ClaudeとAdobe Workfrontを連携して週報とRAIDを更新する手順
Adobe WorkfrontのコネクターでClaudeから遅れたタスク・課題・承認待ちを引き、顧客向け週報とRAID(リスク・課題)の更新案を作る手順です。書き込み権限の扱いも説明します。
Adobe Workfrontのコネクターを入れると、Claudeの会話からWorkfrontのプロジェクト・タスク・課題・承認を検索し、更新まで任せられます。PMOの週次業務なら、遅れているタスク、止まっている課題、承認待ちを一度に引いて、顧客向けの週報とRAID(リスク・課題などの管理表)の更新案にまとめる使い方が現実的です。
このコネクターはAdobeが提供し、ClaudeのConnectorsディレクトリでは「Anthropic verified」の表示が付いています。ログインが必要で、接続先のMCPサーバーURLは https://mcp.workfront.adobe.com/mcp/v1/workfront です。
週報は読み取りだけで作り、RAIDの書き戻しは分ける
最初に決めるのは、Claudeに何を書かせるかです。Workfront側には、MCPの操作を2つのスイッチで制御する仕組みがあります。
| 管理者のスイッチ | 既定 | 週報での意味 |
|---|---|---|
| Read-only MCP tools | 既定有効 | 週報での意味検索・集計・要約。週報の材料集めはこれだけで足りる |
| Write MCP tools | 既定無効 | 週報での意味作成・更新・削除・催促メール。RAIDの書き戻しに必要 |
週報づくりは検索と集計だけで済むので、書き込みが無効のままでも回ります。RAIDの書き戻しや承認者への催促は、Workfront管理者が書き込みを有効にして初めて動きます。
この順序には実務上の利点があります。まず読み取りだけで数週間回し、Claudeの拾い方が自分の感覚と合うと確かめてから、書き込みの有効化を管理者に頼めます。
接続する前にそろえる条件
Adobe側の前提条件は次のとおりです。
- 有効なWorkfrontアカウントがあり、扱いたいデータへのアクセス権がある
- Workfrontのインスタンスが、Adobe Identity Management System(IMS)で有効になっている
- Workfront管理者が、インスタンスでMCPサーバーへのアクセスを有効にしている
- Workfront Planningのツールを使うなら、Planningを含むWorkfrontのパッケージで契約している
Claudeの側にも条件があります。ディレクトリにAdobe Workfrontが見つからないときは、Claude管理者がコネクターを有効にしていない可能性が高く、相談先はWorkfront管理者ではなくClaude管理者です。
接続は1つのWorkfrontインスタンスに結び付きます。複数インスタンスを同時には使えず、切り替えるときは切断して認証し直します。顧客ごとに別インスタンスを持つPMOでは、この点が運用の前提になります。
接続手順
Claudeデスクトップから接続する
- 1
Customizeを開く
Claudeを開き、Customizeをクリックします。
- 2
Connectorsから選ぶ
左のナビゲーションでConnectorsを開き、一覧からAdobe Workfrontを探して「Connect」をクリックします。
- 3
Workfrontにログインする
表示されるログイン画面で、Workfrontのインスタンスにサインインします。プロファイルとインスタンスの選択を求められることがあり、選んだプロファイルが接続するワークスペースを決めます。
一覧に出ない場合は、カスタムコネクターとしてURLから追加する方法もあります。Connectorsで「+」から「Add custom connector」を選び、名前(例: Workfront)と上記のMCPサーバーURLを入れて接続します。エンタープライズ環境では、この手順をClaudeのオーナーが行う必要があります。一般的なカスタムコネクターの考え方はCoworkカスタムコネクタ自作ガイドにまとめています。
週報の材料を引く — 遅れ・課題・承認待ち
接続後は、普通の言葉で頼みます。Adobeの案内にある例は「ブランドマーケティングチームの進行中プロジェクトを全部見せて」「Joan Harrisに割り当てられたタスクを全部出して」といった形で、特定のプロジェクトの課題をカテゴリ別に絞る依頼も例示されています。
週報向けには、次のように期間と観点を固定した依頼を使うと、毎週同じ形の材料が出ます。以下はプロンプトの一例です。
Workfrontから最新のデータを取得してください。キャッシュした結果は使わないでください。
