ClaudeとDescrybeを連携する方法 — 米国判例の検索と引用確認
Descrybe Legal EngineをClaudeのConnectorとして追加すると、米国の判例・法令の検索、引用の突合、引用文の照合を会話から呼べます。接続手順、13のツール、渡るデータの範囲をまとめます。
Claude Descrybe連携とは — 米国の一次法をClaudeの会話から引く仕組み
Claude Descrybe連携は、米国の法律調査サービスDescrybe Legal Engineを、ClaudeのConnectorとして接続する仕組みです。Connectorsディレクトリでは「Anthropic verified」の表示つきで、カテゴリは「Legal」と「Productivity」、2026年5月に追加されています。サインインは必須で、コネクタURLは https://mcp.descrybe.com/mcp です。
Descrybeが扱うのは、判例や法令といった一次法です。ClaudeにConnectorを足すと、質問から必要な調査をClaudeが切り出し、Descrybeの13のツールを順に呼んで、出典つきの材料を集めます。回答の文章を書くのはClaude、法の側の材料を用意するのがDescrybeという分担です。
対象は米国法です。ディレクトリの説明も「米国の一次法」と書いており、日本の裁判例や日本法の条文を引く用途には向きません。日本の裁判例の実在確認はClaudeが挙げた判例の実在確認の手順が受け皿です。
法務系のConnectorでも、つなぐ先の性質は違います。法務AIそのものを呼ぶ連携はClaudeとHarveyの連携にあります。Descrybeは、AIの回答ではなく、判例と法令の原データを返す側です。
接続の前に確認すること
接続ボタンを押す前に、次の3点を押さえておくと手戻りが減ります。
- Descrybeの契約: Legal Engineは月額の購読制で、料金ページでは月額25ドル、初月は12.50ドルと案内されています。Claudeを含む対応アシスタントで共通の1契約です
- アカウントでのサインイン: Google、Microsoft、メールのいずれかでDescrybeのアカウントを作り、そのアカウントでConnectorを認証します
- Claude側のプラン: ディレクトリ掲載のConnectorなので、Team・Enterpriseでは組織のOwnerが先に追加します
AI利用料は別にかかりません。回答を書くのはアシスタント側なので、質問ごとの課金や追加料金は発生しません。Claude側の利用枠は、通常どおりClaudeのプランで消費されます。
Claudeで接続する手順
接続は、ディレクトリからの追加が基本の経路です。所要時間は1分もかからないとされています。
Descrybeを追加して会話で使えるようにする
- 1
Descrybeのアカウントで購読する
Descrybeの接続ページで、Google・Microsoft・メールのいずれかでアカウントを作り、Legal Engineを購読します。
- 2
ClaudeのConnectorsでDescrybeを探す
Claudeの設定でConnectorsを開き、ディレクトリで「Descrybe」を検索して追加します。
- 3
Descrybeのアカウントで認証する
ブラウザで認証画面が開きます。購読したアカウントでサインインします。
- 4
会話でオンにする
チャットのConnectorsからDescrybeをオンにします。以後、判例や法令を尋ねる依頼で13のツールが呼ばれます。
Team・Enterpriseプランでは、Ownerが組織にConnectorを追加したあと、各メンバーが自分で接続して有効にします。接続は個人ごとなので、Claudeが触れるのはそのユーザーが使える範囲です。ただし共有の認証情報(APIキーなど)を使うConnectorでは、使う全員がその権限を持ちます。
Claude Codeで接続する場合
Descrybeの接続ページは、対応先に「Claude.ai、Claude Desktop、Claude Code」を並べています。Claude Code向けの個別手順は載っていないため、リモートHTTPサーバーを足す標準のコマンドでURLだけ置き換えます。
claude mcp add --transport http descrybe \
https://mcp.descrybe.com/mcp追加後はClaude Code内で /mcp を開き、認証を進めます。認証に使うのは、購読したDescrybeのアカウントです。Claude Code全体の使い方はClaude Codeの全体像にまとめています。
13のツールと、調査の流れでの使い分け
ディレクトリに載るツールは13個です。名前と役割を、調査の流れの順に並べます。
| 段階 | ツール名 | 役割 |
|---|---|---|
| 準備 | ツール名analyze_legal_question | 役割調査を始める情報が足りるか判断し、足りなければ質問を返す |
| 探す | ツール名search_cases_by_concept | 役割争点・規範・事実関係から判例を探す |
| 探す | ツール名search_case_text | 役割引用文や用語の正確な文言で判決文を探す |
