ClaudeとDualEntryを連携する方法 — 会計データの検索から仕訳作成まで
DualEntryのコネクタをClaudeにつなぐ手順と、DualEntryのロールで決まる権限、書き込みツールが確認なしで確定する点、Team・Enterpriseでの承認の流れをまとめます。
DualEntryのコネクタは、クラウド会計のDualEntryにある仕訳・請求書・取引先・固定資産・収益認識契約を、Claudeの会話から検索し、作成まで進められるようにします。接続はOAuth 2.1のブラウザサインインで、APIキーは使いません。Claudeが触れる範囲は、サインインした本人のDualEntryロールで決まります。
注意したいのは、書き込み系のツールに下書き段階も確認画面も無い点です。この記事では、接続手順に加えて、権限の見方、書き込み前に挟む確認の入れ方、つまずきの切り分けを扱います。
接続前に揃えるもの
必要なのは次の2つです。
- コネクタを使えるClaudeのプラン(Pro、Max、Team、Enterprise)。Freeプランはディレクトリからも、カスタムコネクタとしても追加できません
- 日常的に使っているDualEntryのログイン情報。APIキーの発行やDualEntryへの申請は要りません
コネクタ一覧の画面には、提供元がDualEntryであること、サインインが必要なこと、コネクタURLが https://api.dualentry.com/mcp であることが載っています。一覧には「Anthropic verified」の表示があります。DualEntry側のドキュメントではURLの末尾にスラッシュが付いた https://api.dualentry.com/mcp/ で、トランスポートはStreamable HTTPです。手動で登録するときは、DualEntryのドキュメントの表記に合わせてください。
ディレクトリから接続する手順
Claudeのウェブ版・デスクトップ版・モバイル版で手順は共通です。
ディレクトリからDualEntryを接続する流れ
- 1
コネクタ画面を開く
ClaudeでCustomize > Connectorsを開きます。古いSettings > Connectorsの入口もここに転送されます。
- 2
ディレクトリを検索する
Add、Browse connectorsの順に選び、「DualEntry」で検索します。DualEntryのロゴと認証バッジが付いた掲載を選びます。組織が自前で追加したカスタムコネクタが同じ検索結果に混ざることがあります。
- 3
サインインして承認する
Connectを選ぶとブラウザが開きます。DualEntryの認証情報でサインインし、アクセス要求を承認します。
- 4
接続状態を確かめる
Customize > Connectorsに戻り、DualEntryがConnectedになっていれば完了です。会話内の + ボタンからConnectors、Manage connectorsの順でも同じ画面に着きます。
Team・Enterpriseでは承認と接続が別になる
TeamとEnterpriseでは、組織への追加と個人の接続が別の操作です。
- OwnerまたはPrimary OwnerがOrganization settings > Connectorsを開く
- 画面下のBrowse connectorsからDualEntryを選び、Add to your teamを押す
- 各メンバーが、上の手順で自分のアカウントを接続する
追加の権限を持つのはOwnerとPrimary Ownerで、Adminロールには含まれません。権限のないメンバーがディレクトリで見るのはRequestボタンです。押すと依頼がOwnerに届き、Owner側のRequested by your teamに並びます。
組織への追加は、誰かにデータへのアクセスを与える操作ではありません。メンバーは自分のDualEntryアカウントでそれぞれサインインし、同僚のセッションを引き継ぐことも、自分のロールを超えて見ることもありません。Enterpriseで、IDプロバイダー経由の付与に切り替えたいOwnerは、コネクタのConfigurationタブにある管理型の認可を使えます。
ディレクトリのコネクタを禁止し、カスタムコネクタだけ許している組織では、Ownerが https://api.dualentry.com/mcp/ をカスタムコネクタとして追加できます。メンバー側の接続手順は、ディレクトリ経由と同じです。カスタムコネクタ全般の考え方はClaudeのコネクタとはにまとめています。
Claude Codeから追加する
Claude Codeでは、リモートMCPサーバーとしてターミナルから登録します。
claude mcp add --transport http dualentry https://api.dualentry.com/mcp/DualEntryのツールを初めて使うときにブラウザが開き、サインインを求められます。管理設定でプラグイン以外のMCP追加を止めている環境では、このコマンドが失敗します。原因と対処はclaude mcp addが失敗する理由を参照してください。
本当に使えているかを確かめる
