ClaudeのAutodesk Fusionコネクタで3D形状を作り、寸法を確かめる
AutodeskのFusionコネクタは、起動中のFusionにClaudeが命令を送る仕組みです。形状を作らせる前に寸法と質量を問い合わせて確かめる進め方と、任せにくい作業の線引きをまとめます。
AutodeskのFusionコネクタを使うと、Claudeが手元で起動中のFusionに命令を送り、3D形状の作成・変更・検査をさせられます。難しいのは接続よりも、できあがった形が頼んだ寸法どおりかをどう確かめるかです。
この記事では、接続の要点を短く押さえたうえで、形状を作らせる頼み方と、寸法・質量を問い合わせて検証する流れを扱います。Autodesk自身が「向かない」とする作業の線引きも載せます。
Fusionコネクタは何をするものか
Fusionコネクタの提供元はAutodeskで、コネクタ一覧では「Anthropic verified」と表示されます。追加されたのは2026年5月です。
ページの説明は「Fusionのジオメトリを作成・変更・検査する」というものです。FusionのMCPサーバーが、起動中のFusionのセッションとClaudeをつなぎます。主な機能は次の4つです。
- 起動中のセッションにコマンドを送り、結果を設計ワークスペースですぐ見る
- 3Dジオメトリ、スケッチ、フィーチャーの作成・変更・検査を自然言語で頼む
- プリミティブの作成、変更の適用、設計データの照会を実行する
- MCPサーバーは手元のマシンで動き、設計データを外へ出さない
利用にはAutodesk Fusionが必要です。ページにも「このサーバーにはAutodesk Fusionが必要」とあります。Fusionを持っていない場合は、30日間の無料体験(フル機能)で試せます。
このコネクタは、スクリプトやアドインと同じFusion APIを使います(Autodeskのブログ、2026年6月29日)。Pythonスクリプトで書けることは、文章で頼めるということです。
Fusionに触れる他のコネクタとの位置づけは、Claude for Creative Workの発表をまとめた記事にあります。SketchUpのように「会話から.skpを作る」型とは違い、Fusionは自分のPCで開いているセッションを直接動かす型です。
接続の準備 — Claude Desktopが前提になる
要件はコネクタのページに3点、手順はAutodeskのブログに載っています。
Fusionコネクタの準備
- 1
FusionでMCPサーバーを有効にする
Fusionを起動し、Preferences、General、APIの順に開きます。「Preferences for Scripting and Programming」のパネルで「Fusion MCP Server」にチェックを入れ、表示されるポート番号を控えます。
- 2
Claude Desktopでコネクタを入れる
Claude Desktopの左サイドバーでCustomizeを開き、Connectorsタブの「+」からディレクトリでFusionを検索して、Autodesk Fusionをインストールします。
- 3
ポートを合わせて有効にする
コネクタを「Enabled」にして「Configure」を押し、Fusion側のポートと一致しているか確かめます。ブログでは既定は27182です。ツールの権限もこの画面で変えられますが、迷ったら既定のままで構いません。
FusionとClaude Desktopの両方が起動している間だけ、Claudeは設計を読み、スクリーンショットを撮り、スクリプトを走らせ、ジオメトリを変えられます。
Claude.aiをブラウザだけで使っている環境では、手元のFusionに届きません。ページがClaude Desktopを要件にしているのはそのためです。違いはデスクトップ接続とWeb接続の使い分けに詳しくあります。
形状を作らせるなら、先に読み取りで試す
新しいプロジェクトでは、まずスクリーンショットとデータの問い合わせから始めるのがAutodeskの勧めです。Claudeが自分のモデルをどう読むかを、何も変えずに見られるからです。
自分の設計を触りたくないときは、練習用のサンプルデータが使えます。FusionのFile、Open Sample Data、Getting Started SamplesにあるComputer Mouseを開き、読み取りの頼み方を試せます。
おすすめの順番を、読み取りから変更へ並べると次のようになります。
段階を踏んで頼む4つの層
1. 読み取りだけ
部品の一覧、各部品の外形寸法、材料の割り当てを聞きます。モデルは変わりません。
2. 画面の取得
標準のビューを名指しして、スクリーンショットを撮らせます。
3. 小さな変更
パラメータの値を変える、部品名を整えるなど、戻しやすい操作です。
4. 形状の作成
押し出し、穴、フィレットのように、形が明確に決まる部品を頼みます。
層が上がるほど、失敗したときの手戻りが大きくなります。上の層で期待どおりに読めていなければ、下の層へ進む前に頼み方を直します。
形状づくりは「定まった形」から
Claudeに作らせやすいのは、ブラケット、取り付けプレート、歯車、締結部品の配置、簡単な筐体のように、形が明確に決まる部品です。得意なフィーチャーは押し出し、穴、フィレット、シェル、パターンです。
一方で、複雑な組立品は現状では任せきれません。単純なパラメトリック形状は作れますが、複雑なCADモデルや組立品全体、量産向けの設計に使えるほどには、まだ信頼できない水準だとされています。
頼み方の型
