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Claudeインコグニートチャットの使い方と制限

Claudeインコグニートチャットの使い方と制限

インコグニートチャットは履歴にもメモリにも残らない一時的な会話ですが、30日は保持され、Team・EnterpriseではOwnerの管理下にも入ります。使い分けの判断材料を示します。

インコグニートチャットは、履歴にもメモリにも残したくない一時的な会話のための機能です。Free・Pro・Max・Team・Enterpriseのすべてのプランで使え、起動はゴーストアイコンをクリックするだけです。

ただし、画面から消えることと、サーバー側から消えることは別です。保持期間、閉じたら戻せない仕様、Team・Enterpriseで管理者側に見える経路まで含めて決めないと、期待した保護になりません。通常のチャットの検索・メモリの仕組みはClaudeの会話検索とメモリで文脈を引き継ぐ方法で扱っています。

何が残らず、何が残るのか

インコグニートで切り離されるのは、履歴、メモリ、過去チャット検索、月次のまとめ(recap)、モデル改善への利用の5つです。一方で、そのまま残るものが3つあります。

くらべる

インコグニートで変わること・変わらないこと

切り離される

残らない

チャット履歴の一覧には出ません。会話開始時に既存のメモリは使われず、会話の内容が将来のメモリエントリに入ることもありません。過去の会話を検索する機能もインコグニートの内容は拾いません。月次のまとめにも含まれず、モデル改善の設定をオンにしていても学習には使われません。

変わらない

残る

サーバー側では既定で30日間保持されます。カスタムスタイルや個人設定などのプロフィール情報は、通常のチャットと同じように参照されます。Team・Enterpriseで管理側に何が届くかは、下の節にあります。

個人設定に機微な事情を書き込んでいる人は、この点に注意が要ります。会話そのものは残らなくても、設定側の文面は毎回Claudeの文脈に入るからです。「インコグニート」はClaudeが何も知らない状態ではなく、この会話が今後に残らない状態を指します。

「学習に使われない」の射程

プライバシーセンターの記述は「モデル改善の設定を有効にしていても、インコグニートチャットは使われない」です。通常のチャットについては、同じページに次の例外が書かれています。

  • 安全性レビューでフラグが立った会話
  • Trusted Testerプログラムのように、明示的に学習へ同意した場合

インコグニートがこの例外にも及ぶかどうかは、インコグニート側のページにも学習のページにも書かれていません。「例外なく一律で対象外」とまでは言い切れない、というのが正確なところです。

個人プランの保持と、通常チャットとの違い

個人プランでも、インコグニートは画面から消えるだけでサーバーには残ります。既定の保持は30日です。プライバシーセンターの保持期間のページでは、通常のチャットも、削除すると履歴から即座に消え、バックエンドからは30日以内に削除されると説明されています。数字は同じ30日ですが、通常のチャットには続きがあります。

  • モデル改善をオンにしていると、脱識別した形で最大5年、学習用のパイプラインに保持されうる(オンにした後の新規・再開のチャットが対象)
  • 削除した会話から作られたメモリは残るため、消すには個別に削除する必要がある
  • 利用ポリシー違反として自動検知にフラグが立つと、入力と出力は最大2年、分類スコアは最大7年保持される

インコグニートは1つ目と2つ目を最初から生みません。3つ目のフラグ付きの保持がインコグニートにも及ぶかは、インコグニート側のページに記載がなく、確定できません。

始め方と、閉じる前に決めておくこと

手順

インコグニートチャットの始めから終わりまで

  1. 1

    Projectsの外で新しいチャットを開く

    右上にゴーストアイコンが出ます。Projectsの中で開いたチャットにはこのアイコンが出ません。

  2. 2

    ゴーストアイコンをクリックする

    画面に黒い枠と、左上に「Incognito chat」のラベルが出て、通常のチャットと見分けがつきます。

  3. 3

    会話する

    ここまでの操作で、履歴・メモリ・検索の対象から外れた状態になっています。

  4. 4

    残したい内容はコピーしてから閉じる

    右上の「x」で閉じると、二度と開けません。通常のチャットへの変換もできません。

区切りのいいところで、必要な部分だけ手元に写しておく運用が現実的です。たとえば故人の情報を含む挨拶文の下書きは、履歴に残したくない一方で、完成した文面は手元に要る典型です。この場面の進め方は喪主挨拶・弔電・挨拶状の下書き手順にあります。

