Claude Researchで書籍企画書の類書調査を作る — 刊行年・価格・切り口を表に
書籍企画書に添える類書調査を、Claude Researchで集めて表にする手順です。刊行年・価格・切り口の列設計と、書誌データを人が突き合わせる検証、自社企画との差分の書き方を扱います。
書籍企画書の類書調査は、同じテーマの既刊書を集めて「自社の企画は何が違うのか」を示す資料です。Claude Researchに候補の収集と表づくりを任せ、刊行年や価格などの書誌データは人が確かめる、という分担にすると短時間で企画会議の1枚まで仕上がります。この記事では、依頼の出し方、表の列設計、検証、差分の言語化の順に手順を示します。
類書調査で決めるのは「何を比べる表か」
類書調査は、既刊書を並べるだけでは企画会議で使えません。編集会議で問われるのは「似た本は売れているのか」「それでもこの企画を出す理由は何か」の2点です。表はこの2点に答える形で設計します。
比べる列は、事実で埋まる列と、判断が入る列に分けます。
| 種類 | 列の例 | 誰が埋めるか |
|---|---|---|
| 書誌(事実) | 列の例書名・著者・出版社・刊行年・判型・本体価格 | 誰が埋めるかResearchが候補を出し、人が確認 |
| 内容(読み取り) | 列の例想定読者・切り口・章立ての特徴 | 誰が埋めるかResearchが案を出し、人が確認 |
| 判断 | 列の例自社企画との違い・企画への示唆 | 誰が埋めるか人が決める |
最後の「判断」列までClaudeに任せると、会議で説明できない表になります。Researchが得意なのは複数の情報源を集めて整理するところで、企画の勝ち筋を決めるところではありません。
Researchを使える条件と、入れる前の準備
Researchは有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で、ウェブ版、Claude Desktop、モバイルから使えます。動かすにはウェブ検索をオンにしておく必要があります。チャット欄左下の「+」ボタンから「Research」を選ぶと、画面下部に青い表示が出ます。もう一度押すと無効になります。
どの機能を使うかは、調べる量で決まります。公式のヘルプでは、1〜2回のツール呼び出しで済む事実確認はウェブ検索、5回以上のツール呼び出しで1〜3分かけて複数の情報源から報告書をまとめる作業はResearchが向くとされています。類書調査は後者です。
Researchを入れる前に確かめる3点
プランとウェブ検索
有料プランであることと、ウェブ検索がオンであることを確認します。
モバイルでは社内ツールが外れる
モバイルで始めたResearchはウェブだけを検索し、コネクタは使われません。エラーも出ないので、社内の売上資料などを併用したいときはウェブ版かClaude Desktopから始めます。
使用量が減りやすい
Researchは通常の会話と同じ上限の対象ですが、複数の情報源を引くぶん上限に早く届きやすくなります。
使われるモデルも決まっています。ヘルプには、ResearchがClaude Opus 5.5で動き、必要に応じてClaude Opus 4.8に切り替わると書かれています。チャットで選んだモデルは関係しません。TeamやEnterpriseで管理者が両方のモデルを無効にしていると、Researchは使えません。
手順1: 企画の「核」を3行で渡す
最初の依頼で渡すのは、自社企画の仮の説明です。検索語の指定より、企画の核を渡したほうが「似た本」の拾い方が安定します。
類書調査を作る流れ
- 1
企画の核を3行にする
テーマ、想定読者、本の特徴を各1行で書きます。まだ固まっていない部分は「未定」と書いて渡します。
- 2
Researchで候補を集めさせる
下の依頼文で、類書の候補を表にさせます。出典URLの列を必ず付けます。
- 3
書誌を人が突き合わせる
刊行年・価格・版元を、版元や書店の書誌ページで確かめます。
- 4
差分を言語化して1枚にする
表を見ながら、自社企画が空けられる位置を一文で書きます。
Researchをオンにした状態で、次のような依頼を送ります。括弧内は自分の企画に置き換えます。
書籍企画書に添える類書調査をつくります。
【企画の仮説明】
- テーマ:(例:中小企業の経理担当者向けのインボイス制度対応)
- 想定読者:(例:経理経験3年未満の担当者)
- 特徴:(例:仕訳例を中心にした実務書。法解説は最小限)
【依頼】
1. 日本語で刊行されている類書の候補を10〜15冊集めてください。
2. 次の列の表にしてください。
書名 / 著者 / 出版社 / 刊行年 / 価格(税抜か税込かを明記) / 判型 /
想定読者 / 切り口 / 出典URL
3. 刊行年や価格が複数の情報源で食い違う場合は、食い違いを備考に書いてください。
4. 確認できなかった項目は推測で埋めず「未確認」としてください。
5. 自社企画との差分の評価はまだ書かないでください。5番で差分の評価を止めているのは、候補を集める段階と、判断する段階を混ぜないためです。混ぜると、候補の選び方そのものが「差がありそうな本」に寄ってしまいます。
Researchが動いていないように見えるときは、公式のFAQにあるとおり「Claude, please use the research tool to…」と、使ってほしいことを言葉で指示します。
手順2: 価格と刊行年は「版」を揃えて見る
