Claude Media
ClaudeとDeepSeekの比較 — 料金・性能・安全性で選ぶ使い分け

ClaudeとDeepSeekの比較 — 料金・性能・安全性で選ぶ使い分け

ClaudeとDeepSeekの料金・コンテキスト長・安全性の違いを一次資料で比較。オープンウェイトと商用APIの使い分けが分かります。

同じ「1Mトークンあたり」の料金でも、ClaudeとDeepSeekでは一桁以上の開きがあります。ClaudeはAnthropicが重みを非公開で運用する商用APIで、DeepSeekは中国のDeepSeek社が主力モデルの重みをMITライセンスで公開するオープンウェイト系です。安いから選ぶのか、データの扱いを優先するのか。料金表と安全性の資料を並べて、判断材料を洗い出します。

ClaudeとDeepSeekは何が違うのか

Claudeはサンフランシスコ拠点のAnthropicが開発する商用APIです。モデルの重み(パラメーター)は非公開で、利用できるのはAPIやclaude.aiなど、Anthropicが用意した経路に限られます。

DeepSeekは中国・杭州のDeepSeek社が開発し、主力モデルの重みをMITライセンスで公開しており、再配布・改変・商用利用ができます。Hugging Faceからダウンロードして自社のGPUクラスターで動かせる点が、Claudeとの最大の違いです。

現行の主力モデルは、Claude側が最上位のFable 5.1・Opus 5.5・Sonnet 5.5・Haiku 4.5です。Opusクラスは2026年9月22日にOpus 5から、Sonnetクラスは9月28日にSonnet 5から更新されました。DeepSeek側はDeepSeek-V4.1-Flash(API上のモデル名はdeepseek-flash)とDeepSeek-V4-Pro-0813です。公式のモデル一覧は、迷ったらOpus 5.5から始めるよう案内しています。要求の厳しい推論や長時間のエージェント作業、Opus 5.5を高effortにしても届かないときがFable 5.1の出番です。Claudeのモデルラインアップでも最上位モデルとして扱っています。仕様の詳細はClaude Opus 5.5の仕様解説とClaude Fable 5.1の仕様解説にまとめています。以下はこの現行ラインアップでの比較です。

料金で比較する — 同じ100万トークンでどれだけ差が出るか

DeepSeekはピーク時間帯とオフピークで価格が2倍変わります。次の表はオフピーク時の基本料金です。

モデル提供元入力(通常)出力コンテキスト長
Claude Fable 5.1提供元Anthropic入力(通常)$10/MTok出力$50/MTokコンテキスト長100万トークン(出力上限12.8万)
Claude Opus 5.5提供元Anthropic入力(通常)$4/MTok出力$20/MTokコンテキスト長100万トークン
Claude Opus 5提供元Anthropic(旧世代)入力(通常)$5/MTok出力$25/MTokコンテキスト長100万トークン
Claude Sonnet 5.5提供元Anthropic入力(通常)$2/MTok出力$10/MTokコンテキスト長100万トークン
Claude Sonnet 5提供元Anthropic(旧世代)入力(通常)$2/MTok出力$10/MTokコンテキスト長100万トークン
Claude Haiku 4.5提供元Anthropic入力(通常)$1/MTok出力$5/MTokコンテキスト長20万トークン
DeepSeek V4-Pro提供元DeepSeek入力(通常)$0.66/MTok出力$1.98/MTokコンテキスト長100万トークン
DeepSeek V4.1-Flash提供元DeepSeek入力(通常)$0.15/MTok出力$0.60/MTokコンテキスト長100万トークン
数字

Sonnet 5.5とDeepSeek V4-Proの単価差

  • 入力

    約3倍

    $2 対 $0.66

  • 出力

    約5倍

    $10 対 $1.98

  • Fable 5.1の出力

    約25倍

    $50 対 $1.98

オフピークの基本料金。ピーク時のV4-Proは入力$1.32・出力$3.96

V4-Proはピーク料金でもSonnet 5.5より安い水準です。ピークは平日のUTC 01:00〜04:00と06:00〜10:00で、中国の祝日は終日オフピークです。週末も同じです。日本時間では10:00〜13:00と15:00〜19:00にあたります。

両社ともキャッシュ機構で追加の値引きがあります。DeepSeekはキャッシュヒット時、入力価格がオフピークでV4.1-Flashが$0.003、V4-Proが$0.022/MTokまで下がります。Claudeもプロンプトキャッシュの読み込みが基本入力価格の10%(Opus 5.5とSonnet 5.5は0.05倍、Fable 5.1は0.025倍)になります。ただしキャッシュ読み取り同士で比べると、Opus 5.5の$0.20に対してV4-Proは$0.022で、約9倍の開きです。Sonnet 5.5の$0.10なら約4.5倍、Fable 5.1の$0.25なら約11倍になります。通常入力の約3倍より、繰り返しの多いワークロードのほうが倍率は広がります。DeepSeekはさらに、重みを自前でホストすれば従量課金そのものが発生しません。かかるのは計算資源のコストだけで、この選択肢はAPIしか提供しないClaudeには存在しません。

