Claude Media
Coworkの有効化とクラウド実行は別トグル — Team/Enterpriseで既定が逆になる理由

Coworkの有効化とクラウド実行は別トグル — Team/Enterpriseで既定が逆になる理由

Organization settings > Coworkにある2つのトグルは別の設定です。Coworkそのものの有効/無効と、セッションをクラウドで実行するかどうかは独立していて、Team/Enterpriseで既定値が逆になります。

Coworkで「使えない」と言われたとき、管理者が最初に切り分けるのは2点です。Cowork自体が止まっているのか、クラウドで動かせないだけなのか。Organization settings > Coworkにある「Enable for your organization」と「Run Cowork in the cloud」は別のトグルです。前者はTeam・Enterpriseとも既定でオン、後者はTeamでオン、Enterpriseでオフです。片方だけ触ると、もう片方の既定値を見落とします。

くらべる

2つのトグルが決めること

使えるかどうか

Enable for your organization

Coworkそのものを組織で使えるかを決める、組織全体のスイッチです。TeamもEnterpriseも既定でオンで、OwnerまたはPrimary Ownerがオフにすると全員が使えなくなります。Enterpriseはグループとカスタムロールで、特定のチームだけに有効化もできます。

どこで動かすか

Run Cowork in the cloud

セッションをAnthropicのクラウドで動かせるかを決めます。Teamは既定でオンで、Ownerがいつでもオフにできます。Enterpriseは既定でオフで、オンにしたあと、カスタムロールでグループへ権限を付ける必要があります。

公式ヘルプは、Teamで既定がオン、Enterpriseでオフになる理由を説明していません。わかっているのは既定値の事実だけです。

Enterpriseでクラウド実行を使えるようにするには

Enterpriseで「Cowork自体は使えるのに、クラウドでは動かない」ときは、次の2段階のうち後半が抜けている可能性があります。

手順

Enterpriseでクラウド実行を許可する流れ

  1. 1

    トグルをオンにする

    OwnerまたはPrimary Ownerで組織にログインし、Organization settings > Coworkの「Run Cowork in the cloud」をオンにします。

  2. 2

    グループに権限を付ける

    カスタムロールで、対象グループに「Cowork in the cloud」の権限(capability)を付与します。ロール側の設定はClaude CoworkのRBAC運用で扱っています。

Team向けの説明には、ロールで権限を付ける手順はありません。Ownerがトグルをオフにしない限りクラウドで動く、とだけ書かれています。

クラウドで動かすと何が変わるか

Coworkのセッションは既定でクラウド実行で、ローカル実行は既存のデスクトップ配備向けに残されています。クラウドで動かすと、デスクトップ・Web・モバイルをまたいで作業が続き、ノートPCを閉じてもスケジュール済みのタスクが動きます。どの端末もオンラインでなくても同じです。

ただしこれはアーキテクチャ概要の説明です。Enterpriseでは、上の「Run Cowork in the cloud」をオンにするまでクラウドでは動きません。

ローカル実行では、エージェントループ(会話の処理、接続フォルダへのファイル読み書き、Web取得など)が利用者の端末上で動きます。シェルとコード実行だけが、端末内の隔離された仮想マシン(VM)に入ります。

Web版とモバイル版のセッションはAnthropicのクラウドで動きます。ただしEnterpriseでは、WebとモバイルでCoworkを使えるのは管理者が有効にした場合に限られます。

クラウドセッションの隔離のされ方

アーキテクチャ概要によると、クラウドセッションは1回ごとに専用のサンドボックスで動き、開始時に作られ、終了時に破棄されます。サンドボックス同士や組織同士で状態は共有されません。主な性質は次のとおりです。

  • プライベート、内部、リンクローカル、クラウドメタデータのアドレスには届かない。社内ネットワークへの踏み台にならない
  • サンドボックスを出る通信はすべて、サンドボックス側で変更できないプロキシを通り、許可リストにある宛先だけに届く
  • 持つのはセッション単位のトークンだけで、数時間で期限が切れる。コネクタの認可トークンはサンドボックスに入らず、コネクタの呼び出しはサーバー側で行われる

