Claude Media
Claudeでサービス等利用計画案を下書きする手順 — 意向・事実・所見を分ける

Claudeでサービス等利用計画案を下書きする手順 — 意向・事実・所見を分ける

相談支援専門員が聞き取りメモからサービス等利用計画案をClaudeで下書きする手順です。本人の意向・事実・支援者の所見を分ける指示文と、モニタリングへの書き分け方を示します。

サービス等利用計画案の下書きをClaudeに任せるなら、聞き取りメモを「本人の意向」「確認できる事実」「支援者の所見」の三つに仕分けさせる作業が出発点になります。計画案は、障害福祉サービスの支給決定に市町村が使う書類です。メモの言葉が本人のものなのか、相談支援専門員の見立てなのかが混ざったままでは、あとで読み返す人が判断できません。

この記事は、仕分けの指示文、計画案の項目ごとの下書きの頼み方、モニタリングとの書き分けを順に示します。根拠にするのは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、総合支援法)と、計画相談支援の運営基準(厚生労働省令)の条文です。

介護保険のケアプランを生成AIで下書きするときの考え方はケアプランを生成AIで下書きするケアマネの注意点にあります。障害福祉の計画相談は、制度も書類も別物です。

計画案の下書きで、Claudeに任せる範囲と任せない範囲

サービス等利用計画案は、法律上は「サービス利用支援」の中で作る書類です。総合支援法第5条第23項は、利用者の心身の状況、置かれている環境、障害福祉サービスの利用に関する意向その他の事情を勘案して、利用するサービスの種類と内容などを定めた計画案を作ることだと定めています。支給決定が出たあとに、事業者との連絡調整をしながらサービス等利用計画を作る工程も、同じ項に含まれます。

計画案が求められる場面も条文にあります。市町村は支給要否決定にあたり、必要と認める場合に、指定を受けた相談支援事業者が作成する計画案の提出を求めます(第22条第4項)。利用者が事業者の計画案に代えて、主務省令で定める計画案を提出できる場合もあります(同条第5項)。

下書きの範囲は、運営基準第15条第2項が定める手順で切り分けると見通しが立ちます。

運営基準の手順担い手Claudeの使いどころ
アセスメント(第5号)担い手相談支援専門員Claudeの使いどころ面接そのものは任せられない。記録の整理だけ
意思決定が難しい人の意思・選好の把握(第6号)担い手相談支援専門員Claudeの使いどころなし。判断は人が行う
居宅訪問と本人・家族への面接(第7号)担い手相談支援専門員Claudeの使いどころなし。面接の趣旨の説明も人が行う
計画案の作成(第8号)担い手相談支援専門員Claudeの使いどころ聞き取りメモを項目に沿って並べる下書き
利用者・家族への説明と文書での同意(第10号)担い手相談支援専門員Claudeの使いどころ説明用の平易な言い換え案
計画案の交付(第11号)担い手相談支援専門員Claudeの使いどころなし

第7号は、アセスメントに当たって利用者の居宅等を訪問し、利用者とその家族に面接するよう定めています。この面接を省けるわけではないので、Claudeに渡す材料は「面接した結果のメモ」に限ります。メモの外にある情報を推測で補わせると、アセスメントの実体がない計画案になります。

聞き取りメモを渡す前に済ませておくこと

メモには、障害の状況、家族関係、通院先、収入の話まで入ります。運営基準第24条第1項は、事業所の従業者と管理者が、業務上知り得た利用者やその家族の秘密を正当な理由なく漏らすことを禁じています。生成AIへの入力がこの「漏らす」に当たるかどうかは、条文からは読み取れません。事業所の個人情報の取り決めと、Claudeの利用規約・プランごとのデータの扱いを、入力する前に事業所として確かめておく必要があります。

確認が済んで入力を始めるときも、氏名は外します。

  • 本人を「Aさん」、家族を「母」「姉」、事業所を「生活介護事業所B」のように置き換える
  • 置き換えの対応表はClaudeに渡さず、手元だけに残す
  • 住所は市区町村名までにし、生年月日は年代にとどめる
  • 障害名や診断名は、計画に必要な範囲だけ残す

