ClaudeとSignWellを連携する方法 — 電子署名の送付を会話で回す
SignWellのMCPサーバーをClaudeに接続する手順です。APIキーの取得、Desktopとコマンドラインの入れ方、下書きから送信までの流れ、ツールの一覧と使い方をまとめます。
Claude SignWell連携とは何か
SignWell連携は、電子署名サービスのSignWellが提供するMCPサーバーをClaudeに接続し、署名依頼の作成から送付、進捗確認、署名済みPDFの取得までを会話で進める仕組みです。契約書を署名に回すたびにSignWellの画面を開く手間を省けます。
Connectorsディレクトリでは「Anthropic verified」の表示付きで、開発元はSignWell、追加時期は2026年3月です。Claude DesktopやClaude Code、Cursorなど、MCPに対応したクライアントから使えます。
注意したいのは、多くのConnectorと接続方式が違う点です。ブラウザでログインして承認するOAuth方式ではなく、SignWellのAPIキーを渡して手元でMCPサーバーを動かす方式が案内されています。Connector全般の仕組みはClaude Connectorsの解説にまとめています。同じ電子署名領域の先行例はClaudeとDocuSignの連携です。
接続前に用意するもの
必要なものは次の4つです。最初の2つはどの導入方法でも要ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| SignWellのアカウント | 内容API利用はフリープランを含む全プランで可能。フリープランのAPI文書は月3件 |
| APIキー | 内容SignWellにログインし、Settings > APIでコピーする |
| Node.js | 内容v18以上。コマンドラインや手動で入れる場合に必要 |
| MCP対応のクライアント | 内容Claude Desktop、Claude Code、Cursorなど |
Desktopのコネクタ一覧から入れる場合は、Node.jsもターミナルも要りません。SignWell側はこの経路を推奨としています。
Claude Desktopから入れる手順
最短の経路です。APIキーを貼るだけで済みます。
DesktopのConnectorsからSignWellを追加する流れ
- 1
コネクタ一覧を開く
Claude Desktopの設定からConnectorsを開き、「SignWell」で検索します。
- 2
インストールしてAPIキーを貼る
Installを押し、求められたらSettings > APIでコピーしたAPIキーを入力します。
- 3
トグルを有効にする
キーを入れたあと、コネクタのトグルがEnabledになっていることを確かめます。
ツールが出てこないときは、トグルがEnabledか、Desktopを完全に再起動したかを見ます。SignWell側のトラブルシューティングも、この2点を最初に挙げています。
Claude Codeなどコマンドラインから入れる手順
Claude CodeやCursorでは、同梱のセットアップウィザードが設定ファイルまで書いてくれます。
npx @signwell/mcp setupウィザードはAPIキーを尋ね、どのクライアントに設定するかを聞きます。終わったらクライアントを再起動します。書き込み前に内容を見たいときは --print(短縮は -p)を付けます。CIなど対話できない環境では --yes --api-key=... が使えます。--clients=claude-desktop,cursor のように、対象のクライアントを絞ることもできます。
ウィザードが書き換える先はクライアントごとに決まっています。
| クライアント | 書き込み先 |
|---|---|
| Claude Code | 書き込み先~/.claude.json の mcpServers.signwell |
| Claude Desktop | 書き込み先claude_desktop_config.json の mcpServers.signwell |
| Cursor | 書き込み先~/.cursor/mcp.json の mcpServers.signwell |
書き込み前には各ファイルのバックアップが取られます。以前のClaude Codeが ~/.claude/mcp.json に残した古い signwell の項目があれば、バックアップのうえで、その項目だけが取り除かれます。
手動で登録する場合
ウィザードを使わず、Claude Codeに直接登録することもできます。
claude mcp add signwell -- npx @signwell/mcpこの後、APIキーを環境変数 SIGNWELL_API_KEY として渡します。エンドポイントを変えたいときは SIGNWELL_API_BASE_URL、HTTPのタイムアウトを変えたいときは SIGNWELL_API_TIMEOUT_MS(既定90000ミリ秒)です。通常は上書きしなくて構いません。登録の書式やJSONでの渡し方はclaude mcp add-jsonの手順で扱っています。Claude Codeの全体像から辿ることもできます。
