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Claudeで賃金のデジタル払いの労使協定と同意書を下書きする手順

Claudeで賃金のデジタル払いの労使協定と同意書を下書きする手順

デジタル払いの労使協定は条文ではなく通達が求める書類で、同意書は労働者ごとに使用者が取ります。協定4事項と同意書の記入欄を整理し、Claudeに下書きと点検をさせる手順です。

賃金のデジタル払いを始めるには、労使協定と労働者ごとの同意書の二つが要ります。ただし根拠は別々です。同意は労働基準法の施行規則7条の2の条文にあり、労使協定は厚生労働省の通達が指導事項として求めています。この違いを押さえたうえで、協定の4事項と同意書の記入欄をClaudeのProjectsに点検表として置くと、下書きの作成と抜けの洗い出しを同じ土台で進められます。

労使協定と同意書は、根拠も取る相手も違う

規則7条の2は、使用者が労働者の同意を得れば、賃金を、資金移動業者のうち厚生労働大臣が指定した事業者(以下、指定事業者)の口座へ資金移動で支払えると定めています。条文に出てくるのは同意だけで、労使協定の語はありません。

労使協定を求めているのは、令和4年11月28日付の基発1128第4号「賃金の口座振込み等について」です。口座振込み等を行う事業場で、過半数労働組合、なければ過半数代表者と書面か電磁的記録で協定を結ぶよう指導するとしています。

くらべる

導入で用意する書類の違い

事業場に1通

労使協定

相手は過半数労働組合か過半数代表者です。根拠は基発1128第4号の2。記載は4事項です。

労働者ごと

個別の同意書

相手は労働者本人で、使用者が取ります。根拠は規則7条の2第1項と同通達の1と7です。

三つ目として、就業規則や給与規程の改定が必要かの確認があります。厚生労働省のリーフレットは「必要かどうかもご確認ください」と案内しており、改定を一律に求める書き方ではありません。

導入の流れのどこをClaudeに任せるか

リーフレットは導入手続きを6段階で示しています。下書きに向くのは、文章を組み立てる③と⑤です。

手順

導入の6段階と担当

  1. 1

    ①指定事業者の確認

    厚生労働省が公表する一覧で、指定を受けた事業者とサービス名称を見ます。人が行います。

  2. 2

    ②導入するサービスの検討

    口座残高の上限、1日の払出上限、手数料、契約の要否を比べます。人が決めます。

  3. 3

    ③労使協定の締結等

    協定案をClaudeに下書きさせ、過半数代表者との協議で確定します。

  4. 4

    ④労働者への説明

    使用者が行うか、指定事業者に委託します。説明文の案はClaudeで作れます。

  5. 5

    ⑤個別の同意取得

    同意書の様式例を社内用に整え、記入内容をClaudeに点検させます。取るのは使用者です。

  6. 6

    ⑥賃金支払いの事務処理

    支払方法や事務の期限はサービスごとに違うため、導入先の案内で確かめます。

④の説明は指定事業者に委託できますが、同意は委託できません。リーフレットは、委託先が説明を怠ると説明が行われたとは認められず、使用者が労働基準法令に違反することになるとも書いています。

Projectsに置く資料と指示

Projectsには、次の3点を入れます。

  1. 基発1128第4号の本文(協定4事項、同意に記載する事項)
  2. 同意書の参考例(通達の別紙)
  3. 自社の事実メモ(事業場名、対象にしたい賃金、過半数代表者の選出方法)

指示文は、根拠から外れた補足をさせない書き方にします。

あなたは労務書類の下書き担当です。
- 資料の通達と参考例に書かれた事項だけで書類を組み立てる
- 資料に無い数字、事業者名、サービス名は書かず【要確認】と置く
- 条文の根拠と通達の根拠を分けて、各項目に出所を添える
- 出力は下書きであり、確定は社労士と過半数代表者が行う

