傷病手当金の申請書の事業主記入欄をClaudeで下書きする手順
傷病手当金の申請書3ページ目にある事業主記入欄(出勤日と賃金の支払状況)を、勤怠・給与データからClaudeに下書きさせる手順と、申請期間ごとの提出漏れ確認表の作り方です。
休職者が出ると、総務や人事の手元に傷病手当金の申請書が回ってきます。協会けんぽの様式なら、事業主が書くのは3ページ目だけです。ところが、このページは「出勤した日に○を付ける」「出勤していない日に払った報酬を日付と金額で書く」という、勤怠と給与の突き合わせそのものになっています。
この突き合わせの下書きを、Claudeに任せられます。ただし、証明するのは事業主です。Claudeが作るのは、記入欄に写す前の一覧と、提出前に見る確認表までにとどまります。
申請書4ページのうち、事業主が書くのは3ページ目
協会けんぽの「健康保険 傷病手当金 支給申請書」は、4ページで書き手が分かれています。
申請書の4ページと書き手
1〜2ページ 被保険者記入用
休職者本人が、氏名・振込先・申請内容(発病日、傷病の原因、報酬の有無など)を書きます。
3ページ 事業主記入用
勤務状況と賃金の支払状況を、事業主が証明します。この記事の対象です。
4ページ 療養担当者の記入欄
医師などが、労務不能と認めた期間と傷病名を書きます。会社は書きません。
事業主記入用のページには、記入欄が4種類あります。
| 欄 | 書く内容 | 元データ |
|---|---|---|
| 勤務状況 | 書く内容申請期間のうち出勤した日を○で囲む | 元データ勤怠データ |
| 報酬等の支給(①〜⑩) | 書く内容出勤していない日に払った報酬の期間と金額 | 元データ給与明細・賃金台帳 |
| 証明日 | 書く内容申請期間が終わったあとの日付 | 元データ作成日 |
| 事業所情報 | 書く内容所在地・名称・事業主氏名・電話番号 | 元データ会社情報 |
下書きの対象にできるのは、上の2行です。証明日と事業所情報は、Claudeに作らせる意味がありません。
休職の流れ全体や、健康保険法に定める支給の要件は、Claudeで休職・復職の手続き書類を整理する手順に書きました。この記事は、そこから先の、申請書の記入欄の段取りに絞ります。
勤務状況の欄で迷う3つの扱い
協会けんぽの記入の手引きには、勤務状況の欄の決まりがいくつかあります。依頼文に入れておくと、Claudeが勝手な解釈をしにくくなります。
- 一部だけ働いた日も出勤: 出勤した日付には、所定労働時間の一部だけ労務に服した日も含みます
- 待期の初日に早退した場合: 待期の初日にあたる日を早退したときは、○ではなく「早」と表示します
- 有給休暇と公休日: 勤務状況の欄には書きません。有給休暇は下の報酬欄で扱います
申請期間に出勤した日が1日もない場合は、年と月だけを書きます。「年」「月」は、出勤の有無に関わらず書く欄です。
手順1: 勤怠データから出勤日の一覧を作らせる
最初に、勤怠システムから申請期間分の日別データを書き出します。Claudeに渡すのは、日付と勤務区分だけで十分です。氏名や社員番号は、渡すデータから外します。
次は依頼文の例です。
申請期間は令和8年5月1日から5月31日です。
添付のCSV(日付、勤務区分)から、出勤した日だけを
日付順に並べてください。
- 勤務区分「半日勤務」「時短勤務」は出勤に含めます
- 「有給」「公休」「欠勤」は出勤に含めません
- 区分が空欄または見慣れない値の行は、
推測せず「要確認」として別の表に出してください
最後に、月ごとの出勤日の件数も出してください。「要確認」の行を別表に分けるのがコツです。勤務区分の表記ゆれ(「午前休」「半休」など)は会社ごとに違い、出勤か否かの判断は人事側にしかできません。
Claudeが返すのは、たとえば次のような形になります。以下は形を示す例で、数字は仮のものです。
| 令和8年5月 | 区分 | 申請書への写し方 |
|---|---|---|
| 1日 | 区分半日勤務 | 申請書への写し方○で囲む |
| 7日、8日 | 区分有給 | 申請書への写し方○なし(報酬欄へ) |
| 11日〜29日の平日 | 区分欠勤 | 申請書への写し方○なし |
この表を見ながら、事業主が申請書の暦に○を付けます。Claudeの出力は下書きなので、元の勤怠データと1日ずつ照らすのは人の仕事です。
手順2: 賃金は「書くもの」と「書かないもの」に仕分ける