「Connected」の表示は、ツールが会話に届いている証拠にはなりません。台帳にしかない質問を投げて、実データが返るかを見ます。DualEntryのドキュメントが挙げる例は次のとおりです。
先月の5,000ドルを超える請求書をすべて見せて実データが返れば接続できています。一般論で答えたり、DualEntryには触れられないと言われたりしたら、Customize > Connectorsで「追加済み」ではなく「接続済み」になっているかを確かめます。「DualEntryでどのツールが使える?」と尋ねる方法もあります。
返ってくるものの意味は、次のように読み分けられます。
| Claudeの反応 | 示すこと |
|---|---|
| ツール一覧が空 | 示すこと接続の問題。接続済みなら、ロールが許す読み取りツールは最低限見えるはず |
Missing permission: で始まるメッセージ | 示すことDualEntryに届いたうえで、ロールが拒否された。権限の問題 |
| 会社やレコードが想定より少ない | 示すこと会社単位のアクセス制限が効いている |
ツールの範囲と、必要な権限
DualEntryのドキュメントのリファレンス表は15個のツールを扱い、領域ごとに分かれています。
| 領域 | ツール | できること |
|---|---|---|
| レコード検索 | ツールsearch_records ほか4つ | できること種類・取引先・期間・金額で検索し、詳細・番号(JE-123 など)・監査履歴・関連レコードを引く |
| 取引先・勘定 | ツールsearch_entities / list_companies / save_entity | できること取引先、顧客、勘定科目、会社、品目、分類、支払条件、所有者情報の検索と新規作成 |
| 書き込み | ツールsave_record | できること請求書や仕訳などの会計レコードを作成 |
| 収益認識 | ツールget_contract_detail / preview_contract_schedule / create_contract | できること契約と認識スケジュールの参照、プレビュー、契約の作成 |
| 固定資産 | ツールpreview_fixed_asset_schedule / create_fixed_asset | できること償却スケジュールのプレビューと資産の作成 |
| 銀行照合 | ツールlist_bank_match_suggestions | できること銀行明細行に対する照合候補の取得 |
search_records は結果ごとに transaction_id を返し、詳細・履歴・関連レコードのツールはこの値を受け取ります。ページ送りは offset と limit で行い、total_available と returned_count が返ります。
ディレクトリの表示は30個、リファレンス表は15個
ここは数が食い違います。Claudeのディレクトリのページは、ツールが30個あると表示し、24個の名前を見せています。create_bank_match、delete_fixed_asset、patch_fixed_asset、get_depreciation_book、list_bank_transactions などは、DualEntryのリファレンス表にありません。
その結果、これらのツールがどのロール権限で止まるかは、権限の表から読み取れません。固定資産の削除や変更、銀行照合の作成のように会計データを書き換えるツールが含まれるので、利用を広げる前にDualEntryの管理者へ、どのロールで何ができるかを確かめるのが安全です。
権限は、ツール単位ではなくレコードの種類・エンティティの種類単位で判定されます。同じツールでも、ある種類では成功し、別の種類では失敗することがあります。
| 必要な権限 | 対象 |
|---|---|
| レコード種別のView | 対象search_records、get_record_detail など参照系の5つ |
| レコード種別のCreate | 対象save_record |
| エンティティ種別のView / Create | 対象search_entities / save_entity |
| CompaniesのView | 対象list_companies |
| Bank MatchのView | 対象list_bank_match_suggestions |
| Revenue RecognitionのView / Create | 対象契約の参照・プレビュー / create_contract |
| Fixed AssetsのView / Create | 対象償却プレビュー / create_fixed_asset |
権限が足りないと、ツールは Missing permission: で始まるメッセージを返し、必要な権限名を示します。作成系ツールがこの検査で失敗したときは、何も書き込まれません。権限とは別に、収益認識など一部の機能は組織側でサブスクリプションが有効でないと、権限ではなく契約のエラーが返ります。
書き込みは確認なしで確定する