自社の事実メモには、実在の氏名や口座番号を入れません。「従業員A」「口座番号(記入欄)」のようなダミーで足ります。

労使協定の下書き:4事項を空欄つきで組み立てる

通達が協定に記載するよう求める事項は4つです。

  • 口座振込み等の対象となる労働者の範囲
  • 対象となる賃金の範囲とその金額
  • 取扱金融機関、取扱証券会社、取扱指定事業者の範囲
  • 実施開始時期

次のように頼みます。

資料の基発1128第4号の2に従い、賃金のデジタル払いの労使協定案を作って。
事業場:【事業場名】/ 対象にしたい労働者:希望した正社員とパート
賃金の範囲:定期賃金のみ(賞与・退職金は対象外)
取扱指定事業者:未定のため【要確認】と置く
4事項を条にして、記名押印欄も付けて。

案は、例えば次のような形になります(通達の4事項に沿った一例で、Claudeの実出力ではありません)。

第1条(対象者)デジタル払いを希望し、個別に同意した労働者
第2条(対象賃金)各労働者が同意書で申し出た賃金の範囲と金額
第3条(取扱事業者)【指定事業者名】【サービス名称】
第4条(開始時期)令和【年】年【月】月【日】支払分から

押さえたいのは3点です。

第一に、金額です。協定に固定額を書かず、同意書の申し出額に委ねる書き方もあります。同意書の側で、労働者ごとの利用実績や見込みを踏まえた額を設定する必要があるためです。

第二に、取扱事業者の範囲は一社に絞らず、労働者の便宜に十分配慮して複数とするよう、通達の5が求めています。デジタル払いを選ぶ場合は、預貯金口座への振込みまたは証券総合口座への払込みも選べるようにします。

第三に、締結方法です。通達は、労使双方の合意が明らかな方法として記名押印か署名を挙げています。電磁的記録なら、電子署名を行うことが望ましいとしています。

過半数代表者の選び方は、通達にこの協定向けの定めがありません。規則6条の2が過半数代表者の要件を適用する協定等の列挙にも、この協定は入っていません。他の協定と同じく、管理監督者でない者を、投票や挙手など使用者の意向によらない方法で選ぶ運用に揃える方法が考えられます。

同意書の下書き:参考例の構成をそのまま使う

通達の別紙には、同意書の参考例があります。構成は次のとおりです。

部分内容
冒頭の確認内容預貯金口座・証券総合口座も選択肢として示されたこと、留意事項の説明を受けたこと
選択内容デジタル払いに同意する、または同意しない
記入1内容希望する賃金の範囲と金額(定期賃金・賞与・退職金)
記入2内容指定事業者名、サービス名称、口座番号(アカウントID)、名義人
記入3内容支払開始の希望時期
記入4内容代替口座(金融機関店舗名、預金種類、口座番号、名義人)
裏面内容6項目の留意事項

通達の1は、書面か電磁的記録で個々に同意を取り、(1)希望する賃金の範囲と金額、(2)口座を特定する情報、(3)開始希望時期、(4)代替口座を記載するよう定めています。参考例の記入1〜4は、この4つに対応しています。

参考例には「同意しません」の選択肢もあり、選んだ労働者は記入欄が不要になります。強制しない運用が前提です。

受入上限は100万円以下で、賃金の支払で上限を超えた分は、指定事業者が当日中に代替口座へ送金します。その際、送金手数料の負担を求められる場合があると、留意事項に書かれています。説明文の案にもこの点を入れておくと、労働者が後から驚きません。

代替口座は、受入上限を超えた分を受け取るときや、指定事業者が破綻して保証機関から弁済を受けるときに使う口座です。使用者も把握するため、同意書に記載します。

落とし穴

「現金かデジタルか」の2択は強制と見なされうる

参考例の留意事項は、賃金支払方法として現金かデジタル払いの二つしか示さなかった場合や、形式的に選択肢を示しても実質的に強制した場合は、労働基準法24条に違反し罰則の対象になりうると書いています。Claudeに説明文を作らせるときも、預貯金口座への振込みを選択肢に入れた文面になっているか確かめます。

説明事項と同意書の点検をClaudeにさせる

下書きができたら、別の会話で点検させます。通達の7が求める説明事項は、次の5つです。

説明事項点検の観点
預金でない・滞留規制点検の観点希望額が利用実績や見込みの範囲に収まっているか
破綻時点検の観点保証機関から口座残高の弁済が行われると書かれているか
不正出金点検の観点労働者に過失がなければ全額補償、通知期間は損失発生日から30日以上
払出手段点検の観点少なくとも毎月1回、手数料負担なく払出できるか
口座の有効期限点検の観点最後の資金移動日から少なくとも10年間は債務を履行できるか