DeepSeekは同時実行数の上限も料金ページに載せています。V4.1-Flashが2,500、V4-Proが500です。大量の並列リクエストを投げる用途では、この上限が実質的なスループットの天井になります。

性能とコンテキスト長で比較する

コンテキスト長はどちらも100万トークン級です。Claude Opus 5.5・Sonnet 5.5とDeepSeek V4-Pro・V4.1-Flashは、いずれも1Mトークンの入力に対応します。ただし同期APIの出力上限はClaudeが12.8万トークン、DeepSeekが38.4万トークンです。ClaudeもMessage Batches APIなら、Opus 5.5とSonnet 5.5などが30万トークンまで出力できます。betaヘッダーoutput-300k-2026-03-24を付けた場合です。

DeepSeekは思考モード(reasoning mode)と非思考モードを切り替えられ、既定は思考モードです。画像入力に対応するのはV4.1-Flashだけで、V4-Proは非対応です。

ベンチマークはDeepSeek自身がHugging FaceのREADMEで、Claudeを並べた表を公開しています。V4.1-FlashのREADMEの「Comparison with frontier models(Max reasoning effort)」に、Opus 5との比較があります。比較相手のOpus 5は旧世代です。表にOpus 5.5は無く、Opus 5.5の登場は9月22日です。次の表は、同じ表のうちOpus 5、V4-Pro、V4.1-Flashの数値を抜き出したものです。

ベンチマークOpus-5.0DS-V4-ProDS-V4.1-Flash
Terminal-Bench 2.1(Pass@1)Opus-5.089.1DS-V4-Pro87.9DS-V4.1-Flash90.6
DeepSWE v1.1(Resolved)Opus-5.074.0DS-V4-Pro62.7DS-V4.1-Flash74.2
Terminal-Bench 3.0(Pass@1)Opus-5.043.3DS-V4-Pro11.8DS-V4.1-Flash30.0
Terminal-Bench 4.0(Pass@1)Opus-5.051.8DS-V4-Pro12.4DS-V4.1-Flash31.2
ProgramBench(Almost@1)Opus-5.037.0DS-V4-Pro15.5DS-V4.1-Flash20.3
NL2Repo-Bench(Score)Opus-5.075.3DS-V4-Pro61.5DS-V4.1-Flash64.0
HLE w/ tools(Pass@1)Opus-5.063.6DS-V4-Pro60.0DS-V4.1-Flash63.9
ExploitGym(Pass@1)Opus-5.022.1DS-V4-Pro5.4DS-V4.1-Flash15.3

同じ表の15項目のうち、Opus 5が上回るのは10項目、V4.1-Flashが上回るのは5項目です。V4.1-Flashが上なのはTerminal-Bench 2.1、DeepSWE、HLE w/ tools、AutomationBench、Agent's Last Examです。Opus 5が上回るのは、まず推論系のGPQA DiamondとHLEです。コード系ではTerminal-Bench 3.0と4.0、ProgramBench、NL2Repo-Bench、ExploitGymです。視覚系のChartography、BabyVision、ZeroBenchでもOpus 5が上です。Terminal-Benchは2.1だけV4.1-Flashが上で、3.0と4.0ではOpus 5が約13〜21ポイント高い結果です。

Terminal-BenchとNL2Repo-Bench、ProgramBenchは、DeepSeek HarnessのMinimalモードと100万トークンのコンテキストで走らせています。DeepSWEはmini-SWEハーネスです。temperature=1.0, top_p=0.95で統一です。つまり数値はDeepSeek側の評価条件によるもので、Anthropicの公表値ではありません。

V4-Pro-0813のREADMEには、Opus-4.8とFable-5(w/ fallback)を並べた別の表もあります。Terminal Bench 2.1はV4-Pro-0813が87.9、Opus-4.8が85.0、Fable-5が88.0です。DeepSWEはV4-Pro-0813が62.7に対し、Opus-4.8が58.0、Fable-5が70.0でした。

知識のカットオフ日は、Fable 5.1・Opus 5.5・Sonnet 5.5がいずれも2026年6月、Sonnet 5が2026年1月です(旧世代のOpus 5は2026年5月)。

トークナイザーの違いも実運用のコストに響きます。Claude 4.7世代以降のモデルの新トークナイザーは、同じ文章に対して旧世代より約30%多いトークン数を生成します。同じ文字数の日本語文書を投げても、モデル世代によって課金対象のトークン数が変わるため、料金表の単価だけで総コストを見積もると誤差が出ます。実際の請求額は、自社の典型的なプロンプトで一度試算するのが確実です。

安全性とデータの扱いで比較する

Anthropicは公開しているResponsible Scaling Policy(RSP、責任あるスケーリングポリシー)に沿って、新モデルをリリース前に破局的リスクの観点で評価しています。Opus 5のRSP評価では、意図しない振る舞いをする「アラインメントリスク」について、既存モデルと比べて新たな懸念は見られなかったと公表されています。Fable 5.1のアラインメントリスクは、2026年8月のリスクレポートで「非常に低い」から「低い」に評価が改められました。2026年9月22日に登場したOpus 5.5では、封じ込め境界の回避を試みる挙動がOpus 5比で約85%減ったと発表されています。

