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Claudeで雑踏警備の警備計画書を起こす — 主催者の企画書PDFから骨子へ

Claudeで雑踏警備の警備計画書を起こす — 主催者の企画書PDFから骨子へ

主催者の企画書PDFから想定来場者・動線・配置の論点を抜き出し、警備計画書の骨子にする手順です。数字と人員は警備業者が決める欄として残します。

雑踏警備の仕事は、主催者から届く企画書PDFを読むところから始まります。開催日時、会場の図、出演者のタイムテーブル、想定来場者。必要な情報は揃っているのに、警備の言葉に直されていません。

この記事では、その企画書PDFをClaudeに読ませ、警備計画書の骨子に必要な論点を拾う手順を扱います。拾うのは来場者の想定、動線、配置の三つです。人員の数や配置の最終判断は、警備業者の側で決める欄として空けておきます。

警備計画書は何のための書面か

雑踏警備は、警備業法第2条第1項第2号の「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」にあたります。企画書を読むときの軸は、この定義の通り「事故の発生を警戒し、防止する」ことです。

警備業法が書面として定めているのは、契約の前に渡す契約の概要書面と、契約後に渡す契約内容の書面です(第19条)。後者には、警備業務の内容、対価、支払の時期と方法、警備を行う期間、契約の解除に関する事項などを書きます。「警備計画書」という名前の書面そのものは、この条文には出てきません。

つまり警備計画書は、条文に名前のある書面ではなく、依頼者との合意や社内の指揮のために作る書面です。様式は会社ごとに違ってかまいません。逆に言えば、契約書面に書く「警備業務の内容」と食い違わない骨子にしておく必要があります。

Claudeに頼むのは、その骨子の下書きです。次の三つは頼みません。

  • 配置人数の決定(現場の人員基準や会社の算定方法による)
  • 契約書面の記載事項の確定(第19条の書面は警備業者の責任で整える)
  • 警備員への教育計画の作成(第22条の指導教育責任者の業務)

警備業法第15条は、警備業者と警備員が法律で特別な権限を与えられていないことに留意するよう定めています。計画書に「誘導」「制止」と書く場面でも、権限の範囲を広げる書き方にならないよう、人が読み直します。

企画書PDFを渡す前に確かめること

ファイルの上限に当たると、読み込み自体が止まります。Claudeの画面から使うか、APIから使うかで数字が違います。

項目claude.aiClaude API
ファイルサイズclaude.ai1ファイル30MBClaude API1リクエスト32MB(プラットフォームで異なる)
ページ数claude.ai1,000ページまで。図表を読むのは100ページ以下Claude API600ページ。コンテキストウィンドウが1M未満のときは100ページ
形式claude.ai標準的なPDFClaude APIパスワード・暗号化なしの標準PDF

claude.aiでは、101ページから1,000ページのPDFは文字だけが処理され、図や画像は解析されません。会場図や動線図が企画書の後ろに綴じられているなら、100ページを超えない範囲に切り出して渡します。

APIの上限は、PDF以外のコンテンツを含むリクエスト全体にかかります。字の細かいページや複雑な表が多いと、ページ数の上限に届く前にコンテキストウィンドウが埋まることがあります。その場合は文書を分けて渡します。

次の点も、読み取りの精度に関わります。

  • PDFはテキストより先に置く
  • ページは正しい向きにそろえる
  • プロンプトでページを指すときは、PDFビューアーの表示番号を使う(紙面に印刷された番号ではない)

最後の点は、警備計画書では特に効きます。企画書は表紙や目次を数えない独自のページ番号を振っていることがあり、「p.8の会場図」と書くとClaudeが別のページを見る原因になります。

企画書から拾う論点を決めておく

最初から「警備計画書を作って」と頼むと、企画書にない数字が補われます。先に、拾う項目を表にして渡します。

論点企画書で見るところ見つからないとき
開催日時と開場・開演・終演企画書で見るところ概要、タイムテーブル見つからないとき「記載なし」と書かせる
想定来場者数と時間帯ごとの波企画書で見るところ集客目標、チケット販売計画見つからないとき数字を作らせず、主催者への質問にする
入退場口の数と位置企画書で見るところ会場図、導線図見つからないとき図が読み取れないページ番号を挙げさせる
待機列の置き場所企画書で見るところ入場方法の記述見つからないとき主催者への質問にする
道路・公園など公共空間へのはみ出し企画書で見るところ会場図、搬入出計画見つからないとき質問にする
出演者・VIPの動き企画書で見るところ進行表、楽屋計画見つからないとき記載の有無だけ書かせる
救護室・本部・避難口企画書で見るところ会場図、運営体制図見つからないとき質問にする

