Claudeで再校の赤字反映を確認する — 初校と再校のPDFを突き合わせる手順
初校の赤字指示と再校のPDFをClaudeに渡し、指示ごとに反映済みか未反映かを一覧にする手順です。ページ番号のずれやPDFの条件、人が目で見る箇所も示します。
再校が戻ってきたら、まず初校の赤字が直っているかを見ます。数十か所の赤字を、初校と再校を行き来しながら一つずつ照らす作業です。目が疲れてくると、一番最後の数か所を読み飛ばします。
この作業はClaudeに向いています。初校の赤字と再校のPDFを渡し、「指示ごとに反映済みか未反映か」を一覧にさせるやり方です。ただし、Claudeの一覧をそのまま信じて校了にはできません。この記事では、PDFを渡す前の確認、依頼文の組み立て、一覧を受け取ったあとに人が見る箇所を順に示します。
渡す前に確認する4つのこと
PDFの条件を外すと、最初の1回で止まります。数字は公式のPDFサポートの記載です。
- リクエスト全体のサイズは最大32MB
- 1回に渡せるのは最大600ページ。コンテキストウィンドウが1Mトークン未満の場合は100ページ
- パスワードや暗号化のかかったPDFは扱えない
- 各ページは画像に変換され、抽出されたテキストが画像と一緒に渡される
校正刷りはカラーの画像が多く、1ページが重くなりがちです。文字が細かく表が多いPDFは、ページ数の上限に届く前にコンテキストウィンドウが埋まることがあります。章ごとに分けると通りやすくなります。
Claude.aiのチャットにアップロードする場合は、別の上限が付きます。1チャットあたり最大20ファイルで、100ページ以下のPDFは文字と図版の両方を読みます。101〜1000ページのPDFは文字のみの処理に切り替わり、視覚要素は分析されません。赤字が画像として焼き込まれた校正刷りは、100ページを超えると赤字を拾えない可能性があります。章単位に分けてから渡すのが安全です。
渡す前の準備
- 初校と再校は、同じ章・同じ範囲で切り出す
- 向きは縦位置に揃え、読める解像度で書き出す
- ファイル名に「初校」「再校」を入れる
赤字がPDFの中でどう入っているかを先に見る
赤字がPDFの注釈(コメント)として入っているのか、紙をスキャンして画像になっているのかで、読ませ方が変わります。どちらの形式で入ったPDFをClaudeがどう処理するかは、PDFサポートのページに記載がありません。
手元の校正刷りで試すのが早い方法です。赤字が数か所ある1ページだけを渡し、「このページの赤字を全部書き出して」と頼みます。拾い漏れがあれば、その形式のPDFは赤字の抽出に向かないと分かります。この確認は、本番の何十ページを渡す前に済ませておくと手戻りが減ります。
ページ番号は、PDFビューアの番号で伝える
校正では、紙面に印刷されたページ番号(ノンブル)で話す習慣があります。ところがClaudeにページを指すときは、PDFビューアに表示される番号を使うよう案内されています。Claude.aiのアップロード解説も、紙面の番号ではなくビューアの番号を使うよう求めています。
扉や目次、前付けが入っていると、ノンブルとPDFのページ番号は数ページずれます。初校と再校でページ数が変わっていれば、ずれ方も2つのファイルで違います。
落とし穴
ノンブルで伝えると、別のページを見に行く
「p.42の赤字」と頼んだとき、42がノンブルなのかPDFの42ページ目なのかを取り違えると、別のページの文言を根拠に「反映済み」と返ってくるおそれがあります。依頼文の冒頭に「ページ番号はPDFビューアの番号で書く」と書き、初校と再校の対応表を一枚添えておくと防げます。
手順1: 初校から赤字の台帳を作らせる
最初に、再校は見せずに初校だけを渡します。赤字指示の一覧を先に作らせるためです。初校と再校を同時に渡して、いきなり「反映されているか」と聞くと、赤字の読み取りと照合が一度に走ります。間違えたときに、どちらで間違えたのか分かりません。
添付は『初校』のPDFです。赤字で書かれた修正指示を、すべて書き出してください。
- ページはPDFビューアの番号で書く
- 1指示を1行にする