報酬欄は、書き間違いが起きやすい部分です。出勤していない日に対して払ったものだけが対象になるからです。記入の手引きの仕分けは次のとおりです。
報酬欄に書くもの / 書かないもの
書く
- 有給休暇の賃金
- 出勤の有無に関わらず支給している手当(扶養手当・住宅手当・通勤手当など)
- 食事・住居などの現物支給
書かない
- 残業手当など、出勤した日に対して支給した報酬
- 見舞金のように、一時的に支給したもの
- 支給していない報酬(0円の記入も不要)
- 年収の壁への対応で導入された手当など、標準報酬月額の算定に考慮されない報酬
書き方にも決まりがあります。
- 有給手当は、支給額が同じで期間が続いていれば、まとめて書きます。たとえば12月29日と30日に8,000円ずつ払った場合は、「12月29日〜12月30日16,000円」です
- 通勤手当のように一定期間分を一括で払うときは、対象期間と金額を書きます。6か月分90,000円なら、その6か月の期間に90,000円です
- 欄は①〜⑩の10行です。1枚の証明に収まらなければ、申請書を分けます
この仕分けをそのまま依頼文にします。
添付の給与データ(項目名、支給日または対象期間、金額)と、
先ほどの出勤日の一覧を突き合わせてください。
次のルールで、申請書の報酬欄①〜⑩に書く行を作ります。
- 書くのは、出勤していない日に対する報酬だけです
(有給休暇の賃金、出勤の有無に関わらず支払う手当、現物支給)
- 残業手当、一時的な見舞金は書きません
- 同額で期間が続く有給はまとめて1行にします
- 一括払いの手当は、対象期間と金額を1行にします
- 項目がどちらか判断できないときは、推測せず
「要確認」として理由を添えてください
出力は「期間(自)」「期間(至)」「金額」「元の項目名」の表にします。「元の項目名」の列を残すと、後から給与明細に戻って確かめられます。たとえば、5月7日と8日の有給が1日12,000円なら「5月7日〜5月8日24,000円」と1行にまとまり、元の項目名は「有給休暇賃金」です。
注意したいのは、自社の手当の名前から「出勤の有無に関わらず支給しているか」は読み取れないことです。同じ「住宅手当」でも、欠勤日数に応じて減額する会社と、しない会社があります。賃金規程の該当条文を一緒に貼り、判断の根拠を示させると、要確認の行が減ります。
報酬を払った期間は、傷病手当金の調整にも関わります。協会けんぽの案内では、給与が支払われている間は傷病手当金が支給されず、給与の額が傷病手当金より少ないときは差額が支給されます。報酬欄の金額が、そのまま調整の計算に使われるということです。
手順3: 申請期間ごとの提出漏れ確認表を作る
休職が長引くと、申請書は期間ごとに何枚にもなります。事業主記入欄の下書きが済んでも、提出の段取りで抜けが出ます。申請期間ごとの確認表を、Claudeに作らせておきます。
確認表に入れる列は5つです。
| 列 | 入れる内容 |
|---|---|
| 申請期間 | 入れる内容開始日〜終了日(暦で3か月以内) |
| 事業主欄 | 入れる内容勤務状況・報酬欄の下書きと突き合わせの済み |
| 他の欄 | 入れる内容本人欄・医師欄の記入状況 |
| 証明日 | 入れる内容申請期間が終わった後の日付になっているか |
| 提出状況 | 入れる内容提出日、受付の状況 |
この列の根拠は、記入の手引きの決まりです。
- 申請期間は、暦で3か月以内にします。超える場合は申請書を分けます
- 事業主の証明は、申請期間が終わったあとの日付で書きます
- 出勤簿や賃金台帳の写しなどは、添付しないでください
- 資格喪失日以降の期間に関する申請では、事業主記入用は空欄で提出します
依頼文の例は次のとおりです。期間の区切りは、暦の月ではなく、休職者の申請期間で数えます。
休職開始日は令和8年5月11日です。
申請期間を暦で3か月以内に区切り、令和9年3月分までの
確認表を作ってください。
列は「申請期間」「事業主欄」「他の欄」「証明日」「提出状況」です。
「証明日」の列には、申請期間の終了日より後の日付を
入れる必要があることを注記してください。
資格喪失の予定がある場合は、その日以降の期間の
事業主欄を空欄にする旨の注記も付けてください。申請の期限にも注意します。健康保険の給付を受ける権利は、受けられるようになった日の翌日から2年で時効になります。傷病手当金では、労務不能だった日ごとに、その翌日が起算日です。確認表に「いちばん古い日の時効日」の列を足すと、提出の遅れを早く拾えます。