ウィザードを使うと、キーはOSごとの設定ディレクトリ(macOSなら ~/Library/Application Support/SignWell/MCP/env)に、パーミッション0600で保存されます。キーの置き場が一箇所にまとまります。
使えるツール一覧と読み分け
Connectorsディレクトリに載っているツールは14個です。読み取り系、書き込み系、補助系に分けると見通しがよくなります。
| 種別 | ツール | 役割 |
|---|---|---|
| 読み取り | ツールdocument_list / document_get | 役割文書の一覧、状態と署名者ごとの進捗 |
| 読み取り | ツールtemplate_list / template_get | 役割テンプレートの一覧と詳細 |
| 取得 | ツールdocument_completed_pdf | 役割署名済みPDFのURL |
| 書き込み | ツールdocument_create | 役割文書の下書きを作成 |
| 書き込み | ツールdocument_send_draft | 役割下書きを送信 |
| 書き込み | ツールdocument_send_reminder | 役割未署名者へのリマインド |
| 書き込み | ツールtemplate_create / template_update / template_delete | 役割テンプレートの作成・更新・削除 |
| 書き込み | ツールtemplate_create_document | 役割テンプレートから文書の下書きを作成 |
| 補助 | ツールfile_store | 役割添付ファイルの一時保管 |
| 補助 | ツールfile_validate_text_tags | 役割テキストタグの書式チェック |
file_store で預けたファイルは、メモリ上に60分だけ保持され、サーバーの再起動でも消えます。ディスクには残りません。
GitHubのREADMEにだけ出てくるツール
GitHubのREADMEは、上の一覧にない操作も説明しています。
document_update_recipients:送信済み文書の署名者の名前とメールアドレスを直すdocument_delete:文書を削除し、進行中の署名依頼を取り消す
署名者の修正では、直す対象は「署名をまだ始めていない」署名者に限られます。名前とメールアドレスは両方を渡し、変えない側は元の値を入れます。どちらも実行には確認用の引数(confirm_update: true、confirm_delete: true)が要る設計です。
ディレクトリのツール一覧にこの2つは載っていません。手元のバージョンで使えるかどうかは、接続後にClaudeへツール一覧を尋ねて確かめるのが確実です。
下書きから送信までの流れ
このコネクタの設計で重要なのは、送信が二段階に分かれていることです。
document_create と template_create_document は、常に draft: true で文書を作ります。この時点では誰にもメールが届きません。実際に送るのは document_send_draft で、confirm_send: true を渡したときだけです。Claudeが勝手に送ってしまう事故を、仕組みの側で減らしています。
署名依頼が届かないときの切り分け
- Q送信から数秒以上たっているか?答えがまだ数秒以内答えがはい
状態の更新が遅れることがあります。数秒後に
document_getで見直し、同じ文書をもう一度送らないようにします。 - Qdocument_getの状態はDraft以外(SentやPending)になっているか?答えがいいえ(Draftのまま)答えがはい
まだ送信されていません。Claudeに「下書きを送信して」と明示します。
状態がSentか署名途中なら
署名者の迷惑メールフォルダと、メールアドレスの綴りを確かめます。
送信後の返答には、状態が非同期で更新される旨の警告が付きます。READMEの例では、署名者の send_email は埋め込み署名の設定であって、メールの配信確認ではない、とも書かれています。
送信時に変えられる設定と、変えられないもの
document_send_draft は、送信と同時に文書名、件名、本文メッセージ、有効期限、リマインダーを更新できます。指定しなかった項目は元のまま残ります。
一方、署名者、ファイル、署名欄は、このツールでは編集できません。また、変更だけを保存して送らない使い方もできません。署名欄の配置が必要な文書を、下書きの段階でどう整えるかは次の節で説明します。
署名欄の置き方:テンプレートかテキストタグ
アップロードしたファイルから作った文書は、署名欄を人が置く必要があります。SignWellの案内では、Claudeが下書きを作り、欄を配置して送るためのリンクを返す流れです。会話だけで完結させたいなら、手段は2つあります。
| 方法 | 向く場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| テンプレートから作る | 向く場面NDAや業務委託契約など、同じ形式を繰り返し送る | 注意点テンプレート側で署名者の役割と欄を先に設計する |
| テキストタグを文書に埋める | 向く場面Claudeに文書を書かせ、欄まで指定したい | 注意点PDFが画像でなくテキストを含む必要がある |
テキストタグは、書式が {{type:signer_number:required}} です。たとえば次のようになります。