新しいClaudeの画面では、ファイル作成やコード実行ができない

サポート記事の冒頭には、次の注記があります。新しいClaudeの体験を使っている場合、インコグニートチャットは以前のチャット画面で開き、Claudeはその中でファイルを作ったりコードを実行したりできません。

資料をファイルとして書き出したい、表計算をコードで確かめたい、という用途にインコグニートを選ぶと、機能が足りずに詰まることがあります。プライバシーを優先するか、ファイル作成やコード実行を優先するかは、会話を始める前に決めておく部分です。

Team・Enterpriseでは誰に見えるのか

個人プランについては、保持されている30日間に誰がその内容を見られるのか、サポート記事に記載がありません。Team・Enterpriseでは、次の3つの仕組みが明記されています。

管理側

Team・Enterpriseで管理側に残る・取得される仕組み

  • データエクスポート

    アカウントのOwnerが実行する組織データのエクスポートに、インコグニートチャットが含まれます。メンバーのチャット履歴には出ませんが、エクスポートでは取得できます。

  • Compliance API

    Enterpriseプランで使える監査・データ取得のAPIの対象です。

  • データ保持ポリシー

    安全のため30日間、または組織のポリシーに従って、それより長く保持されます。

保持期間の「それより長く」は、Enterpriseのカスタムデータ保持設定のことです。Primary OwnerまたはOwnerが、Organization settings > Data and Privacyで設定します。設定できる最短は30日で、1か月は30日として数えます。3か月なら90日です。

期限の数え方にも細かい規則があります。起点は会話の最後のメッセージで、最終メッセージが3月1日15時(UTC)、保持30日なら、削除は3月31日の午前0時(UTC)に行われます。保持期間を短縮して保存すると、新しい期間から外れたデータは保存した時点で完全削除の予定に入り、日次の処理で消えていきます。データが大量だと数日かかりますが、この遅れを取り消しの猶予として当てにはできません。消えたデータは復元できず、保持設定の変更と削除の実行は監査ログに記録されます。カスタム保持の対象はチャットとプロジェクトで、Claude Design、Claude Tag、Claude Managed Agentsには適用されません。

暗号鍵の運用も関わります。顧客管理の暗号鍵を使うEnterpriseでは、会話内容が暗号化されているため、過去チャットの検索そのものが使えません。検索から外れることがインコグニートの効果なので、この構成の組織では両者の差が見えにくくなります。

メモリとの対比

同じサポート記事群には、組織側の権限の線引きが書かれています。Ownerはメンバー個人のメモリを見ることも編集することもできません。ただし、メモリもインコグニートも、組織のデータエクスポートには含まれます。画面で見えないことと、組織が取得できないことは別です。

メモリのページ側の書き方も、保持を「少なくとも30日」としています。一方、プライバシーセンターの保持期間のページは「利用ポリシー違反としてフラグが立たない限り、30日以内に自動削除」と書いています。サポート記事の「それより長く」との関係は明記されておらず、公式ページ同士の記述だけでは、どちらが実態かを決められません。違反フラグが立った場合は、30日を超えて保持されることがある点も見落とせません。

メモリ側にも、インコグニートと対照的な仕様があります。会話が期限切れになったり削除されたりしても、その会話から作られたメモリエントリは消えません。消すには、メモリのエントリを個別に削除する必要があります。インコグニートの会話はメモリエントリを生まないので、この後始末は発生しません。

「業務の相談を履歴に残したくない」という動機でインコグニートを使ったつもりが、組織のデータ管理の上では通常のチャットと同じ経路に載る点には注意が必要です。社内の相談内容が管理者に知られたくないという用途には、この機能は向きません。機密度の高い情報をそもそもClaudeへ入力してよいかは、Claudeに機密情報を入力するときの考え方で整理しています。

