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Claudeで経営者の登壇原稿を話し言葉に直して持ち時間に収める手順

Claudeで経営者の登壇原稿を話し言葉に直して持ち時間に収める手順

社長や役員の登壇原稿を、Claudeで読み上げ向けの話し言葉に直し、持ち時間から文字数を逆算して削る手順です。数字の読み方の指定や、Projectsへの型の預け方も扱います。

経営者の登壇原稿は、書き言葉のまま読み上げると聞き取りにくくなります。Claudeに「話し言葉に直して」と頼むだけでなく、持ち時間から文字数を逆算し、数字の読み方まで先に指定すると、広報担当者の手直しが減ります。この記事では、その手順を指示文つきで示します。

書き言葉の原稿は声に出すと何が崩れるか

登壇原稿は、目で読む文章とは前提が違います。聞き手は戻って読み返せません。一度聞いて意味が取れない文は、そのまま流れていきます。

書き言葉の原稿を壇上で読んで崩れやすいのは、次の3点です。

原稿の弱点

読み上げで崩れやすい3点

  • 長い一文

    主語と述語が離れた文は、聞き手が途中で迷子になります。一文の途中で息が続かない長さにもなります。

  • 漢語の連なり

    「事業基盤の強化施策」のような名詞の連結は、目で見れば区切れても、耳では区切れません。

  • 数字と同音語

    数字の桁、年度の表記、「かんせい」のような同音語は、読む人も聞く人も取り違えます。

Claudeに任せられるのは、この3点を機械的に洗い出して直す作業です。何を話すか、どの数字を出すかは経営者と広報が決める部分として残ります。

持ち時間から文字数を逆算する

先に決めるのは、原稿の長さです。時間を文字数に変えておくと、Claudeへの依頼が具体的になります。

基準にする読む速さは、1分あたり300字前後を使うのが一つの目安です。ただし話す人によって違います。登壇する本人が普段の速さで過去の原稿を1分読み、字数を数えて、自分の値に置き換えてください。

逆算

持ち時間を原稿の文字数にする流れ

  1. 1

    持ち時間から間を引く

    持ち時間10分で、登壇の拍手とスライド送りに合わせて1分半の間を見込むなら、実際に読む時間は8分30秒です。

  2. 2

    読む速さを掛ける

    8.5分に1分300字を掛けると、2,550字になります。

  3. 3

    許容幅を決める

    前後1割の2,300〜2,800字を許容幅にします。この幅に収まれば、本番の調整は読む速さで吸収できます。

  4. 4

    Claudeに字数の枠として渡す

    「2,300〜2,800字」と範囲で伝えます。1点の数字より、範囲のほうが原稿の出来が安定します。

出てきた原稿の字数は、Claudeの自己申告に頼らず、ワープロの文字数カウントで数えてください。長さの扱いはモデルによっても異なります。プロンプトのベストプラクティスには、Claude Opus 5の既定の応答は従来モデルより長く、effortを上げ下げしても表示される長さは安定して変わらないと書かれています。短くしたいなら、短くするよう明示的に頼む必要があります。

話し言葉に直す指示文を作る

最初の依頼で、直す観点を列挙します。「話し言葉にして」とだけ頼むと、語尾が「です・ます」に寄るだけで終わりがちです。

添付の原稿は、書き言葉で書かれた登壇用の下書きです。
社長が壇上で読み上げます。聞き手は一度しか聞けません。
次の方針で、話し言葉の原稿に書き直してください。
 
- 一文は60字以内にし、主語と述語を近づける
- 名詞が3つ以上続く言い方は、動詞を使って開く
- 同音異義語になりやすい語は、言い換える
- 結論を先に言い、数字は1つの文に1つまで
- 長さは2,300〜2,800字(読み上げ8分30秒)
 
書き直した箇所は、元の文と並べた表で見せてください。

方針は「やらないこと」の禁止より、「どうするか」の形で書くほうが伝わります。プロンプトのベストプラクティスにも、「何をしないか」ではなく「何をするか」で指示する方法が載っています。

