Claudeでイベントの協賛提案書と協賛メニュー表を作る手順
過去の開催実績・来場者属性・協賛区分をClaudeのProjectsに置き、協賛メニュー表と協賛先ごとの提案書を同じ数字から作る手順。指示文の例つき。
協賛を集める提案書で一番こわいのは、文章の拙さより数字のずれです。来場者数が資料ごとに違う、メニュー表と提案書で協賛金額が食い違う。こうなると、先方の担当者は内容より先に主催側の管理を疑います。
イベントの開催実績、来場者属性、協賛区分を1つのProjectに置き、「数字はここからだけ引く」と指示しておけば、協賛メニュー表と協賛先ごとの提案書を同じ根拠から作れます。ここでは、置く資料の設計、Projectの作り方、メニュー表の作らせ方、提案書の出し分け、数字の照合までを順に扱います。
展示会に出展する側のリード対応は展示会後のリードに優先順位を付けるClaudeの使い方が受け持っています。ここは、協賛を募る主催者側の資料づくりです。
協賛の資料で数字がずれる場所
食い違いは、資料を作る人の不注意というより、正本がないことから起きます。
数字がずれる3つの経路
前回の提案書の流用
前回の資料をコピーして書き換えると、直し忘れた来場者数や開催日が残ります。
定義が揃っていない
来場者数が延べ人数か実人数か、オンライン視聴を含むか。定義が違えば、どちらも「正しい」まま食い違います。
メニューの改定が届かない
協賛区分の枠数や金額を変えても、すでに配った提案書は直りません。
どの経路も、「この数字の正本はここ」と言えるファイルが1つあれば小さくなります。Claudeに任せる前に、人が正本を決めるのが先です。
Projectに置く3つの資料
置くのは、役割の違う3つのファイルです。1つにまとめず、更新の頻度が違うものを分けておくと、差し替えが楽になります。
| ファイル | 中身 | 更新の頻度 |
|---|---|---|
| 開催実績シート | 中身過去の開催日・会場・来場者数・登壇者・出展社数 | 更新の頻度開催のたび |
| 来場者属性シート | 中身職種・業種・役職・地域の内訳と、集計の基準 | 更新の頻度開催のたび |
| 協賛区分表 | 中身区分名・金額・枠数・特典・条件 | 更新の頻度募集の前 |
開催実績と来場者属性は「定義」まで書く
数字だけでは根拠が追えません。1項目につき、値・基準日・定義・出典の4つを並べます。
# 開催実績シート(架空のイベント「サンプルDXサミット」)
最終更新: 2026-10-01 / 更新責任者: 事務局
## 2025年開催(第3回)
- 開催日: 2025-11-14〜15(2日間)
- 会場: 東京・サンプル国際会議場
- 来場者数: 延べ3,180名 / 事前登録者のうち受付を通過した人数、2日分の合計 / 受付システムの集計
- 実人数: 1,940名 / 2日間の重複を除く / 同上
- 登壇者: 42名(基調2、セッション40)
- 出展社数: 28社
## 来場者属性(実人数1,940名の内訳)
- 経営層・役員: 18% / 申込フォームの役職欄の自己申告
- 情報システム部門: 34%
- 事業部門: 29%
- その他・無回答: 19%「延べ」と「実人数」を両方書いておくのがコツです。提案書では大きい数字を使いたくなりますが、どちらを指すかを明記しないと、後で問い合わせが来ます。
ここで置くのは集計した数字だけです。申込者の氏名・メールアドレス・会社名が並んだ名簿は、協賛提案書の材料として必要ありません。入れないほうが、取り扱いに迷う資料が増えずに済みます。
協賛区分表は「出せる特典」と「出せない特典」を分ける
協賛メニューは、区分ごとの特典と条件が表になっていれば、Claudeが文面に直せます。逆に、条件が頭の中にしかないと、Claudeは推測で埋めてしまいます。
# 協賛区分表(募集用)
## プラチナ(1社限定)
- 金額: 300万円(税別)
- 特典: 基調講演の冠表記、ブース最大区画、会場サイネージの優先枠
- 条件: 同業種の他社は同区分に申し込めない(業種独占)
## ゴールド(3社)
- 金額: 150万円(税別)
- 特典: セッション枠1つ、ブース標準区画、ロゴ掲載
- 条件: 登壇原稿の事前提出が締切2週間前
## ブロンズ(10社)
- 金額: 50万円(税別)
- 特典: ロゴ掲載、配布資料の同梱