同じ第24条の第3項は、サービス担当者会議などで利用者や家族の個人情報を用いる場合に、あらかじめ文書で同意を得ておくよう求めています。会議の場での共有を想定した規定ですが、事業所によっては同意書の文面にAIへの入力を足す判断もあり得ます。

手順1: メモを意向・事実・所見の三つに仕分けさせる

下書きに入る前に、メモを仕分けさせます。計画案の書き分けは、この仕分けの精度でほぼ決まります。

手順

仕分けから下書きまでの流れ

  1. 1

    メモを三つに分ける

    メモの各文を「意向」「事実」「所見」「不明」のどれかに振り分けさせます。

  2. 2

    仕分けを人が直す

    意向に入った文が、本当に本人の言葉かを見ます。家族の希望や支援者の言い換えが紛れていれば直します。

  3. 3

    確定した仕分けから項目を下書きする

    直した仕分けを渡して、計画案の項目ごとの下書きを頼みます。

  4. 4

    元のメモと突き合わせる

    下書きの各文が、仕分けのどの行に基づくかを確かめます。

仕分けの指示文は、次のような形にします。下の例は、そのまま使うことを勧める定型文ではなく、事業所のルールに合わせて組み替える前提の例示です。

以下は相談支援専門員の聞き取りメモです(氏名は仮名に置換済み)。
各文を次の4種類に振り分け、元の文を一字も変えずに出力してください。
 
[意向]  本人が自分の言葉で述べたこと。「」で原文のまま。
[家族]  家族が述べた希望や心配。本人の意向とは別に扱う。
[事実]  日付・頻度・利用中のサービス・通院など、メモに書かれた客観的な事実。
[所見]  相談支援専門員が見立てとして書いたこと。
[不明]  どれか判断できないもの。理由を一言付ける。
 
守ること:
- 本人の発言を言い換えたり、丁寧にしたり、要約したりしない。
- メモに書かれていない数値・頻度・事業所名・制度名を足さない。
- 推測で分類せず、迷ったら [不明] にする。

[家族]を独立した区分にしている点が、この指示文の要です。運営基準第15条第2項第8号は、計画案に「利用者及びその家族の生活に対する意向」を記載するよう定めており、利用者と家族の意向は並べて書く項目ですが、中身は一致するとは限りません。区分を分けておけば、食い違いが見えます。

本人が自分の意思を決めることに困難を抱える場合は、第6号が、意思及び選好並びに判断能力等を丁寧に把握するよう求めています。この場合、「本人の言葉」とされるメモの根拠が何かを、人が確かめなくてはなりません。仕分け結果の[意向]が、観察や推測を含んでいないかを見ます。

手順2: 計画案の項目に沿って下書きさせる

運営基準第15条第2項第8号は、計画案に載せる項目を挙げています。仕分けが済んだら、この項目ごとに材料を割り当てて下書きを頼みます。

計画案の項目(第15条第2項第8号)材料にする区分下書きで注意すること
利用者及びその家族の生活に対する意向材料にする区分[意向][家族]下書きで注意すること本人の言葉は原文のまま引用する
総合的な援助の方針材料にする区分[所見]下書きで注意すること支援者の見立てであることを残す
生活全般の解決すべき課題材料にする区分[事実][所見]下書きで注意すること事実と見立てを一文に混ぜない
提供される福祉サービス等の目標とその達成時期材料にする区分[意向][所見]下書きで注意すること達成時期はメモにある場合だけ書く
福祉サービス等の種類、内容、量材料にする区分[事実]下書きで注意することメモにない頻度や時間数を足さない
福祉サービス等を提供する上での留意事項材料にする区分[事実][所見]下書きで注意すること事業者に伝わる具体的な書き方にする
モニタリング期間に係る提案材料にする区分[所見]下書きで注意すること提案する期間は相談支援専門員が考える。空欄で返させる

「種類、内容、量」と「達成時期」の欄は、下書きでAIが数字を補いやすい箇所です。次のように頼みます。

次の仕分け結果だけを材料に、計画案の「福祉サービス等の種類、内容、量」欄を
下書きしてください。
- 材料に書かれていない頻度・時間数・事業所名は書かず、「(要確認)」と入れる。
- 書いた各文の末尾に、根拠にした仕分けの行番号を [R3] の形で付ける。