書誌の列で崩れやすいのは、価格と刊行年です。ここは表の見た目が整っていても、中身が揃っていないことがあります。
- 価格は税抜か税込かで数字が変わります。列見出しに「本体価格(税抜)」のように基準を書き、基準が違う行は直します。
- 刊行年は初版の年か、改訂版や新版の年かで読みが変わります。「売れ続けている本」を見たいなら初版年と改訂年を別の列に分けます。
- 電子版だけの価格が混ざっていないか、紙の書籍と同じ基準で書かれているかを見ます。
Researchは複数の情報源を引くため、情報源によって違う数字が出ることがあります。依頼文の3番で食い違いを備考に出させておくと、どこを人が確かめるべきかが表の中で見えます。
手順3: 切り口の列は「想定読者」とセットで読む
切り口の列は、Claudeの要約をそのまま信じず、書名・帯・目次といった一次情報と照らします。Researchがウェブ上の紹介文から読み取った切り口は、版元の宣伝文の言い換えになりがちです。
見るときは、次の3つに分けて表に追記させます。
| 観点 | 問い |
|---|---|
| 入口 | 問い読者は何に困って手に取るのか |
| 深さ | 問い入門か、実務か、専門か |
| 形 | 問い解説書か、事例集か、ワークブックか |
2回目の依頼で、この3観点を既存の表に追加させます。同じチャットで続けると、1回目の表を踏まえて追記してもらえます。
先ほどの表に、次の3列を追加してください。
入口(読者の困りごと) / 深さ(入門・実務・専門) / 形(解説書・事例集・ワークブック)
各列は、出典URLのページに書かれている内容から判断し、
判断の根拠になった記述を備考に1行で書いてください。根拠の1行を付けさせると、人が確かめる手間が減ります。紹介文に書かれていない判断は「根拠なし」と返ってくるので、そこは自分で書店や版元のページを開いて埋めます。
手順4: 自社企画との差分を言語化する
表が埋まったら、ここからが人の仕事です。差分は「類書にない要素」を探すより、「類書が埋めている位置」を地図にして空きを見つけるほうが、会議で説得力が出ます。
差分の書き方
弱い書き方
類書は多いが、本企画はより分かりやすく、実務に役立つ内容にする。
強い書き方
既刊10冊のうち8冊が法解説中心。仕訳例を軸にした実務書は2冊で、どちらも刊行から3年以上経っている。本企画はこの位置を取る。
「分かりやすい」「役立つ」は、どの類書にも書けます。差分は、表の列を数えて言える事実にします。次の依頼で、数えるところだけをClaudeに手伝わせます。
表の「切り口」「深さ」「形」の列を使って、既刊が集まっている位置と、
空いている位置を整理してください。
数える対象は表にある冊数だけにし、表に無い本の存在は仮定しないでください。
そのうえで、次の企画の特徴が空いている位置に当たるかを、
当たる・一部当たる・当たらないのどれかで判断し、理由を書いてください。「表にある冊数だけ」と限定するのがポイントです。Researchが拾えなかった本は表に載りません。「類書は10冊だけ」と言い切れる調査ではないので、会議資料には調査日と、集めた候補の冊数を書き添えます。
企画会議の1枚にまとめる
表は列が多いままだと、1枚に収まりません。会議用には、書誌の列を絞り、差分を主役にします。
- 左側に類書の表(書名・出版社・刊行年・価格・切り口を1行)
- 右側に差分の一文と、空いている位置の図
- 下部に調査の範囲(調査日、候補の集め方、未確認の項目)
Claudeには「この表から、A4横1枚のレイアウト案を出してください」と頼めます。ただし数字の転記は人が見直します。Claudeで文章の言い回しを整え、数字と書名は書誌ページと突き合わせた版を最終にします。
うまくいかないとき
落とし穴
洋書や絶版書、自費出版は拾いにくい
Researchが引くのはウェブ上の公開情報です。流通が少ない本や、ウェブに紹介がない本は候補に上がりません。重要な類書がありそうなら、図書館や書店の棚で確かめて、表に自分で足します。
候補が10冊に届かないときは、テーマを広げるのではなく、隣接テーマ(読者が同じで題材が違う本)を別表にして足すのが定石です。「同じ読者が買う別の本」も、企画の位置づけを語る材料になります。
社内の販売データや過去の類書の売上を併せて見たい場合は、コネクタを有効にした状態でウェブ版かClaude Desktopから始めます。Researchはコネクタのツールを、承認を求めずに自動で使います。社外に出せない数字を含むチャットでResearchを回すときは、どのコネクタをオンにしているかを先に確認します。
類書調査の周辺で使い分けるClaudeの機能
同じResearchでも、比べる対象が違えば表の設計が変わります。
- 競合の料金プランを比べる場合は、課金軸とプラン境界で列を作ります。手順はClaude Researchで競合の料金を比較するにあります。
- 競合する技術や方式を比べる場合は、比較軸と数値の条件をそろえます。Claude Researchで技術調査レポートを作るが同じ型で扱っています。
- 企画が通ったあとの章立てと目次は、ClaudeでKindle出版の構成・目次を作る手順につながります。
まとめ
類書調査では、Researchに候補の収集と列の整理を任せ、価格・刊行年・版元は人が書誌ページで確かめます。差分は「類書が集まる位置」を数えたうえで、空いている位置に自社企画が当たるかで書くと、企画会議で説明できる1枚になります。