ClaudeとAdspirerを連携する方法 — 4媒体の広告運用を一つの会話から回す
AdspirerコネクタでGoogle・Meta・LinkedIn・TikTokの広告をClaudeの会話から企画・出稿・改善する手順です。契約条件、停止状態で作られる仕組み、承認を挟む3つの層、媒体別の制約をまとめます。
AdspirerコネクタをClaudeにつなぐと、Google・Meta・LinkedIn・TikTokの広告アカウントに対して、キャンペーンの企画から作成、日々の改善までを会話で頼めます。他の広告コネクタと違うのは、データを引くだけでなく、出稿を動かす側のツールを持っている点です。
この記事は、つなぎ方に加えて、何を任せられるのか、どこで人が承認するのかを順に見ます。広告費に直結する操作なので、承認の置き場所を先に決めておくのが運用の要です。
Adspirerコネクタで何を任せられるか
Adspirerは、広告運用を代行するエージェント型のコネクタです。目標を伝えるとキャンペーンを組み、配信後も予算配分やキーワード、クリエイティブの疲弊を見ながら運用を続けます(Claudeのディレクトリ上の説明)。
例えば「CPA 50ドル以下でデモ申込を増やしたい」と伝えると、媒体ごとに構成されたキャンペーンに落とし込まれます。配信後も、消化ペースの調整、成果の出ている配分への寄せ方、無駄な検索語句の除外を続けます。人の判断が必要なものは、フラグを立てて知らせる設計です。
ディレクトリの説明に並ぶ媒体は、Google・Meta・LinkedIn・TikTokとその他です。Adspirerは合計6媒体で、400以上のツールを持ちます。
| 媒体 | ツール数 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Google広告 | ツール数156 | 主な用途検索・P-MAX・ショッピング・アプリのキャンペーン作成、予算の最適化 |
| Meta広告 | ツール数60 | 主な用途画像・動画・カルーセルの出稿、クリエイティブの疲弊検知 |
| LinkedIn広告 | ツール数55 | 主な用途スポンサードコンテンツ、リードジェネレーションフォーム、職種・業種での絞り込み |
| TikTok広告 | ツール数37 | 主な用途インフィード動画、Spark Ads、ピクセルと動画の探索 |
Amazon広告(61)とChatGPT広告(36)も同じ仕組みで使えます。以下はGoogle・Meta・LinkedIn・TikTokを例に説明します。
集計コネクタとの違い
広告データを横断して引くコネクタは、すでに複数あります。Windsor.aiコネクタやSupermetricsコネクタは、媒体の実績を一つの会話に集める使い方が中心です。
Adspirerはその先、つまりキャンペーンを作る・停止する・予算を動かすツールを媒体ごとに細かく持ちます。参照だけなら集計系で足り、出稿作業そのものを会話に寄せたいときにAdspirerの出番が来ます。計測側の整備はVoluumコネクタのようなトラッキング系のほうが得意な領域です。
契約と前提条件
つなぐ前に、4つの前提がそろっているかを見ます。
- Claudeのアカウント。Claudeのヘルプでは、ウェブのコネクタは全ユーザーが使えるとされています。なお、Adspirerの接続ページはClaudeの有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)を前提条件に挙げているため、無料プランで接続できなければプランを見直します
- Adspirerのアカウント。無料枠から始められ、接続の途中で作ることもできます
- 管理する媒体の広告アカウント。請求情報が登録済みで、管理者権限があるものに限ります
- 媒体ごとの追加条件
媒体ごとの追加条件は次のとおりです。
| 媒体 | 必要なもの |
|---|---|
| Google広告 | 必要なもの請求情報つきの広告アカウント。管理者または標準アクセス |
| Meta広告 | 必要なものMeta Business Managerと、請求情報つきの広告アカウント。管理者権限 |
| LinkedIn広告 | 必要なものCampaign Managerのアカウントと、LinkedInの会社ページ。管理者権限 |
| TikTok広告 | 必要なもの請求が有効なTikTok Business Center。管理者権限 |
Claude側の接続はOAuthで行われ、媒体のパスワードがClaudeに渡ることはありません。接続が済んだ後でも、Claudeが触れるのは連携ページで接続した広告アカウントだけです。
Adspirerの料金は広告費ではなく作業回数で決まる
Adspirerの課金は広告費に対する割合ではなく、ツールを呼んだ回数(タスク数)です。FAQに載る月額は次のとおりです。
Adspirerの月額プラン(月払い)
Free
0ドル
月15回
Plus
49ドル
月150回
Pro
99ドル
月600回
Max
199ドル
月3,000回
成果の確認は1回、複数媒体にまたがる出稿はそれ以上のタスクを使います。Maxは媒体ごとに5つの有効アカウントを持てる構成です。なお、後述する自動運用のエージェントはPlus以上で使えます。
ClaudeにAdspirerを接続する手順
