Claudeインコグニートチャットの使い方と制限
インコグニートチャットは履歴に残らずメモリにも使われない一時的な会話です。閉じたら復元不可・Projects内では使えないといった制約と、Team/Enterpriseでの扱いの違いをまとめます。
インコグニートチャットは、履歴にもメモリにも残したくない一時的な会話のための機能です。Free・Pro・Max・Team・Enterpriseのすべてのプランで使え、操作自体はゴーストアイコンをクリックするだけです。ただし「消えてなくなる」わけではなく、保持期間や復元できない制約、Team・Enterpriseでの扱いの違いなど、通常のチャットとは別ルールが働く部分があります。仕組みと制約を確認します。
インコグニートチャットとは何か
インコグニートチャットは、チャット履歴にもClaudeのメモリにも保存されない、一時的な会話です。通常のチャットとの違いは主に3点あります。
- モデルの学習には使われない(モデル改善へのデータ利用を許可する設定にしていても対象外)
- 会話開始時点で既存のメモリを参照しない。会話中の内容も将来のメモリエントリには反映されない
- 過去の会話を検索する機能の対象にもならない。Claudeが会話を検索する際にインコグニートチャットの内容を拾うことはない
「学習に使われない」の範囲は、通常のチャットより広くカバーされます。通常のチャットは、モデル改善への同意をオフにしていても、安全性レビューでフラグが立った会話や、Trusted Testerのような別枠の同意プログラムに参加している場合は、学習データとして扱われることがあります。インコグニートチャットはこうした例外を含めて一律で対象外です。
「保存されない」と「即座に消える」は別物です。インコグニートチャットは履歴一覧には表示されなくなりますが、安全のため既定で30日間保持されます。Enterpriseプランで組織がカスタムのデータ保持設定をしている場合は、その設定に応じてさらに長く保持されることもあります。
通常のチャットとの違い一覧
| 項目 | 通常のチャット | インコグニートチャット |
|---|---|---|
| 履歴への表示 | 通常のチャットされる | インコグニートチャットされない |
| モデル改善への学習利用 | 通常のチャット設定に応じて使われうる | インコグニートチャット設定にかかわらず使われない |
| 既存メモリの参照 | 通常のチャットされる | インコグニートチャットされない |
| 会話からのメモリ生成 | 通常のチャットされる(メモリ機能が有効な場合) | インコグニートチャットされない |
| 過去チャット検索の対象 | 通常のチャットなる | インコグニートチャットならない |
| 月次のまとめ(recap)への反映 | 通常のチャットされる | インコグニートチャットされない |
インコグニートチャットの始め方
- Projectsの外側で新しいチャットを開く。画面右上にゴーストアイコンが表示される
- ゴーストアイコンをクリックしてインコグニートモードを有効にする
- 通常どおりClaudeと会話する。画面には黒い枠と「Incognito chat」というラベルが表示され、通常のチャットと視覚的に区別できる
- 会話を終えたら右上の「×」で閉じる
インコグニートモードはProjectsの中では使えません。チャットをProjectsの外で開始したときだけゴーストアイコンが表示される仕様で、Project内の会話ではインコグニート化するボタン自体が現れません。
閉じたら復元できない
インコグニートチャットには、通常のチャットには無い不可逆な制約が2つあります。
- 一度閉じると二度と開けません。通常のチャットのように履歴から呼び出す手段が存在しないため、閉じる操作は実質的に削除と同じ結果になります
- 通常のチャットへの変換もできません。インコグニートで始めた会話を後から「保存する側」に切り替える機能は無く、最初にどちらのモードで会話するかを選んだ時点で挙動が固定されます
重要なやり取りが含まれる場合は、閉じる前に内容をコピーするなどして手元に保存しておく必要があります。誤って閉じてしまった場合の復旧手段は用意されていません。
プロフィール情報は参照される
インコグニートチャットは記憶やチャット履歴からは切り離されていますが、アカウントに設定したカスタムスタイルや個人設定(プロフィール情報)は通常どおり参照されます。「インコグニート=Claudeが何も知らない状態」ではなく、「この会話が今後に残らない状態」を指す機能という理解が実態に近いです。
Team・Enterpriseプランでの扱いの違い
Team・Enterpriseプランでインコグニートチャットを使う場合、個人プランには無い扱いが2点加わります。
- 組織のデータエクスポートに含まれます。アカウントのOwnerが実行する組織データのエクスポートでは、インコグニートチャットの内容も対象に含まれます
- コンプライアンスAPI(Compliance API)の対象にもなります。Enterpriseプランで利用できるこのAPIは、監査・データ取得のための仕組みで、インコグニートチャットもここから取得できる対象です
保持期間についても、Team・Enterpriseでは「安全のため30日間」に加えて、組織のデータ保持ポリシーに応じてさらに長く保持されることがあります。個人利用の感覚で「非公開だから組織にも見えない」と考えると、Team・Enterpriseでは前提が崩れる点に注意が必要です。