- 列は「通し番号 / ページ / 位置(段落の冒頭から何行目など) / 赤字の内容 / 指示の種類」
- 指示の種類は「差し替え」「削除」「挿入」「改行・字下げ」「その他」から選ぶ
- 判読できない赤字は、推測で埋めずに「判読不能」と書く最後の1行が要点です。読めない赤字を推測で補わせると、台帳の時点で誤りが混ざります。
台帳ができたら、紙の初校の赤字と見比べてください。ここで台帳の数が合っているかを確かめます。赤字の数え間違いを、再校の照合に持ち込まないための関門です。抜けや誤読は、この段階で直します。
手順2: 再校と照らして、指示ごとに判定させる
台帳が確定したら、再校のPDFと台帳を渡します。台帳はテキストで貼り付けます。PDFは依頼文より前に置くと性能が上がると案内されているので、添付のあとに文章を書きます。
添付は『再校』のPDFです。さきほどの赤字の台帳を、再校に照らしてください。
台帳:
(手順1で確定した表を貼る)
台帳の通し番号ごとに、次の列を持つ表にします。
- 判定: 「反映済み」「未反映」「一部反映」「確認できず」から選ぶ
- 再校の該当ページ(PDFビューアの番号)
- 再校の該当箇所の文言(そのまま引用する)
- 判定の根拠(1文)
該当箇所が見つからないときは、「確認できず」にして理由を書いてください。
「反映済み」と書くときは、必ず再校の文言を引用してください。「反映済み」には引用を必須にしています。引用がなければ、人が再校の該当ページを開いて見比べる手間が残るためです。引用があれば、画面上で文言を照らすだけで済みます。
判定の4区分は、迷いを残す側に倒す
判定を「反映済み」と「未反映」の二択にすると、Claudeは迷うケースをどちらかに寄せます。「一部反映」と「確認できず」を用意しておくと、判断の分かれる箇所が表に出てきます。
| 判定 | 意味 | 人が最初に見る順番 |
|---|---|---|
| 未反映 | 意味再校に指示の内容が見当たらない | 人が最初に見る順番1番目 |
| 一部反映 | 意味指示の一部だけ直っている | 人が最初に見る順番2番目 |
| 確認できず | 意味該当箇所が見つからない・判読できない | 人が最初に見る順番3番目 |
| 反映済み | 意味引用つきで直っていると判定 | 人が最初に見る順番最後にまとめて照合 |
校了が近いときは、この順に見ていくと、時間が足りなくなっても未反映から先に潰せます。
出力は、たとえば次のような形になります(書式の一例です。実際の出力は文書と依頼文で変わります)。
| 通し番号 | 初校の赤字(要約) | 判定 | 再校の該当ページ | 再校の文言(引用) |
|---|---|---|---|---|
| 7 | 初校の赤字(要約)「約3割」を「約30%」に差し替え | 判定反映済み | 再校の該当ページ18 | 再校の文言(引用)「…参加者の約30%が…」 |
| 8 | 初校の赤字(要約)図3のキャプションを削除 | 判定未反映 | 再校の該当ページ19 | 再校の文言(引用)「図3年別の推移」 |
| 9 | 初校の赤字(要約)脚注番号の振り直し | 判定一部反映 | 再校の該当ページ21 | 再校の文言(引用)「注4」から「注6」へ飛んでいる |
手順3: 赤字になかった変更を拾わせる
反映漏れの確認だけでは、校正の事故は防げません。赤字を直したついでに、組版の都合で文字が動いたり、別の箇所が書き換わったりすることがあります。指示のなかった変更は、台帳の照合では見つかりません。
そこで3つ目の依頼を出します。初校と再校を両方添付して、差分を拾わせます。
添付は『初校』『再校』のPDFです。
赤字の指示になかった変更を、再校から拾ってください。
- 対象は本文の文言、数字、固有名詞、見出し、図表のキャプション
- 初校の文言と再校の文言を並べて、1変更を1行にする
- すでに台帳にある指示の結果は、含めない
