ClaudeとVoluumを連携する方法 — 広告トラッキングの成果を会話で横断分析
VoluumコネクタはキャンペーンやオファーのレポートをClaudeの会話から引き出します。接続手順、読み取り専用と書き込みの2モード、使えるツールの範囲、分析プロンプトの型をまとめます。
Voluumコネクタでキャンペーンの数字を会話から引ける
Voluumコネクタは、アフィリエイト・ペイドトラフィック向けのトラッキング基盤Voluumを、Claudeの会話から操作するためのConnectorです。キャンペーン、オファー、ランディングページ(lander)、トラフィックソースを検索し、レポートを実行し、自動化ルールまで扱えます。開発元はVoluum自身で、ディレクトリには「Anthropic verified」の表示が付いています。カテゴリーは「Data & analytics」と「Sales & marketing」です。
広告費を媒体側から集めるのではなく、クリックから成果(コンバージョン)までをトラッカー側で見る。この違いが、似た用途の記事との分かれ目です。Google広告やMetaなど複数媒体の費用を集約したいときは、ClaudeとSupermetricsを連携する方法やClaudeとWindsor.aiの連携が入口になります。Voluumが持つのは、自分で設定したトラッキングリンク経由のクリック、ランディングページの出し分け、オファー側の成果といったデータです。
接続に使うのは、Voluum自身のOAuthログインです。ClaudeはVoluumの稼働中のAPIに対して、自分のアカウントの代理として動きます。
接続前に知っておく前提
コネクタのページと、Voluumのドキュメントに載っている条件を表にします。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コネクタURL | 内容https://mcp.voluum.com/mcp |
| サインイン | 内容必須(Voluumのアカウントでログイン) |
| 認証方式 | 内容OAuth 2.0。ログインは初回だけで、AIには範囲を絞ったトークンが渡る |
| 追加時期 | 内容2026年7月 |
| アクセスの範囲 | 内容読み取り専用(既定)と書き込み(任意で有効化)の2モード |
| 手順書の対象プラン | 内容ClaudeのPro / Max |
Voluumの接続手順は「Claude(Pro/Max)」から始まると書かれています。Team / Enterpriseでの扱いは、そのページには載っていません。組織でカスタムコネクタを管理している場合は、管理者側の許可が必要になる可能性があります。社内の許可状況はClaudeの管理画面で確かめてください。
Voluumのアカウントそのものは、自分で契約している必要があります。MCPの利用に別料金が要るかどうかは、コネクタのページにも手順書にも記載がありません。契約プランの中身は、Voluumの「Billing & Subscription」で確認できます。
claude.aiでVoluumを接続する4ステップ
Voluumを接続する流れ
- 1
Connectorsを開く
Claudeの「Settings」から「Connectors」を開きます。
- 2
Voluumを探して接続する
ディレクトリでVoluumを検索し、「Connect」を押します。
- 3
Voluumにログインする
Voluumのログイン画面が開くので、普段のアカウントで入ります。
- 4
設定を確認して承認する
統合の設定内容が表示されます。確認して「Authorize」を押すと完了です。
接続後の詳細な管理は、Claude側のConnectors画面で行えます。会話ごとに、入力欄の「+」からConnectorsを開き、Voluumがオンになっているかを確認します。オフのままだとClaudeはVoluumを呼びません。ほかのデータ系コネクタも同時につないでいる場合は、依頼文に「Voluumを使って」と書くのが安全です。
動作確認には、読み取りだけで済む依頼が向いています。
Voluumを使って、直近7日間で費用が大きい上位5キャンペーンの
訪問数・コンバージョン数・費用・収益・利益を一覧にしてください。数字が返ってくれば接続は成功です。Voluumの管理画面の同じ条件のレポートと、1行だけ突き合わせておくと、以降の分析を信頼しやすくなります。
読み取り専用と書き込み、どちらで始めるか
Voluumのドキュメントは、アクセスの範囲を2つのモードで制御できると説明しています。
- 読み取り専用(既定)
- 書き込み(オプトイン)
既定が読み取り専用なので、何も設定しなければClaudeはデータを見るだけです。キャンペーンの停止や費用の書き戻しをさせたい場合に限り、書き込みを有効にする設計になっています。ドキュメントによると、サーバー側が「AIに何ができて何ができないか」を強制します。モードの切り替え場所は、接続手順のページには載っていません。承認画面の「設定内容の確認」で見える項目を、まず確認してください。
最初の1週間は読み取りだけで運用するのが現実的です。理由は2つあります。
- 公式のサンプルプロンプトが「読み取り専用なので、初日から安全に試せる」と位置づけているのが、この種類の依頼だけ
- 集計の軸(ワークスペース、変換時刻のモード)に慣れる前に書き込みを許すと、意図しない範囲の変更が起きやすい
