Claudeを学習させない設定 — プラン別の既定と手順
Claudeの会話やコーディングセッションをモデル学習に使わせない設定手順と、個人向けプランと商用プランで異なる既定の違いをまとめます。
Claudeの学習利用は、プランごとに既定が違います
チャットやコーディングセッションをモデルの学習に使わせるかどうかは、契約しているプランで扱いが逆転します。個人向けのFree・Pro・Maxは利用者が選ぶオプトイン方式で、既定はオフです。一方、Team・Enterprise・Anthropic APIなどの商用契約は、既定でチャットや出力をモデル学習に使いません。「Claudeに学習させない設定」を探している場合、まず自分がどちらの契約に属しているかを確認するのが最初の分岐点になります。
個人向けプランでは、新規登録時のサインアップフローか既存ユーザー向けのポップアップ画面で、学習利用への同意を選ぶ場面があります。ここで同意しなければ、その時点で学習利用はオフの状態です。同意した後で気が変わった場合も、設定画面からいつでも切り替えられます。商用プランは、この選択自体が存在しません。契約時点で学習に使わない前提になっており、例外はユーザーが自分の意思でフィードバックを送るときだけです。
この二重構造が生まれた理由は、契約の性質そのものにあります。無料・低価格帯の個人向けプランは、利用者からの同意を前提にモデル改善へデータを還元する設計です。対して商用契約では、業務データが競合他社の製品改善に流用されないという保証自体が契約条件の一部になっています。「学習させない設定」を探しているのが個人か組織かで、見るべき設定画面がまったく別になるのはこのためです。
以下の早見表に、契約形態ごとの既定と例外、個人側でできる操作をまとめます。
| 契約形態 | 学習利用の既定 | 例外 | 個人でできる操作 |
|---|---|---|---|
| Free / Pro / Max | 学習利用の既定オフ(選択制) | 例外明示的にオンにした場合、安全性レビュー対象になった会話、フィードバック送信 | 個人でできる操作プライバシー設定でいつでも切り替え |
| Free / Pro / MaxでのClaude Code | 学習利用の既定上記と同じ | 例外上記と同じ | 個人でできる操作アカウント単位の設定に従う |
| Team / Enterprise | 学習利用の既定オフ(既定で不使用) | 例外Development Partner Programへの組織opt-in、メンバーのフィードバック送信 | 個人でできる操作管理者が「Rate chats」を無効化 |
| Anthropic API・AWS Bedrock等の3rd-party経由 | 学習利用の既定オフ(既定で不使用) | 例外Development Partner Programはfirst-party APIのみ対象 | 個人でできる操作契約(DPA)・Console設定で確認 |
Free/Pro/Maxでオフにする手順
「Help Improve Claude」とは、会話やコーディングセッションをモデル学習に使うかどうかを個人単位で選べる設定です。Free・Pro・Maxのアカウントは、Claude.aiのブラウザ版・デスクトップアプリ・モバイルアプリのどこからでも同じ設定を切り替えられます。この設定は、同じアカウントでClaude Codeを使うときのセッションにも適用されます。個人アカウントでClaude Codeを日常的に使っている場合は、Claude.ai側の設定がそのままコーディングセッションの扱いを決める点に注意してください。
ブラウザ版・デスクトップアプリでの手順は次のとおりです。
- 画面左下などにある自分の名前をクリックし、設定メニューを開く
- 「Settings」を選ぶ
- 「Privacy」タブに移動する
- 「Help Improve Claude」のトグルをオフに切り替える
モバイルアプリでの手順は次のとおりです。
- 自分の名前からメニューを開く
- 「Settings」を選ぶ
- 「Privacy」を選ぶ
- 「Help Improve Claude」のトグルをオフに切り替える
オフにしても学習に使われる4つの例外
「Help Improve Claude」をオフにすれば全ての経路が閉じる、と考えると見落としが出ます。実際には、トグルとは別の経路でデータが学習や品質改善に回るケースが4つあります。
フィードバック送信: 会話画面の高評価・低評価ボタンでフィードバックを送ると、そのやり取り全体が最長5年間保存されます。ユーザーIDと切り離した(de-link)うえで、サービス改善や研究、モデル学習に使われることがあります。トグルの状態にかかわらず、フィードバックを送るという行為そのものが個別の同意になります。
安全性レビュー対象になった会話: 利用規約に違反する可能性があると自動システムが判定した会話は、不正利用の検知精度を上げる目的で分析・学習に使われることがあります。これは学習トグルとは独立した安全対策の一部です。
Claude Codeの/feedback・/bug・/share: これらのコマンドで送信したトランスクリプトは最長5年間保存され、製品改善に使われます。学習トグルをオフにしていても、これらのコマンドを自分で実行すれば別経路でデータが送られます。セッション終了時に表示される満足度アンケート自体は、評価スコアのみを記録します。続けて表示される「セッションのトランスクリプトを確認してよいか」という追加確認に「Yes」と答えると、会話ログに加えてサブエージェントのやり取りやローカルのセッションログファイルもアップロードされます。これは/feedback等とは別経路で、保存期間も最長6ヶ月です。