学習利用の扱い(Team・Enterprise)

Team・Enterpriseを含む商用製品は、既定では入力・出力をモデルの学習に使いません。ただし、サムズアップ・サムズダウンで送ったフィードバックは、会話全体(カスタムスタイルや会話設定を含む)が最長5年間保管され、学習に使われることがあります。この条件がインコグニートの会話に及ぶかどうかは、学習のページにもインコグニートのページにも書かれていません。フィードバックを送らなければ、この経路は発生しません。

組織側には打ち手もあります。Primary OwnerまたはOwnerは、Organization settings > Data and Privacyの「Rate chats」設定で、メンバーがサムズアップ・サムズダウンでフィードバックを送る機能を無効にできます。フィードバックの保管を組織として避けたい場合は、この設定が該当します。なお、フィードバックの対象にはコネクタ(Google Driveなど)の生の内容は含まれませんが、会話にコピーした内容は含まれることがあります。

似た設定との使い分け

インコグニートと似た効果に見える設定が、ほかに2つあります。範囲が違うため、混同すると期待した保護が得られません。

操作効いてくる範囲通常のチャット履歴会話単位で選べるか
モデル改善へのデータ利用をオフにする効いてくる範囲アカウント全体の今後の会話通常のチャット履歴保存され続ける会話単位で選べるか選べない(アカウント設定)
メモリ機能をオフにする効いてくる範囲アカウント全体の記憶の更新通常のチャット履歴保存され続ける会話単位で選べるか選べない(アカウント設定)
インコグニートチャット効いてくる範囲その1回の会話だけ通常のチャット履歴保存されない会話単位で選べるか会話ごとに選べる

モデル改善のオン・オフは個人プラン(Free・Pro・Max)にある設定です。Team・Enterpriseは既定で入出力を学習に使わないため、この行は個人プランの話になります。前の2つはアカウント単位の切り替えで、切り替えた瞬間から以降のすべての会話に効きます。ふだんはメモリを使いたいが、この1回の相談だけ残したくない、という場面ではインコグニートのほうが手数が少なく済みます。メモリ機能の停止・再開・個別削除の操作はClaudeの記憶の仕組みにあります。

インコグニートを使っても結果が変わらない条件

ここまでの仕様から、「使ったのに期待した保護が得られない」条件を抜き出すと、次のようになります。

状況実際に起きること根拠になる仕様
会話中にサムズアップ・ダウンを送る実際に起きること会話全体が最長5年保管され、学習に使われることがある根拠になる仕様フィードバックの保管規定
ポリシー違反のフラグが立ちうる内容実際に起きること30日を超えて保持されることがある根拠になる仕様保持期間のページ(個人は入出力最大2年)
Enterpriseで保持期間を長く設定している組織実際に起きること設定した期間だけ残る根拠になる仕様カスタム保持の設定
顧客管理の暗号鍵を使うEnterprise実際に起きること過去チャット検索が元々使えない根拠になる仕様メモリのページの注記
すでに履歴にある会話を消したい実際に起きることインコグニートは無関係根拠になる仕様削除はバックエンドから30日以内

最後の行に当たるチャットの削除・整理は、Claudeのチャット保存・エクスポート・整理の全手順にあります。会話の閲覧範囲を一覧で確かめたいときは、Claudeの会話は誰が見られるのかが使えます。モデル改善へのデータ利用や保持期間の全体像はClaude商用利用の権利関係にまとめています。

どの画面で使えるか

起動方法として確認できるのは、新しいチャットを開いたときの右上のゴーストアイコンです。モバイルアプリ・デスクトップアプリでの表示や手順については、固有の記載がありません。プランによる制限は無く、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseのすべてが対象です。

まとめ

インコグニートは「この会話を今後に残さない」ための機能で、「見えなくする」機能ではありません。個人利用なら履歴・メモリ・検索から外す一時的な相談用、Team・Enterpriseでは管理者にも見える前提で使うもの、と切り分けると判断がぶれません。

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