Cowork公式プラグイン3種を試す — Legal・Finance・Brand Voice
Coworkの製品ページが紹介するLegal・Finance・Brand Voiceの3プラグインと、導入前に効いてくる配布経路・同期・セキュリティスキャンの条件をまとめます。
Coworkのプラグインとは何か
Coworkのプラグインは、スキル・コネクター・サブエージェントを1つにまとめて入れられる配布単位です。個別に設定を積み上げなくても、導入した時点でClaudeがその分野の担当者として動き始めます。
製品ページ(claude.com/product/cowork)は実例として3つを並べています。Brand voice(Tribe AI提供)、Legal(法務)、Finance(経理・財務)です。この記事では、3つが何をするかに加えて、使える範囲・配布のされ方・セキュリティの線引きを扱います。
エンジニアがコードレビューやテストの自動化をClaude Codeのプラグインで組むのと同じ発想を、業務部門向けに用意したものと捉えると位置づけがつかみやすくなります。
プラグインが束ねる3つの部品
スキル
ドメイン知識とベストプラクティスをあらかじめ組み込んだ部分です。
コネクター
Google Drive・Gmail・Slack・DocuSignなど、すでに使っているサービスとClaudeをつなぎます。
サブエージェント
特定の業務を最初から最後まで担う専門のエージェントです。
束ねる分、1つのプラグインが持ち込む権限と動作の範囲は、単体のスキルより広くなります。導入前に見るべき点は、後半の安全面の節で扱います。
3つのプラグインは何をするか
製品ページのカードに書かれている説明は次のとおりです。
| プラグイン | 説明(製品ページより) | 向いている部門 |
|---|---|---|
| Legal | 説明(製品ページより)契約書レビュー・NDAの一次チェック・コンプライアンス業務の高速化 | 向いている部門社内法務チーム |
| Finance | 説明(製品ページより)仕訳・照合・財務諸表・差異分析の効率化 | 向いている部門経理・財務チーム |
| Brand voice | 説明(製品ページより)既存の文書・マーケティング資料・会話を分析し、ブランドの話し方を明確なガイドラインにまとめる | 向いている部門マーケティング・広報チーム |
3つのうち、カードに提供元が付いているのはBrand voiceの「by Tribe AI」だけです。サポートセンターでは、パートナーが作るプラグイン(Salesforce in Claudeなど)と、Anthropicが作るプラグインが別物として扱われています。Anthropic製の一式はGitHubで公開されており、自作用にはPlugin Createというプラグインも用意されています。人事向けの一式は人事プラグインの9スキル解説にまとめています。
Legal・Financeは、Cowork法務活用・Cowork経理の実践で扱った業務を、毎回の指示文なしで再現しやすくするものです。Brand voiceは、散らばった過去資料からトーンを逆算する点が、単体のスキルとは違います。
製品ページにはCoworkのデモも載っています。経理側は「予算ファイルと拠点別の実績を突き合わせ、差異が5%または5万ドルを超える行にフラグを立て、拠点別タブとサマリータブを作る」という依頼です。法務側は取引先ごとの契約書をプレイブックと照合し、条項番号付きで「押し戻す・交渉する・受け入れる」に振り分けたメモを1件ずつ出す内容です。プラグインのカードとは別枠のデモなので、プラグインを入れれば同じ出力が出ると読むのは早計です。
自分のアカウントでどこまで使えるか
プラグインはPro・Max・Team・Enterpriseの有料プラン全部で使えます。無料プランは対象外です。
追加したプラグインはPCではなくアカウントに保存されます。そのため、webのチャット・Claude DesktopのChatタブ・Cowork・同じアカウントでログインしたClaude Codeに付いてきます。ただし、動く部品は場所によって違います。
プラグインの部品が動く場所
チャット(web・DesktopのChatタブ)
スキルとコマンドは動きます。フックとサブエージェントは動かず、画面ではグレーアウトされます。プラグイン同梱のローカルMCPサーバーも動きません。
CoworkとClaude Code