すでに学習が完了したデータ: トグルをオフにしても、それ以前にオンの状態で提供したデータが、進行中の学習ランや学習済みモデルから取り除かれるわけではありません。今後の学習に使われなくなるだけです。
反対に、Incognitoチャットは学習トグルの状態にかかわらず、常に学習対象から除外されます。1回限りの会話で確実に学習から外したい場合は、トグルを触らずIncognitoチャットを使う選択肢もあります。
Team・Enterpriseの学習させない体制
商用プランは契約の時点で学習利用がオフになっているため、個人向けのような切り替えトグル自体が存在しません。組織側で気を付けるべきは、メンバーが自分の意思でフィードバックボタンを押し、意図せずデータを提供してしまう経路です。
Team・Enterpriseの管理者は、組織設定の「Data and Privacy」から「Rate chats」をオフにできます。これを無効化すると、メンバーは高評価・低評価ボタンでのフィードバック送信自体ができなくなり、例外経路そのものを組織単位で閉じられます。詳しい統制機能の全体像はClaude Enterpriseプランガイド、Teamとの機能差はClaude Teamプランガイドにまとめています。
逆に、組織としてClaudeの改善に協力したい場合は、Development Partner Programへ管理者が明示的にオプトインする選択肢があります。この仕組みはAnthropicのfirst-party APIが対象で、AWS BedrockやGoogle CloudのAgent Platform経由では利用できません。商用利用の範囲や生成物の権利まで含めた規約全体を確認したい場合はClaude商用利用ガイドを参照してください。Coworkのようにファイル操作を伴う製品でも学習利用の判定基準は契約プラン単位で決まり、実行方式(ローカル/クラウド)では変わりません。詳細はCoworkのセキュリティとデータ取り扱いで扱っています。
オフにした後もデータは残るか — 保持期間の実際
学習トグルを切り替える操作と、すでに保存されているデータが消えるタイミングは別の話です。両者を混同すると、オフにしたのに情報が残っていると誤解しがちです。
会話を削除すると、チャット履歴からは即座に消え、バックエンドの保存システムからは30日以内に削除されます。学習利用に同意していた期間の会話であっても、削除すればそれ以降は学習に使われません。学習利用に同意した状態のまま削除しなかった会話は、非識別化された形式で最長5年間、学習パイプライン内に保持されることがあります。学習に同意していない会話は、既定の30日保持がそのまま適用されます。
利用規約違反が疑われて安全性レビューの対象になった会話は、入力・出力とも最長2年、不正利用の判定スコアは最長7年保持されます。これは学習トグルの設定とは独立した保持ルールです。フィードバックとして送信したデータは、前節のとおり最長5年です。
商用プラン(Team・Enterprise・API)は保持期間の考え方自体が異なり、学習に使わない前提のデータは標準で30日保持です。Enterpriseプランでは、これをさらに短縮するZDR(ゼロデータ保持)を組織単位で有効化するオプションもあります。
よくある質問
Incognitoチャットは自動的に学習対象から外れますか
はい。学習トグルの設定にかかわらず、Incognitoチャットは常に学習に使われません。1回限りの会話で確実に除外したいときに使えます。
過去にオンにしていた会話は、オフにすると消えますか
会話自体は自分で削除しない限り残ります。オフにする操作が止めるのは「今後の学習利用」で、すでに提供したデータや削除していない過去の会話には遡って適用されません。
Team・EnterpriseのClaude Codeにも個人設定は要りますか
要りません。Team・Enterpriseは契約単位で既定オフのため、個人のプライバシー設定は存在しません。組織のフィードバック送信を止めたい場合は、管理者が「Rate chats」を無効化します。
Bedrock・Google Cloud経由でも既定は同じですか
商用契約(Team・Enterprise・API・3rd-partyプラットフォーム・Claude Gov)は、経由するプラットフォームによらず既定で学習に使いません。ただし、モデル改善への協力を選べるDevelopment Partner Programは、Anthropicのfirst-party APIのみが対象です。Bedrock・Google Cloud経由では選べません。
学習に使われたデータは第三者に販売されますか
販売はされません。学習データに個人情報が含まれる場合でも、本人への営業連絡やプロファイリング、第三者への販売には使わない方針が明記されています。学習に使われるのは、モデルが言語のパターンを学ぶ目的に限られます。
まとめ
Claudeの学習利用は、個人向けプランなら「Settings → Privacy → Help Improve Claude」のトグルで切り替えられます。商用プランはこの操作自体が不要で、既定ですでにオフです。オフにする操作は今後の会話を対象にした設定であり、フィードバック送信や安全性レビューといった別経路、すでに学習済みのデータには遡って効きません。自分がどちらの契約に属しているかを確認したうえで、個人はトグルを、組織は「Rate chats」の管理者設定を見直すのが、学習利用を避けるための具体的な最初の一歩です。