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賃金台帳・労働者名簿・出勤簿をClaudeで点検する手順と保存期間

賃金台帳・労働者名簿・出勤簿をClaudeで点検する手順と保存期間

労働者名簿と賃金台帳は条文で記載事項と保存期間が決まっています。出勤簿は条文に名前がありません。違いを押さえ、Projectsに点検表を置いてClaudeに記載漏れを洗い出させる手順です。

労働基準監督署の調査では、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿の提出を求められるのが通例です。ただし三つは法律上の扱いが同じではありません。労働者名簿と賃金台帳は、労働基準法とその施行規則が記載事項を細かく定めています。出勤簿は、条文に名前の出てこない帳簿です。この違いを押さえたうえで、記載事項を点検表にしてClaudeのProjectsに置くと、サンプル台帳の記載漏れや保存期間の抜けを調査前に洗い出せます。

三帳簿は法律上どう違うか

最初に、何が条文で決まっていて、何が会社の運用なのかを分けます。点検表の「根拠」欄が空欄だらけになるのは、この区別をしないまま作ったときです。

帳簿根拠条文様式保存期間の起算日
労働者名簿根拠条文労働基準法第107条、施行規則第53条様式様式第19号保存期間の起算日労働者の死亡・退職・解雇の日
賃金台帳根拠条文労働基準法第108条、施行規則第54条・第55条様式様式第20号・第21号保存期間の起算日最後の記入をした日
出勤簿根拠条文帳簿としての名称は労働基準法に出てこない。労働時間の状況の記録は労働安全衛生法の第66条の8の3、同法施行規則第52条の7の3様式定めなし保存期間の起算日記録を作成した後、3年間(安衛則)

労働基準法と施行規則の本文を検索しても、「出勤簿」という語は出てきません。出勤簿が実務で必要になるのは、賃金台帳に書く労働日数と労働時間数の元データだからです。賃金台帳の側は施行規則第54条で、労働日数や労働時間数を記入するよう求めています。出勤簿は、その裏づけとして調査で見られる帳簿です。

保存の条文は、労働者名簿、賃金台帳、そして「雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類」をまとめて対象にしています。出勤簿が、この「重要な書類」に当たるかどうかは、労働基準法の条文だけでは読み取れません。ただし、出勤簿の保存が任意というわけでもありません。労働安全衛生法の第66条の8の3は、事業者に労働者の労働時間の状況を把握するよう求めています。同法施行規則第52条の7の3は、その方法をタイムカードやパソコンの使用時間の記録などの客観的な方法とし、記録を作成して3年間保存するための措置を講じるよう定めています。出勤簿やタイムカードは、この記録にあたる代表的な書類です。賃金台帳の根拠となる元データでもあるので、賃金台帳と同じ期間は残す運用が無難です。

労働者名簿の記載事項を点検表にする

労働者名簿は、事業場ごとに、労働者一人ずつ作ります。日々雇い入れられる者は対象外です。法律本体が挙げる記載事項は氏名、生年月日、履歴で、施行規則第53条が次の六つを足しています。

  • 性別
  • 住所
  • 従事する業務の種類
  • 雇入の年月日
  • 退職の年月日と事由(解雇の場合は理由も)
  • 死亡の年月日と原因

ここに例外が一つあります。常時使用する労働者が30人未満の事業場では、「従事する業務の種類」を記入しなくてかまいません。点検表に事業場の規模を入れておかないと、30人未満の会社の名簿に対して「業務の種類が空欄です」と、不要な指摘をClaudeが量産します。

もう一つ、記入事項に変更があれば遅滞なく訂正することも条文にあります。住所変更や退職の記録が名簿に反映されているかは、人事システムの変更履歴と見比べる点検になります。

賃金台帳の記載事項と、省いてよい項目

賃金台帳は、事業場ごとに作り、賃金を支払うたびに遅滞なく記入します。施行規則第54条の記入項目は、労働者各人別に次の八つです。

  1. 氏名
  2. 性別
  3. 賃金計算期間
  4. 労働日数
  5. 労働時間数
  6. 時間外・休日・深夜の労働時間数(延長時間数、休日労働時間数、深夜労働時間数)
  7. 基本給、手当その他賃金の種類ごとの額
  8. 賃金の一部を控除した場合の控除額