| 探す | ツール名search_laws_and_rules | 役割制定法・規則・憲法条項を主題や引用で探す |
| 特定 | ツール名find_case_from_reference | 役割引用、事件名、事件番号、略式引用から事件を特定する |
| 特定 | ツール名extract_case_references | 役割貼った文章から引用されている判例を抜き出す |
| 読む | ツール名get_case_summary | 役割既知の判例の要約と分析を返す |
| 読む | ツール名get_case_passages | 役割既知の判例から関連する本文の箇所を抜き出す |
| 読む | ツール名get_case_details | 役割事件名、裁判所、日付、要約、意見の一覧、後続の扱いをまとめて返す |
| 確かめる | ツール名check_case_status | 役割後続判例がその先例をどう扱っているかを、肯定・否定・注意・中立の信号で示す |
| 確かめる | ツール名find_cases_that_cite | 役割その判例を引用する新しい判例を探す |
| 確かめる | ツール名verify_quote | 役割引用された文言がその判例にあるかを照合し、箇所を示す |
| 原本 | ツール名get_case_pdf | 役割判決のPDFを取得する |
特徴は、判決の全文を丸ごと返さない点です。要約、関連箇所、後続判例の扱いの信号が返るので、Claudeが全文を読んで順位づけする手間とコンテキストの消費が減ります。並び順は、語句の一致度だけでなく先例としての強さも考慮されます。
「探す」で終わらせず「確かめる」まで依頼に書く
ツールの組み合わせはClaudeが選びますが、依頼文に確認の段階まで書いておくと、検索結果の鵜呑みを防げます。次は、依頼文の例です。
マサチューセッツ州で、障害差別の社内申告後に解雇された場合の
報復に関する判例を調べてください。
1. 概念検索で候補の判例を挙げる
2. 上位の判例ごとに check_case_status で後続の扱いを確認する
3. 結論に使う引用文は verify_quote で判例中の実在を照合する
4. 各判例について、裁判所・年・引用・確認の結果を表にするDescrybeの接続ページが例示する流れも同じ形です。管轄、争点、事実、概念を質問から取り出し、判例検索、法令検索、扱いの確認と該当箇所の取得を依頼に分けて進めます。Claudeが最後に回答を組み立て、判例・法令・扱い・本文の箇所を人間が確認できる形で添えます。
結果の表を人間が読む前提にしておくことが肝心です。verify_quote の照合で一致しなかった引用文は、回答から外すか、原本のPDFで確かめます。
渡るデータの範囲と、法務で使うときの注意
会話全体は渡りません。Claudeが質問を、法的概念、管轄、引用、引用文、事件の参照といった具体的な調査入力に変え、その個別の要求と、アカウント確認に必要な認可情報だけがDescrybeに届きます。無関係なチャット履歴やアシスタントのアカウント情報は届きません。
それでも、依頼文に依頼者の氏名や機密事実を書けば、その文章はClaudeの会話の中にあります。Descrybeに何が届くかとは別の話として、Claude側のデータの扱いを決めておく必要があります。秘匿特権や守秘の構成はClaudeを法務で使うときの秘匿特権と守秘で扱っています。
もう1点は、法律業務の線引きです。Descrybeが返すのは調査の材料で、法的助言ではありません。日本の弁護士法との関係は弁護士法72条とAIの契約書レビューに整理があります。米国法の調査を米国の資格者が使う場合と、日本で非弁行為にならない範囲は、前提が異なります。
Connectorsのディレクトリには、信頼できる開発者のConnectorだけを使うよう注意書きがあります。Anthropicは各開発者のツールを管理しておらず、意図どおり動くことや後から変わらないことは確認できない、という趣旨です。
接続できない・使えないときの切り分け
Descrybeの接続ページには、エラー文言の一覧が載っていません。接続の仕組みから、確かめる順番を組みます。
Descrybeのツールが呼ばれないときの順番
- QDescrybeのアカウントで購読は有効か答えが接続ページで購読を済ませ、同じアカウントで認証し直す。
ConnectorsでDescrybeを切断して接続し直します。認証は購読したアカウントで行います。
認証後もツールが空振りするときは、Descrybeのサポートにアカウントの状態を尋ねるのが確実です。
ディレクトリの「Sign-in: Required」は、Claudeのアカウントとは別にDescrybeのサインインが要るという意味です。Claudeのログインだけで使えるわけではありません。
米国法の調査に限った使い分け
向く場面は、争点から判例の候補を絞る調査、メモに書かれた引用の実在確認、引用文の照合、ある先例が後続判例で否定されていないかの確認です。逆に、Claude単体の知識から判例を挙げさせる使い方は、実在しない判例を作り出す危険があります。Connectorは、その確認の手段として置くと価値が出ます。
なお、Descrybeの接続ページには、収録する管轄の一覧と判例の収録期間の説明がありません。調べたい州や連邦の判例が入っているかは、契約前にDescrybeの対応範囲のページで確かめてください。