寸法を後から確かめられるよう、作る前に数値と単位を文章に入れておきます。次の例は、この記事で組んだ頼み方の一例です。
新しいコンポーネント「mount_plate」を作ってください。
- 外形: 幅80mm、奥行き50mm、厚み4mm
- 四隅に直径5mmの貫通穴。穴の中心は各辺から8mm内側
- 角の外側にR3mmのフィレット
作る前に、これから行う操作を一覧で示してください。最後の一行が肝心です。実行前に手順を文字にさせておくと、押し出しの向きや穴の位置の解釈違いを、モデルが変わる前に見つけられます。
作った形を、寸法と質量で確かめる
見た目は合っていても、寸法が数mmずれていることがあります。スクリーンショットだけで判断せず、数値を問い合わせて照合します。
Fusion APIで読める値は、外接ボックス、質量と体積、重心、材料の割り当て、タイムラインのフィーチャーとパラメータ、スケッチの形状、ジョイントの可動範囲、ユーザー定義の式です。
頼んだ数値と読み取った数値を表にさせる
作成の直後に、次のように頼みます。
mount_plate の外接ボックスの寸法と体積を読み取ってください。
頼んだ値(80×50×4mm)との差を表にして、差が0.1mmを超える項目を示してください。外接ボックスの寸法は、形状作成の結果をいちばん手早く検算できる値です。穴や角のフィレットは外接ボックスに影響しないので、そちらは別に確かめます。
検算の手段と分かること
外接ボックスの読み取り
幅・奥行き・厚みが頼んだ値と合っているか。穴やフィレットの有無は分かりません。
パラメータ・スケッチの読み取り
穴の直径や位置、フィレット半径が、入力した値で入っているか。値の場所が分かると直しやすくなります。
質量も使えます。体積と材料が分かれば、質量は計算で出せます。Claudeに出させた質量と、Fusionの検査パネルが示す値を並べれば、材料の割り当て忘れが見つかります。「材料が未割り当ての部品を示して」という頼み方もできます。
画面の確認は、ビューを名指しして
スクリーンショットは「撮って」と頼むだけでは曖昧です。標準のビュー(前・後・上・下・左・右)と4つの等角方向に対応しているので、見たい方向を名指しします。
mount_plate を、上面ビューと右側面ビューで撮ってください。
穴の位置が寸法どおりか、画像でも見たいです。数値で確かめた後に画像を見る順番にすると、見落としが減ります。
変更を伴う作業の前に
落とし穴
変更用のスクリプトを走らせる前に保存しない
コネクタは取り消しに対応していますが、ジオメトリやプロパティを変える操作の前には保存しておきます。保存は安価な保険です。
条件分岐のある作業は、基本の問い合わせを重ねるより、Claudeに絞り込みのスクリプトを書かせて走らせるほうが確実です。たとえば「ボディが50を超える部品だけ撮る」といった頼み方です。
一括処理に向く仕事
形状を作る用途よりも、反復作業のほうに強みがある、というのがAutodeskの見立てです。使い方は次のとおりです。
- 検査とレポート: 全部品の質量、材料の未割り当ての洗い出し
- 一括編集: コンポーネント名の付け替え、材料の入れ替え、ユーザーパラメータの更新
- 書き出し: STL・STEP・F3Dを一定の命名規則でまとめて出力
- APIの調べもの: Fusionのヘルプを探し、動くPythonの断片を返す
設計レビューの資料づくりでは、部品ごとの画像と質量・材料をまとめて取り、スライドに貼れる形で返してもらえます。手作業で1時間ほどかかる作業が数分になるそうです。
製造方法と単価の見積もりも頼めます。モデルのデータに一般的な工学知識を組み合わせ、射出成形(樹脂の外装)やダイカスト・プレス(内部のブラケット)といった工程候補と、おおよその単価を出させる使い方です。推定値なので、実際の見積もりや工程設計は別に確かめます。
任せにくい作業
Autodeskは、次の用途を向かないとしています。
- 複雑で量産に使える水準のCADモデルを、ゼロから作らせること
- 精度が厳しい大規模な組立品の扱い
- エンジニアの判断や検証工程の置き換え
構造や強度に関わる部品は、Claudeの出力をそのまま製造に回さず、Fusion側の検査で必ず確かめる前提で使います。
動かないとき
つながらないときの切り分け
- QFusionとClaude Desktopは、どちらも起動していますか?答えがいいえのとき答えがはい
どちらも立ち上げ直します。MCPサーバーは起動中のFusionの中で動くためです。
- QFusionのPreferencesで「Fusion MCP Server」にチェックが入っていますか?答えがいいえのとき答えがはい
Preferences、General、APIの順に開いて有効にします。
- Qコネクタの設定画面のポートは、Fusion側と同じですか?答えがいいえのとき答えがはい
Fusionに表示されたポート番号に合わせます。ブログの既定値は27182です。
それでも駄目なとき
コネクタページに載っている「Documentation」と「Support」のリンクから、Autodesk側の案内を見ます。
まとめ
Fusionコネクタの使いどころは、形状をゼロから出させることより、既存の設計を読んで検算し、反復作業を減らすことにあります。
形を作らせる場合も、単位つきの寸法を書き、外接ボックスとパラメータを読み取って頼んだ値と照合する流れにしておくと、ずれに早く気づけます。コード側でSTEPの寸法を確かめる方法はCadQueryの寸法アサーションにあります。Fusionを持たない場合は、会話から.skpを作るSketchUpコネクタが別の入口になります。