りに請求されているかを確かめることです。突き合わせる軸は決まっています。

  • 品番(品名):発注にあるものだけが届き、請求されているか
  • 数量:発注数、納品数、請求数が一致するか
  • 単価:発注単価と請求単価が一致するか
  • 金額:数量×単価の小計と、請求の合計が合うか

Claudeが得意なのは、3枚のレイアウトが違っても、品番を手がかりに行を対応づけて表にする作業です。社名やレイアウトが異なる書類を、人が目で往復して照合する時間を減らせます。

人に残すのは、判断が絡む部分です。納品数が発注より少ない分を分納として扱うか、単価の差を値引き合意として認めるか、といった判断は書類の外にある事情で決まります。Claudeには「ずれの事実」を出させ、「許容するか」は人が決める。この線引きを最初に決めておくと、後の指示文がぶれません。

PDFを3つ同時に渡す仕組み

Claudeに渡したPDFは、ページごとに画像へ変換され、各ページから抽出したテキストが画像と一緒に渡されます。つまりClaudeは、テキストと見た目の両方を見て内容を理解します。表や押印の位置まで読めるのはこのためです。

渡し方は3通りあります。PDFのURLを指定する方法、base64でエンコードしてdocumentブロックに入れる方法、Files APIにアップロードしてfile_idで参照する方法です。社内の請求書をURLで公開するのは現実的でないので、実務ではbase64かFiles APIが使いどころです。Amazon BedrockとGoogle Cloudでは、現状はbase64のみ使えます。

リクエストには上限があります。

数字

PDFを渡すときの上限

  • リクエストサイズ

    32MB

    プラットフォームにより異なる

  • 1リクエストのページ数

    600

    コンテキストウィンドウが1M未満なら100

PDF support の要件表より

この上限はPDF以外のテキストも含むリクエスト全体にかかります。三点照合は1社1回の取引なら数ページから十数ページに収まるはずですが、月次でまとめて渡すとすぐ超えます。1取引ごとに1リクエスト、というのが基本の単位です。

トークンの目安は、1ページあたりおよそ1,500〜3,000トークンです。PDFだからといって追加料金はなく、通常のAPI料金が適用されます。ページ数が多いときは、先にトークン数を数えて見積もれます。

手順:三点照合のリクエストを組み立てる

手順

三点照合を1回のリクエストで実行する流れ

  1. 1

    3枚のPDFを用意し、正しい向きに直す

    向きが横倒しのスキャンは読み違いの元になります。公式の推奨にも、ページを正しい向きに回転する、標準的なフォントを使う、文字が鮮明であることが挙がっています。

  2. 2

    各PDFの前に短い見出しテキストを置く

    「発注書」「納品書」「請求書」と書いたテキストブロックを、それぞれのPDFの直前に置きます。画像を複数渡すときにも、Image 1: のようなラベルを付けて指示から参照できるようにするのが公式の説明です。PDFでも同じ考え方で、指示文から「発注書の3行目」と呼べるようになります。

  3. 3

    指示文はPDFの後ろに置く

    公式の最適化ガイドは、PDFをテキストより前に置くよう勧めています。見出しの短いテキストはPDFの前、照合のルールを書いた本文の指示は3枚の後ろです。

  4. 4

    出力を表に固定する

    自由な文章で返させると、後で人が拾いにくくなります。列を指定した表と、ずれの区分を決めて返させます。

リクエストの例

base64化した3つのPDFと指示文を、jqでひとつのJSONにまとめる例です。指示文はprompt.txtに書いておきます。

for f in po delivery invoice; do
  base64 < "$f.pdf" | tr -d '\n' > "$f.b64"
done
 
jq -n --rawfile po po.b64 --rawfile dn delivery.b64 \
  --rawfile inv invoice.b64 --rawfile prompt prompt.txt '{
  model: "claude-opus-5-5",
  max_tokens: 4096,
  messages: [{role: "user", content: [
    {type: "text", text: "【発注書】"},
    {type: "document", source: {type: "base64",
      media_type: "application/pdf", data: $po}},
    {type: "text", text: "【納品書】"},
    {type: "document", source: {type: "base64",
      media_type: "application/pdf", data: $dn}},
    {type: "text", text: "【請求書】"},
    {type: "document", source: {type: "base64",
      media_type: "application/pdf", data: $inv}},
    {type: "text", text: $prompt}
  ]}]
}' > request.json

あとはrequest.jsonをMessages APIに送ります。モデル名は公式のPDF入門に載っている例に合わせたものです。契約中のモデル名に置き換えてください。

curl https://api.anthropic.com/v1/messages \
  -H "content-type: application/json" \
  -H "x-api-key: $ANTHROPIC_API_KEY" \
  -H "anthropic-version: 2023-06-01" \
  -d @request.json

指示文の書き方:ずれを区分して出させる

指示文で最も効くのは、出力の列と、ずれの区分を先に決めておくことです。次のような形になります(例示であり、実際の出力ではありません)。

3つのPDFは、順に発注書・納品書・請求書です。
品番をキーに行を対応づけ、次の列の表を出してください。
品番 / 品名 / 発注数 / 納品数 / 請求数 / 発注単価 / 請求単価 / 区分 / 根拠ページ
 
区分は次のどれか1つにしてください。
- 一致
- 数量差(発注数・納品数・請求数のどれかが違う)
- 単価差(発注単価と請求単価が違う)
- 未対応(3枚のうち1枚以上に該当行がない)
- 読取不確実(文字が不鮮明で数字を確定できない)
 
