Claude Codeの/team-onboarding — 利用履歴からチーム引き継ぎガイドを生成する
/team-onboardingが直近30日の利用履歴からチーム引き継ぎガイドを作る仕組み、Pro/Max/Team/Enterprise限定の共有リンク、cleanupPeriodDaysとの関係をまとめます。
/team-onboardingコマンドとは何か
/team-onboardingは、自分のClaude Code利用履歴から新しいチームメイト向けの引き継ぎガイドを生成するコマンドです。直近のセッション・実行したコマンド・呼び出したMCPサーバーの使用実績を材料に、テキストのガイドを1本にまとめます。生成されたガイドはMarkdown形式で出力され、新しいメンバーはClaude Codeを開いて最初のメッセージとして貼り付けるだけで、そのプロジェクト特有のセットアップを再現できます。
/team-onboardingClaude Code v2.1.101(2026年4月10日)で追加されたコマンドです。公式の紹介文は「自分がよく知っているプロジェクトで実行し、出力を新しいチームメイトに渡す」ことを勧めています。使い込んだリポジトリほど履歴に残る操作の密度が高く、ガイドの内容も具体的になります。同じv2.1.101では、企業のTLSプロキシ環境でOSの証明書ストアを既定で信頼する変更や、長尺セッションの--resume・--continueまわりの安定化も入りました。/team-onboardingは、個人利用からチーム・組織利用へ軸足を移す一連の変更の一部として追加されたコマンドです。
ガイドの材料になるのは直近30日分の利用履歴
/team-onboardingが読むのは、過去30日間のセッション・コマンド・MCPサーバーの使用実績です。始めたばかりのプロジェクトや、しばらく触っていなかったリポジトリで実行すると、材料そのものが少なく、ガイドの内容も薄くなります。
この30日という窓は、Claude Codeがセッション履歴をローカルに保持する既定の期間と重なります。セッションのトランスクリプトはcleanupPeriodDays(既定30日)を過ぎると削除され、この値はsettings.jsonで変更できます。設定できる下限は1日で、0はバリデーションエラーになり指定できません。cleanupPeriodDaysを短く設定している環境では、参照できる材料が減る可能性はありますが、/team-onboardingがローカルのトランスクリプトを直接読んでいるかは公式には明記されていないため、断定はできません。値の変え方はClaude Code cleanupPeriodDaysでデータの保持期間を変えるにまとめています。
MCPサーバーの使用実績が材料に含まれるのも根拠のない話ではありません。Claude Codeは/usageのアトリビューション欄で、直近の使用量がどのMCPサーバーにどれだけ帰属するかをもともと記録しています。/team-onboardingがMCPサーバーの利用実績をガイドに反映できるのは、こうした利用実績データが下敷きにあるためと見られます。プロジェクトで日常的に呼び出しているMCPサーバーほど、ガイドの中で言及されやすくなる理屈です。
ガイドは実行するたびに、その時点の直近30日間の履歴から新しく生成されます。数か月前に一度実行した結果をそのまま使い回すより、新しいメンバーを迎える直前に改めて実行し直したほうが、直近の作業実態を反映したガイドになります。
出力は2種類 — 貼り付け用Markdownと共有リンク
/team-onboardingが返すものは、契約しているプランによって変わります。
| 利用形態 | 得られるもの |
|---|---|
| すべての利用者 | 得られるもの新しいメンバーがClaude Codeに最初のメッセージとして貼り付けられるMarkdown形式のガイド |
| claude.aiのPro・Max・Team・Enterpriseサブスクリプション | 得られるもの上記に加えて、チームメイトがClaude Codeで直接開ける共有リンク |
貼り付け用のMarkdownはどの利用形態でも得られる基本の出力です。共有リンクは、claude.aiのサブスクリプションを持つ利用者だけに追加で発行されます。新しいメンバーはリンクを開くだけでよく、ガイドの中身をコピー&ペーストする手間が要りません。チームの人数が多いほど、この差は運用のしやすさに直結します。
Markdown形式のガイドを渡す場合、新しいメンバーはその内容をコピーし、Claude Codeを開いて最初のメッセージ欄に貼り付けて送信するだけです。ガイドの中身は利用履歴から生成された自然文なので、貼り付けた直後からそのプロジェクトの文脈を踏まえたやり取りが始まります。デフォルトのまま何も渡さずにセッションを始める場合と違い、既存メンバーがどのコマンドを多用し、どのMCPサーバーを頼りにしてきたかという情報が最初から会話に載っている状態になります。
誰が、いつ実行するのが効果的か
ガイドを作るのは、新しく入るメンバー本人ではなく、すでにそのプロジェクトで作業している既存メンバーです。「自分がよく知っているプロジェクトで実行し、出力を新しいチームメイトに渡す」という使い方が想定されているためで、自分の利用履歴が材料になる以上、実行者がそのプロジェクトをどれだけ使い込んでいるかがガイドの厚みを左右します。