点検の指示は次のようにします。

添付の同意書案と説明文案を、基発1128第4号の1と7に照らして点検して。
- 1の(1)〜(4)の記載欄が全部あるか
- 7の説明事項5つが、説明文に漏れなく入っているか
- 預貯金口座への支払も選択肢として示されているか
抜けは「通達の何番」「どの欄」を添えて表にして。

結果は根拠の番号つきで返させます。番号が付かない指摘は、資料にない内容を足している疑いがあるため、そのまま採用しません。

Claudeに埋めさせない欄

次の項目は、Claudeの記憶では埋めません。

  • 指定事業者の名称、サービス名称、口座の特定に必要な情報
  • 口座残高の上限額、1日の払出上限額、手数料

指定事業者ごとに口座を特定する情報が異なるため、通達の1は、厚生労働省が公表する指定事業者一覧で確認するよう求めています。リーフレットは、上限額を使用者と事業者の個別調整で引き上げることはできないとも書いています。一覧が更新されると下書きの内容が古くなるため、事業者名は最後に人が入れます。

労働者の実際の口座番号やアカウントIDは、記入欄の文言を点検する段階では不要です。ダミーのまま点検を終え、実データは同意書の原本にだけ書きます。

銀行口座払いとの併用:どこが同じでどこが違うか

デジタル払いを入れても、銀行口座への振込みは従来のまま使えます。通達は、預貯金口座への振込みと証券総合口座への払込みの取扱いは従前のとおりとしています。

項目銀行等の預貯金口座への振込みデジタル払い
根拠(規則7条の2第1項)銀行等の預貯金口座への振込み1号デジタル払い3号
労働者の同意銀行等の預貯金口座への振込み必要デジタル払い必要(選択肢の提示と説明が加わる)
労使協定(通達)銀行等の預貯金口座への振込み求められるデジタル払い求められる
取扱事業者銀行等の預貯金口座への振込み金融機関デジタル払い厚生労働大臣の指定を受けた事業者のみ
追加で記載する事項銀行等の預貯金口座への振込みなしデジタル払い代替口座
支払日の状態銀行等の預貯金口座への振込み午前10時頃までに払出し可能デジタル払い午前10時頃までに為替取引に利用でき、支払日中に全額を払出せる

通達の2は、協定の対象を「口座振込み等」としてまとめています。すでに銀行振込の協定を結んでいる事業場で、既存の協定へ追記するか別の協定にするかは、通達に定めがありません。協定の対象賃金と取扱事業者の範囲に、デジタル払いが含まれているかを点検の対象にしておくと抜けません。

運用に入ってからは、次の3つが残ります。

  • 口座振込み等の対象となる労働者に、賃金の種類ごとの金額、控除額、口座振込み等の金額を記載した計算書を支払日に交付する(通達の3)
  • 指定の取消しや辞退、廃止の届出があったときは、労働者に速やかに確認し、別の方法で以後の賃金を支払う(通達の8)
  • 支払額の検算は給与計算の検算と給与明細の問い合わせ対応の手順で進められる

下書きから締結までの確認順

確定までの順番は次のとおりです。

  1. Projectsの資料で協定案、同意書案、説明文案を作る
  2. 別の会話で通達の番号に照らして点検する
  3. 指定事業者一覧を開いて、事業者名と口座の特定情報を人が入れる
  4. 過半数代表者と協議し、記名押印か署名で締結する
  5. 労働者に選択肢を示して説明し、使用者が同意を取る
  6. 就業規則や給与規程の改定の要否を社労士と確かめる

36協定のように、締結が必要な協定の下書きの流れは36協定届とモデル就業規則のたたき台にあります。台帳や名簿の整備は賃金台帳・労働者名簿・出勤簿の点検で扱っています。

Claudeが得意なのは、通達の項目を漏れなく並べることと、下書き同士の食い違いを拾うことです。事業者の選定、過半数代表者との合意、労働者の同意は、人の手で行う工程として残ります。

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