SteamコンテンツサーベイのAI開示欄をClaudeで下書きする手順
開発中に使ったAIと出荷物に入ったAI生成物を制作ログから仕分け、Steamのコンテンツサーベイ第3部の回答案にするまでの手順です。判断の線引きと下書きの渡し方をまとめます。
Steamのコンテンツサーベイには、生成AIを扱う第3部があります。ここで問われるのは「開発中にAIを使ったか」ではなく、「プレイヤーが受け取る出荷物にAI生成物が入っているか」です。制作ログを仕分けてClaudeに回答案を作らせれば、記憶頼みの回答は避けられます。
開示の要否そのものは、Steamworksの当該ページと審査側の判断が決めます。Claudeに任せるのは、材料の整理と文章の下書きまでです。
第3部が聞いているのは出荷物に入ったAI生成物
コンテンツサーベイは3部構成で、第3部が生成AIコンテンツです。説明文は、エディターに組み込まれたAI機能による効率化は焦点ではないと述べています。対象は、ゲームに同梱されプレイヤーが消費するコンテンツで、例として美術、サウンド、物語、ローカライズが挙がっています。
つまり、コード補完で手が速くなったことは主題ではありません。ストアページやビルドに載る素材が、AIの助けで作られたかどうかが主題です。
開発中または製品の一部としてAIサービスを使った場合は、その実装を詳しく説明する欄を埋めることになります。区分は2つです。
| 区分 | 意味 | 追加で求められること |
|---|---|---|
| Pre-Generated | 意味開発中にAIツールの助けで作り、ゲームに同梱するコンテンツ | 追加で求められること違法・侵害コンテンツを含まないこと、マーケティング資料と整合すること |
| Live-Generated | 意味ゲームの実行中にAIツールの助けで作られるコンテンツ | 追加で求められること上記に加え、違法コンテンツを生成させないためのガードレールの説明 |
Pre-Generatedの審査では、AI生成物もAI以外の素材と同じ基準で評価されると書かれています。AIだから別枠で緩くなる、あるいは厳しくなる、という設計ではありません。
制作ログを三つの箱に仕分ける
回答案の質は、仕分けの精度でほぼ決まります。素材1件ごとに、次の順で問いを立てます。
素材1件をどの箱に入れるか
- QそのAI出力、またはそれを加工した物は、出荷するビルドやストアページに入っていますか?答えが入っていない答えがはい
開発補助だけの箱です。第3部の主題から外れる作業なので、台帳には残しつつ回答の本体には載せません。
- Qゲームの実行中に、AIが新しい内容を生成していますか?答えが開発中に作って同梱しただけ答えがはい
Pre-Generatedの箱です。素材の種類、使ったツール、人が手を入れた範囲を台帳に書きます。
Live-Generatedの箱
実行中の生成です。生成を止める仕組みと、禁止内容をどう抑えるかを別途言葉にします。
判断が割れやすいのは、AIの出力を下絵にして人が描き直した場合です。出荷物にAI由来の要素が残るのか、参考にしただけで残らないのかは、制作者にしか答えられません。Claudeには「残る・残らない・不明」の三択で判定させ、不明は人に返させる運用が安全です。
素材の種類ごとに迷いやすい境目
説明ページが例に挙げる美術、サウンド、物語、ローカライズは、それぞれ迷う場所が違います。台帳の「不明」が増えやすい順に、Claudeへ渡す確認項目を決めておくと仕分けが速くなります。
| 種類 | 迷いやすい場面 | 台帳に書かせる確認項目 |
|---|---|---|
| 美術 | 迷いやすい場面AIの出力を下絵にして描き直した | 台帳に書かせる確認項目下絵の痕跡が最終素材に残るか |
| サウンド | 迷いやすい場面効果音の素材集にAI生成品が混ざっている | 台帳に書かせる確認項目素材の入手元とライセンス表記 |
| 物語・台詞 | 迷いやすい場面下書きだけAIで、決定稿は人が書いた | 台帳に書かせる確認項目決定稿に下書きの文が残る割合 |
| ローカライズ | 迷いやすい場面機械翻訳を下訳にして人が校正した | 台帳に書かせる確認項目校正後の文面がどこまで原文に近いか |
| コード | 迷いやすい場面補完やリファクタリングで使った | 台帳に書かせる確認項目出荷物の表示や挙動を生むものか |
コードの行は、補助ツールの効率化が焦点でないという説明文に沿って、原則は回答の本体から外れます。ただし、ゲーム内の文章や画像をコードが実行時に生成する設計なら、Live-Generatedの話になります。この境目は、台帳の「ゲーム実行中に生成するか」という列で機械的に拾えます。
迷いの大半は「どこまで残れば由来ありとみなすか」です。この線引きに正解を出せるのはSteamの審査側だけなので、Claudeには線引きを決めさせず、残存の事実を集めさせるのが適切です。
Projectsに判断基準と素材台帳を置く
仕分けの前提になる文書は、ClaudeのProjectsにまとめて置けます。Projectsはドキュメントやコンテキストを知識ベースとして取り込み、そのプロジェクト内のチャットが参照する仕組みです。
置く文書は3種類で足ります。
- 第3部の説明文(PreとLiveの定義、効率化は焦点でないという記述)を貼ったメモ
- 素材台帳(次節の形式)
- 回答の書式メモ(1素材1行、断定できない点は「要確認」と書く)
同じ組み立ては保有個人データの開示請求対応をClaudeで整えるでも使っています。判断表を知識ベースに置き、案件ごとに回す型です。
第3部の文面は、必ずSteamworksの現行ページから貼り直します。記憶や要約を知識ベースに置くと、定義が古いまま回答案が量産されます。
Claude Codeで素材台帳をリポジトリから起こす