タイミングとしては、新しいメンバーの参加が決まった直後、本人がまだ加わっていない段階で実行しておくのが無理のない流れです。複数人がそのプロジェクトに深く関わっている場合は、直近でもっとも活発に作業していたメンバーが実行すると、ガイドの密度が上がります。1人だけの利用履歴に閉じたコマンドなので、複数人分の履歴を合成する機能はありません。
複数のリポジトリを横断して開発しているチームでは、リポジトリごとに/team-onboardingを実行し直す必要があります。あるプロジェクトで得た利用履歴が、別のリポジトリのセットアップ手順にそのまま流用されるわけではないためです。新しいメンバーが複数のプロジェクトに関わる場合は、主要なプロジェクトそれぞれでガイドを作り、まとめて渡すほうが実態に近い引き継ぎになります。
似た名前のコマンド・記事との違い
/team-onboardingという名前から連想する機能はいくつかありますが、扱う対象はそれぞれ別物です。
/powerupは、Claude Code自体の新機能をアニメーション付きの対話レッスンで学ぶコマンドです。学ぶ対象は製品の機能で、プロジェクトには依存しません。一方/team-onboardingが扱うのは「このプロジェクト特有のセットアップ」で、対象がプロジェクト側にあります。両者の切り分けはClaude Codeの/powerupコマンドでインタラクティブに新機能を学ぶで詳しく扱っています。
/insightsも自分の利用履歴を分析するコマンドですが、目的が違います。Claude Codeの/insightsが書き出すのは自分自身の作業パターンを振り返るためのHTMLレポートで、他人に渡す前提の出力ではありません。/team-onboardingは最初からチームメイトに渡すことを前提にした、共有可能なMarkdownと共有リンクを返します。
claude.aiのProjectsとGoogle Workspace連携で新入社員の初週ガイドを作る用途とも混同しやすいところです。新人オンボーディングガイドをClaudeで自動生成する手順が扱うのは、勤怠・オフィス案内・チーム紹介のような人事側の初週ガイドで、対象は新入社員の会社生活です。/team-onboardingが対象にするのは開発環境のセットアップそのもので、渡す相手も人事担当者ではなく開発チームです。同じ「オンボーディング」という言葉でも、扱う情報の種類はまったく違います。
プロジェクト設定の共有と何が違うか
.claude/配下の設定(CLAUDE.md・settings.json・commands・agents・skills)をリポジトリにコミットしておく運用も、チームで同じClaude Code環境を再現する手段としてよく使われます。Claude Codeワークフローで扱っているこの方法は、設定ファイルそのものを共有する静的な仕組みです。/team-onboardingが生成するガイドはこれとは別の性質を持ちます。設定ファイルの中身をそのまま並べるのではなく、実際にどう使われてきたかという利用実績を文章としてまとめる動的な仕組みです。
両者は競合するものではなく、組み合わせて使うものと捉えるほうが実情に近いといえます。設定ファイルの共有で「同じ環境」を用意し、/team-onboardingのガイドで「その環境をどう使えばいいか」を伝える、という役割分担です。git管理された.claude/があれば、新メンバーはリポジトリをクローンした直後から同じ設定で動けます。ただしそれだけでは「どのコマンドをよく使うか」「どのMCPサーバーが実務で効くか」までは伝わりません。そこを埋めるのが利用実績ベースのガイドです。
よくあるつまずき
実行したプロジェクトでの利用履歴が浅いと、ガイドの内容も一般的な説明に留まりがちです。導入直後のプロジェクトでいきなり実行するより、ある程度の期間実際に使ってから実行したほうが、具体的な内容になります。
共有リンクが出てこない場合は、実行しているアカウントの契約プランを確認します。claude.aiのPro・Max・Team・Enterpriseいずれのサブスクリプションでもない場合、共有リンクは付与されず、Markdown形式のガイドだけが返ります。
cleanupPeriodDaysを短縮している環境では、想定より古い履歴がすでに削除されている場合があります。ガイドの内容が薄いと感じたら、まずこの設定値を確認してください。
まとめ
/team-onboardingは、自分のClaude Code利用履歴から新しいメンバー向けの引き継ぎガイドを生成するコマンドです。材料になるのは直近30日分のセッション・コマンド・MCPサーバーの使用実績で、cleanupPeriodDaysを短く設定している環境では参照できる材料が減る可能性があります(ただしコマンドがローカルのトランスクリプトを直接読むかは公式には明記されていません)。出力はどの利用形態でも得られるMarkdownのガイドに加えて、claude.aiのPro・Max・Team・Enterpriseサブスクリプションでは共有リンクも得られます。設定ファイルの共有(.claude/配下のコミット)と組み合わせ、新しいメンバーが加わる直前に実行しておくのが実務的な使い方です。