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Claudeで特定口座の年間取引報告書を確定申告用に整理する手順

Claudeで特定口座の年間取引報告書を確定申告用に整理する手順

複数の証券会社の年間取引報告書をClaudeに読ませ、口座の種類ごとに損益を突き合わせて、申告が要る口座と要らない口座を表に分ける手順です。

証券会社が2社、3社にまたがると、年間取引報告書の数字を並べ替えるだけで1時間が溶けます。Claudeに各社のPDFを読ませて口座ごとの損益を表にし、申告が必要な口座と不要な口座に振り分けさせれば、この下ごしらえを短縮できます。ただし分岐を決めるのは口座の種類と本人の選択です。数字の読み取りと表づくりをClaudeに任せ、判断の軸は国税庁の説明に固定する、という分担で進めます。

確定申告全般の下書きの注意点は確定申告・年末調整の下書きを作るときの注意点に、税務署や税理士へ聞く前の整理は質問リストの作り方にあります。ここでは株式等の譲渡損益、つまり特定口座の突合に話を絞ります。

年間取引報告書があれば申告は要らないのか — 分かれ目は口座の種類

特定口座は、証券会社などが譲渡損益を計算してくれる口座です。1つの証券会社などにつき開設できるのは1口座で、ここでの損益は特定口座の外で売った株式等とは区分して計算されます。計算は証券会社が行い、利用者には年間取引報告書が届きます。

申告の要否は、特定口座が2種類のどちらかで変わります。

口座の種類申告の扱い報告書の使い道
簡易申告口座申告の扱い譲渡所得があれば申告する報告書の使い道報告書の数字で簡便に申告できる
源泉徴収口座申告の扱い申告するか申告不要とするかを選べる報告書の使い道申告する場合は報告書の数字を使う

源泉徴収口座を選ぶには、その年の最初の譲渡の時までに源泉徴収を選ぶための届出書を証券会社に出す必要があります。選択は年単位で、年の途中で源泉徴収をやめる変更はできません。源泉徴収口座では、売るたびに譲渡益相当額へ15.315%(所得税及び復興特別所得税)が差し引かれ、住民税は別に5%です。

つまり「源泉徴収あり」の口座だけで取引している人は、申告不要を選べます。逆に言うと、次のどれかに当てはまると申告が必要になります。

  • 簡易申告口座で譲渡益が出ている
  • 源泉徴収口座の損益を他の口座の損益と相殺したい
  • 譲渡損失を配当と損益通算したい、または翌年以後へ繰り越したい

源泉徴収口座の譲渡損益を他口座と相殺する場合や、損益通算・繰越控除の特例を受ける場合は、確定申告をしなければならないとタックスアンサーNo.1476に注記があります。複数口座を突き合わせるときは、この分岐を表の列として持っておくと見落としを減らせます。

給与所得者の「20万円」に特定口座の利益は入るのか

会社員の場合、給与以外の所得が20万円を超えると申告が必要になる基準があります。タックスアンサーNo.1900によれば、その合計額には特定口座の源泉徴収口座にある上場株式等の譲渡所得のうち、確定申告をしないことを選んだものは含まれません。申告不要を選んだ源泉徴収口座の利益は、20万円の判定から外れます。

一方、簡易申告口座の利益や、申告を選んだ源泉徴収口座の利益は判定の対象です。同じ会社員でも、口座の種類と選択によって結論が変わります。

Claudeに読ませる前の準備 — 渡し方で精度が決まる

PDFの読み取り自体は、Claudeの標準機能で行えます。APIのドキュメントでは、標準的なPDFであればよく、パスワードや暗号化が掛かったものは対象外です。リクエストの大きさは32MBまで、ページ数は100ページまで(コンテキストウィンドウが1Mトークンを超える場合は600ページ)と書かれています。証券会社の報告書は数ページのことが多く、通常は余裕に収まります。

パスワード付きPDFが届く場合は、先に解除したものを使います。解除の手順は証券会社ごとに違うので、各社の案内に従います。

準備では次の3点を押さえておくと、後の突合が崩れません。

  1. ファイルを証券会社ごとに分け、ファイル名に社名と年を入れる。1つのPDFに複数社を結合しない
  2. マイナンバーや口座番号の欄は伏せてから渡す。突合に必要なのは金額と口座の種類であり、個人を特定する番号ではない。伏せ方の考え方は前掲の下書きの注意点の記事にある
  3. 口座の種類を自分で控えておく。「A社は源泉徴収あり、B社は簡易申告」といったメモを依頼文に添える