接続はClaudeのディレクトリから行います。カスタムコネクタとして接続URLを貼る必要はありません。
Adspirerを接続する流れ
- 1
ディレクトリでAdspirerを探す
Claudeの設定にあるコネクタの画面でDiscoverを選び、Adspirerで検索します。名前は「Adspirer Ads & Performance Marketing Agent」で、Anthropic verifiedの表示がついたものを選びます。
- 2
Connect to Claudeを押す
一覧の詳細画面で接続ボタンを押すと、ブラウザーでAdspirerのサインイン画面が開きます。サインインして、Claudeへのアクセスを承認します。
- 3
広告アカウントをつなぐ
AdspirerのConnectionsページで、運用したい媒体のアカウントを接続します。ここで接続していない媒体は、Claudeからは見えません。
- 4
状態を確かめる
コネクタの一覧にある自分の接続済みの欄に、チェックマークが出れば完了です。
ディレクトリの詳細ページに書かれている接続先は https://mcp.adspirer.com/mcp です。通常はこのURLを自分で入力しません。カスタムコネクタとして追加済みの場合は、外してからディレクトリの掲載を接続し直します。ツールが二重に見えるのを避けるためです。
スキルやコマンドも使いたい場合や、Coworkで使う場合は、ディレクトリのプラグインの掲載を選びます。コネクタに加えてAdspirerのスキル15本、スラッシュコマンド5本、広告運用のエージェントが入る構成で、同じAdspirerアカウントにつながります。チャットだけで使うならコネクタ単体で足り、両方は要りません。Claude Codeには、プラグインとは別にコマンドで設定する手順が用意されています。
最初の確認は読み取りだけで済ませる
つないだら、新しい会話で接続状況を聞くのが安全です。何も変更しない操作なので、課金されるタスクも最小で済みます。例えば次のように頼みます。
Adspirerで、接続している広告アカウントを媒体ごとに一覧にしてください。
アカウントIDと接続状態も添えてください。接続済みの全媒体の表が返れば成功です。Adspirerを呼ばずに答えが返ってきたときは、会話のツールメニューでコネクタがオンになっているかを見ます。
Team・Enterpriseの場合
TeamやEnterpriseでは、ワークスペースのオーナーがまず組織向けにコネクタを有効にします。メンバーは各自でAdspirerにサインインし、自分の広告アカウントをつなぎます。組織で有効にしても、広告アカウントへのアクセスが全員に渡るわけではありません。
任せられる範囲と、承認を挟む3つの層
広告費を動かす操作を会話に寄せるうえで、いちばん大事なのは、どこで人が止めるかです。Adspirerまわりには、性質の違う止め方が3つあります。
承認を置ける3つの層
層1: 作成直後は停止状態
新しいキャンペーンは停止状態で作られます。Meta広告ではキャンペーン・広告セット・広告のすべてが停止で、有効にするまで配信も課金も始まりません。
層2: Claudeの書き込みツールの承認
読み取りは常に許可、書き込みは毎回確認にする設定が推奨されています。Team・Enterpriseではオーナーが組織全体で書き込みを止めることもできます。
層3: 自動運用エージェントの承認キュー
スケジュールで動くエージェントは、変更をすべて提案としてためます。承認するまで、広告アカウントには何も反映されません。
層1: 停止状態で作られる
Google広告の検索・P-MAX・ショッピング・アプリの各キャンペーンは、停止状態で作られます。Meta、LinkedIn、TikTokも同じです。作成の流れは、媒体の接続確認、素材や条件の検証、作成、そして「確認してから公開」の順です。
ここで注意したいのは、再開の手段も同じ会話の中にあることです。resume_campaign のような再開ツールが公開されているため、「そのキャンペーンを有効にして」と頼めば有効化できます。停止状態で作られること自体は人の承認ではなく、再開の前に一呼吸置くための仕掛けです。承認を確実にしたいなら、層2を併用します。
層2: Claude側のツール権限で書き込みを止める
Claudeのコネクタには、ツールごとの権限があります。権限は「Always allow」「Needs approval」「Blocked」から選べます。Adspirerは、読み取りツールを常に許可、書き込みツールを毎回確認にする設定を案内しています。
運用の型としては、次の流れです。
- 実績の確認や監査(読み取り)は確認なしで流す
- キャンペーンの作成・予算変更・一時停止(書き込み)は、毎回Claudeの確認画面を通す
- 組織で使うなら、オーナーが書き込みツールをブロックして、参照専用にする
ツールの使い方も、読み取りで調べて検証し、作成の前に計画を見せて承認を取る順序です。書き込みが失敗しても自動では再試行しません。会話の指示でも、この順序を守らせられます。
Google広告の検索キャンペーンを新規に作りたいです。
いきなり作成せず、まずキーワード候補と予算案を表で出してください。
私が承認したら、停止状態で作成してください。
作成後は、有効にせず結果だけ報告してください。文面は一例です。書き込みの前に必ず計画を出させる点が肝です。