行番号を付けさせるのは、手順3の突き合わせを速くするためです。根拠が付かない文は、材料の外から出てきた文だと分かります。

第15条第2項は、ほかにも計画案に関わる定めを置いています。下書きを点検するときの観点になります。

  • 第3号: 指定障害福祉サービス以外の福祉サービス等や、地域住民による自発的な活動によるサービス等も、計画上に位置付けるよう努める
  • 第4号: 計画作成の開始にあたり、地域の事業者のサービス内容や利用料などの情報を、利用者や家族に適正に提供する
  • 第9号: 短期入所を位置付けるときは、特に必要と認められる場合を除き、年間の利用日数が180日を超えないようにする
  • 第10号: 位置付けた福祉サービス等が介護給付費等の対象になるかを区分したうえで、内容を説明し、文書で同意を得る

下書きに短期入所の頻度が書かれていれば、年間日数に直して180日を超えないかを確かめます。Claudeに換算させて検算するのは構いませんが、結果は電卓かシートで確かめ直します。

本人の言葉を書き換えさせない

計画案の下書きで最も起きやすい事故は、本人の意向が、支援者に都合のよい整った文に変わることです。下書きを滑らかな文章に整える依頼をすると、「意向」欄で起きやすくなります。

前と後

本人の意向の書き方(例示)

BEFORE

言い換えられた下書き

Aさんは、地域で自立した生活を送り、就労を通じて社会参加を果たすことを希望している。

AFTER

メモの言葉を残した下書き

Aさんは「今のアパートに住み続けたい。仕事は、体調のいい日だけ短い時間ならやってみたい」と話している。

左の文は読みやすい反面、「自立」「社会参加」という支援者側の語に置き換わっています。右の文のように発言を引用符で残すと、あとから計画を見直す人が、本人が何を望んだかを確かめられます。運営基準第15条第2項第1号が、計画の作成にあたって利用者の自己決定の尊重と意思決定の支援に配慮するよう定めている趣旨にも沿います。

引用符で囲む欄と、支援者の文章で書く欄を分けるのは、指示文に入れておく約束事です。

[意向]の文は、「」で囲んで原文のまま使う。
地の文に溶かさない。
[所見]の文は、「支援者の所見として」「見立てでは」のように主語を明示する。

手順3: 突き合わせて、説明と同意に進む

下書きができたら、次の点検を人が行います。

  1. 下書きの各文に付けた行番号が、仕分けの行を指しているか
  2. 行番号がない文や「(要確認)」が、メモの外から入っていないか
  3. [意向]の引用が、元のメモの発言と一字違わないか
  4. [所見]が事実のように書かれていないか
  5. 短期入所の日数など、数字の整合が取れているか

Claudeにも検算させられます。「下書きの中で、仕分け結果に根拠がない文、数値、固有名詞を全て列挙して」と頼む形です。ただし、列挙に出なかったことを理由に点検を省かないでください。点検は、人の確認を補う二重化の位置づけです。

点検が済んだ計画案は、利用者または家族に説明して、文書で同意を得ます(第15条第2項第10号)。説明は、サービスの提供方法などを理解しやすい形で行うよう、同条第1項第3号が求めています。難しい言葉を言い換えた説明用の文面なら、Claudeに下書きさせる使い方が現実的です。同意を取るのは人の仕事のままです。

計画案を作成したら、利用者等に交付します(第11号)。書面での交付・説明・同意は、相手方の承諾があれば、障害の特性に応じた配慮をしたうえで電磁的方法に代えられます(第31条第2項)。

モニタリングは「計画案の書き直し」ではない

計画案と同じ流れでモニタリングの記録を書かせると、中身が計画案の焼き直しになります。二つは、問いが違います。

法第5条第24項は、継続サービス利用支援を、主務省令で定める期間ごとに、サービス等利用計画が適切かどうかを利用状況の検証から確かめる支援と定めています。結果と、心身の状況、環境、意向その他の事情を踏まえて計画を見直し、必要なら計画を変更し、あるいは新たな支給決定などの申請を勧めます。

運営基準第15条第3項はモニタリングを「サービス等利用計画の実施状況の把握(利用者についての継続的な評価を含む。)」と定義しています。また、定められた期間ごとに利用者の居宅等を訪問して面接し、その結果を記録することを求めています。