コネクタが公開しているツールには、書き込み系の名前が多く並びます。create_campaign や archive_campaigns、update_campaign_cost、upload_conversions、そして delete_traffic_log など、データを消したり書き換えたりする名前も含まれます。書き込みを有効にする前に、どの操作を任せたいのかを決めておくと、承認の判断が速くなります。
公開されている196のツールの読み方
コネクタのページには、ツール196個が公開されています。ページの冒頭に見えるのは24個までで、残りは「Show all 196 tools」で開く形です。名前の接頭辞から、種類を大まかに分けられます。分類は名前にもとづく目安で、入出力の仕様はコネクタのページに載っていません。
| 種類(名前からの分類) | 代表的なツール名 |
|---|---|
| レポート | 代表的なツール名run_report / run_dryrun_report / run_time_aggregated_report / schedule_async_report / get_reporting_guide |
| 共有・定期レポート | 代表的なツール名create_shared_report / list_shared_reports / list_scheduled_reports |
| 参照 | 代表的なツール名list_campaigns / get_campaign / get_offer / get_lander / get_traffic_source / list_conversions |
| 作成・更新 | 代表的なツール名create_campaign / update_campaign / update_campaign_cost / bulk_update_campaigns_csv |
| コンバージョン | 代表的なツール名upload_conversions / list_custom_conversions |
| 整理・退避 | 代表的なツール名archive_campaigns / restore_campaigns / move_campaigns_to_workspace |
| 自動化 | 代表的なツール名list_auto_rules / pause_campaign_dimension_value |
| 案内・状態 | 代表的なツール名get_guide / get_write_guide / get_account_balance / get_subscription_plan |
get_reporting_guide や get_write_guide のような案内系のツールがあるので、Claudeはレポートの組み方や書き込みの手順を、Voluum側の説明に従って進める作りだと読めます。ただし、各ガイドの中身はコネクタのページには載っていません。
run_dryrun_report という名前から、実行前の確認用のレポートがあることがうかがえます。名前だけでは挙動を断定できないので、使うときは実行結果を見て確かめてください。
分析プロンプトの型 — 公式サンプルから組み替える
Voluumは、MCP接続後に貼り付けて使えるサンプルプロンプトを公開しています。「朝の悪化チェック」「週次の変動理由」「費用データの整合性チェック」など、日々の運用にそのまま乗る型です。ここでは、その考え方を3つの型にまとめ直します。
前置きの3ルールを必ず付ける
公式のサンプルは、分析系のプロンプトの前に3つのルールを足すことを勧めています。AIは、データの裏づけがない場合でも自信のある表を返すことがあるためです。
1. 報告する数値は、実際に実行したクエリに必ず紐づけてください。
どの集計軸・フィルタ・期間・変換時刻モードで得た行かを
説明できない行は、報告しないでください。
2. 変数・イベント・列の名前は、このアカウントに実在すると
確認できたものだけを使ってください。
3. データが分析に足りない場合は、足りないと答えてください。
表を埋めるために行や所見を作らないでください。トラフィックソースごとに、使えるカスタム変数が違うからです。ゾーンIDを持つソースもあれば、パブリッシャーIDしか持たないソースもあります。キャンペーンごとに計測しているコンバージョンイベントも違うので、決まったファネルを前提にしないよう指示するのが要点です。
型1: 前日の悪化を拾う
Voluumの昨日のデータを、直前7日間の平均と比べてください。
- 利益またはコンバージョンが30%以上落ちたキャンペーン
- 費用が[X]ドルを超えたのにコンバージョンが0のキャンペーン
- 費用が不自然に低い、または0のキャンペーン
ワークスペース[W1]だけを対象にし、訪問が100未満のキャンペーンは除いてください。公式サンプルでは、閾値(30%、100訪問)も、ワークスペースの絞り込みも依頼文に入っています。自分の運用の数字に置き換えて使います。
型2: 費用の整合性を点検する
直近7日間のVoluumの費用データを点検してください。
- 訪問があるのに費用が0のキャンペーン
- 1訪問あたりの費用が過去30日の平均の3倍または3分の1のキャンペーン
結果はトラフィックソースごとにまとめてください。トラッカーの費用が欠けると、ROIの判断が崩れます。ここで拾った行は、元の媒体の管理画面で確認します。媒体側の費用を引いてきたい場合は、Supermetricsなどの別コネクタとの併用になります。
