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Claudeでサロンの席稼働率と客単価を見直す — 1席1時間の粗利で料金設計

Claudeでサロンの席稼働率と客単価を見直す — 1席1時間の粗利で料金設計

サロンの料金は客単価だけでは決まりません。施術メニューごとに、席を占めた時間と材料費・人件費を引いた粗利を出し、1席1時間あたりで比べる手順を、Claude for Excelで組みます。

美容室やネイルサロンで、客単価の高いメニューが席にとっても得だとは限りません。9,900円のカラーが2時間以上席を占めるあいだに、5,500円のカットなら2人入れる店もあります。値段の高さではなく、席を何分使い、材料費と人件費を引いて何円残るかで並べると、順位が入れ替わります。

この記事では、予約システムの来店CSVを施術メニュー別に集計し、1席1時間あたりの粗利を出して、料金を見直す材料にする手順を、Claude for Excelと組みます。式の関係、台帳の列、数字を入れた例、料金を直す計算、Claudeへの頼み方、使える環境の順に進めます。

1席1時間あたりの粗利で、メニューを同じ土俵に乗せる

サロンが売っているのは、施術そのものと同時に「席の時間」です。席の数と営業時間は決まっているので、1時間あたりに席が生む粗利が、メニューの稼ぐ力を比べる共通の物差しになります。

使う式は次の3つです。

指標式
席占有時間式施術時間 + 準備・片付け時間(放置時間も含める)
メニューの粗利式税抜単価 − 材料費 − 人件費
1席1時間あたり粗利式メニューの粗利 ÷ 席占有時間(分) × 60

人件費は、施術者が席に付き切りなら「時給 × 席占有時間」で置きます。放置時間のあいだに別の客を担当できる店は、担当した時間だけを人件費に入れるように、置き方を変えます。ここは店ごとに事情が違うので、決めた定義を毎月同じ形で使うことが、数字を比べる前提になります。

席稼働率も同じ台帳で出せます。

指標式
席時間の総量式営業日数 × 1日の営業時間 × 席数
席稼働率式施術で埋まった席時間 ÷ 席時間の総量
視点

料金を見直すときの3つの視点

  • 単価の高さ

    支払う金額の大きさです。席を長く使うメニューでは、高くても時間あたりの粗利は低くなります。

  • 席の占有時間

    放置時間や準備・片付けまで含めて、席が他の客に使えなかった時間です。

  • 席稼働率

    空いている時間が多い店では値上げより集客が先で、埋まっている店では時間あたりの粗利が効いてきます。

来店CSVから作る台帳の列

予約システムから出せる来店履歴を、メニュー別に集計します。システムごとに列名は違うので、手元のCSVに合わせて読み替えてください。ここで最低限そろえたいのは、次の列です。

列内容種別
A内容メニュー名種別入力
B内容税抜単価種別入力
C内容施術時間(分)種別入力
D内容準備・片付け(分)種別入力
E内容材料費(1回あたり)種別入力
F内容人件費の時給種別入力
G内容席占有時間(分)種別式
H内容人件費種別式
I内容粗利種別式
J内容1席1時間あたり粗利種別式
G2: =C2+D2
H2: =F2*G2/60
I2: =B2-E2-H2
J2: =IF(G2=0,0,I2/G2*60)

来店CSVに所要時間の列が無いときは、メニュー名と回数だけをCSVから集計し、所要時間と材料費はメニューごとの別シート(メニューマスタ)に自分で入れて突き合わせます。予約枠の長さと実際の施術時間はずれることがあるので、どちらを使うか決めてから集計します。

顧客名や電話番号の列は、この分析に要りません。Claudeに渡す前にシートから外しておくと、見せる情報を最小限にできます。

数字を入れた例

施術者の時給を1,500円(1分あたり25円)、準備・片付けを10分として、4つのメニューを置きます。数字は説明のための例です。

メニュー税抜単価席占有時間材料費人件費粗利1席1時間あたり粗利
カット税抜単価5,500円席占有時間70分材料費150円人件費1,750円粗利3,600円1席1時間あたり粗利約3,086円
カラー税抜単価9,900円席占有時間130分材料費1,200円人件費3,250円粗利5,450円1席1時間あたり粗利約2,515円
パーマ税抜単価11,000円席占有時間160分材料費1,500円人件費4,000円粗利5,500円1席1時間あたり粗利約2,063円
ヘッドスパ税抜単価4,400円席占有時間50分材料費300円人件費1,250円粗利2,850円1席1時間あたり粗利3,420円

単価が最も高いパーマは、時間あたりでは最も低い順位に沈みます。逆に4,400円のヘッドスパは、単価は最下位でも、時間あたりの粗利が最も高くなります。客単価の順位と、席にとっての順位は別物です。

席稼働率も例で置きます。3席、1日10時間、月26日営業なら、席時間の総量は780時間です。施術で埋まった席時間が546時間なら、席稼働率は70%になります。残る234席時間は、売上が立たなかった時間です。ここにヘッドスパのような短時間メニューを差し込めるかが、次の検討になります。

料金を直すときの計算

パーマをカットと同じ時間あたり粗利(約3,086円)にしたい場合の単価を逆算します。

  1. 目標の粗利 = 3,086円 × 160分 ÷ 60 = 約8,229円
  2. 単価 = 目標の粗利 + 材料費 + 人件費 = 8,229 + 1,500 + 4,000 = 約13,729円