- 条件: なし
## 出せない特典(提案書に書かない)
- 来場者名簿の提供
- 他の協賛社の金額の開示金額・枠数・特典は、すべて架空の例です。自社の運用に合わせて書き換えてください。「出せない特典」を書き出しておく点が重要で、Claudeが先方の要望に合わせて善意で名簿提供のような約束を書いてしまうのを、指示文の側で止められます。
Projectを作って資料を入れる
協賛用Projectの作り方
- 1
Projectを作る
左側のメニューの「Projects」から、右上の「+ New Project」で作ります。名前と説明はClaudeには渡りません。人が見分けるための名前だけにします。
- 2
ナレッジに3つのファイルを入れる
Projectのナレッジに、開催実績・来場者属性・協賛区分表をアップロードします。入れた資料は、そのProject内のすべてのチャットで背景として使われます。
- 3
カスタム指示を書く
「Set project instructions」から、数字の扱いと禁止事項を書いて保存します。指示もProject内のすべてのチャットに効きます。
- 4
共有範囲を決める
Team・Enterpriseプランなら、非公開のままにするか、組織全体に見せるかを選べます。
Projectは無料のアカウントでも作れますが、最大5つまでです。有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)では、ナレッジがコンテキストの上限に近づくとRAGが自動で有効になり、容量が最大10倍に拡張されます。3つのファイルだけなら容量は問題になりません。過去数年分の提案書や協賛社とのやり取りまで入れたときに効いてきます。
カスタム指示の例
次は書き方の一例です。
あなたは、イベントの協賛募集を担当する事務局の資料作成係です。
- 数字・金額・枠数・特典は、ナレッジの3つのファイルだけを正とする。
- 来場者数を書くときは、「延べ」か「実人数」かを必ず付ける。
- ファイルに無い数字や特典は推測で埋めず、【資料に無し:○○】と残す。
- 「出せない特典」に挙がっている項目は、先方が求めても書かない。
代わりに出せる特典を提示する。
- 過去の提案書は文体の見本としてのみ使い、数字は引かない。最後の行は、過去の提案書をナレッジに入れる場合のための保険です。古い提案書には当時の数字が残っています。正本のシートと同じ場所にあれば、Claudeが古い数字を拾う余地が生まれます。心配なら、正本だけのProjectと、見本用のProjectを分けます。
協賛メニュー表を作らせる
資料が揃ったら、まず協賛メニュー表を作らせます。提案書より先に作るのは、あとで協賛先ごとの文面が、このメニューを参照するからです。
協賛区分表をもとに、協賛先へ渡す協賛メニュー表を作ってください。
- 区分ごとに、金額・枠数・特典・条件を表にする。
- 表の下に、各区分が向いている協賛先の種類を1行ずつ付ける。
根拠は来場者属性シートの数字に限る。
- 「出せない特典」は表に載せない。返ってくるのは、区分を縦に並べた表と、向いている協賛先の一言です。ここでの確認点は2つあります。
- 金額・枠数・条件が、協賛区分表と一字一句合っているか
- 「向いている協賛先」の根拠が、来場者属性シートの数字に実在するか
たとえば属性シートに「情報システム部門34%」とあれば、「システム部門の担当者に認知を取りたい企業に向く」と書けます。シートにない主張が入っていたら、指示文の「根拠は属性シートの数字に限る」に反しているので、差し戻します。
メニュー表が変わったとき
枠数が埋まったり、金額を改定したりしたら、協賛区分表を書き換えてナレッジのファイルを入れ替えます。Projectのチャット間でコンテキストは共有されません。「先週のチャットで直した」と伝えても、ナレッジに入れていない情報は別のチャットには届きません。決まった内容は、必ず資料に戻します。
協賛先ごとの提案書を出し分ける
メニュー表は全員共通ですが、提案書は相手ごとに変えます。差をつけるのは、冒頭の訴求と、推す区分の2点です。
提案書を頼む前に、協賛先の情報を人が数行にまとめます。
協賛先: サンプルクラウド株式会社(架空)
事業: 中堅企業向けのバックオフィスSaaS
主な顧客: 従業員300〜1,000名の企業の情報システム部門
