情報処理安全確保支援士の午後(科目B)をClaudeで練習する手順 — 記述式の根拠を詰める
情報処理安全確保支援士の午後は、いまは科目Bという名前の記述式です。Claudeに答えを書かせず、自分の答案を解答例と照らして失点の型を分ける練習手順を、プロンプト付きで示します。
情報処理安全確保支援士の「午後」は、2026年度から科目Bと呼ばれています。150分で4問中2問を選び、記述式で答える試験です。Claudeに問題を解かせても、自分の答案は変わりません。効くのは、自分で書いた答案をIPAの解答例と照らし、どこで点を落としたかを型に分ける使い方です。
この記事では、その練習手順をプロンプト付きで示します。あわせて、Claudeに任せてはいけない判断と、練習に使える過去問の範囲も示します。
午後はいま科目Bと呼ばれている
IPAは2026年度のCBT方式への移行にあわせて、科目名を変えました。支援士試験では、午前Ⅰが科目A-1、午前Ⅱが科目A-2、午後が科目Bです。出題範囲、出題形式、配点、合格基準は変わっていません。
試験区分のページには、科目Bの形式が次のように載っています。
科目Bの形式
試験時間
150分
記述式
出題数
4問
2問を選んで解答
配点
各50点
100点満点
基準点
60点
100点満点中
見落としやすいのは、科目Bだけを練習しても合否が決まらない点です。試験要綱の「多段階選抜方式」では、科目A-1が基準点に届かないと、科目A-2と科目Bは採点されません。科目A-2が基準点未満のときも、科目Bは採点されずに不合格です。科目Bの練習に入る前に、科目Aの足切りを越えておく必要があります。
2026年度の日程は、前期が申込み2026年10月6日〜10月24日、科目Bの実施が11月11日〜11月23日です。後期は申込み2027年1月27日〜2月27日、科目Bの実施が3月16日〜3月28日です。申込みは前期・後期とも1回のみです。
練習に使える素材は令和7年度までの公開問題
令和8年度の試験問題は非公開で、第三者への開示は禁じられています。受験後に思い出した問題を書き起こして共有することは、してはいけません。練習素材は、IPAが公表している過去問に限ります。
IPAの過去問ページには、令和7年度秋期の支援士試験の午後について、問題冊子、解答例、採点講評のPDFが並んでいます。過去問の使用には許諾も使用料も不要で、ダウンロードして使えます。留意点は同ページが案内する「よくある質問」で読んでください。
3種類の資料は、役割が違います。
| 資料 | 練習での役割 |
|---|---|
| 問題冊子 | 練習での役割本番と同じ条件で自分が解く対象 |
| 解答例 | 練習での役割記述式の解答例と出題趣旨。正解の基準はここだけ |
| 採点講評 | 練習での役割出題者から見た受験者の傾向。解答例だけでは見えない失点理由 |
Claudeに任せるのは、解答例と自分の答案の差を言語化する作業です。正解を決める役ではありません。
Claudeに資料を渡す準備
問題冊子と解答例のPDFは、チャットに添付できます。Claudeは100ページ以下のPDFなら、本文だけでなく図表も読みます。図表を読ませたい問題は、100ページ以下に収まる単位で渡すと安全です。101ページを超えるPDFでは、テキストのみの処理になります。
Projectsに入れたファイルは、原則としてテキスト抽出で扱われます(画像対応のPDFは例外)。同じ年度の問題冊子、解答例、採点講評を1つのProjectにまとめ、練習用の指示文を固定しておくと、毎回の貼り付けが減ります。指示文の例を次に示します。
あなたは情報処理安全確保支援士試験(記述式)の練習相手です。
- 私が答案を貼るまで、設問の答えを言わないでください。
- 答案を採点するときは、添付の解答例と出題趣旨だけを基準にしてください。
- 解答例に載っていない模範解答を、あなたの知識で作らないでください。
- 根拠として問題文の該当箇所を引用するときは、必ず原文のまま示してください。最後の2行が要になります。Claudeが自分の知識で「もっともらしい模範解答」を作り始めると、IPAの採点基準から離れます。解答例は唯一の物差しとして渡し、それ以外の基準を持ち込ませません。
手順:本番と同じ条件で解いてから照合する
練習は、解く、照らす、直す、の3段階です。
1問を回す流れ
- 1
自分で答案を書く
問題冊子だけを見て、時間を測って解きます。Claudeには見せません。
- 2
解答例と照らして失点を分類する
答案をClaudeへ貼り、解答例との差を型に分けさせます。
- 3
根拠の当て方を言語化する
どの語句を問題文から拾えば、解答例の表現に届いたかを言葉にします。
- 4
採点講評で裏を取る
同じ型の誤りが講評に出ていないかを見ます。
試験会場では、入室時にメモ用紙1枚と筆記用具が配られ、自分で用意した物は持ち込めません。画面上のメモ機能もあります。練習のときも、手元の紙は1枚に絞ると、本番の書き方に近づきます。
答案をClaudeに貼って失点を型に分ける
答案を書き終えたら、次のように頼みます。点数は先に聞かず、まず差を見せてもらいます。
設問1(2)の私の答案です。解答例と出題趣旨を基準に、次の順で答えてください。
1. 解答例にあって私の答案に無い要素を列挙する
2. 私の答案にあって解答例に無い要素を列挙する
3. 1の欠落を「根拠の取り違え」「要素落ち」「対策と目的のズレ」