層3: 自動運用エージェントは承認キュー方式
Adspirerには、会話の外でスケジュール実行される自動運用のエージェント機能があります。Plus・Pro・Maxで使え、実行はタスク数に数えられます。
設定は、達成したい目標を平易な言葉で書くところから始まります。次に頻度(毎日・毎週・手動)、目標の指標、1回あたりの予算変更の上限、提案の最大数、触らせないキャンペーン(保護対象)を決めます。範囲を広げたり、お金を動かす操作を有効にしたりするときは、追加で高リスクの確認が求められます。
実行のたびにエージェントは最新の成果を取り、分析して、変更案を作ります。案は承認受信箱にためられ、理由と期待される効果が添えられます。承認した変更は一度だけ実行されます。この承認は設定で外せず、サーバー側で必ず挟まります。
つまり、「勝手に回る」とは言っても、お金や配信状態が動く前には承認が必ず挟まります。ここは会話型の運用との大きな違いで、人が張りつかなくても止まる仕組みです。
媒体を横断するときの指示の型
複数媒体を一つの会話から動かすときは、最初に比べる軸を決めると回しやすくなります。
直近30日のGoogle広告・Meta広告・LinkedIn広告・TikTok広告を、
媒体別に消化額・クリック・コンバージョン・CPAで並べてください。
CPAが目標の50ドルを超えているキャンペーンには印をつけてください。
変更はまだ行わず、見立てだけを返してください。読み取りだけの依頼なので、書き込みの確認は発生しません。結果を見たうえで次のように頼むと、変更の提案を引き出せます。
CPAが目標を超えたキャンペーンについて、予算の移し先と
除外すべき検索語句の候補を出してください。
実行は私の返事を待ってください。Google広告とMeta広告の成果確認ツールは、期間(7・14・30・60・90日、任意の期間)を切り替えられる会話内ダッシュボードで表示されます。広告設定の監査(コンバージョン計測の点検)もダッシュボードで返ります。
媒体ごとの制約
会話で頼めば何でも通るわけではありません。媒体別の制約を挙げます。
- Google広告のP-MAX: 画像5枚以上、動画1本以上、見出し5本以上、説明文5本以上の素材が要る。ブランドガイドラインの設定は、作成時に決めると後から変えられない
- Google広告の削除:
remove_campaignはキャンペーンを完全に削除し、再開できない。一時的に止めるならpause_campaignを使う - Meta広告の欧州配信: EU・EEA向けの広告セットでは、デジタルサービス法に沿った広告主情報の申告が必要になる
- Meta広告のカタログ: Adspirerが扱うのはMeta側に作成済みのカタログの広告運用で、商品フィード自体の作成や編集はしない
- LinkedIn広告のオーディエンス: 絞り込みが狭すぎると、最小300人の条件に引っかかる。ウェブサイトのリターゲティングや顧客リストのアップロードは、対応予定の段階で、まだ使えない
- TikTok広告: インフィードの掲載は動画クリエイティブが必須で、画像だけの広告は通らない。画像は動画に添える素材としてのみ使える。コンバージョン目的では、数値のピクセルIDと、そのピクセルが対応するイベントの指定が必要
Google広告の remove_campaign のように、取り消せない操作が会話から呼べる点は押さえておきます。削除のような不可逆な操作は、層2で毎回確認にしておくと安全です。
つまずきやすい点
ツールが動かない、接続エラーが出るときは、次の順に試します。
- ツール権限を見直す。誤ってブロックしていると、基本的な接続確認すら通らない。読み取りは常に許可、書き込みは毎回確認に直す
- コネクタを一度切断し、つなぎ直してOAuthをやり直す
- Adspirer側のセッションを更新する。いったんログアウトして入り直す
ウェブ版のClaudeでは、コネクタが1〜2週間で切れることがあります。通常の挙動なので、再度有効にして認証し直します。
もう一つは、成果の見方です。リード獲得のキャンペーンでリードが0件のとき、Adspirerは広告費を無駄にした扱いで報告しつつ、投資収益率の判定は出さず、まず計測の設定を疑う案内を返します。多くの場合、原因は配信ではなく計測の紐づけです。0件の数字を見て予算を止める前に、どのコンバージョンイベントが記録されているかを聞くほうが筋がよいといえます。
使い始めの順序
最初から出稿まで任せず、段階を踏むと安全です。
- 接続の確認と、直近30日の読み取り(層なし。変更は起きない)
- 計測の監査を頼み、コンバージョン計測が壊れていないかを見る
- 書き込みを毎回確認にしたうえで、小さな予算のキャンペーンを停止状態で作る
- 有効にするのは人の操作に限り、結果を見てから自動運用のエージェントを検討する
広告費を動かす道具なので、権限の置き場所を決めてから任せる範囲を広げるのが無理のない進め方です。コネクタ全般の仕組みはClaudeのコネクタ解説にあります。
まとめ
AdspirerはClaudeに広告の出稿と運用の手を与えるコネクタで、承認の置き場所が3つあります。作成直後の停止状態、Claudeのツール権限、自動運用エージェントの承認キューです。会話だけで回すなら層2を毎回確認に、スケジュールで回すなら層3の上限と保護対象を先に決めておくと、任せる範囲が見えやすくなります。