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エステの契約書面と中途解約の精算額をClaudeで点検する手順

エステの契約書面と中途解約の精算額をClaudeで点検する手順

エステの契約が特定継続的役務提供に当たる条件(1か月超・5万円超)、書面の記載事項、クーリング・オフと中途解約の上限額を整理し、契約書をProjectsで点検させる手順を示します。

エステの契約は「1か月超」かつ「5万円超」で特定継続的役務の提供になる

エステの契約書面を点検するときは、先に契約が特定商取引法の「特定継続的役務の提供」に当たるかを判定します。当たらなければ、書面の記載事項も中途解約の上限額も法律では縛られません。

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、対象はエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つの役務です。エステティックの条件は次の2つです。

  • 契約期間が1か月を超える
  • 契約金額が5万円を超える

金額は施術料だけではありません。入学金、受講料、教材費、関連商品の販売を含む契約金の総額で見ます。1回きりの体験コースは期間の条件を満たさず、対象外です。

数字

エステの対象条件と法定の期間

  • 契約期間

    1か月超

    エステティックの場合

  • 契約金額

    5万円超

    関連商品を含む総額

  • クーリング・オフ

    8日

    契約書面の受領日から

消費者庁の特定商取引法ガイドより

この判定表をClaudeに作らせるのが、本記事の第1段階です。通信販売の広告表示は別の条文なので、通信販売の表示義務の点検とは分けて考えます。

適用されないケースもある

法第50条は、適用除外を挙げています。営業のため、または営業として締結する契約、海外にいる人への役務提供、国や地方公共団体が行うもの、事業者が従業員に行うものなどです。サロンが自社スタッフに施術する場合や、事業者どうしの取引は点検の対象から外れます。

契約書面は2種類あり、記載事項が違う

法第42条は、2つの書面を求めています。契約の前に渡す概要書面と、契約後に遅滞なく渡す契約書面です。

項目概要書面契約書面
渡す時期概要書面契約の締結前契約書面契約の締結後、遅滞なく
事業者の氏名・住所・電話番号概要書面あり契約書面あり
役務の内容概要書面あり契約書面あり
対価と支払時期・方法概要書面概算額契約書面金額そのもの
提供期間概要書面あり契約書面あり
クーリング・オフ、中途解約概要書面あり契約書面あり
割賦販売法の抗弁権の接続概要書面あり契約書面あり
前受金の保全概要書面あり契約書面保全措置の有無と内容
契約を担当した者の氏名概要書面なし契約書面あり
契約の締結年月日概要書面なし契約書面あり
必要な商品の種類・数量概要書面あり契約書面あり
商品の販売業者の氏名・住所概要書面なし契約書面あり

契約書面にはさらに形式の決まりがあります。書面をよく読むべきことと、クーリング・オフの事項は、赤枠の中に赤字で書きます。文字と数字の大きさは8ポイント以上です。

概要書面と契約書面を分けて貼り、足りない項目を探させるのが第2段階です。形式(赤枠・赤字・8ポイント)は、テキストに起こした契約書からは判定できません。PDFの見た目を人が確かめる項目として、チェック表に残します。

同じ書面の考え方は、訪問販売を扱ったクーリング・オフ書面の記載事項の点検にもあります。特定継続的役務の提供は条文が別で、記載事項の一覧も違います。

クーリング・オフと中途解約は、期間で使う条文が変わる

契約書面を受け取った日から8日以内なら、消費者は書面または電磁的記録でクーリング・オフ(法第48条)ができます。事業者が事実と違うことを告げたり、威迫したりしたために期間内に行使できなかったときは、期間を過ぎても行使できます。

クーリング・オフした場合の扱いは次のとおりです。

  • 役務がすでに提供されていても、対価を支払う必要はない
  • 損害賠償や違約金を請求されない
  • 頭金などを支払済みなら、速やかに返金される
  • 関連商品の契約も同時に解除できる

ただし、健康食品や化粧品のような消耗品を使ってしまった場合は、その部分にクーリング・オフの規定が適用されません。エステの関連商品として政令で指定されているのは、健康食品、化粧品・石けん・浴用剤、下着類・美顔器・脱毛器です。

8日を過ぎると、法第49条の中途解約になります。将来に向かって契約を解除でき、事業者が請求できる額には上限があります。

中途解約の上限額の計算式

エステティックの上限は、役務の提供を始める前と後で違います。

解約の時期事業者が請求できる上限
役務提供の開始前事業者が請求できる上限2万円
役務提供の開始後事業者が請求できる上限提供済みの役務の対価相当額 + (2万円と契約残額の10%のうち低い額)

契約残額は、役務の対価の総額から、すでに提供された役務の対価相当額を引いた額です。損害賠償額の予定や違約金の定めがあっても、この上限を超えて請求できません。上限を超える額をすでに受け取っているときは、事業者が残額を返します。

次の2つの例で計算してみます。いずれも説明用の仮の契約です。

くらべる

同じ中途解約でも上限が変わる2つの仮例

総額30万円・12回

残額が大きい契約

1回2.5万円として3回受けた後に解約します。提供済みは7.5万円、契約残額は22.5万円です。残額の10%は2.25万円で、2万円より高いため、低い方の2万円を使います。上限は7.5万円 + 2万円 = 9.5万円です。