3点目のメモがあれば、報告書の読み違いが起きたときに、利用者が自分で気づけます。

手順1: 報告書から数字を抜き出させる

最初の依頼は「読み取りだけ」に限ります。分類や判断を同じ依頼に混ぜると、どこで誤ったのかが追えなくなります。

添付の年間取引報告書(A社、B社の2ファイル)から、
報告書に印字されている項目名のまま、金額を一覧表にしてください。
 
条件:
- 項目名は言い換えない。報告書の表記をそのまま列見出しにする
- 金額は読み取った数字だけを書く。計算して補った数字は入れない
- 読み取れない箇所、判読に自信がない箇所は「要確認」と書く
- 口座の種類(源泉徴収あり/なし)の記載があれば、その文言を引用する
- 銘柄ごとの明細があれば、明細と合計欄を別の表にする

「項目名を言い換えない」という指定がポイントです。報告書の書式は証券会社ごとに違い、Claudeが項目名を自分の言葉に直すと、後の照合で報告書のどの欄に対応するかが追えなくなります。「要確認」と書かせる指定は、読み違いを黙って確定値にしないための保険です。

表ができたら、元のPDFと突き合わせます。全部を見直す必要はありません。合計欄の数字だけを、PDFの該当箇所と目で照らします。ここが合わなければ、明細の読み取りも疑う必要があります。

手順2: 口座を区分ごとに分ける

次に、抜き出した表を税法上の区分に振り分けます。ここで効いてくるのが「上場株式等」と「一般株式等」の区別です。

タックスアンサーNo.1463によれば、株式等の譲渡所得等は「上場株式等」と「一般株式等」に分けて、他の所得と区分して税額を計算します。税率はどちらも20%(所得税15%、住民税5%)です。そして、上場株式等の譲渡損失を一般株式等の譲渡所得等から控除することはできません。一般株式等の損失も、原則として上場株式等の所得からは引けません。

上場株式等には、ETFやJ-REIT、外国の金融商品市場で売買されている株式等、公募投資信託の受益権も含まれます。証券会社の特定口座に入っている商品の大半は、上場株式等の側に入ると考えて構いません。

手順1の表を、次の区分に分けてください。
 
区分:
 (a) 上場株式等
 (b) 一般株式等(上場株式等以外)
 (c) どちらか判断できない銘柄
 
銘柄ごとに、区分の理由を一言添えてください。
(c)に入れた銘柄は、何が分かれば判断できるかも書いてください。
区分の最終判断はこちらで行います。

(c)の欄を用意しておくのが肝心です。選択肢を2つしか与えないと、Claudeは判断がつかない銘柄でもどちらかに入れてしまいます。「分からない」という行き先を作っておけば、迷う銘柄が目に見える形で残ります。

手順3: 口座ごとの申告要否を表に落とす

区分ができたら、いよいよ本題の分岐表です。依頼文には、判断の軸を国税庁の説明どおりに書き込みます。Claudeに判断基準を考えさせず、基準を渡して当てはめさせるのがコツです。

次の基準で、口座ごとの申告要否を表にしてください。
 
基準(国税庁タックスアンサーNo.1476、No.1474より):
1. 簡易申告口座: 譲渡所得があれば申告が必要
2. 源泉徴収口座: 申告する/申告不要を選べる
   ただし他口座との損益の相殺、損益通算・繰越控除を受けるなら
   申告が必要
3. 譲渡損失がある場合、損益通算や繰越控除を受けるには
   損失が出た年に確定申告が必要
 
表の列: 証券会社 / 口座の種類 / 年間損益 / 基準のどれに該当するか /
申告要否 / 判断に必要で足りない情報
 
基準に当てはまらないケースは、結論を出さずに「要相談」としてください。

出力のうち、「判断に必要で足りない情報」の列を読んでください。たとえば「他の口座の損益と相殺する意向があるか」「配当を申告分離課税にするか」といった、本人しか答えられない項目がここに並びます。Claudeが結論を急いで埋めた行より、この列に疑問が挙がっている行のほうが信頼できます。

損失が出ている口座は、申告しないと損をする

ここまでは「申告が要るか」の話でしたが、損失が出ている口座は「申告しない選択」にコストが隠れています。

タックスアンサーNo.1474によれば、上場株式等を証券会社などを通じて売って生じた譲渡損失は、確定申告をすれば同じ年の上場株式等の配当等(申告分離課税を選んだ配当)と損益通算できます。通算しきれない損失は、翌年以後3年間、上場株式等の譲渡所得等と配当所得等から繰越控除できます。

見落としやすい条件が3つあります。

  • 繰越控除を受けるには、損失が出た年から連続して確定申告書を出す必要がある。上場株式等の譲渡がなかった年も、繰り越すための申告が要る
  • NISA口座(非課税口座)や未成年者口座内の譲渡損失は、損益通算も繰越控除もできない
  • 相対取引などで生じた譲渡損失も、損益通算・繰越控除の対象外

申告には、「確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」と「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を添付します。