「一般論で具体性なし」のどれかに分類する(複数可)
4. 点数の見込みは最後に、理由つきで1行だけこの4分類は、手元の答案を読み解くために置いた枠で、IPAが定めた採点区分ではありません。自分の弱点が偏っていないかを見る目的で使います。何本か回すと、「要素落ち」が多いのか「根拠の取り違え」が多いのかが見えてきます。
点数の見込みを最後にしているのは、数字を先に見ると以降の読みが甘くなるからです。見込み点は解答例との照合結果から出した目安で、本番の採点とは別物です。
根拠語の当て方を詰める
記述式の失点で目立つのは、問題文の根拠を拾い損ねたり、拾った語を設問の問いに合わせて書き換えられなかったりする型です。ここは、答えを教えてもらうのでなく、自分で拾った語を点検してもらう形にします。
設問1(2)で、私が根拠にした問題文の箇所は次の2つです。
(A)「……」 (B)「……」
解答例の表現が、問題文のどの箇所に対応しているかを示してください。
私が拾えていない箇所があれば、箇所だけを示し、答えの文は書かないでください。「箇所だけを示す」と縛るのが大事です。答えの文まで返されると、読んで分かった気になるだけで、次の問題で同じ拾い漏れを起こします。示された箇所を見て、自分で答案を書き直します。
設問に「〜字以内」の指定があるときは、書き直した答案が字数内に収まるかを自分で数えます。字数が足りなければ、要素の優先順位をClaudeに聞きます。聞き方は、「解答例の要素を重要な順に並べ、私の答案の削る候補を挙げてください」が使えます。
採点講評を読んで出題者の見る点を知る
採点講評は、午後のPDFが問題冊子、解答例とは別に出ています。解答例は「何を書けばよいか」を示し、講評は「受験者が何を書き損ねたか」を示します。直した答案を貼る前に、講評の該当問のページを添付して次のように聞きます。
添付の採点講評で、この問題に触れている部分を引用してください。
私の失点の型と一致するものがあれば、どの文かを示してください。
講評に書かれていない一般論での補足は不要です。講評に自分と同じ誤りが載っていれば、それは個人の癖でなく、受験者に多い失点の型だとわかります。載っていなければ、講評で触れられない細かな要素落ちの可能性があります。
4問からどの2問を選ぶかも練習する
科目Bは4問のうち2問だけを解くので、解く力に加えて選ぶ力が要ります。150分で2問なので、単純に割ると1問あたり75分です。読み始めてから「これは自分の苦手分野だ」と気づくと、時間を失います。
過去問では、4問すべての冒頭だけを3分ほどで読み、解く順と捨てる2問を決める練習をします。選んだ理由を一言添えて、Claudeに見せます。
今回、問1と問3を選び、問2と問4を捨てました。理由は次のとおりです。
(理由を2行)
問題冊子の各問の冒頭と設問数を踏まえて、この選び方の見落としがないか、
質問の形で指摘してください。どちらを選ぶべきかは言わないでください。選び方を決めるのは自分です。Claudeには、見落としを質問の形で突いてもらいます。選んだ2問を実際に解き、選ばなかった問を後から解いてみると、選択の判断が合っていたかを確かめられます。
Claudeに任せない判断
Claudeは、練習の相手としては役立ちますが、次の判断は任せません。
- 正解の決定。解答例だけが基準です。Claudeが「こちらの方が適切」と言っても、採点基準は動きません
- 最新の脅威や製品仕様の説明。問題文に書かれた条件が優先で、外部の知識を持ち込むと解答例からずれます
- 見込み点の信頼。解答例との照合から出した目安にすぎません
解答例の更新も忘れずに追います。IPAは令和7年度秋期の午後の解答例を、設問番号の誤りなどを直して更新しています。ダウンロードした古い版を使い続けないよう、練習の前にIPAのページで最新版を取り直します。
2027年度以降の新試験制度
IPAは2027年度から新試験制度に移行する予定で、新制度のサンプル問題とシラバスを公開しています。2026年度の試験を受けるなら、ここまでの手順がそのまま使えます。2027年度以降を受ける場合は、IPAの新試験制度のページでサンプル問題を確認してから、練習素材を選びます。
隣接する練習との違い
科目Bという名前は基本情報技術者にもあります。ただし、基本情報の科目Bは多肢選択式の擬似言語で、トレースの正確さを問います。練習の型は基本情報技術者の科目B(擬似言語)の練習手順にまとめています。支援士の科目Bは記述式で、設問の根拠と表現の合わせ方が点を左右します。
文章を書く練習をClaudeと進める型には、TOEFL iBTのライティング下書きの練習や、ケース面接の練習もあります。いずれも、自分で書いてからClaudeに差を見せてもらう流れが共通しています。
よくあるつまずき
- 答案を書く前に問題をClaudeへ貼ってしまう。先に答えを見ると、自分の根拠の拾い方が測れません
- 解答例を添付せずに採点を頼む。Claudeが自分の知識で採点基準を作り、IPAの解答例からずれます
- 見込み点に一喜一憂する。失点の型の分布を見る方が、次の練習に使えます
- 令和8年度の本番問題を思い出して貼る。非公開で、開示は禁じられています
まとめ
科目Bの記述式では、解答例に届く根拠の拾い方を身につけることが練習の中心になります。Claudeは、その差を言語化し、型に分ける役に向いています。正解の基準は最後までIPAの解答例に置き、答えを返させない指示で、自分で書き直す回数を確保してください。