対象: プロジェクト「Webサイトリニューアル」
1. 完了予定日を過ぎていて未完了のタスクを、担当者と遅延日数つきで一覧にする
2. 未解決の課題(issue)を、重要度順に並べる
3. 承認待ちの書類を、承認者と待ち日数つきで一覧にする
読み取りだけ行い、Workfront上のデータは変更しないでください。1行目の「最新のデータを取得」は、Adobe自身が勧めている書き方です。Claudeは会話の前半で得た結果を再利用することがあり、Workfrontが更新されていても古い内容を返す場合があるためです。
どのツールが使われるか
依頼の裏でClaudeが呼ぶツールは、Adobeのツール一覧から次のように対応づけられます。名前を暗記する必要はありませんが、書き込みの有無を見分ける目印になります。
| 週報の材料 | 主なツール | 種別 |
|---|---|---|
| 遅れたタスク・未解決の課題の検索、集計 | 主なツールinsights_find_workfront_data | 種別読み取り |
| プロジェクトや人物の名前からIDを引く | 主なツールinsights_find_id_by_name / insights_search_users | 種別読み取り |
| 1件のプロジェクトの要約 | 主なツールinsights_summarize_object | 種別読み取り |
| 承認フローの段階・参加者・状況 | 主なツールapprovals_get_approval_info | 種別読み取り |
| タスクや課題の変更 | 主なツールworkflow_update_any_object | 種別書き込み |
| コメントの追加 | 主なツールcomment-stream_create_comment | 種別書き込み |
| 未回答の承認者への催促メール | 主なツールapprovals_send_reminder_to_undecided | 種別書き込み |
Insights系は、クエリの前にドキュメントの読み込み(insights_read_docs)を必須の最初の手順にしています。Workflow系も同様に workflow_read_workflow_docs が最初の手順です。会話の冒頭でClaudeが説明書のようなものを読む挙動は、この仕様によるものです。
古い名前のツールに注意
マーケットプレイスのコネクター紹介ページには、approvals_find_project_by_name や approvals_get_projects_by_owner などの承認系ツールが並んでいます。ところがAdobeのツール一覧では、これらは2026年8月13日に削除された、あるいは非推奨のツールとして扱われ、代わりに insights_find_id_by_name や insights_find_workfront_data を使う案内になっています。
ツール名を指定して依頼するプロンプトやスキルを作る場合は、紹介ページの一覧を写さず、Adobeのツール一覧を参照してください。名前を指定せずに「プロジェクトの一覧を出して」と頼む使い方なら、この食い違いの影響は受けません。
承認待ちを拾い、催促は別の指示にする
PMOが週報で必ず触れるのが、承認が止まっている箇所です。承認は書類のバージョン単位で管理されるため、依頼には書類名かプロジェクトを含めます。
プロジェクト「Webサイトリニューアル」の書類について、承認フローが
進行中で、未回答の承認者がいるものを一覧にしてください。
段階名、承認者、回答状況を表にまとめ、催促メールは送らないでください。承認系のツールには、未回答の参加者へ催促メールを送るものがあります。これは書き込み扱いで、管理者が書き込みを無効にしていれば動きません。有効になっていても、週報の材料づくりと同じ依頼に催促を混ぜないほうが安全です。メールが実際に外へ出る操作は、一覧を見て人が判断してから、別の依頼として出します。
RAIDを更新する — 台帳を作り、差分だけ書き戻す
ここで先に注意があります。Adobeのドキュメントには、RAID専用のオブジェクトや機能の記載がありません。リスクを課題(issue)で持つのか、カスタムフィールド付きの記録で持つのか、Planningの記録で持つのかは、各組織のWorkfront設計次第です。連携で何ができるかは、その設計に載っているオブジェクトを検索・更新できるかで決まります。
運用としては、次の2段階にすると事故が減ります。
RAID更新の2段階
- 1
Claudeに更新案の表を作らせる
先週のRAIDの内容(貼り付けまたはファイル)と、今週のWorkfrontのデータを突き合わせさせます。新しく出たリスク、期限が迫った課題、解消した項目を、追加・変更・クローズの別で表にします。この段階ではWorkfrontに書きません。