直した理由を表で出させる

書き直しの根拠を表で受け取ると、広報も経営者も、どの変更を採るかを選びやすくなります。

くらべる

依頼の出し方で返ってくるものが変わる

確認しにくい

一括で書き直させる

全文が新しい文面で返ります。経営者の言い回しがどこで変わったのか、突き合わせる手間がかかります。

採否を選べる

元の文と並べて直させる

変更箇所と理由が一覧で返ります。経営者が「この言い方は自分は使わない」と判断する材料になります。

口調の見本を渡す

経営者の口癖や、使わない言葉があるなら、最初の依頼に含めます。口調は説明するより、見本を見せるほうが伝わります。プロンプトのベストプラクティスでは、例示は出力の形式・口調・構成を揃える確実な方法の一つで、依頼文と区別できるよう <example> タグで囲むとされています。

過去の挨拶を録画から書き起こした文章があれば、次のように渡します。

<examples>
<example>
(社長の過去の挨拶から、話し言葉の部分を数段落貼る)
</example>
<example>
(場面の違う別の挨拶から、数段落貼る)
</example>
</examples>
 
上の例は、社長が実際に話した言葉の書き起こしです。
語尾や呼びかけの癖を参考にして、添付の原稿を直してください。
内容は例から引用せず、原稿の内容だけを使ってください。

見本は、乾杯の挨拶と決算説明のように場面が違うものを混ぜます。同じ場面ばかりだと、その場面の言い回しが原稿に混ざります。ベストプラクティスも、例は実際の用途に近く、変化をつけるよう勧めています。

間とスライド送りの合図を書き込む

話し言葉の原稿は、字を直すだけでは本番で使えません。息を継ぐ場所と、スライドを送る場所が要ります。これも指示文に入れておくと、返ってくる原稿にそのまま載ります。

原稿の中に、次の記号で合図を入れてください。
 
- 聞き手に考えてほしい箇所の直後に [間]
- スライドを送る箇所に (スライド3へ) の形で番号つき
- 合図は、読み上げる文字数に数えない
 
合図の意味は、原稿の先頭に一行で書き添えてください。

[間]を入れた分だけ読む時間は延びます。先ほどの逆算で見込んだ間の時間と重なるので、合図の数が増えたら字数の枠を見直してください。

数字と固有名詞の読み方を先に指定する

登壇原稿で一番事故が起きやすいのは数字です。会場の誰かが聞き間違えれば、その数字が独り歩きします。

Claudeには、読み上げ向けの表記ルールを先に渡します。プロンプトのベストプラクティスには、出力を音声合成が読み上げる場合に「省略記号は使わない」と理由つきで伝える例があります。理由まで書くと、Claudeがその意図を一般化して守ります。登壇原稿でも同じ書き方が使えます。

原稿の表記話し言葉での書き換え狙い
1,250億円話し言葉での書き換え1,250億円(せんにひゃくごじゅうおくえん)狙い桁の読み誤りを防ぐ
前年比+12%話し言葉での書き換え前の年より12パーセント増えました狙い記号を声にする
FY26 3Q話し言葉での書き換え2026年度の第3四半期狙い略語を開く
約3.2倍話し言葉での書き換え3.2倍(さんてんにばい)狙い小数点の読みを決める
ROIC話し言葉での書き換え投下した資金に対する利益率(ROIC)狙い初出で意味を添える

読み仮名は全部の数字に付けると、原稿が読みにくくなります。迷いやすい数字だけに付けるよう、次のように頼みます。

この原稿は壇上で読み上げます。次のルールで数字を直してください。
 
- 1,000以上の金額は、読み仮名を括弧で添える
- 「+」「%」「~」などの記号は、言葉に開く
- 英字の略語は、初出で日本語の説明を添える
- 同じ数字を二度以上出す場合は、二度目以降を「その数字」と言い換えてよい
 
直した数字の一覧を、原稿の末尾に表で付けてください。

末尾の一覧は、登壇者本人が数字の確認に使えます。元の資料の数字と見比べる作業は、Claudeに任せず、人が行ってください。

固有名詞も同じです。取引先の社名、役員の名前、製品名は、読み方を一覧にして原稿と一緒に渡します。読み方は会社ごとに決まりがあるため、Claudeが推測で決めた読みは信用しないほうが安全です。