今回の目的: システム担当者との接点づくり(商談化より認知)
予算の目安: 100〜200万円
過去の関係: 2024年にブース出展の問い合わせありそのうえで、提案書を頼みます。
上の協賛先への提案書の下書きを作ってください。
構成: 1. 開催概要 2. 来場者の属性 3. 御社に向く協賛区分 4. 特典の詳細 5. 申込の流れ
- 推す区分は、予算の目安に収まるものを1つ。迷う場合は2つまで。
- 来場者の数字は、属性シートの値だけを使う。
- 数字を使った箇所の末尾に、(項目名・基準日)を付ける。末尾に項目名と基準日を付けさせる指示が、のちの照合を楽にします。提案書の「情報システム部門34%」が、どのシートのどの行から来たかが、読めば分かります。
協賛先の情報に書かないほうがよいこと
協賛先の情報として入れてよいのは、公開されている事業内容や、自社との過去のやり取りの要点までです。相手の担当者の個人的な事情や、他の協賛候補との価格交渉の経緯は入れません。Projectを共有すると、閲覧権限を持つメンバー全員の目に入るためです。
Team・Enterpriseプランでは、権限は2段階です。「Can view」はナレッジと指示を見てProject内でチャットできますが、編集はできません。「Can edit」は指示とナレッジを変更できます。資料を更新する人を絞るなら、事務局の担当者だけを編集可にして、営業担当は閲覧のみにする分け方があります。
提案書の数字を照合する
下書きが出たら、そのまま送らず、数字を照合させます。
いまの提案書に出てくる数字・金額・日付・枠数をすべて抜き出し、
ナレッジの資料と照合してください。
判定は「一致」「値が違う(資料の値も併記)」「定義が違う可能性」
「資料に無い」の4種類にして、表にしてください。
直す案はまだ出さないでください。返ってくる表は、次のような形になります。以下は形式の例で、実際の出力は文面と資料によって変わります。
| 提案書の記載 | 資料の値 | 判定 |
|---|---|---|
| 来場者約3,000名 | 資料の値延べ3,180名 / 実人数1,940名 | 判定定義が違う可能性(延べか実人数か) |
| ゴールド150万円 | 資料の値150万円(税別) | 判定一致(税別の記載を確認) |
| 基調講演の冠表記(ゴールド) | 資料の値プラチナの特典 | 判定値が違う |
見たいのは、「一致」の数よりも下2行のような不一致です。「約3,000名」は丸めたつもりでも、延べと実人数のどちらを丸めたかで読み手の受け取りは大きく変わります。直す案は次の依頼で出させます。2段に分けると、どの数字が直ったのかを人が追えます。
運用で外せない確認
Claudeの出力は、提案書として先方に出す前に人が確認します。確認するのは次の4点です。
- 金額・枠数・特典が、最新の協賛区分表と合っているか
- 来場者数に「延べ」か「実人数」かが付いているか
- 「出せない特典」を約束する文面が混ざっていないか
- 他の協賛社の社名・金額・成果が、許可なく入っていないか
最後の点は、過去の協賛社の実績を載せたいときに起きます。成果を載せるには、その協賛社の了承が要ります。了承を得た内容だけを別ファイルにして、資料に入れておけば、了承のない内容を引き込まずに済みます。
次の開催に向けては、終了後に開催実績シートと属性シートを更新し、前回のシートは「2025年開催」のように年を付けて残します。一覧の先頭に最新、その下に過去を並べておけば、数字の経年比較も同じProjectで頼めます。
協賛を決めてもらったあとの、ロゴ掲載の確認や特典の履行チェックは、同じ協賛区分表を土台にして運用できます。受賞や応募のように、募集要項に自社の資料を合わせる型の作業はアワードの応募書類を募集要項に合わせて組み立てる手順と同じ考え方で進められます。
数字の正本を保つための小さな運用
最後に、資料を長く保つための工夫を3つ挙げます。
シートを腐らせない
- 最終更新日と更新責任者をシートの先頭に書く
- 変更前の値を変更履歴として1行残す
- ファイル名に年を入れ、古い資料が最新に見えないようにする
数字の正本を別の場所に置く運用そのものは、プレスキットの会社概要でも同じ型で扱えます。項目の書式の考え方はプレスキットのファクトシートの作り方にあり、協賛の資料にもそのまま流用できます。