スキル・コマンドに加えて、サブエージェントとフックが動きます。ローカルMCPサーバーは、Claude Codeと、PC上で動くCoworkセッションで動きます。Claude Codeでは、これらすべてがPC上で実行されます。
サブエージェントが主役のプラグインかどうかは、導入画面でプラグインを選ぶと中身を読めます。
Claude Codeへの同期には条件があります。v2.1.273以降が必要で、同期は起動のたびに1回、アカウントから読むだけの一方向です。APIキーでのログインや、Amazon Bedrockなどのクラウド経由では同期されません。止めたいときはClaude Codeの設定でsyncClaudeAiPluginsをfalseにします。Claude Code側の仕組みはClaude Codeプラグイン(Plugins)完全ガイドにあります。
Coworkのコネクターは、ローカルネットワークではなくAnthropicのクラウド経由で外部サービスに届きます。社内のファイアウォールの内側にあるサーバーにつなぐカスタムコネクターは、AnthropicのIPアドレス帯から公開インターネット経由で到達できなければ動きません。Legal・Financeで社内システムを使いたいときは、ここで詰まりやすい箇所です。
導入から日々の使い方まで
導入はClaudeの左サイドバーの「Customize」から始まります。Coworkから入れるときは、先に「Cowork」タブを開いてからCustomizeに進みます。
プラグインを入れて自分用に調整する
- 1
Customize > Plugins > Discoverを開く
Discoverタブに、公式のものと、組織がマーケットプレイスで配っているものが並びます。同僚が直接共有したものは別枠の「Shared with you」に出ます。
- 2
使いたいプラグインで「Add」を押す
自作のプラグインファイルをアップロードして入れる方法もあります。外すときは、プラグインを開いて「Remove」を選びます。
- 3
「/」か「+」でスキルを呼ぶ
Coworkでは
/プラグイン名:コマンド名の形でコマンドを直接実行できます。 - 4
必要なら「Customize」で作り変える
導入済みのプラグインを開いて右上の「Customize」を押すと、調整用のCoworkタスクが新しく開きます。「Let's go」から、スキルとコネクターを自分の業務に合わせて直してもらえます。
なお、ディレクトリから入れたスキルは閲覧専用で、中身は直接編集できません。変えたいときはコピーをダウンロードして直し、自分のものとしてアップロードする形になります。
組織に配るときの3つの経路
Team・Enterpriseでは、プラグインを個人が入れるだけでなく、組織として配る経路が3つあります。使う設定はどれも、Organization settings > Plugins & skillsにまとまっています。
組織への配布経路
マーケットプレイス(管理者が配る)
OwnerとPrimary Ownerが管理します。Enterpriseでは、ライブラリの管理権限を持つカスタムロールのメンバーも可能です。Anthropic製のマーケットプレイスはlegalやfinanceなど機能別にあり、Knowledge Workは最初から組織に追加されています。不要なら「Remove」で外せます。
共有(個人から特定の人へ)
OwnerがSkill sharingをオンにすると、自分が作った・アップロードしたプラグインを指定した同僚に渡せます。受け取った側ではオフの状態で届き、閲覧専用です。マーケットプレイスから入れたプラグインは共有できません。
組織ライブラリへの公開(Publish to org)
プラグインを組織に託す形です。レビュー必須の設定なら、Owner側が確認してから公開されます。レビュー必須の組織では、提供形態を「Available to install」「Installed by default」「Required」から提案でき、レビュアーが変更できます。マーケットプレイス側にはさらに「Not available」があり、設定は4択になります。「Required」にすると、メンバーは無効化も削除もできず、アカウントのプラグインを同期するClaude Codeセッションでも有効なままです。Claude CodeではフックがPC上で動くため、Requiredにする前にフックの中身を読んでおく必要があります。Enterpriseのグループ設定は組織全体の設定を上書きし、複数グループに属するメンバーには最も緩い設定が適用されます。
