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Claudeに機密情報を入力しても安全か — 保護の仕組みと注意点

Claudeに機密情報を入力しても安全か — 保護の仕組みと注意点

Claudeへの機密情報の入力は、プランと設定によって扱いが変わります。データ保護の仕組み、避けるべき情報、法人契約との違いをまとめます。

Claudeに機密情報を入力しても大丈夫か

結論から言うと、会話データの学習利用には複数の保護策があります。ただし社会保障番号やクレジットカード番号のような情報は、公式サポートも共有に慎重になるよう促しています。安全かどうかは一律の答えではなく、どのプランを使っているか、どの設定になっているかで変わります。

この記事は、個人向けのFree・Pro・Max(Claude Codeをそれらのアカウントで使う場合も含む)を対象にしています。Claude Codeのデータ保持の仕様と手元に残るファイルは、後半の節で扱います。Team・Enterpriseの契約条件はClaude Enterpriseとは、学習利用のオン・オフを切り替える手順はClaudeを学習させない設定にあります。

学習利用に同意すると何が起きるか

個人向けプランには「Help Improve Claude」という設定があります。オンにすると、会話やコーディングセッションの一部がモデルの学習に使われる可能性があります。その場合に実装されている保護策は5つです。

  • ユーザーIDからの切り離し: レビューの前に、メールアドレスなどのIDから自動的に切り離されます
  • アクセス範囲の限定: モデル学習に関わる少数の担当者だけが触れます
  • 機密情報のフィルタリング・難読化: プライバシー保護分析の研究から得たツールと手順で処理します
  • 個人情報の出力抑制: ポストトレーニング技術で、Claudeの出力に含まれる個人情報を最小化します
  • 目的の限定: Claudeを改善する目的だけに使い、本人への連絡・プロファイリング・マーケティング・第三者への販売には使いません

これは「入力しても絶対に安全」という保証ではなく、学習に使われる場合でも個人の特定につながりにくくする設計です。

入力を避けたい情報と、インコグニートの射程

公式サポートが、保護策があってもなお慎重になるよう挙げているのは次の4種類です。

  • 金融情報: 社会保障番号(SSN)、クレジットカード番号、銀行口座の詳細
  • 医療情報: 健康記録や医療に関する情報
  • 認証情報: パスワードや非公開のログイン情報
  • 機密文書: 業務上または個人的な機密文書

学習利用をオンにしていても、インコグニートチャットは学習に使われません。ただし公式サポートの注記には例外があります。セーフティ分類器が会話をフラグした場合、その会話は社内の信頼・安全性モデルの改善、有害コンテンツの検出、ポリシーの執行、安全性研究に使われうるという内容です。インコグニートは学習利用を止める仕組みで、分類器の対象外になる仕組みではありません。

個人向けと商用では学習利用の既定が逆になる

くらべる

学習利用の既定

Free / Pro / Max

個人向け

ユーザーが同意して初めて学習に使われるオプトイン方式です。Claude Codeをこれらのアカウントで使う場合も、同じ設定がコーディングセッションに及びます。

Team / Enterprise / API など

商用

既定でチャットや出力をモデル学習に使いません。Claude Codeでも、顧客が開発パートナープログラムなどで自ら提供を選ばない限り、商用契約下のコードやプロンプトは生成モデルの学習に使われません。

法人契約の条件はClaude法人プランの契約ガイドに、プラン別の既定・例外の早見表はClaudeを学習させない設定の記事にあります。

会社として共有してよい業務データの線引きは業務データ漏洩対策チェックリストが8項目で扱っています。この記事は個人の会話の安全性、あちらは組織の共有ルールが主題です。

情報カテゴリ別の扱い

情報の種類個人向け(Free/Pro/Max)Team/Enterprise
一般的な業務の会話・コード個人向け(Free/Pro/Max)オプトインがオフなら学習に使われないTeam/Enterprise既定で学習に使われない
個人情報個人向け(Free/Pro/Max)オプトイン中は学習対象になりうるTeam/Enterprise既定で学習に使われない

Claude Codeでは手元にも平文で残る

Claude Codeは、学習の設定とは別に、会話の中身を2か所に残します。Anthropic側の保持期間と、手元のマシンの記録です。

数字

Claude Codeのデータ保持期間

  • 個人向け・学習に同意

    5年

    モデル開発と安全性向上のための保持

  • 個人向け・同意しない

    30日

    設定はいつでも変更できます

  • Team / Enterprise / API

    30日

    ゼロデータ保持は審査を通った組織のみ

  • 手元のトランスクリプト(CLI)

    30日

    cleanupPeriodDaysで変更できます。Desktop・Coworkは別

Anthropic側は同意設定とプランで変わります。手元は既定値です

ゼロデータ保持は、Claude for EnterpriseのClaude Codeで、審査を通ったアカウントに提供されます。

手元の記録は暗号化されない平文です。公式のディレクトリ解説によると、ツールが.envファイルを読んだり、コマンドが認証情報を出力したりすると、その値は記録に残ります。書き込み先は ~/.claude/projects/<プロジェクト>/<セッション>.jsonl です。サブエージェントの会話は projects/<プロジェクト>/<セッション>/subagents/ に残ります。あふれた巨大なツール出力は tool-results/ に、大きな貼り付けの内容は paste-cache/ に入ります。いずれも ~/.claude/ 配下です。