ここまで読むとクラウドは端末から切り離された環境に見えますが、端末のファイルやブラウザーが必要な作業は別です。その場合はデスクトップアプリ経由で、Anthropicが仲介する接続を通ります。届くのは利用者が接続したフォルダだけで、デスクトップアプリがオフラインなら届きません。アプリ経由で開いたローカルファイルも、Anthropicのサーバー側で処理される点は押さえておく必要があります。

どこで止めたいかで、触る設定が変わる

止めたい範囲によって、効く設定の層が違います。同じ「Cowork」の設定でも、組織の画面にあるものと、端末にMDMで配るものは別物です。

設定の層

Coworkを止められる3つの層

  • 組織全体のトグル

    「Enable for your organization」でCowork全体を止めます。Enterpriseではグループとカスタムロールで、有効にするチームを絞れます。

  • クラウド実行専用の設定

    クラウドセッションだけをオフにして、ローカルのデスクトップCoworkは残せます。ネットワークの許可範囲、「常時許可」の無効化、信頼済みデバイスの登録と直近サインインの要求もここに属します。

  • 端末のMDMキー

    isLocalDevMcpEnabledをfalseにすると、ローカルのMCPサーバーを止められます。isDesktopExtensionEnabledをfalseにすると、MCPBとDXTの拡張サーバーを止められます。組織設定ではなく、MDMで端末に配る設定です。

クラウド専用の設定のうち、信頼済みデバイスの登録と直近サインインの要求は、有効にすると組織内のクラウドセッションすべてに一律でかかります。クラウドセッション向けの設定で「常時許可」を無効にすれば、権限の絡むツール呼び出しのたびに承認が必要になります。承認プロンプトなしで実行できるかどうかも、クラウド専用の設定で制御できます。

MDMキーの効く先は、デスクトップアプリが関わる範囲です。ローカルセッションに加え、クラウドセッションがアプリ経由で届く先にも効きます。ローカルのMCPサーバーを止めた端末では、クラウドセッションが使えるのはフォルダに限定されたデスクトップのファイルツールだけになります。ローカルのMCPサーバーはクラウドセッションでは動きません。Enterpriseでチャットと統合した新しい体験を試す場合の管理者設定は、Claude EnterpriseでCowork統合を有効にする手順にあります。

同じパネルにある、別軸のトグル

Organization settings > Coworkには、この2つとは別の軸のトグルが並んでいます。

  • 組み込みブラウザー: Claude Desktopに内蔵されたブラウザーをCoworkが使えるかを決めます。Teamは既定でオンです。Enterpriseは導入時にオフで、2026年9月10日からオフにしていない組織は既定オンに切り替わりました。オフのときは、利用者が組み込みブラウザーを開けず、Claudeも使えません
  • Automatically approveモードの許可: メンバーが自動承認モードを使えるかを決め、既定はオンです。オフにすると、メンバーのモード選択肢から「Automatically approve」が消えます。モードそのものの挙動はCowork自動承認モードとはにあります
  • コネクタツールの常時許可: 書き込み可能なコネクタツールで、タスクごとの承認を省けるかを決め、既定はオフです。オフの間は承認ダイアログの「Allow for all tasks」がグレーアウトし、以前に保存した常時許可も効きません

最後の設定には落とし穴があります。読み取り専用として注釈されたツールだけが対象外になり、カスタムコネクタの多くはツールに注釈を付けていないため、全ツールが承認の対象になります。Enterpriseでは、カスタムロールの付与とこの設定のうち、最も制限の強い層が優先され、ロールの付与で上書きはできません。コネクタ全体の権限設計はClaude CoworkのConnectors一覧にあります。

プラグインはCoworkと同じ管理者トグルで制御され、Cowork内のプラグインだけを個別に止める設定はありません。配布方針は「Manage plugins for your organization」で決めます。選べるのは、既定でインストール、自分で追加、必須(メンバーは外せない)、非表示の4種類です。Enterpriseではグループごとに上書きもできます。