型をProjectsに預けて、毎回の指示を短くする

登壇は一度きりではありません。社長が年に何度も話す会社なら、指示文を毎回貼り直す手間がかかります。そこで、型をProjectsに預けます。

Projectsは、独自の会話履歴と知識を持つ作業場所です。無料アカウントも使えますが、作れるのは最大5つまでです。

プロジェクト指示に書く内容

プロジェクト指示には、口調や役割のように、そのプロジェクトのすべての会話に効かせたいことを書きます。ヘルプセンターには、よりフォーマルな口調を使う、特定の役割や業界の視点で答える、といった使い方が例として載っています。

あなたは当社の広報担当の補佐です。社長の登壇原稿を、
壇上で読み上げる話し言葉に直します。
 
- 一文は60字以内
- 数字は読み仮名を添えるルールに従う
- 社長は「皆さん」と呼びかけ、「〜と考えております」は使わない
- 読み上げ速度は1分300字として、持ち時間から字数を逆算する

プロジェクトの知識に入れる資料

知識として入れるのは、過去の登壇原稿、社名や製品名の読み方一覧、社長が使う言い回しの見本です。プロジェクトの知識は、そのプロジェクト内のすべてのチャットで使われます。

ここで押さえておく点が3つあります。

  • プロジェクトの名前と説明は、Claudeからは見えません。口調や役割は、プロジェクト指示に書く必要があります
  • プロジェクト内のチャット同士では、文脈は共有されません。次回も使いたい情報は、知識に追加します
  • 有料プランでは、知識が上限に近づくと、Claudeが自動で容量を広げます。広がる幅は最大10倍です

新しいProjects(ベータ)が一部のユーザーに順次提供されていますが、既存のチャットのプロジェクトはこれまでどおり動きます。この記事の手順は、現行版のプロジェクトを前提にしています。

広報と秘書室で共有する

Team・Enterpriseプランでは、プロジェクトを組織内のメンバーと共有できます。権限は「閲覧可」と「編集可」の2段階です。閲覧可は内容を見てチャットできますが、編集はできません。広報が型を保守し、秘書室は閲覧可で使うといった分担ができます。

プロジェクトの基本はClaude Projects完全ガイドで詳しく解説しています。

本番までの点検

原稿が仕上がったら、声に出して読む工程に入ります。ここは人の仕事です。

  1. 登壇者本人が、本番と同じ速さで通して読み、時計で測る
  2. 想定より長ければ、削る箇所を指定してClaudeに頼む。「第3節のエピソードを半分にして」のように場所を示す
  3. 数字の一覧を、元の資料と1つずつ照合する
  4. 社名・人名の読み方を、広報が最終確認する

削る依頼では、削ってはいけないものも伝えます。結論と、聞き手に取ってほしい行動は残す、と明示します。たとえば次のように頼みます。

現在の原稿は約3,100字で、持ち時間に対して500字ほど長いです。
第3節のエピソードを半分の長さにして、全体を2,600字前後にしてください。
 
- 冒頭の結論と、最後の呼びかけは変えない
- 数字と固有名詞は削らない
- 削った箇所は、元の文と削った後の文を並べて見せる

「短くしてください」だけだと、Claudeは結論や呼びかけまで削ることがあります。削る量を字数で、残すものを名指しで伝えると、手戻りが減ります。

原稿が固まったら、同じプロジェクトで質疑応答の想定問答も作れます。登壇者が数字の根拠を聞かれたときに備え、原稿に出した数字ごとに予想される質問を挙げさせ、答えの案は資料の数字だけで書かせます。答えの正しさは、これも人が確かめます。

未公開の数字を含む原稿を扱う場合は、公表前の情報の扱いを社内の規程に照らしてください。会話を残さない使い方はインコグニートチャットの使い方で扱っています。同じ登壇をウェビナーで配信し、終了後のフォロー文面も要るならウェビナー台本の作り方が使えます。

まとめ

登壇原稿の仕事は、書き言葉を話し言葉に直す作業と、時間に収める作業に分かれます。前者は直す観点を列挙して依頼し、後者は持ち時間から文字数を逆算して範囲で渡します。数字の読みは、最初にルールを決めておくと事故が減ります。

型をProjectsに預けておけば、次の登壇では原稿を貼って持ち時間を伝えるだけで済みます。声に出して時間を測る工程と、数字の照合は、人が受け持つ部分として残ります。

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