数字は書類に書かれた通りに転記し、推測で補正しないでください。
読み取れない箇所は空欄にせず「読取不確実」と書き、理由を添えてください。
根拠ページには、各書類の何ページ目かを書いてください。

ポイントは3つあります。

  • 品番をキーにする:品名は書類ごとに表記が揺れやすく、キーに向きません
  • 「推測で補正しない」と書く:合計が合うように数字を直されると、ずれが隠れます
  • 「読取不確実」の区分を設ける:自信のない行を黙って確定させず、人に回させます

根拠ページを列に入れておくと、人が原本の該当ページを開くだけで確かめられます。ページの指定には、PDFビューアに表示される論理ページ番号を使うと指示がずれにくいというのが公式の推奨です。

検収前に人が確認する行を残す

返ってきた表を、そのまま回覧しないでください。人が見る行は次の3つに絞れます。

区分人が確認すること
数量差人が確認すること分納・返品・追加納品の事情がないか
単価差人が確認すること値引きや改定の合意が別に残っていないか
読取不確実人が確認すること原本の該当ページを目で見て数字を確定する

「一致」の行は、抜き取りで足ります。ただし抜き取りの対象には、金額の大きい行を必ず含めてください。

もうひとつ、合計の検算を人かスクリプトに残します。Claudeには「数量×単価の小計と、請求書の合計が合っているか」も聞けますが、この計算は表から機械的に再計算できるので、jqや表計算で確かめる方が確実です。Claudeの役割は行の対応づけと転記、計算の検証は決定的な道具、と分けると事故が減ります。

スキャンPDFで数字を読み違えるときの対処

納品書は、現場で受領印を押したスキャンが多く、ここが読み違いの最大の山です。仕組みを知っておくと対策が立てやすくなります。

PDFのページは画像としても渡されるので、テキストが埋め込まれていないスキャンでも、Claudeは画像を見て内容を読めます。一方で、画像の読み取りには限界があります。画像の説明ページには、低品質・回転・200ピクセル未満の小さな画像では、誤解釈や幻覚(実際にない内容を答えること)が起こり得ると書かれています。数え上げも、小さなものが多数あると正確とは限りません。

三点照合で起こりやすい誤りは、次のようなものです。

  • 桁の読み違い:「1,000」と「10,000」、小数点やカンマの見落とし
  • 似た文字の取り違え:0とO、1とl、5と6
  • 受領印や手書きの訂正が、数字に重なっている

対策は、読み取りの自信を表に出させることと、人が桁を確認する順序を決めることです。

  • 指示文に「数字は書類通りに転記し、不鮮明なら読取不確実とする」と入れる
  • 納品書だけ、数量の列を別途「見えた通りの文字列」で出させ、数値化した列と並べて人が見比べる
  • 金額の大きい行、桁が3つ以上ある行は、区分に関係なく原本を見る
  • スキャン時に解像度を上げ、傾きを直してから渡す

ファイルが重いと、ページ数の上限に届く前に失敗することがあります。公式は、文字が小さいページや複雑な表が多いPDFは、上限の前にコンテキストを使い切ることがあると説明しています。その場合は、分割して渡すか、埋め込み画像を縮小します。パスワード付きや暗号化されたPDFは受け付けないので、事前に解除が必要です。エラーの原因切り分けはCould not process PDFの400エラーにまとめています。

運用に組み込むときの注意

同じ3枚に対して、指示を変えて何度も聞くなら、プロンプトキャッシュが使えます。PDFをキャッシュしておけば、繰り返しの分析の性能が上がると公式は説明しています。月末にまとめて処理するなら、バッチ処理も選択肢です。

件数が多い取引先では、PDFを1回ごとに送るより、取引単位でファイルを揃える前処理の方が効きます。発注番号をファイル名に含めておけば、どの3枚が1組かを機械的に決められ、組の取り違えという別の事故も防げます。

Claudeに任せない範囲も決めておきます。

  • 検収の承認そのものは、人の権限に残す
  • 差異の原因の断定はさせず、「確認が必要な事実」として出させる
  • 取引先への問い合わせ文面を作らせる場合も、人が内容を確認して送る

PDF処理の上限をChatGPTと比べたい場合は、ClaudeとChatGPTのPDF処理上限の比較が参考になります。経理業務の全体像はClaude中小企業経理ガイドにあります。

よくあるつまずき

3枚の対応が崩れて、別の取引の行が混ざる

品番をキーにする指示がないと、品名の表記揺れで行が結びつかないことがあります。表の「未対応」が多いときは、品番の体裁(ハイフンの有無など)を指示文で揃えさせます。

合計は合っているのに、明細にずれがある

数量差と単価差が互いに打ち消し合うと、合計だけでは見つかりません。明細の行ごとに区分を出させる設計にしているのは、そのためです。

毎回、表の形が変わる

列名と区分を固定した指示文をテキストファイルで管理し、毎回同じものを使います。区分の名前を変えない限り、後工程の集計がそのまま使えます。

まとめ

三点照合では、行の対応づけと転記をClaudeに、計算の検算を機械に、許容するかの判断を人に分けます。スキャンの納品書は桁と似た文字の読み違いが最大の弱点なので、「読取不確実」の区分と根拠ページを表に入れ、人は原本のそのページだけを見る。この設計にすると、全件を目で往復していた検収前の作業が、ずれのある行の確認に絞られます。

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