例外も条文にあります。点検表では項目ごとに「対象外になる条件」の列を作ると、Claudeの誤指摘が減ります。

条件記入が不要になる項目
管理監督者など労働基準法第41条各号に当たる労働者記入が不要になる項目5と6(労働時間数、延長・休日・深夜の時間数)
高度プロフェッショナル制度の対象労働者記入が不要になる項目5と6
日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)記入が不要になる項目3(賃金計算期間)

賃金の一部を通貨以外で支払っている場合は、その評価総額を記入します。また、就業規則で法定と異なる所定労働時間や休日を定めているときは、就業規則に基づいて算定した時間数で、第6号の時間数に代えられます。就業規則を資料に加えるかどうかで、Claudeの指摘は変わってきます。

様式は常時使用される労働者(1か月を超えて引き続き使用される日々雇い入れ者を含む)が様式第20号、それ以外の日々雇い入れ者が様式第21号です。年次有給休暇の管理簿、労働者名簿、賃金台帳は、あわせて調製してもかまいません。名簿と台帳が一枚の帳票になっている会社では、点検表も一本にまとめたほうが指摘を突き合わせやすくなります。

保存期間は5年と3年の二段で読む

保存期間は、労働基準法第109条が「五年間」と定めています。ところが同法第143条は、第109条の適用について「当分の間」五年間を三年間とすると規定しています。条文を読むと、本則は5年、当分の間は3年、の二段構えです。

起算日は施行規則第56条が決めています。

保存対象起算日
労働者名簿起算日労働者の死亡、退職または解雇の日
賃金台帳起算日最後の記入をした日
雇入れ・退職に関する書類起算日労働者の退職または死亡の日
災害補償に関する書類起算日災害補償を終わった日
賃金その他の重要な書類起算日その完結の日

賃金台帳や重要書類は、賃金の支払期日が上の日より遅いとき、支払期日が起算日になります。さらに、年次有給休暇の管理簿や議事録などにも、この起算日の考え方が準用されています。

保存義務に違反すると、労働基準法第120条により、30万円以下の罰金の対象になります。第120条第1号が、名簿と台帳の調製義務(第107条、第108条)と、保存義務(第109条)を含む第106条から第109条までの違反を挙げているためです。

名簿は「退職の日」から数えるので、在籍中の社員の名簿に「保存期間切れ」はそもそもありません。この起算日の違いを点検表に書かないと、Claudeは入社日や作成日から数えて「期間超過」と誤判定しかねません。条文の年数を3年と読むか5年と読むかは、保存の運用方針として社内で決め、点検表に固定します。迷う場合は社会保険労務士や労働基準監督署に確認するのが確実です。

Projectsに置く資料と指示の書き方

ClaudeのProjectsは、チャット履歴とナレッジを持つ独立した作業場です。書類をアップロードして文脈を与え、その文脈で絞った会話ができます。無料アカウントを含む全ユーザーが使えますが、無料アカウントで作れるプロジェクトは最大5つです。ナレッジが増えてコンテキストの上限に近づくと、有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)ではRAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。

Team・Enterpriseプランでは、プロジェクトを組織内で共有でき、閲覧のみ・編集可の権限を分けられます。人事担当と社労士が同じ点検表を見る使い方に向きます。なお、Projectsには新バージョン(ベータ)が段階的に展開されていますが、チャットとCoworkの既存プロジェクトは従来のまま動くと案内されています。