右端の列がこの表のいちばん大事なところです。見つからない項目を、Claudeが推測で埋めずに質問として返す形にします。想定来場者数が企画書に1か所しか出てこないなら、その数字を使うだけです。

渡すプロンプトの例を示します。冒頭の条件は、そのまま貼り換えて使えます。

添付は主催者の企画書PDFです。雑踏警備の警備計画書を作るための
論点を、次の表の項目ごとに抜き出してください。
 
ルール:
- 企画書に書かれている内容だけを使う。ない項目は「記載なし」と書く
- 数字は、企画書のページ番号(PDFビューアーの番号)を添える
- 会場図や導線図は、読み取れた範囲だけを書く。読めない箇所は
  「判読不能」とし、ページ番号を挙げる
- 来場者数に基づく人員数は計算しない
- 最後に、主催者へ確認すべき質問を番号付きで並べる

この下に、前の表の7項目を貼ります。

骨子の組み方

論点が揃ったら、骨子にします。流れは四段です。

手順

企画書から骨子までの流れ

  1. 1

    論点の抜き出し

    上のプロンプトで、項目ごとの表と質問リストを出させます。

  2. 2

    主催者への質問を送る

    「記載なし」の項目を質問にまとめて、主催者に戻します。想定来場者数が曖昧なままでは、後段の骨子が成り立ちません。

  3. 3

    回答を反映して骨子を起こす

    回答を貼り足し、来場者の想定、動線、配置の三つの見出しで骨子を作らせます。

  4. 4

    人が数と判断を埋める

    人員数、持ち場の割り振り、現場責任者の指名は人が書きます。

骨子は、次の形で下書きさせると、人が埋める箇所が見えます。

## 1. 来場者の想定
- 想定来場者数: 企画書p.3「◯◯人」 / 確認状況: 主催者回答待ち
- 時間帯ごとの集中: (企画書の記載をそのまま転記)
- 年齢層・同伴者の特徴: 記載なし → 質問3
 
## 2. 動線
- 入場: 入場口◯か所(企画書p.8会場図)
- 待機列の置き場: 記載なし → 質問5
- 退場: 終演後の集中が想定される出口: (読み取れた範囲)
- 公共空間へのはみ出し: 記載なし → 質問6
 
## 3. 配置(案)
- 持ち場の候補: 入場口 / 待機列 / 場内通路 / 出口 / 本部
- 人員数: 【警備業者が決定】
- 現場責任者: 【警備業者が指名】

「配置(案)」で、Claudeが出すのは持ち場の候補までです。会場図の入場口が三つなら入場口の持ち場も三つ、という並べ方は、図から機械的に作れます。そこへ何人置くかは、企画書では決まりません。

主催者への質問は番号付きで返す

「記載なし」の項目は、主催者に質問として戻します。Claudeに質問を作らせるときは、答えが一言で書ける形にしておくと、回答が早く集まります。

  • 悪い例: 「動線について教えてください」
  • 良い例: 「入場待機列は会場外のどこに作る予定ですか。会場図のp.8のどの位置に当たりますか」

質問には、企画書のどのページを読んで生じた疑問かを添えさせます。主催者の担当者が、自分の資料のどこの話か探す手間を省けます。回答が返ったら、元の表の「記載なし」欄に回答を貼り足し、出典を「主催者回答(日付)」に変えます。企画書の記載と回答が混ざらないようにするためです。

骨子を契約書面と突き合わせる

骨子ができたら、契約の概要書面や契約書面に書く「警備業務の内容」と食い違っていないかを見ます。第19条第2項の書面に載せる項目は、業務の内容、対価、支払の時期と方法、期間、解除です。骨子の「配置(案)」で想定している持ち場や警備の期間が、これらと合っているかを、次のように頼んで洗い出せます。