型3: 余力のある勝ちパターンを探す
Voluumで、コンバージョン率が上位4分の1か、獲得単価が下位4分の1で、
直近14日の累計費用が下位4分の1のソースやキャンペーンを探してください。
コンバージョンが30件以上あるものに限り、統計的な裏づけが弱いものは除いてください。予算配分の判断は、手元のA/Bテストの結果と合わせると精度が上がります。判定の手順はClaudeにA/Bテストの有意差を検定させる手順で扱っています。Voluumで取った数字を渡す先として使えます。
数字がずれるときの確認点
トラッカーのデータは、集計の前提が違うと簡単にずれます。公式サンプルの注意書きから、確認点を3つに絞ります。
| 確認点 | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| 変換時刻のモード(VISITとCONVERSION) | 何が起きるか後から入るコンバージョンの計上日が変わり、遅れて出る成果が「落ち込み」に見える | 対処1つの比較の中では片方に統一する |
| ワークスペースをまたぐ集計 | 何が起きるかワークスペースごとにKPIや経済性が違うので、合算すると意味を失う | 対処ワークスペースを指定して依頼する |
| ソースごとに違う変数 | 何が起きるか存在しない列を前提に表が作られる | 対処先に使える変数を確認させ、サンプルを数行だけ取らせる |
遅れて入るコンバージョンの扱いは、特に見落としやすい点です。公式サンプルは、時間帯別の分析ではVISIT時刻のモードを使い、一括で入るコンバージョンが時間帯の見え方を歪めないようにすると説明しています。
継続的に見張りたいときと、自動化の限界
「毎朝」「上限に達したら」といった依頼は、1つのプロンプトを1回貼っただけでは1回しか動きません。Voluumのドキュメントも、この点を明記しています。継続して動かすには、使っているAIアシスタントのスケジュール機能や定期実行の仕組みに登録する必要があります。SlackなどへのアラートもVoluumの機能ではなく、そのチャットツールのコネクタをつなげて初めて届きます。
書き込みを伴う例としては、オファーの日次上限に達したらキャンペーンを一時停止し、深夜に再開する依頼が公式サンプルにあります。この種の依頼は書き込みモードが前提です。サンプルは、停止・再開のたびに通知を出させる形にしており、人の目で確認できる状態を残しています。
一方で公式は、避けたほうがよい使い方も挙げています。
- 入札の完全自動変更
- ワークスペースをまたいだ全体最適
- 素材(クリエイティブ)の情報を持たないソースでの、素材単位の提案
入札の自動変更を任せたい誘惑はありますが、ドキュメント自身が「ノイズになりやすい」としています。
データの扱いと責任範囲
Voluumのドキュメントには、プライバシーに関する注意があります。AIアシスタントにVoluumのデータへのアクセスを渡すと、そのAIツールの利用規約の対象になります。データは、各地域のAIベンダーによって分析される可能性があります。Voluumはデータの提供元にすぎず、AIベンダー側の取り扱いについて責任を負わないと書かれています。読み取り・書き込みの設定はいつでも反映されますが、アクセスを許したあとにデータがどうなるかは、利用者とAIベンダーの責任です。
社内にデータの持ち出し規程がある場合は、キャンペーン名やオファー名、費用・収益の数字がAIの会話に載ることを前提に、事前に確認してください。
コネクタのページには、次の注意書きもあります。コネクタは開発元が提供するもので、Anthropicは開発者が公開するツールを管理しておらず、想定どおり動くことや変更されないことを検証できないと説明されています。信頼できる開発元のものだけを使うよう求めています。
よくある質問
Voluumに接続すると、広告媒体側の数字も引けますか
引けるのはVoluumが保持しているデータです。トラフィックソースの費用はVoluum側のコスト連携で入ってくる分に限られ、媒体の管理画面にあるすべての指標は含まれません。媒体の数字を直接取りたいときは、媒体専用のコネクタが向きます。たとえばClaudeとTikTok広告を連携する方法があります。
手動でCSVを書き出す方法との違いは何ですか
CSVを手元に出してから貼り付ける運用は、取得のたびに手作業が入ります。コネクタなら、Claudeが必要なレポートを自分で実行し、結果を会話の中で突き合わせます。手作業を前提にした分析の手順は、Claudeでキャンペーンの効果測定と予算再配分をする手順で扱っています。
ChatGPTやCursorでも同じコネクタを使えますか
Voluumのドキュメントによると、MCPに対応したAIエージェントなら接続できます。Claudeのほか、ChatGPT、Perplexity、Cursor AI、自作のボットが例に挙がっています。接続手順は、それぞれ別のページに分かれています。
まとめ
Voluumコネクタが向くのは、すでにVoluumでキャンペーンを計測していて、レポートの組み立てや日々の悪化チェックを会話に寄せたい場合です。広告媒体側の費用の集約が主目的なら、媒体データを束ねる別のコネクタが近道になります。始めるなら、読み取り専用のまま、前置きの3ルールを付けた分析から。書き込みを有効にするのは、任せたい操作が決まってからです。