| タグ | 置かれる欄 |
|---|---|
{{signature:1:y}} | 置かれる欄署名者1の必須の署名欄 |
{{date:1:y}} | 置かれる欄署名者1の必須の日付欄 |
{{text:1:y:Title}} | 置かれる欄「Title」というラベルの必須テキスト欄 |
{{initial:1:n}} | 置かれる欄任意のイニシャル欄 |
{{check:1:n}} | 置かれる欄任意のチェックボックス |
署名日付の扱いには、READMEに補足があります。{{autofill_date_signed:1:y}} か {{date:2:y::::::y}} の形なら、署名日が自動入力され、署名者は変更できません。素の {{date:1:y}} は編集可能なままです。署名日を固定したい文書では、前者の書き方を指定します。タグの解析は非同期なので、処理後は document_get で欄が置かれたかを見ます。書式を事前に調べたいときは file_validate_text_tags を使います。
本番の相手に届かないよう、試すときは test_mode: true が使えます。拘束力のないテスト文書が作られ、API課金も発生しません。
実際の指示の出し方
SignWellのページが載せている指示例を、使い分けの観点で並べ直します。
- テンプレートから送る:「NDAのテンプレートで、Sarah Chenに相手方の役割で送って。自社側の役割は私の情報を使って」
- 状況を聞く:「Sales Agreementの状態は?」
- 署名済みを取る:「Sales Agreementの署名済みPDFをダウンロードして」
- 催促する:「Contractor Agreementの未署名者にリマインドを送って」
- 順番を付ける:「オファーレターを先に採用担当、次に候補者へ。この順で署名してもらって」
文書の状態は、Draft(未送信)、Pending(署名待ち)、Completed(全員署名済み)、Expired(期限切れ)、Declined(辞退)の5つで返ります。
添付できるファイルは、PDF、Word、Pages、PowerPoint、Keynote、Excel、Numbers、画像(JPG・PNG・TIFF・WebP)で、上限は25MBです。
契約書をClaudeに書かせる場合
SignWellは、Claudeに契約書を書かせ、テキストタグで欄を付けて送る使い方も例示しています。ただし、Claudeが書いた条項を、そのまま署名に回すかは別の判断です。条項の確認は、人が文面を読んだうえで下書きを送信する、という二段階に組み込むのが無理のない運用でしょう。法務の一次レビューをどう分担するかはCoworkの法務活用が参考になります。
運用前に押さえる点
送ってはいけない相手に届かないように
document_send_draft は、実在のメールアドレスに通知を送る操作で、取り消すには document_delete か署名者の修正が要ります。Claude Desktopの許可設定で、書き込み系のツールだけ毎回承認を挟む運用が合います。権限設定のつまずきはClaude Connectorsの権限設定でよくある失敗と対策にまとめています。
データの流れ
プライバシーの記述では、MCPサーバー自体はデータや利用状況を収集せず、第三者にも共有しないとされています。通信はあなたのマシンとSignWellのサーバー(https://www.signwell.com/api/v1)の間で直接行われます。APIキーはローカルに保存され、テレメトリーもありません。
この説明が当てはまるのは、手元で動かすMCPサーバーの挙動です。文書そのものはSignWellに渡り、SignWell側の取り扱いは同社のプライバシーポリシーに従います。READMEは、このサーバーについてHIPAA対応をうたっています。
署名の法的な扱い
SignWellは、米国のESIGN法、UETA、EUのeIDAS規則に沿った署名だと説明しています。完了した文書には、タイムスタンプ、IPアドレス、署名者の情報を含む監査証跡が付きます。SignWellの説明が挙げる法令は米国とEUのもので、日本の電子署名法への言及はありません。自社の契約類型で電子署名を使えるかは、法務部門での確認が前提になります。
つまずきやすい点
| 症状 | 確かめること |
|---|---|
| ツールが出てこない | 確かめることセットアップ後にクライアントを再起動したか。Desktopならトグルとアプリの完全再起動、Node.js v18以上か |
| Invalid API key | 確かめることSettings > APIのキーを再確認し、npx @signwell/mcp setup をやり直す |
| ファイルが大きすぎる | 確かめること25MBを超えていないか。圧縮する |
| 文書がDraftのまま | 確かめること送信を明示していない。下書きの送信を依頼する |
| テキストタグが認識されない | 確かめること書式が正しいか。スキャンした画像のPDFではなく、文字を含むPDFか |
まとめ
SignWell連携の核は、下書きと送信を分けた二段階の設計にあります。Claudeに任せるのは作成と進捗の確認までとし、送信は文面と宛先を見てから明示する、という分担が合います。OAuthでなくAPIキー方式なので、キーの保管先と、書き込み系ツールの承認設定を先に決めておくと、導入後に迷いません。