総額12万円・6回

残額が小さい契約

1回2万円として3回受けた後に解約します。提供済みは6万円、契約残額は6万円です。残額の10%は6,000円で、2万円より低いため、6,000円を使います。上限は6万円 + 6,000円 = 6.6万円です。

提供済みの役務の対価を回数で割る前提は、この例のためのものです。実際の契約書にどう書かれているかは、1回あたりの単価の記載があるかで変わります。単価の記載が見当たらない契約書は、点検結果の「要確認」に入れます。

契約書ひな形をProjectsに入れて点検する

Claudeには、ProjectsとProject instructionsの組み合わせが向きます。Projectsは、独自のチャット履歴と知識ベースを持つ作業スペースで、文書をアップロードして文脈を与えられます。無料アカウントでは最大5つ、有料プランでは知識ベースが上限に近づくとRAGモードが自動で有効になり、容量が最大10倍まで広がります。

Projectsに置く資料

次の3つを知識ベースに入れます。

  1. 消費者庁のガイドの該当部分(対象役務の表、書面の記載事項、中途解約の上限額)
  2. 特定商取引法第四章の条文(第41条から第49条の2)
  3. 自社の契約書ひな形と概要書面のひな形

条文は、e-Govの法令検索からテキストで保存できます。消費者庁のガイドは概要なので、詳細は条文で確認する前提にします。

Project instructionsの例

次のような指示文を置くと、毎回同じ観点で点検できます。例えば次のような形です。

あなたは特定商取引法の特定継続的役務の提供(第四章)の点検担当です。
知識ベースの条文とガイドだけを根拠にします。
1. 契約が「1か月超」かつ「5万円超」に当たるか、金額の内訳つきで判定する
2. 概要書面と契約書面を、第42条の記載事項と1項目ずつ突き合わせる
3. 各項目を「ある / ない / 要確認」で表にし、該当する条文を添える
4. 赤枠・赤字・8ポイントの形式は判定せず「目視で確認」と書く
5. 中途解約は、契約残額と上限額を式で示す
法的な最終判断は行わず、専門家に確認すべき点を最後に挙げる

指示文に「根拠は知識ベースだけ」と書くのは、条文にない一般論で穴を埋めさせないためです。点検結果をそのまま信じず、条文番号を開いて確かめる運用にします。

契約書を貼って聞く

チャットには、契約書の本文と次のような依頼を貼ります。

添付のエステ契約書(総額30万円・12回・有効期間6か月)を点検して。
1. 特定継続的役務の提供に当たるか
2. 契約書面の記載事項の抜け
3. 契約残額が22.5万円になる時点で解約した場合の上限額

返ってきた表は、条文の項目と見比べます。特に「ある」と判定された項目は、書面の該当箇所を引用させて確かめると、見落としが減ります。

点検結果の読み方と、人が確かめる項目

Claudeの出力は、次の3種類に分けて読みます。

  • 「ない」とされた項目: 契約書の別の箇所に書かれていないか、人が探す
  • 「要確認」とされた項目: 契約書の文言があいまいなもの。事業者に尋ねる材料になる
  • 計算結果: 式の各数字を契約書の記載と照合する

形式の点検は、画面上のテキストではできません。赤枠・赤字・8ポイントの3点は、紙かPDFの見た目で確認します。

勧誘時の言動は書面に出ない

法第44条は、勧誘の際に事実と違うことを告げる行為や、故意に事実を告げない行為、威迫して困惑させる行為を禁止しています。これらは書面には現れません。

勧誘で聞いた説明は、日付つきで書き出しておきます。説明が事実と違うと誤認して契約したときは、法第49条の2で意思表示を取り消せる場合があります。取消しの可否は、事実関係で変わります。

前払いの契約では、事業者の財務書類も見られる

法第45条は、前払い方式で5万円を超える契約を扱う事業者に、貸借対照表や損益計算書など業務と財産の状況を記載した書類を用意し、消費者の求めに応じて閲覧させることを義務づけています。回数券のような前払いの契約では、事業者が途中で事業を続けられなくなる不安があります。契約前に閲覧を求めたかどうかも、点検メモに残しておきます。

共有と運用の注意

Teamプラン、Enterpriseプランでは、Projectsを組織内で共有できます。権限は閲覧と編集の2段階です。複数の担当者で同じひな形と指示文を使うときに向きます。共有の作り方は、士業事務所の業務マニュアルをProjectsで共有する手順にまとめています。

契約書には個人情報が含まれます。点検に出す前に、氏名・住所・電話番号を伏せ字にします。個人情報の扱いの考え方は、開示請求対応のProjects判断表の記事が参考になります。

Projectsには、新しい版(ベータ)の提供も始まっています。Claude Codeを使うProとMaxの一部が対象で、チャットやCowork、Team、Enterpriseは後から順次です。本記事の手順は、知識ベースと指示文を使う現行のProjectsを前提にしています。

まとめ

エステの契約書は、最初に「1か月超・5万円超」の判定、次に概要書面と契約書面の記載事項、最後に中途解約の上限額の3段で点検します。Claudeに任せられるのは、条文との突き合わせと計算の下書きまでです。

形式の目視確認と、勧誘時の言動の記録、実際の請求への対応は、人が担います。判断に迷う契約は、消費生活センターや弁護士など専門家への相談につなげてください。

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