税抜で約13,700円、いまより約2,700円の差です。この数字は「席の時間をカットと同じ稼ぎにするには」の目安であり、そのまま値上げ額になるわけではありません。近隣の相場、既存客の価格感、パーマの客層が他のメニューとセットで来ているかによって、実際の価格は変わります。

値上げ以外の道も、同じ台帳で比べられます。放置時間のあいだに別の客を担当する運用に変える、施術時間を短縮できる工程を探す、時間あたりの粗利が高いメニューを空き枠へ誘導する。どれも、台帳の列を変えて再計算すれば効果が見えます。

席稼働率は月の平均だけでなく、曜日と時間帯に分けると使い道が増えます。平日の昼に空きが集中している店なら、その枠にだけ短時間で粗利の高いメニューを置く、という手が現実的になります。来店CSVの来店時刻から、曜日と時間帯ごとの占有時間を集計する列を足せば、同じ台帳で空き枠を数字で示せます。

前と後

メニューを見る物差しの違い

BEFORE

客単価で見る

パーマとカラーが上位で、ヘッドスパは下位。席を何分使ったかは見えません。

AFTER

1席1時間の粗利で見る

カットとヘッドスパが上位に出て、パーマは最下位。値付けと枠の組み方を直す候補が見えます。

Claude for Excelへの頼み方

台帳ができたら、Claude for Excelのサイドバーから頼みます。Claude for Excelは、ブックの内容について質問でき、答えにはクリックして該当セルへ飛べるセルの引用が付きます。前提の値を変えるときも、数式の関係は保たれたまま、依存するセルが再計算されます。

頼み方の例を挙げます。

メニュー台帳(A1:J5)について次をお願いします。
1. J列の式が、粗利を席占有時間で割って60を掛ける形に
   なっているか確認し、違う行があれば指摘してください。
2. 人件費の時給F列を1,500円から1,700円に変えたとき、
   1席1時間あたり粗利の順位がどう変わるか示してください。
3. パーマの単価を、カットと同じ時間あたり粗利にするには
   いくらか、計算式のセルを新しい列に作ってください。

2つ目のような「前提を動かして順位を見る」使い方が、この分析と相性のよい場面です。時給が上がると長時間メニューほど人件費が重くなるので、順位が入れ替わるかどうかを一度に見られます。

毎回同じ定義を使わせたいなら、サイドバーの設定にあるInstructions欄に、時給と準備・片付けの置き方、数字の書式を書いておきます。この指示はExcelの会話すべてに効き、PowerPointやWordの指示とは別に保たれます。

Claudeが出した数字は、そのまま経営判断に使わず、電卓か自分の式で1行は検算します。公式の案内でも、Claude for Excelは最終的な成果物や監査に関わる計算を、人の確認なしに任せる使い方を勧めていません。

使える環境と、先に知っておくこと

Claude for Excelは、Pro、Max、Team、Enterpriseの各プランで使えます。動く環境は、Excel on the web、Microsoft 365版のExcel on Windows(ビルド16.0.13127.20296以降)、Excel on Mac(バージョン16.46以降)です。

動かない環境もあります。

環境使えるか
Excel 2016・2019(永続・ボリュームライセンス)使えるか使えない
Excel on iPad使えるか使えない
Excel on Android使えるか使えない

できない操作もあります。データテーブルと、マクロ・VBAの操作は対応していません。台帳をマクロで自動更新している店では、その部分だけClaudeに頼めないので、手作業に戻すか別の方法を考えます。一方で、並べ替え、フィルター、ピボットテーブルの編集、条件付き書式、入力規則のドロップダウンは頼めます。メニュー別の集計をピボットで作る使い方は、この範囲です。

つまずきやすい点

落とし穴

放置時間を席占有から外してしまう

カラーの放置時間は、施術者の手が空いても席は塞がっています。席占有時間に入れないと、カラーが実態より稼げて見えます。逆に、放置中に別の客を担当しているなら、人件費の置き方のほうを直します。

落とし穴

割引・クーポン・指名料を単価に反映しない

メニュー表の価格で集計すると、実際の売上より大きく出ます。来店CSVの支払額から逆算するか、割引の種類を別列にして単価を補正します。ネット予約の手数料が材料費とは別に掛かる店は、粗利の式に引く列を足します。

落とし穴

1回の来店で複数メニューを受けている

カットとカラーを同じ来店で受けた場合、CSVが1行にまとまっているのか、メニューごとに分かれているのかで集計が変わります。まとまっているなら、組み合わせを1つのメニューとして台帳に置きます。席占有時間は2つの合計より短くなることもあるため、実測の時間を使います。

売上全体を日・週で追う方法は、POS売上CSVの週次振り返りが扱っています。人件費率の悪化を売上・時間・時給に分ける考え方は人時生産性と人件費率の分解と共通で、棚の価値を回転で比べる発想は交差比率と在庫回転率の売場別分析に通じます。

まとめ

サロンの料金は、客単価の高さではなく、席を占めた時間あたりの粗利で見ると順位が変わります。メニュー別に席占有時間、材料費、人件費を並べた台帳を1つ作り、時給などの前提を動かして再計算できる形にしておけば、値上げ、枠の組み替え、短時間メニューの誘導を同じ物差しで比べられます。Claude for Excelは、式の確認と前提の入れ替えに向きます。決めた定義と検算は人が持ち、価格は相場と客層を見て最終判断します。

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