計画案モニタリング
問い計画案これからどう暮らし、どのサービスを使うかモニタリング計画どおりに進んでいるか、変える必要があるか
材料の中心計画案アセスメントでの本人・家族の意向モニタリング計画の目標ごとの実施状況
下書きの構造計画案意向 → 課題 → 目標 → サービスモニタリング目標ごとに「前回の計画 / 今回の事実 / 本人の言葉」
人が決めること計画案サービスの組合せ、期間の提案モニタリング計画変更の要否、新たな申請勧奨の要否

モニタリングの下書きでは、前回の計画案(匿名化したもの)と今回の面接メモの両方を渡します。指示文は、次のようにします。

前回の計画案の「目標」ごとに、次の4列で下書きしてください。
1. 前回の目標(原文のまま)
2. 今回のメモに書かれた事実(利用状況・変化)
3. 本人の言葉(「」で原文のまま。なければ「記載なし」)
4. 計画変更の要否 → 必ず空欄にする。判断は相談支援専門員が行う。
 
メモに書かれていない目標の達成状況は、「メモに記載なし」とする。
推測で「達成」「順調」などと書かない。

4列目を空欄にさせるのは、変更の要否と申請勧奨の判断を、人に残すためです。「順調」という語を禁じているのも同じ理由です。下書きが評価語を出すと、メモに書かれていない事実が書類に入ります。

新しい計画案と、直近のモニタリング記録を並べて、同じ目標について本人の言葉が食い違っていないかをClaudeに指摘させるのも使い道です。食い違いがあれば、意向が変わったのか、書き方が変わっただけなのかを、次の面接で本人に確かめます。

記録の保存と、作業の残し方

運営基準第30条第2項は、計画案とサービス等利用計画、アセスメントの記録、サービス担当者会議等の記録、モニタリングの結果の記録を、相談支援台帳として整え、計画相談支援を提供した日から5年間保存するよう求めています。

保存する記録に、AIの下書きがどう関わるかは、事業所で決めておく点です。たとえば次のような分け方があります。

  • 保存するのは、人が確定した文面だけにする
  • 仕分け結果や下書きは、確定後に廃棄する
  • 仕分けの指示文は、事業所の共通ファイルとして残す

どの運用でも、確定した記録の責任は相談支援専門員にあります。Claudeの出力をそのまま記録にしない運用なら、突き合わせの工程が記録の信頼性を支えます。

面接そのものをテレビ電話装置等で行える場合もありますが、これには要件があります。省令第15条の2は、居住地域や事業所との距離のほか、面接の前月または前々月に居宅を訪問して面接を行っていたことなどを挙げています。AIの下書きとは別の問題として、運用の前に確かめておく項目です。

よくあるつまずき

  • 仕分けの段階で[意向]が膨らむ: 「〜と思われる」と書かれたメモが[意向]に入っている場合は、本人の発言ではなく支援者の推測なので[所見]に直します
  • 下書きに「自立」「社会参加」が増える: 指示文に、メモにない抽象語を足さない約束を入れます
  • 「(要確認)」を見落とす: 提出前に文書内を検索して、残っていないことを確かめます
  • 行番号が合わない: 仕分けを直したあとに下書きを作り直さず、古い行番号で突き合わせると食い違います。仕分けを直したら下書きも作り直します

介護保険の居宅サービス計画では、サービス担当者会議の記録を第4表にまとめる作業があります。同じ会議の記録の整え方はサービス担当者会議の議事録をClaudeでケアマネ向けに整える手順に示しています。事業所の指定申請書類の点検は障害福祉サービスの指定申請書類をClaudeで点検する方法が扱っています。

まとめ

サービス等利用計画案の下書きは、聞き取りメモを意向・事実・所見に仕分けさせ、確定した仕分けだけを材料に項目ごとの文章を作らせる形が、最も点検しやすい流れです。本人の言葉は引用符で残し、頻度や時間数のようにメモにない数字は「要確認」で返させます。モニタリングは計画案の書き直しではなく、目標ごとの実施状況の照合で、変更の要否は空欄にして人が埋めます。

この記事を共有:XはてブLinkedIn