もう1つ見落としやすいのが、フィードバック系の経路です。/feedback で送った会話履歴は5年保持されます。/bug と /share も同じ経路です。セッション評価のあとに出る「トランスクリプトをAnthropicが見てよいか」の質問で「Yes」を選ぶと、会話・サブエージェントの会話・生のセッションログが送られ、保持は最長6か月です。既知のAPIキーやトークンの形式は伏せられますが、ソースコードやファイルの中身はそのまま送られます。「No」か「今後は聞かない」を選べば何も送られません。この質問への回答は、学習の設定に影響せず、AIモデルの学習にも使われません。質問自体を止めるには CLAUDE_CODE_DISABLE_FEEDBACK_SURVEY=1 を設定します。ゼロデータ保持の組織には、この質問は表示されません。

/feedback で送る履歴の範囲は選べます。既定は現在のセッションだけで、同じプロジェクトの直近24時間または7日間の別セッションを含めることもできます。このコマンド自体を止めるには、環境変数 DISABLE_FEEDBACK_COMMAND を1にします。

Amazon BedrockやGoogle CloudのAgent Platformなどの第三者プロバイダーを使う場合は、/feedback がAnthropicに送信しません。Anthropicの認証情報が未設定の場合も同じです。レポートは ~/.claude/feedback-bundles/ のローカルアーカイブに書き出されます。そのファイルを自分で送るまで、手元から出ていきません。こうした環境では、エラーレポート・テレメトリ・バグレポートも既定で無効です。

運用テレメトリは別枠です。メトリクスにはコード・プロンプト・ファイルパスが含まれず、DISABLE_TELEMETRY=1 で止められます。エラーレポートはClaude Code内部のエラー文言とスタックトレースで、送信前に既知のシークレットやファイルパス、メールアドレスなどを伏せます。対象はPro・Maxでサインインし、v2.1.198以降で、Claude APIに直接つなぐ場合です。ゼロデータ保持(ZDR)やHIPAAの対象になっている組織は、この対象に入りません。止めるには DISABLE_ERROR_REPORTING=1 を設定します。CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFIC を設定すれば、非必須の通信をまとめて止められます。

手元のトランスクリプトの30日という期限には例外があります。ClaudeのDesktopまたはCoworkで開始した(または最後に再開した)セッションのトランスクリプトは、既定ではこの期限の対象外です。設定キー desktopSessionCleanupPeriodDays を書かないと、それらは古くなっても残り続けます。このキーにはClaude Code v2.1.248以降が必要です。

手順

手元と送信の露出を減らす4つの手

  1. 1

    読ませないファイルを拒否ルールにする

    .env のような認証情報ファイルは、Read の拒否ルールで読み取りを止められます。公式の例は Read(./.env) と Read(./secrets/**) です。

  2. 2

    トランスクリプトの保持日数を縮める

    settings.json に cleanupPeriodDays を書きます。既定は30日、最小値は1で、0は検証エラーになります。長く残したい場合は 3650 のような大きな値を指定します。

  3. 3

    書き出し自体を止める

    環境変数 CLAUDE_CODE_SKIP_PROMPT_HISTORY=1 で、プロンプト履歴とトランスクリプトをディスクに書きません。この変数を付けて始めたセッションは、--resume や --continue の一覧に出てきません。

  4. 4

    プロジェクト単位で消す

    claude project purge [path] は、そのプロジェクトのトランスクリプト・タスクリスト・デバッグログ・ファイル編集履歴・プロンプト履歴の行を削除します。~/.claude.json にあるそのプロジェクトのエントリも消えます。--dry-run を付けると、実行前に消える対象だけを表示します。貼り付けや添付画像はClaude Codeの一時ディレクトリに置かれ ~/.claude の外にあるため、purgeでは消えません。cleanupPeriodDaysより古くなった画像は、保持期間の掃除で削除されます。

勤務先の非公開リポジトリを個人のPro・Maxアカウントで読み込ませると、同意設定がオンならそのコードも学習利用の対象になりえます。権限設定やサンドボックス化は、Claude Codeセキュリティ・権限ガイドが個人・チーム・企業の3層で扱っています。

守秘義務や業界規制がある場合

医療・金融・法務のように守秘義務や業界規制が厳しい業種では、Anthropic側の保護策とは別に、自社の外部AIツール利用ルールも関わります。弁護士の場合はClaudeに相談内容を入力しても弁護士の守秘義務は保てるかが、守秘義務のかかり方を扱っています。臨床心理士・公認心理師の所見作成なら心理職がAIで所見を書く際の匿名化が扱っています。

入力してしまった後に動かせるもの

クラウドで動かしたClaude Codeのセッションは、個別に削除できます。削除するとそのセッションのイベントデータが完全に取り除かれます。手元のトランスクリプトは、前の節の claude project purge で消せます。何もしなくても、既定では30日を過ぎた分が自動で削除されます。

アカウントごと消す場合に何が消え何が残るかはClaudeアカウント削除の手順に、営業秘密としての管理との関係は秘密管理性との関係にまとめています。

まとめ

個人アカウントで機密に近いものを扱うなら、学習の同意設定を確かめたうえで、Claude Codeでは .env の拒否ルールと保持日数を決めておくと、送信と手元の両方の残り方を抑えられます。

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