資料は三つ用意します。

  1. 記載事項の点検表(下の例)
  2. 就業規則のうち、労働時間・休日・賃金に関する部分
  3. 点検対象のサンプル台帳

サンプル台帳には実在の氏名や住所をそのまま入れず、ダミーに置き換えたものを使います。点検したいのは記載の有無であり、個人を特定する情報は要らないからです。

点検表は、次のようにテキストで作ります。項目ごとに根拠条文と例外を書いておくのがコツです。

# 労働者名簿 点検表(様式第19号)
- 氏名 / 生年月日 / 履歴 [法107条]
- 性別 / 住所 [規則53条]
- 従事する業務の種類 [規則53条]
  例外: 常時30人未満の事業場は記入不要
- 雇入の年月日 [規則53条]
- 退職の年月日と事由 [規則53条]
  解雇の場合は理由も記入
- 死亡の年月日と原因 [規則53条]
保存: 死亡・退職・解雇の日から起算
 
# 賃金台帳 点検表(様式第20号)
- 氏名 / 性別 / 賃金計算期間 [規則54条]
- 労働日数 / 労働時間数 [規則54条]
  例外: 法41条該当者は労働時間数不要
- 延長・休日・深夜の時間数 [規則54条]
- 賃金の種類ごとの額 / 控除額 [規則54条]
保存: 最後の記入日から起算

プロジェクトの指示(Set project instructions)には、役割と禁止事項を書きます。たとえば次の文面です。

あなたは労務書類の記載漏れを点検する補助役です。
- 判定の根拠は、プロジェクトに置いた点検表だけにします
- 点検表にない項目は「点検表に項目なし」と答えます
- 法的に適否を断定せず、「記載あり/なし/読み取れない」で答えます
- 例外条件(事業場の人数、労働者の区分)が不明なときは先に質問します

「点検表にない項目は答えない」と決めておくと、Claudeが記憶から法令を補って、点検表にない独自の指摘を混ぜるのを抑えられます。

サンプル台帳を点検させる

プロジェクト内で新しいチャットを開き、前提を伝えてからサンプルを渡します。

事業場は常時25人です。添付は賃金台帳の1人分(ダミー)です。
点検表に沿って、各項目を「記載あり/なし/読み取れない」で
表にしてください。なしの項目には、点検表のどの行かも付けてください。

事業場の人数を最初に伝えているのは、先の労働者名簿の例外が効くかどうかを分けるためです。返ってきた表は、そのまま信用せず、次の観点で読みます。

  • 「なし」と判定された項目の根拠が、点検表のどの行か
  • 例外条件が効く労働者(管理監督者など)に対して、不要な指摘が出ていないか
  • 「読み取れない」の項目が、画像や表の崩れで読めなかっただけではないか

出勤簿については、出勤簿の日別の出退勤時刻を合計した労働時間数と、賃金台帳の労働時間数欄が一致するかを見る点検を足せます。一つの月分の出勤簿と賃金台帳を並べて渡し、「出勤日数と賃金台帳の労働日数が合っているか」「時間外の合計が台帳の延長時間数と合っているか」を表にさせます。計算を伴う作業なので、集計結果は表計算ソフトの値と見比べてから使ってください。

点検で見つかった抜けの直し方

記載漏れが見つかったら、まず実際に何が足りないのかを分けます。

  • 台帳の様式自体に欄がない(項目の追加が必要)
  • 欄はあるが、運用で入力していない(入力ルールの周知が必要)
  • 例外条件に当たるため、そもそも記入不要(点検表の例外欄を直す)

三番目の場合は、Claudeではなく点検表を直すのが筋です。点検表を直したら、プロジェクトのナレッジを差し替えて、同じサンプルで再度点検します。結果が変わるかを確かめると、表の修正が意図どおり効いたかが分かります。

調査後に是正勧告を受けた場合の報告書づくりは、別の手順になります。是正報告書の下書きの手順に、指摘事項と是正内容を対応させる方法をまとめています。残業の上限を定める届出は36協定届とモデル就業規則のたたき台、就業規則の副業規定の確認は就業規則PDFの読み込み、入社時の書面は労働条件通知書の下書きと点検で扱っています。

三帳簿の点検は、一度表を作れば毎年使い回せます。法改正や保存期間の運用方針を変えたら、点検表の該当行と根拠条文を更新し、Projectsのナレッジを差し替えてください。

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