ネットワークの許可範囲は実行場所で変わらない

Coworkは、組織が持つネットワークegress(送信)の許可設定に従います。設定場所はOrganization settings > Capabilitiesの「Code execution」です。クラウドセッションも、ローカルのCoworkやチャットと同じネットワーク設定を使います。Enterpriseの既定は、ネットワークアクセスなしです。

設定は、新しいセッションが作られた時点で適用されます。会話の途中でモードを変えたり、許可リストにドメインを足したりしても、その会話には反映されません。反映させるには、新しい会話を始めます。

例外があります。egressの許可設定は、web fetch、web search、Claude in Chromeを含むMCPには効きません。web fetchはサーバー側で動き、検索結果と共有済みのURLに限られます。web searchをCoworkとチャットで止めるのはOrganization settings > Capabilitiesです。Claude in Chromeを止めるのはOrganization settings > Claude in Chromeです。egressの許可リストを絞っても、この経路は残ります。

後から取れる記録は実行場所で変わる

Team・EnterpriseのOwnerは、Coworkのイベントを自組織のSIEMや監視ツールへOpenTelemetryで流せます。ツール呼び出し、ファイルアクセス、人間による承認の判断などを、セキュリティチームが見られます。コンプライアンス用の監査ログの代わりにはなりません。

Claude、Claude Desktop、Claude MobileからのCowork利用は、Compliance APIの記録対象です。クラウドセッションの内容は、セッションとファイルが利用者のClaudeアカウントに保存されています。ローカルセッションの会話履歴は利用者の端末に残り、Anthropicの標準的なデータ保持ポリシーの対象外です。管理者が一括で管理・削除することもできません。Enterpriseの管理者はCompliance APIで内容を取得できますが、ローカルセッション向けの削除エンドポイントはまだありません。

つまり、同じCoworkでも、記録の置き場所と消し方は実行場所で違います。データの保存場所や保持期間の全体像はCoworkセキュリティ — データはどこに置かれ誰が触れるかで扱っています。

端末側の監視にも差が出ます。アーキテクチャ概要によると、VMはホスト側のセキュリティツールから隔離されており、クラウドセッションは端末の外で動くので、EDRでは両方とも観測できません。端末の可視性に依存するコンプライアンス方針なら、導入前に織り込む必要があると書かれています。

症状から見る、確認する設定

メンバーから「使えない」と言われたとき、症状ごとに見る設定を並べます。

症状まず確認する設定
Cowork自体を開けないまず確認する設定「Enable for your organization」がオフではないか。Enterpriseではグループ単位の有効化も
Enterpriseでクラウドだけ動かないまず確認する設定「Run Cowork in the cloud」のオンと、グループへの「Cowork in the cloud」権限
Teamでクラウドだけ動かないまず確認する設定Ownerが「Run Cowork in the cloud」をオフにしていないか
組み込みブラウザーが使えないまず確認する設定Organization settings > Coworkの組み込みブラウザーのトグル。デスクトップアプリが起動してオンラインかも
「Automatically approve」が選べないまず確認する設定「Allow Automatically approve mode」がオフではないか
「Allow for all tasks」が押せないまず確認する設定コネクタツールの常時許可(既定はオフ)
ネットワーク設定を直したのに変わらないまず確認する設定新しい会話を始めたか。動いている会話には反映されない

グループやカスタムロールによる部門単位の出し分けは、公式ヘルプではEnterpriseの機能として説明されており、Teamについての記述はありません。部門ごとの制御が要件なら、導入前にEnterpriseの説明と照らして確認してください。

まとめ

導入時に確かめるのは、Teamなら「Run Cowork in the cloud」をオフにする必要があるか、Enterpriseならオンにしたうえでロールを付けたか、の2点です。止めたい範囲が端末のMCPやデスクトップ拡張まで及ぶなら、組織設定ではなくMDMキーが担当です。組織全体のセットアップとプラン比較はClaude Cowork(クロードコワーク)とはにあります。

この記事を共有:XはてブLinkedIn