支給は、審査の結果支払える場合に、受付日から10営業日以内とされています。確認表の提出状況の列に、受付日と入金日を書き足しておくと、本人からの問い合わせにも答えやすくなります。
手順4: プロジェクトに記入ルールを固定する
休職者が複数いる会社では、毎回、同じ記入ルールを依頼文に貼ることになります。Claudeのプロジェクトに指示として保存しておくと、その手間が省けます。
プロジェクトは、チャットの履歴と知識ベースをまとめた作業場所です。知識として文書を置き、指示で応答の方針を決められます。ヘルプには、プロジェクト内のチャット同士は、知識ベースに入れない限り文脈を共有しないとあります。ルールは、知識か指示に入れておく必要があります。
このプロジェクトは、傷病手当金申請書の事業主記入欄の下書き専用です。
- 渡されたデータから、勤務状況(出勤日)と報酬欄①〜⑩の
下書きの表を作ります
- 報酬欄に書くのは、出勤していない日に対する報酬だけです
(有給休暇の賃金、出勤の有無に関わらず支払う手当、現物支給)
- 出勤か報酬かの判断が付かない行は「要確認」とします
- 病名・診断内容・氏名・社員番号は扱いません。
貼られた場合は、内容に触れず削除を依頼してください
- 証明は事業主が行うものとして、確定的な表現を使いません知識ベースには、自社の賃金規程の手当の章と、勤務区分の一覧を置きます。協会けんぽの記入の手引きのPDFも、置いておけば参照できます。
使える範囲には条件があります。プロジェクトはFreeを含む全ユーザーが使えますが、Freeの上限は5つまでです。知識が多くなったときに自動で容量を広げる機能(RAG)は、有料プランだけです。Team・Enterpriseでは、プロジェクトを組織内の他のメンバーと共有でき、権限は「閲覧」と「編集」から選びます。担当者の交代や、複数人での確認に向いた設定です。管理者が共有を止めている組織では、共有できません。
この指示は応答の方針を決めるもので、個人情報の流出を技術的に防ぐ仕組みではありません。データを渡す前に、何を外すかを人が決めてください。プロジェクトの知識の検索の仕組みは、ClaudeのプロジェクトのRAG検索の仕組みで詳しく扱っています。
下書きを申請書に写す前の最終確認
Claudeの出力は、次の順で確認します。
下書きから証明までの確認の流れ
- 1
出勤日を勤怠システムと照らす
Claudeの一覧の日付を、勤怠システムの画面と1日ずつ見比べます。区分が「要確認」の行は、先に人事が決めます。
- 2
報酬欄を給与明細と照らす
金額は、Claudeの計算ではなく、給与明細や賃金台帳の数字で確かめます。まとめた行の合計も、足し直します。
- 3
申請期間を被保険者欄と揃える
3ページ目の期間は、2ページ目に本人が書いた申請期間と一致させます。期間がずれると、ページ間の整合が取れなくなります。
- 4
証明日を入れて事業主が署名する
申請期間が終わった後の日付を書き、事業主が証明します。証明の責任は事業主にあります。
よくあるつまずき
- 有給の日に○を付けてしまう: 有給休暇は勤務状況の欄に書きません。報酬欄に日付と金額で書きます
- 通勤手当を落とす: 出勤の有無に関わらず支給している手当は、通勤手当も報酬欄の対象です
- 見舞金まで書く: 一時的な見舞金や、残業手当は書きません
- 賃金台帳の写しを添付する: 事務効率化のため、出勤簿や賃金台帳の写しは添付しないよう案内されています
- Claudeに証明文まで書かせる: 「相違ないことを証明します」の欄は、事業主が確認してから書きます
申請は、電子申請も案内されています。システムチェックで記載もれなどを防げるとされているので、紙で出している会社は、一度様式の入力画面を見ておくと運用の比較ができます。
まとめ
Claudeに任せるのは、勤怠データから出勤日の一覧を作る作業、賃金を書くものと書かないものに仕分ける作業、申請期間ごとの確認表を作る作業の3つです。出勤か報酬かが判断できない行を「要確認」で止める依頼文にしておけば、人が見るのはその行だけで済みます。証明そのものは、最後まで事業主の仕事として手元に残します。
育休の給付金の書類も、同じ型で整理できます。手順はClaudeで育休の給付金手続きを整理するにあります。