Claudeには、表の損失がある行に対して次の確認を頼めます。

年間損益がマイナスの口座について、次を行ってください。
- その口座が通常の特定口座か、NISA口座かを報告書の記載から答える
- NISA口座なら、損失は損益通算・繰越控除の対象にならないと明記する
- 通常の特定口座なら、同じ年の配当を申告分離課税にする場合と
  しない場合で、必要な手続がどう変わるかを整理する
前年から繰り越している損失額は、私が別途伝えます。推測で入れないでください。

最後の一文が重要です。前年の繰越損失は、前年の申告書にしか載っていません。PDFにない数字を、Claudeが補うことを許さない指示です。

取得費の検算 — 総平均法に準ずる方法

特定口座の内側では、取得費の計算は証券会社が行います。ただし、移管した株式や特定口座の外(一般口座)で売った分は、自分で計算する場面が出てきます。

タックスアンサーNo.1466によれば、同一銘柄を2回以上に分けて買って一部を売ったときの取得費は、総平均法に準ずる方法で求めた1単位当たりの金額を基に計算します。算式は(A+B)÷(C+D)で、Aは最初に購入した時(すでに売っている場合は直前の譲渡の時)の購入価額の総額、Bはその後今回の譲渡までの購入価額の総額、C・Dはそれぞれに対応する株数です。1円未満の端数は切り上げます。

なお、NISAから特定口座や一般口座へ移管した株式等の取得費は、移管の日の終値に相当する金額です。相続・贈与で取得した株式等は、原則として被相続人や贈与者の取得費を引き継ぎます。取得費にどこまで含めるかは、タックスアンサーNo.1464が整理しています。購入手数料も取得費に含まれます。

チャットのClaudeに暗算で計算させるより、計算を小さなコードに落として実行させたほうが安全です。Claude Codeであれば手元のCSVに対して直接スクリプトを走らせられますし、チャットでもコード実行の機能が使える環境なら同じことができます。国税庁の設例(5,000株を800円、2,000株を850円で購入し、3,000株を売却。その後5,000株を870円で購入し、6,000株を売却)で、検算用の関数を確認しておきます。

import math
 
def unit_cost(total_price: int, total_shares: int) -> int:
    """1単位当たりの取得費。1円未満は切り上げ"""
    return math.ceil(total_price / total_shares)
 
# 1回目の売却(3,000株)
u1 = unit_cost(4_000_000 + 1_700_000, 5_000 + 2_000)
print(u1, u1 * 3_000)          # 815 2445000
 
# 2回目の売却(6,000株)。残り4,000株は815円で持ち越し
u2 = unit_cost(u1 * 4_000 + 4_350_000, 4_000 + 5_000)
print(u2, u2 * 6_000)          # 846 5076000

この結果は、設例にある815円・2,445,000円、846円・5,076,000円と一致します。自分のデータを流し込む前に、まず設例で関数が合うことを見てください。関数が設例で合えば、次は自分の売買履歴を同じ形式に並べるだけです。

Claudeに任せないこと

ここまでの作業で、Claudeに渡したのは「読み取る」「区分に振り分ける」「基準に当てはめる」「検算する」の4つです。逆に、次の4つは本人が決めます。

  • 源泉徴収口座の損益を申告するか、申告不要にするかの選択
  • 上場株式等か一般株式等かが曖昧な銘柄の最終区分
  • 繰越損失の額(前年の申告書の数字)
  • 申告書への入力と提出

これらは申告の可否や税額に直結する選択だからです。たとえば、源泉徴収口座に受け入れた配当等は、口座ごとに申告か申告不要かを選べますが、源泉徴収口座内の譲渡損失を申告する場合は、その口座に受け入れた配当等を申告不要にできません。配当も併せて申告する必要があります。こうした「一方を選ぶと他方が縛られる」関係は、基準をClaudeに渡しておかないと見落とされます。

税務署の確定申告書の作成コーナーに入力する段階では、Claudeが作った表をそのまま写すのでなく、元の報告書の数字を見ながら入力します。表は照合の道具であって、申告書の原本ではありません。

国税庁のタックスアンサーは、令和8年4月1日現在の法令等で書かれています。税率や特例の扱いは改正で変わり得るので、依頼文に基準を貼る際は、最新のページを開き直して貼り替えます。

まとめ

複数の特定口座を突き合わせるとき、Claudeが得意なのは「報告書の読み取り」と「基準の当てはめ」までです。分岐の軸は、口座が簡易申告か源泉徴収か、損失が出ているか、他口座と相殺するか、の3つに集約されます。この3つを依頼文に書き込み、足りない情報を「要相談」として表に残させれば、申告が要る口座の取りこぼしを防ぎやすくなります。結論の欄より「判断に必要で足りない情報」の列を先に読む、という使い方が合っています。

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