学習利用についても、Team・Enterpriseを含む商用プラン(Claude for Work、Anthropic APIなど)は、既定ではユーザーの入力・出力をモデルの学習に使いません。この既定は商用プラン全体の方針であり、インコグニートチャットに限った話ではありませんが、例外が1つあります。フィードバック機能(サムズアップ・サムズダウン)で情報を送信した場合、その会話全体(カスタムスタイル・会話設定を含む)が最長5年間保管され、学習に使われる可能性がある、という条件です。個人プラン向けの記載(前述)と合わせると、フィードバック送信のような明示的な同意行為をしない限り、Team・Enterpriseでもインコグニートチャットが学習に使われる経路は確認されていません。
似た効果を持つ設定と何が違うか
Claudeには、インコグニートチャットと効果が重なって見える設定が他に2つあります。範囲が違うため、混同すると期待した保護が得られません。
| 操作 | 効いてくる範囲 | 通常のチャット履歴 | 会話単位で選べるか |
|---|---|---|---|
| モデル改善へのデータ利用をオフにする | 効いてくる範囲アカウント全体の今後の会話 | 通常のチャット履歴保存され続ける | 会話単位で選べるか選べない(アカウント設定) |
| メモリ機能をオフにする | 効いてくる範囲アカウント全体の記憶の更新 | 通常のチャット履歴保存され続ける | 会話単位で選べるか選べない(アカウント設定) |
| インコグニートチャット | 効いてくる範囲その1回の会話だけ | 通常のチャット履歴保存されない | 会話単位で選べるか会話ごとに選べる |
モデル改善へのデータ利用をオフにする設定と、メモリ機能そのもののオフは、どちらもアカウント単位でオン・オフを切り替える設定です。切り替えた瞬間から以降のすべての会話に効きますが、チャット履歴そのものは通常どおり保存され続けます。一方インコグニートチャットは、アカウント全体の設定は変えずに、その場限りの会話だけを履歴・メモリ・学習利用のすべてから切り離す使い方です。「ふだんは記憶機能を使いたいが、この1回の相談だけは残したくない」という場面では、アカウント設定を毎回切り替えるより、インコグニートチャットのほうが手数が少なく確実です。メモリ機能の停止・再開・個別削除の具体的な操作手順はClaudeの記憶の仕組みで扱っています。
どの画面で使えるか
インコグニートチャットの起動画面は、新しいチャットを開いたときに右上に表示されるゴーストアイコンです。一次ソースが示す操作説明・画面キャプチャはこのアイコン経由の起動に一貫しており、Web版のclaude.aiで確認できています。モバイルアプリ・デスクトップアプリでの表示や操作手順に関する固有の記載は一次ソースには無く、面ごとの違いは公式情報からは確認できませんでした。プランによる制限は無く、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseのすべてで利用対象です。
よくある質問
誤ってインコグニートチャットを閉じてしまったら復旧できますか
できません。一度閉じたインコグニートチャットは再度開くことができないため、重要なやり取りが含まれる場合は閉じる前に内容をコピーしておく必要があります。
インコグニートチャットをProjects内で使えないのはなぜですか
インコグニートモードは仕様として「Projectsの外側で開始したチャットのみ」が対象です。Project内で新しいチャットを開いても、インコグニート化するためのゴーストアイコン自体が表示されません。
30日間保持されている間、そのデータは誰が見られますか
個人プラン(Free・Pro・Max)では、閲覧できる立場の人物は一次ソースに具体的な記載がありません。Team・Enterpriseでは、組織のデータエクスポートとコンプライアンスAPIの対象になるため、アカウントのOwnerや監査担当がこの経路を通じて内容にアクセスできる立場にあります。
インコグニートチャット中もプロフィール情報は参照されますか
参照されます。アカウントに設定したカスタムスタイルや個人設定は、インコグニートチャットの中でも通常どおりClaudeに渡されます。記憶やチャット履歴からは切り離されていますが、プロフィール情報は例外です。
インコグニートチャットを通常のチャットに戻す方法はありますか
ありません。インコグニートで始めた会話を後から通常チャットに変換したり、履歴に保存したりする機能は用意されていません。内容を残したい場合は、インコグニートの外で会話をやり直す必要があります。
よくあるつまずき
- インコグニートチャットを後から通常チャットに戻そうとする: 変換する機能自体が存在しません。残したい内容は、インコグニートチャットの外で改めて会話をやり直す必要があります
- 誤って閉じてしまい内容を確認できなくなる: 復元手段はありません。重要な情報を扱う会話では、区切りのいいところで随時コピーしておくと安全です
- Projects内でゴーストアイコンを探して見つからない: 仕様どおりで、インコグニートチャットはProjectsの外側でのみ開始できます
- Team・Enterpriseで「誰にも見られない」と思い込む: 組織のデータエクスポートとコンプライアンスAPIの対象になり、Ownerや監査担当からは参照され得ます
Claudeの記憶機能とコンテキストウィンドウの関係、他のプランでのメモリの扱いはClaudeの記憶の仕組みで扱っています。削除・エクスポートなどインコグニート以外のチャット管理操作はClaudeのチャット保存・エクスポート・整理の全手順に、モデル改善へのデータ利用や保持期間の全体像はClaude商用利用の権利関係にまとめています。
まとめ
インコグニートチャットは、履歴・メモリ・過去チャット検索・モデル改善への学習利用のいずれからも切り離された一時的な会話で、全プランで使えます。既定で30日間保持され、閉じると二度と開けず通常チャットへの変換もできません。Team・Enterpriseでは組織のデータエクスポートとコンプライアンスAPIの対象になるため、個人プランと同じ感覚で「完全に見えない」と考えないほうが安全です。