制作ログが手元のリポジトリにあるなら、台帳の下書きはClaude Codeに作らせる方が早いです。Claude Codeはgitと直接連携し、CLAUDE.mdをセッションの開始時に読み込みます。
最初にCLAUDE.mdへ台帳の書式を固定します。次は例示です。
## 素材台帳(AI開示用)
- Assets/ 配下の画像・音声・テキストを1件1行で集計する
- 列: パス / 種別 / AI利用(有・無・不明) / 使ったツール / 人の加工 / 出荷物に含まれる(有・無)
- コミットメッセージやログに根拠がない項目は「不明」とし、推測で埋めない
- 出力は ai_asset_ledger.csv に書く。回答文は作らない材料集めの確認には、素材ディレクトリの変更履歴を見るコマンドが使えます。
git log --name-status --format='%h %ad %s' \
--date=short -- Assets/Art Assets/Audioこの出力をClaude Codeに読ませ、台帳へ転記させます。「AIで生成」「ツール名」といった語がコミットメッセージにある行は根拠付きで「有」にでき、無い行は「不明」のままです。ここで不明を無理に有無へ割り振らせないことが、後の回答の信頼性を左右します。
出荷するビルドに実際に入っているかは、ビルド成果物のファイル一覧で突き合わせます。リポジトリにあっても出荷物に入っていない素材は、仕分けで「入っていない」に落ちます。
審査提出の直前にも、同じ手順で台帳を再生成させます。制作の途中で作った台帳のままだと、終盤に差し替えた素材が反映されず、回答とビルドの内容がずれます。再生成した台帳と前回版の差分をClaudeに出させれば、回答のどこを直すかも一覧になります。
エンジン別の作業環境の作り方は、Claude CodeでUnityゲーム開発を進めるとClaude CodeでGodotゲーム開発を始めるにあります。
台帳から回答案を下書きさせる
台帳ができたら、Projectsのチャットで回答案を依頼します。依頼文の例です。
添付の ai_asset_ledger.csv と、プロジェクト知識の第3部の説明文だけを根拠に、
次の3点を下書きしてください。
1. Pre-Generatedに当たる素材の種類別の説明(使ったツール、人の加工範囲)
2. 「不明」と「要確認」の一覧(私が確かめる項目)
3. ストアページの説明やスクリーンショットと矛盾しうる箇所
台帳にない事実は書かず、断定できない点は「要確認」と明記してください。返ってくる下書きは、次のような形が目安です。これは公式の項目名ではなく、整理の例です。
- 背景美術: ツールAで下絵を生成し、人が描き直して彩色。出荷物にAI由来の要素が残るかは要確認
- BGM: AI生成なし(作曲者の自作)
- UIテキストの英語版: 機械翻訳を下訳に使い、人が校正。ローカライズに当たるため記載対象
実際の回答欄の項目名と選択肢はSteamworksの画面に従います。Claudeの下書きは、欄に写す前の叩き台です。
3点目の「矛盾しうる箇所」は、取りこぼしを防ぐ上で効きます。Pre-Generatedの説明には、ゲームの内容がマーケティング資料と整合するという約束への言及があります。ストアページで「手描き」と謳っている素材に台帳が「AI利用あり」と出たなら、回答の前にどちらかを直す必要があります。
ライブ生成を入れる場合の追加項目
ゲーム内でAIが応答や画像を作る設計なら、Live-Generatedの欄も埋めます。ここで求められるのは、違法コンテンツを生成させないためのガードレールの説明です。
Claudeには、設計メモから「何を入力として渡し、何を出力として許し、何を遮断するか」を文章にさせられます。ただし、書いた対策が実装されていなければ、回答は事実と食い違います。実装済みの項目だけを根拠に書かせ、未実装の案は含めないよう指示してください。
費用面にも注意があります。ライブ生成サービスは入出力ごとに費用が発生しうるため、外部サービスへのアクセス管理とプレイヤーからの課金をゲーム側で設計する必要があります。説明ページには、価格に織り込む、マイクロトランザクション、サブスクリプション、買い切りDLCという選択肢が並んでいます。
成人向けの性的コンテンツをライブ生成する設計は、出荷しないと同ページに書かれています。該当する設計は、サーベイの書き方以前に出荷の対象外です。
承認後に内容が変わったとき
リリース承認後は、サーベイの一部の質問を自分では編集できなくなります。素材を差し替えたのに回答を直せない場合は、Steamサポートへ連絡します。連絡には、何が変わったか、どの回答が影響を受けるか、テスターが該当コンテンツへ到達する手順を添えます。
この連絡文もClaudeに下書きさせられます。台帳の差分(追加・削除した素材の行)と、到達手順のメモを渡せば足ります。台帳を日付付きで残しておくと、差分の説明が数分で済みます。
落とし穴
「開示したから出荷できる」わけではない
説明ページのFAQは、サーベイを完了すれば何でも出荷できるわけではなく、開示の有無にかかわらずコンテンツの規則に従う必要があると明記しています。Claudeの回答案が整っていても、素材が違法・侵害の疑いを含むなら審査で止まります。台帳の段階で、出典の怪しい素材を洗い出してください。
まとめ
第3部の回答は、「出荷物に入ったAI生成物」を軸にした仕分けの精度で決まります。Claudeは仕分け済みの台帳を文章にする役に向き、有無の判断が割れる素材は人に返す前提で使います。
台帳はCLAUDE.mdの書式で固定し、不明を不明のまま残させる。第3部の文面はSteamworksの現行ページから貼り直す。この2点が守られていれば、回答案は欄に写せる叩き台になります。