DeepSeekのプライバシーポリシーは「当社が収集した情報を中華人民共和国にある安全なサーバーに保存します」と書いています。運営主体はHangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd.です。データの保存先を重視する企業にとっては、選定時に確認する点になります。

過去のモデルでは、中国の政治的に敏感な話題への応答が制限されると報告されています。2025年1月にpromptfooがDeepSeek-R1で行った検証では、中国で敏感な話題を集めたデータセットの約85%が拒否されました。データセットの先頭の話題は台湾の独立です。この検証はR1世代が対象です。

自前ホストという選択肢も、ここでは両刃です。重みを自社のインフラに置けば、データを外部に送らずに済みます。一方でGPUの調達と運用は自社の負担になります。構成の例は後述します。Claude側は、Claude 4.6以降のモデルでinference_geoにusを指定すると米国内で推論でき、入出力やキャッシュを含む全トークン区分が1.1倍の料金になります。

開発者としてどちらを使うか

DeepSeekはhttps://api.deepseek.com/anthropicというAnthropic形式のエンドポイントを用意し、料金ページにも専用のBase URLとして載せています。さらにClaude Code向けの接続手順も公開しており、既存のClaude Codeは環境変数を差し替えるだけでDeepSeekに向きます。

手順

Claude CodeをDeepSeekに向ける手順

  1. 1

    Claude Codeを入れる

    npm install -g @anthropic-ai/claude-codeで導入し、claude --versionでバージョンが出れば完了です。これはDeepSeekの手順にあるnpm版です。npm版はNode.js 22以上が必要で、未満でも警告が出るだけでインストールは完了します。

    WindowsではGit for Windowsの導入が推奨で、無い場合はPowerShellがシェルになります。公式の推奨はNative Installです。macOSとLinuxはcurl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bashを使います。Windowsはirm https://claude.ai/install.ps1 | iexです。

  2. 2

    環境変数を設定する

    export ANTHROPIC_BASE_URL=https://api.deepseek.com/anthropic
    export ANTHROPIC_AUTH_TOKEN=<DeepSeekのAPIキー>
    export ANTHROPIC_MODEL=deepseek-flash[1m]
    export CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL=deepseek-flash
  3. 3

    プロジェクトで起動する

    claudeを実行します。公式の手順はOpus・Sonnet・Haikuの既定モデルもdeepseek-flashに揃えます。加えてCLAUDE_CODE_EFFORT_LEVEL=maxと、自動コンパクトのウィンドウ786432も設定します。

DeepSeekのAPIはClaude CodeのWeb検索機能にネイティブ対応しており、追加のモデルトークン費用が発生します。

モデル名の対応も決まっています。上の手順のように既定モデルをdeepseek-flashへ揃えると、Opusを選んでもFlashの料金です。揃えない場合の割り当ては次のとおりです。claude-opusで始まるモデルはdeepseek-v4-proになります。claude-haikuとclaude-sonnetで始まるモデルはdeepseek-flashです。Opusを選ぶとV4-Proの料金、SonnetとHaikuを選ぶとFlashの料金で課金されます。

自前ホストを選ぶ場合、DeepSeek-V4-Pro-0813のHugging Faceページは、vLLMとSGLangでの起動手順を載せています。vLLMの例はGB300を4枚積んだノード1台です。

どちらを選ぶべきか

料金とデータの扱い、どちらを優先するかで答えは変わります。

用途おすすめ理由
社内文書・顧客対応の自動化おすすめClaude理由RSPに基づく安全性評価の公開
コスト最優先の大量バッチ処理おすすめDeepSeek理由Sonnet 5.5以上のClaudeに対し、V4-Proでも入力は約3倍以上、出力は約5倍以上の価格差。自前ホストならさらに圧縮できる
重みを自社インフラに置きたい場合おすすめDeepSeek理由MITライセンスで公開、Claudeに重み公開の選択肢はない
Claude Codeの費用を抑えたい場合おすすめDeepSeek理由環境変数の差し替えだけで向け先を変えられ、単価も下がる

料金だけを見ればDeepSeekが有利ですが、Claudeのモデルラインアップを含めた総合的な選択では、安全性評価の公開がClaudeの強みです。API単価と月額サブスクの損益分岐についてはClaude APIとサブスクの料金比較も参考になります。

よくある質問

Claude Opus 5.5とDeepSeek V4-Proはどちらが速いですか

Claude側のレイテンシーは相対評価で、Opus 5.5が「中程度(Moderate)」、Fable 5.1が「遅め(Slower)」、Sonnet 5.5が「速い(Fast)」です。

まとめ

Terminal-Bench 3.0・4.0やProgramBenchのように、同じ表でOpus 5との差が大きい項目があります。一方、Terminal-Bench 2.1やDeepSWEのようにFlashが並ぶ領域では、Flashの単価($0.15/$0.60)の差がそのまま効きます。データの置き場所は、DeepSeekのAPIは中国のサーバー、自前ホストなら自社インフラと分かれるので、料金より先に決める項目です。

この記事を共有:XはてブLinkedIn