添付の骨子と、契約書面の下書きを突き合わせてください。
- 警備を行う期間(日付と時間帯)が一致しているか
- 骨子の持ち場が、契約の「警備業務の内容」に含まれているか
- 骨子にあって契約書面にない業務、契約書面にあって骨子にない業務
一致しない箇所は、両方の該当箇所を引用して並べてください。

食い違いの判断は人が行います。Claudeが挙げるのは候補です。

会場図と動線図は読み違えやすい

警備計画書では、図の読み違いが後の配置にそのまま響きます。Claudeの画像理解には、次の制約があると公式の画像機能のページが書いています。

  • 位置や座標の出力は概数で、頼る前に確かめること
  • 数えることは得意だが、小さな対象が多いと正確とは限らない
  • 品質が低い、回転している、小さすぎる画像では誤りや誤読が出ることがある

落とし穴

図の「出口は3か所」は人が数え直す

Claudeに会場図から出口の数を答えさせると、図の記号の読み違いで数がずれる可能性があります。数字が出たら、図の該当ページを開き、人が出口を指で数えます。計画書に載せる数値は、数え直した結果を使います。

動線図の矢印も同様です。矢印の向きを読み違えると、入場と退場を取り違えた骨子になります。Claudeの出力に「入場は北口から」とあれば、その箇所を図で必ず確かめ、一致したときだけ骨子に採用します。

APIで繰り返し回すとき

同じ主催者から企画書が何度も更新されて届く場合は、APIで回すこともできます。PDFは、URL、Base64、Files APIのfile_idのいずれかで渡せます。ここではBase64の例を示します。

base64 -i kikakusho.pdf | tr -d '\n' > kikakusho.b64
 
jq -n --rawfile pdf kikakusho.b64 --rawfile q prompt.txt '{
  model: "claude-opus-5-5",
  max_tokens: 4096,
  messages: [{role: "user", content: [
    {type: "document",
     source: {type: "base64",
              media_type: "application/pdf", data: $pdf}},
    {type: "text", text: $q}
  ]}]
}' | curl https://api.anthropic.com/v1/messages \
  -H "content-type: application/json" \
  -H "x-api-key: $ANTHROPIC_API_KEY" \
  -H "anthropic-version: 2023-06-01" \
  -d @-

prompt.txtには先ほどのプロンプトを入れます。同じPDFに複数の質問を重ねる場合は、documentブロックにcache_controlを付けると、繰り返しの分析で処理を軽くできます。

PDFの1ページには、文字が1,500〜3,000トークン前後かかり、ページが画像にもなるので画像分のコストが加わります。PDF専用の追加料金はありません。トークン数が気になる企画書は、トークンカウントで見積もれます。

よくあるつまずき

図が読まれない。claude.aiで101ページ以上のPDFを渡すと、図は解析されません。会場図のあるページだけを切り出して、100ページ以下にします。

数字が企画書と合わない。想定来場者数が、概要では「5,000人」、後ろの頁では「延べ」で別の数字、ということがあります。プロンプトで「数字は出てきたページごとに併記」と指示すると、食い違いに気づけます。食い違いは主催者への質問に回します。

「Could not process PDF」で止まる。暗号化やパスワード付きのPDFは扱えません。原因の切り分けはCould not process PDFの原因と対処にあります。

計画書の外にある話が混ざる。届出の窓口を整理する話は、骨子の外です。道路使用許可や臨時出店の届出はイベントの届出チェック表に、当日の持ち場ごとの動きはイベント当日の運営マニュアルにあります。荒天時の中止判断は荒天時の中止判断表が扱います。

企画書以外の資料を足すとき

企画書だけでは、会場の条件が足りないことがあります。貸会場の見積書や使用条件のPDFがあれば、並べて読ませると、搬入出の時間帯や使える出入口が見えてきます。見積書の比べ方は貸会場の見積書PDFを比較する手順にあります。

別のPDFを足すときは、プロンプトに「どの資料のどのページ」と出典を書かせます。企画書と会場の使用条件が食い違ったとき、どちらの資料の話か分からなくなるのを防げます。

まとめ

企画書PDFから拾えるのは、書いてある論点と、書いていない箇所の質問リストまでです。想定来場者の数、図の読み取り、人員の配置は、人が数え直して決めます。Claudeに骨子を起こさせる価値は、主催者との最初のやり取りを速くし、計画書の穴を早い段階で質問にできる点にあります。

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