マーケットプレイスの前提は、CoworkとSkillsの両方が組織で有効なことです。Skillsを止めると、同期済みのプラグインもClaude Codeから消えます。一方、Coworkを止めてもClaude Codeへの同期には影響しません。
自社のプラグインを配るなら、マーケットプレイスを自作します。ZIPを手でアップロードする方法(200MB未満)と、GitHubやGitLabのリポジトリと同期する方法があり、併用もできます。github.comのリポジトリはprivateかinternalに限られ、publicは使えません。GitLabもgitlab.comはprivateかinternalのみです。GitHub Enterpriseホストのリポジトリも接続できます。
自動同期の起動条件は、ページごとに書き方が違います。サポート記事の作成手順は「PRのマージまたは直接push」です。同じ記事の更新手順は、バージョンを上げたPRをデフォルトブランチへマージしたときで、直接pushは対象外です。Claudeドキュメントの組織同期のページは「デフォルトブランチへのpush」です。バージョンを上げたPRにしておくと確実です。反映されないときは「Re-sync」(更新手順の説明では「Update」)で手動同期します。同期は最大30分かかり、失敗したときはメンバーが最後に同期できた版のまま使い続けます。
導入前に確認したいリスク
プラグインのインストールでClaudeの行動範囲が大きく広がりうることは、公式の安全ガイドも明記しています。
組織向けにはセキュリティスキャンがあります。Enterpriseプランで、第三者のスキルやプラグインがアップロード・編集されたときに悪意ある内容がないか調べ、pass・warn・failのどれかを返します。warnは注意バナーを確認すれば使え、failはブロックされ、アップロードした本人も管理者も上書きできません。通常は1〜2分で終わります。未設定のEnterprise組織では、2026年10月2日からオンになります。
ただし、スキャンの対象外が広い点には注意が要ります。
- スキャン導入前から組織にあったプラグイン
- Claudeで自分が作ったスキル
- MCPサーバーとフック
- CMEK・ZDR・HIPAA構成の組織
安全ガイドが特に警戒を促しているのはローカルMCPサーバーです。両方のページを並べると、いちばん注意したい部品がスキャンの対象外にあることになります。passは「この種の脅威が見つからなかった」という意味で、安全の保証ではありません。
Legal・Financeのように機微なデータを扱うプラグインでは、権限の線引きが特に効きます。Cowork権限モデルの考え方の読み取りと書き込みの区別で、どこまで任せるかを先に決めておく形が安全です。最初は処理済みの案件で試すと、出力の粒度や「要確認」の振り分け方を、実データの前に確認できます。
症状別の切り分け
| 状況 | 見る場所 |
|---|---|
| チャットでサブエージェントが動かない | 見る場所同じアカウントのCoworkタブで開き直す(チャットはグレーアウト) |
| Claude Codeにプラグインが出てこない | 見る場所v2.1.273以上か、APIキー・Bedrockログインでないか、syncClaudeAiPluginsがfalseでないか |
| ローカルMCPサーバーが動かない | 見る場所PC上で動くCoworkセッションか。Enterpriseの管理者が無効にしていないか |
| 組織のマーケットプレイスが使えない | 見る場所CoworkとSkillsの両方が組織で有効か |
| 自社リポジトリの更新が反映されない | 見る場所バージョンを上げたPRをデフォルトブランチへマージしたか。「Re-sync」も使える |
| 共有されたプラグインが使えない | 見る場所「Shared with you」にオフで届く。自分で有効化する |
| 社内サーバーのコネクターがつながらない | 見る場所AnthropicのIP帯から公開インターネット経由で届くか |
まとめ
個人で試すなら、サブエージェントとフックが動くCoworkかClaude Codeで入れる形になります。
組織でRequiredにするなら、スキャンの対象外にあるフックとローカルMCPサーバーを、管理者が先に読む分岐になります。承認モードとの関係はCowork Approval Gatesを部門ごとに設計する考え方、Coworkの全体像はClaude Cowork(クロードコワーク)とはにあります。