DualEntryのドキュメントは、次の警告を繰り返し出しています。save_record、save_entity、create_contract、create_fixed_asset は、Claudeが呼んだ時点で確定し、下書きも確認プロンプトもありません。
落とし穴
「投稿して」の一言が取り消せない指示になる
Claudeが計算と勘定の検索を終えた直後に「投稿して」と伝えると、そのまま台帳に入ります。事前に「まだ投稿しないで。勘定名・勘定ID・借方・貸方・メモを表で見せて」と頼んでおけば、確定前に数字を見直せます。
収益認識と固定資産には、確定しないプレビューがあります。preview_contract_schedule は create_contract と同じ入力を受け取り、認識スケジュールだけを計算します。preview_fixed_asset_schedule も同様に償却スケジュールを返します。契約は期間全体の認識を左右し、償却スケジュールは転記が進んだ後に直すのが面倒なので、先にプレビューを通す運用が筋です。
期末の未払計上で見る運用の型
DualEntryの手順ページは、契約者の工数エクスポートから未払計上を作り、save_record で仕訳を投稿する流れを5段階で示しています。型として参考になる部分だけ抜き出します。
- 元データを渡すときに「部門別の合計と総合計を先に見せて。他の操作はしないで」と添える
- 勘定と会社のIDをClaudeに検索させる。同名の勘定が複数あるときは、Claudeに推測で選ばせず、使う勘定番号をこちらで指定する
- 投稿前に仕訳を表で出させ、貸借の一致、借方・貸方の向き、勘定ID、日付を確かめる
- 戻し日を付けて投稿すると、翌期初の戻し仕訳が同じ操作で入る
- 投稿後に
get_record_detailで読み戻し、戻し仕訳は戻し日で検索して確かめる
手順ページが強調する落とし穴が3つあります。
- 保存結果の
record_numberは画面に出る番号ではない。get_record_by_numberに渡すと別の仕訳に当たることがあり、画面表示のJE-495642のような形を渡す get_record_detailには戻し仕訳が現れない。見当たらないからと手で戻しを入れると、二重に戻る- 投稿直後は検索の索引が追いつかず、番号検索で別の仕訳が出ることがある
確認を挟みたい場合は、DualEntryの中のAccounting Intelligenceで仕訳案を作る方法もあります。こちらは転記前にプレビューが入ります。
つまずきの切り分け
| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 検索にDualEntryが出ない | 原因と対処TeamまたはEnterpriseで、Ownerが未追加。Requestを押すか、Ownerに追加を頼む |
| Addにディレクトリの入口がない | 原因と対処Freeプラン。Pro以上が必要 |
| サインイン画面が開かない | 原因と対処ブラウザのポップアップブロック、またはデスクトップアプリが古い。許可して更新し、Connectをやり直す |
| 接続済みなのにDualEntryに触れないと言う | 原因と対処組織に追加しただけで自分は未認証。Customize > ConnectorsでConnectを押す |
| 昨日は動いたのに今日は失敗 | 原因と対処セッションの期限切れか失効。Customize > Connectorsから再接続する |
| 権限を変えたのに反映されない | 原因と対処DualEntryからサインアウトして入り直す |
| サンドボックスで試した後、本番開始から使えない | 原因と対処本番移行で別のDualEntry組織が作られる場合がある。組織名やIDが変わっていれば、本番の認証情報で再接続する |
| 収益認識や固定資産のツールが契約エラーを返す | 原因と対処組織でその機能が有効でない。アカウント担当に相談する |
導入の前に決めておくこと
会計データの書き込みを任せる前に、決めておきたい点が3つあります。
- 読み取りだけの運用から始めるなら、DualEntry側で参照系のロールを持つユーザーに接続させる。Claude側のスイッチで書き込みを塞ぐ手段は、DualEntryのドキュメントにありません
- 作成系ツールを使う人には、投稿前に表で見せるプロンプトを定型文として配る
- ディレクトリの表示とリファレンス表で数が合わないツールは、ロール設計の対象に含めて確認する
接続先が会計・決済系でも、仕組みは他のコネクタと同じです。読み取り専用で調査を任せる使い方はCheckout.comの連携、書き込み権限をどう管理するかはDataGrailの連携が参考になります。
よくある質問
DualEntryの料金や別のライセンスは必要か
コネクタのページにもDualEntryのドキュメントにも、MCP利用のための追加料金の記載はありません。ただし、収益認識や固定資産などの機能は、組織のサブスクリプションで有効になっている必要があります。
Claude以外のクライアントでも使えるか
同じサーバーにCursor、VS Code、Codexなどが接続できます。どのクライアントでも、同じツールと同じ権限になります。