- 2
承認した行だけ書き戻す
人が表を確認し、反映する行を指定します。Claudeは、課題やタスクの更新、コメントの追加を実行します。1回の依頼で触る件数を絞り、実行後にWorkfrontで結果を目視します。
更新案を作らせる依頼の一例です。
添付は先週のRAID表です。Workfrontの今週のデータ(遅れたタスク、未解決の課題、
承認待ち)と照合し、次の形の表を作ってください。
- 区分: 追加 / 変更 / クローズ
- 項目(リスク・課題名)、根拠となるWorkfrontの項目名
- 提案する重要度と対応期限(根拠が薄いものは「要確認」と書く)
Workfrontには書き込まないでください。「根拠となるWorkfrontの項目名」の列が効きます。Claudeがどの課題やタスクから判断したかが残るので、人が確認する時間を短くできます。重要度の判断はClaudeの推測であって、Workfrontの値ではない点も、表の形で見分けられます。
削除は依頼に含めない
Workfrontの削除ツールは、実行前にユーザーの明示的な確認が必要な仕様です。Adobeも、AIプラットフォームを通した削除はWorkfrontの画面で削除するのと同じ結果になると警告しています。RAIDの整理では「解消した項目」を消したくなりますが、削除ではなくクローズや状況の更新で表します。
手順をClaudeに覚えさせる
毎週同じ指示を貼り直す代わりに、Claudeのプロジェクトの指示欄に固定しておくと、週報の形が安定します。Adobeのドキュメントも、Claudeのスキルで「常にWorkfrontから最新データを取得させる」といった動作のカスタマイズを例示しています。
あなたはPMOの補佐です。Workfrontの情報は、毎回最新を取得すること。
- 期間は月曜から日曜。遅延は「完了予定日を過ぎた未完了タスク」と定義する
- プロジェクト名が曖昧なときは、候補を挙げて確認する(推測で選ばない)
- Workfrontへの書き込み、削除、催促メールは、私が明示した行だけ実行する
- 週報は「全体状況 / 遅れ / 課題 / 承認待ち / 来週の予定」の5節で書く
- 根拠のないリスク評価は「要確認」と書くプロジェクト名の確認を指示に入れているのは理由があります。Adobeによると、名前が似た2つのプロジェクトがあるとClaudeが違う方を選ぶことがあり、その対処は名前・ID・日付・フィルターをより具体的にすることです。顧客別の案件名が似通うPMOでは、特に効きます。
ほかのプロジェクト管理基盤での同種の運用は、ClaudeとSmartsheetを連携する方法やCowork Asana連携でも扱っています。複数のツールをまたいで進捗を突き合わせる場合はClaudeでプロジェクトの進捗レポートを自動生成する方法が参考になります。
つまずいたとき
Adobeのトラブルシューティングから、週報運用で当たりやすいものを選びました。
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 古い内容が返る | 原因Claudeが会話内の以前の結果を再利用している | 対処「最新を取得、キャッシュは使わない」と明示する |
| 直前の変更が反映されない | 原因Insights系のデータは最大約15分遅れる | 対処数分待って再度聞くか、Workfrontで直接確認する |
| 別のプロジェクトのデータが出る | 原因名前が曖昧でClaudeが違う項目を選んだ | 対処名前・ID・日付・フィルターを具体的にする |
| 検索はできるが更新できない | 原因管理者が書き込みを無効にしている、または項目の権限がない | 対処Workfront管理者に書き込みの有効化を頼み、権限も確認する |
| つないだのにデータが見えない | 原因違うインスタンスで認証した | 対処切断し、正しいインスタンスで再接続する |
週報を締める直前に更新したタスクは、最大15分の遅れで集計から漏れることがあります。提出前に、直近の更新分だけWorkfrontで直接確かめてください。
また、Claudeが動くのは本人のWorkfront権限の範囲だけです。PMOが見られない顧客案件のデータは、Claudeにも出てきません。顧客向け週報に載せる範囲は、接続したアカウントで見えた内容をそのまま使わず、共有先に合わせて人が絞ってください。
まとめ
読み取りだけで回せる週報から始め、RAIDの書き戻しは更新案の表を人が承認する形にします。書き込みスイッチの既定が無効であることは、段階導入の合図として使えます。
接続前に確かめるのは、IMSの有効化、Workfront管理者のMCP許可、Claude側のコネクター有効化の3つです。ここが通れば、残りの作業は依頼文の型を決めることに尽きます。