- 組版による改行位置やページ送りの違いは、書かなくてよい2つのPDFを同時に渡すときは、どれが初校でどれが再校かをClaudeが取り違えないようにします。画像を複数渡す場合は「Image 1:」「Image 2:」のように、それぞれを短い文で紹介する方法が案内されています。PDFでも同じ考え方で、ファイルの前にラベルを書くと取り違えを減らせます。API経由ならドキュメントのブロックの前に「初校:」「再校:」という文を置きます。Claude.aiでは、ファイル名に「初校」「再校」を入れておけば、依頼文からも指せます。
Claudeの一覧を信じる前に、人が見る箇所
Claudeの一覧は、そのまま校了の判断には使えません。PDFのサポートは画像認識の機能に支えられていて、画像の読み取りに関する制限が同じように当てはまるためです。
画像の読み取りの制限として、次の3点が案内されています。
- 低品質、回転した画像、200ピクセル未満の小さな画像では、誤読や事実と異なる内容を返すことがある
- 座標や位置の出力は近似で、検証してから使う
- 数を数える作業は、小さなものが多いと正確さを欠くことがある
校正刷りに当てはめると、次の箇所は人が目で見る対象になります。
- 小さな文字の赤字(字間、約物、半角と全角の差など)
- 「未反映」と判定された箇所すべて
- 「確認できず」と「一部反映」の箇所すべて
- 台帳の件数と、紙の初校の赤字の数
位置の話は、座標が出てくる別の記事で詳しく扱っています。ページ上の位置のずれを疑うときは、ClaudeでPDFの座標がずれる原因と直し方が参考になります。
「反映済み」の引用が実際に再校にあるかの照合も、サンプルで構いませんので人が行います。台帳の10本に1本は、引用を再校の該当ページで見比べると、判定の信頼度を測れます。
章ごとに分けて、何度も回す
1冊分の校正刷りを一度に渡すと、ページ数もコンテキストも限界に近づきます。章または一定のページ数で分けて、同じ手順を繰り返すほうが、判断の分かれる箇所を絞りやすくなります。
分けるときの要点は次のとおりです。
- 初校と再校を、同じ範囲で切り出す。ページ数が変わっていても、章の頭と終わりをそろえる
- 台帳は章ごとに作り、章をまたぐ指示(索引、目次、相互参照)は別に台帳を立てる
- 同じ書式の依頼文を、章ごとに繰り返す
PDFが1ページあたり1,500〜3,000トークン程度を使うと案内されているので、章の長さを決める目安になります。確かめたいときは、トークン数を数える機能で、実際のPDFがどれだけ使うかを見積もれます。
同じPDFに対して台帳の作成・照合・差分と3回の依頼を重ねるなら、同じ内容を繰り返し送ることになります。API経由でプロンプトキャッシュを使えば、繰り返しの分析を速くできます。チャットで使うなら、プロジェクトにPDFを置いて参照する形が楽です。プロジェクトの使い方は、Claudeで自動車保険の見積書PDFを比較するの進め方が応用できます。
校了の判断は、人が持つ
「反映済み」を鵜呑みにしたまま校了に進むと、取り返しがつきません。印刷物は、校了のあとで文言を直せないためです。Claudeは、赤字の洗い出しと照合の下ごしらえを担当し、校了の判断は人が持つ分担にします。
取材記事の数字や肩書を、取材メモと突き合わせる確認は別の作業です。校正の赤字反映が「指示した直しが入ったか」を見るのに対し、事実の照合は「書いてある内容が正しいか」を見ます。後者はClaudeで取材記事のゲラを事実照合するで手順を示しています。再校の段階で両方が要る場合は、赤字の反映確認を先に終えてから、事実照合に進むと切り分けやすくなります。
よくある質問
赤字が手書きのスキャンでも使えますか
スキャンで取り込んだ画像のPDFでも、ページは画像として渡されます。ただし、PDFサポートのページに、手書きの赤字の読み取り精度についての記載はありません。低品質の画像では誤読がありうるという案内があるので、鮮明にスキャンし直したうえで、最初は1ページで試してください。
同じ依頼で判定が食い違ったら、どうすればいいですか
実行のたびに判定が食い違う場合は、その箇所の判断が分かれている目印です。引用を必須にしていれば、ぶれた箇所を人が再校の該当ページで確かめられます。食い違った件は、すべて人が見る対象に入れます。